身分系の在留資格とは?
外国人雇用のポイントを解説
2023.09.05
外国人を雇用する際は、日本人と同じように職務内容に制限がなく自由に働いてもらえる身分系の在留資格にも注目しましょう。身分系の在留資格は4種類で、共通する特徴は、就労制限がないことです。
本記事では、外国人雇用で確認しておきたい身分系の在留資格について解説していきます。
CONTENTS
- 1.そもそも在留資格とは?
- 2.身分系の在留資格とは?
- 3.永住者の配偶者と離婚・死別した際の在留資格
- 4.身分系の在留資格で外国人を雇用するメリット
- 5.身分系の在留資格で外国人を雇用する注意点
- 6.外国人雇用では在留資格の種類をチェックしましょう
- 7.まとめ
1.そもそも在留資格とは?
在留資格とは、その名称の通り、日本に在留することができる法的な資格です。定められた活動・職業に従事することによって得られるものと、身分によって得られるものがありますが、同時に保有できる在留資格はいずれか一つです。
1-1.在留資格の種類
在留資格には29種類の資格があり、「活動類型資格」と「地位等類型資格」に大別されます。活動類型資格は在留資格によって定められた活動や職務に従事することを条件に在留が許可されるため、在留資格に対応していない活動はできません。一方、地位等類型資格は永住者の配偶者という立場や、永住者・定住者としての地位を有することで在留が認められる資格です。そのため、日本での活動内容には制限がないという特徴があります。
1-2.在留カードとは
在留カードとは、3か月以上の中長期滞在が可能な在留資格を持つ外国人に対して発行される在留証明書です。氏名や生年月日などの情報に加え、在留資格、期間や就労可否などが記載されており、16歳以上の場合は顔写真も貼付されます。当該外国人が適法に在留する者であることを証明する効力を持ち、在留外国人の身分を証明するものとして常時携行が義務付けられています。違反した場合は罰金が課されるケースもあり、注意が必要です。
1-3.在留資格を取り消されるケースとは
在留資格を取り消されるケースについて解説します。
<在留資格で認められていない業務に従事する>
在留資格で許可されていない業務に従事した場合は、資格が取り消される可能性があります。特に単純労働が禁止されている在留資格は要注意です。ホテルでのベッドメイキングや清掃、工場内のライン作業などは単純労働に当たりますので注意してください。
<規定の業務に就労していない>
再就職のため就職活動中であるなどの正当な理由を除き、在留資格で定められた業務に3か月以上従事していない場合は、在留資格が取り消される場合があります。
<資格の更新や変更などの申請を正しく行っていない>
在留資格の更新や変更などの諸手続きを正しく行っていない場合も、在留資格が取り消される可能性があります。期限内に手続きが確実に完了するよう余裕を持ったスケジュール管理が大切です。
2.身分系の在留資格とは?
身分系の在留資格とは「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」の4種類を指します。
これらの在留資格を取得している外国人は日本での活動に制限がないので、当然、就労に際しても制限がなく自由に働くことが可能です。ここではそれぞれの身分系の在留資格について説明します。
2-1.日本人の配偶者等
日本人の配偶者・子・特別養子(6歳になるまでに本当の親との縁を切って養子になる場合)が得られる在留資格です。
2-2.永住者
法務大臣から永住の許可を受けたもので、基本的に10年以上日本に在留し、かつ「素行が良好であること」「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」といった条件を満たすと認められた場合に取得できます。
2-3.永住者の配偶者等
永住者・特別永住者(在日朝鮮人・在日韓国人・在日台湾人)の配偶者および日本で出生し、引き続き在留している子が得られる在留資格です。
2-4.定住者
第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人の方々が日本に在留するための在留資格です。第三国定住とは、すでに母国を逃れて難民となっているが、一次避難国では保護を受けられない人を他国(第三国)が受け入れる制度のことです。
3.永住者の配偶者と離婚・死別した際の在留資格
日本人もしくは永住者の配偶者と離婚、死別した際は、別の在留資格への変更が必要です。離婚後であっても在留期間が残っている場合、一定期間は在留が可能ですが、6か月経過すると在留資格は取り消されます。入管に14日以内に配偶者に関する届け出を行い、就労ビザや定住者ビザへの変更を検討しましょう。万が一、配偶者に関する届け出を怠った場合は、別のビザへの変更が難しくなる可能性があります。
4.身分系の在留資格で外国人を雇用するメリット
企業側から見てもっとも採用しやすいのが、身分系の在留資格を持つ外国人かもしれません。その理由には身分系外国人が持つ「就労制限がない」という特徴が関係しています。具体的に解説します。
4-1.幅広い業務を通してスキルを身に着けてもらえる
身分系の在留資格を持つ外国人は就労制限がないため、任せられる仕事の幅が広がります。就労系の在留資格では突発的な仕事に対して臨機応変に働いてもらうのは困難です。その点、企業としては新しいスキルを身に付けてもらいつつ、人手を増やしたい、または強化したい業務にも人員を回せるのは大きなメリットといえるでしょう。
4-2.在留に関する手続きが比較的スムーズ
就労制限がないため、業務内容変更の都度、入管に申請をし直すなどの必要がありません。また、身分系の場合はそもそも日本で長く滞在・生活するために在留資格を取得していることが多く、外国人自身が手続きに慣れているケースがほとんどです。企業の担当者として各手続きをフォローすることが少ない傾向にあるのもメリットでしょう。
5.身分系の在留資格で外国人を雇用する注意点
身分系の在留資格の中でも「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」は離婚してしまうと更新ができなくなるので、雇用の際には注意が必要です。結婚が3年以上、子どもがいる場合は離婚後に「定住者」への在留資格変更ができる場合もあるので、もしも雇用している外国人が離婚したときは「定住者」への変更を促すことも検討しましょう。
6.外国人雇用では在留資格の種類をチェックしましょう
身分系の在留資格「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」の取得者は就労制限がなく、もっとも雇用しやすい外国人です。一方、身分系以外の在留資格には「技術・人文知識・ 国際業務」や「技能」「特定技能」など就労できる在留資格と「短期滞在」「留学」「家族滞在」など、原則として就労できない在留資格があることに注意しましょう。
7.まとめ
政府の統計によると、2019年6月末時点で日本に在留している外国人は約263万人。そのうち身分系の在留資格「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」の外国人は約116万人と、かなりの割合を占めています。半数弱の外国人に就労制限がないということは、企業の採用にとても有利に働きます。
今後、外国人雇用を促進しようと考えているならば、就労制限のない身分系の在留資格取得者の採用から検討してみましょう。
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