特定技能の1号と2号とは何が違う?また移行するには
2022.11.01
特定技能の在留資格には特定技能1号と2号があるようですね!
はい、その通りです。特定技能の在留資格といえば1号が一般的ですが、今後は特定技能2号を持つ外国人の方が増えるかもしれませんね。特定技能1号と2号、それぞれの内容について理解しておきましょう。
特定技能の在留資格は、特定技能1号と特定技能2号に分けられます。特定技能の制度は2019年に始まったこともあり、2022年の時点では、まだ特定技能1号の在留資格が一般的といえますが、今後は特定技能2号の在留資格を持つ外国人が増えると予想されます。
それにともない、特定技能1号の外国人だけでなく、特定技能2号の在留資格を持つ外国人を採用する機会も増えることでしょう。
この記事では、特定技能1号と2号は何が違うのか、また、1号から2号に移行する場合はどのような流れで行うのか、という点について説明します。
CONTENTS
- 1. 特定技能とは
- 2. 特定技能1号・2号の違い
- 2-1. 特定技能の対象となる産業分野
- 2-2. 特定技能と技能実習との違いは?
- 3.特定技能1号・2号を取得するには
- 3-1. 特定技能1号
- 3-2. 特定技能2号
- 4. 特定技能の試験
- 5. まとめ
特定技能とはどんな制度ですか?
専門家
日本が直面している労働力不足の問題を解決するために、十分な能力や技術、経験を有する外国人の方を受け入れて労働力不足の解決を図る制度です。くわしい内容について説明しますね。
1. 特定技能とは
特定技能とは、労働力不足の解消を目的として、特定の分野における十分な能力や技術、経験を有する外国人を労働者として受け入れる制度です。
特定技能は2019年に始まった制度で、定められた条件を満たした外国人に「特定技能」の在留資格が与えられるというものです。
近年の日本は、少子高齢化によって労働力人口が減少しています。国内の人材確保は年々難しい状況となっており、さまざまな機械やIT機器などを導入して生産性の向上に努めても、人手不足はなかなか解消しないのが現状です。
しかし、海外に目を向けてみると人口が増加している国は多くあります。そのような国から人材を受け入れることができれば、日本の労働力不足の改善に繋げやすくなります。
特に、日本の企業が求める人材は、一定の技術や経験を持ち、即戦力として働ける労働者です。
特定技能の在留資格を有する外国人労働者なら、日本の企業が持つ労働者のニーズを満たしやすいことから、単に労働力不足を解消するだけでなく業務の効率性の向上が期待できます。
特定技能1号と特定技能2号の違いは何ですか?
専門家
簡単に説明すると能力や技術の違いです。特定技能1号は特定の分野において十分なレベルの技術が求められます。特定技能2号は熟練した技術が必須です。
2. 特定技能1号・2号の違い
特定技能の在留資格は「特定技能1号」と「特定技能2号」の在留資格があります。
特定技能1号は、特定の分野の業務を行うにあたっての十分な能力や技術が求められます。また、特定技能2号は特定の分野における熟練した技術が必須となります。
それぞれの在留資格のポイントについて説明します。
特定技能1号
- 在留期間:1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
- 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
- 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 (技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
- 家族の帯同:基本的に認めない
- 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象
特定技能2号
- 在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
- 技能水準:試験等で確認
- 日本語能力水準: 試験等での確認は不要
- 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者、子)
- 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外
(出典:出入国在留管理庁 特定技能総合支援サイト)
日本に在留できる期間は、特定技能1号は5年が上限ですが、特定技能2号に上限は設けられていません。そのため、特定技能2号は定期的に更新すれば何年でも日本に滞在できます。
技能水準の確認は、特定技能1号・2号ともに試験等で行われます。なお、日本語能力水準の確認は特定技能1号のみが対象です。
家族の帯同については、特定技能1号の場合は認められません。特定技能2号は一定の要件を満たせば、配偶者と子のみ帯同が認められています。
また、特定技能1号は受け入れ機関や登録支援機関による支援の対象となりますが、特定技能2号は支援の対象外となります。
2-1. 特定技能の対象となる産業分野
特定技能の対象となる産業の分野は下記の12種類です。特定技能2号の対象となる分野は、2022年10月時点では建設、造船・舶用工業分野の2つに限定されています。
なお、政府は特定技能2号の対象となる分野の拡大を検討しており、今後は多くの分野で特定技能2号の外国人の受け入れが始まる可能性があります。
- 介護分野
- ビルクリーニング分野
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野
- 建設分野
- 造船・舶用工業分野
- 自動車整備分野
- 航空分野
- 宿泊分野
- 農業分野
- 漁業分野
- 飲食料品製造業分野
- 外食業分野
(出典:出入国在留管理庁 特定技能外国人受入れに関する運用要領)
2-2. 特定技能と技能実習との違いは?
特定技能と技能実習の違いを簡潔にまとめると下記の通りとなります。- 特定技能:労働力として外国人を受け入れる
- 技能実習:外国人が日本で技能や技術を学び、それらを母国での業務に活かす野
一見すると、特定技能と技能実習の外国人はいずれも日本で労働しているように感じられます。
しかし、労働を目的として来日しているのは特定技能のみであり、技能実習生はあくまでも日本に技術を学びに来ている点に違いがあります。
そのため、特定技能と技能実習では業務を行う業種が異なります。また、特定技能外国人は、特定の分野の技能試験に合格すれば転職が可能である反面、技能実習生は原則として転職することができません。
さらに、技能実習は受け入れ人数に制限があるのに対し、特定技能は建設と介護の分野を除くと受け入れ人数に上限が設けられていません。
なぜなら、技能実習の場合は、実習生が多すぎると技能を教える側としては教育が困難になるためです。一方、特定技能は受け入れ人数の見込み数は定めているものの、あくまでも目安であり、上限を定めていません。
日本国内の労働力不足がさらに深刻になった場合、特定技能外国人の受け入れをさらに増やすことも考えられます。
特定技能1号や特定技能2号の在留資格を取得するにはどうすればいいですか?
専門家
原則として、指定された試験に合格する必要があります。ただし、特定技能1号は、技能実習2号を良好な状態で修了していれば試験は免除されます。
3.特定技能1号・2号を取得するには
特定技能1号と2号、それぞれの在留資格を取得する方法について説明します。
3-1. 特定技能1号
特定技能1号を取得する方法は、下記の2通りのうちいずれかとなります。- 特定の分野の技能試験と日本語試験に合格する
- 技能試験2号を良好な状態で修了する
原則として、特定技能1号の在留資格を取得するためには、特定の分野の技能試験と日本語に関する試験に合格する必要があります。
日本語の試験は、下記に示した2種類の試験のうちいずれかを受験します。
- 日本語能力試験(N4以上)
- 国際交流基金日本語基礎テスト
日本語能力試験はN4のレベルの試験に合格する必要があります。国際交流基金日本語基礎テストは、ある程度の日常会話ができるなど、生活に支障がない程度の日本語能力を持っているかどうかを判定します。
そのほか、介護分野のみ「介護日本語評価試験」にも合格することが求められます。
なお、技能試験2号を良好な状態で修了していれば、技能試験と日本語試験を受けなくても特定技能1号の在留資格を取得できます。
3-2. 特定技能2号
特定技能2号の在留資格を取得するためには、特定技能1号の在留資格を持つ人が試験に合格する必要があります。
なお、特定技能の制度が始まったのは2019年であるため、2022年の時点では特定技能の制度が始まってから5年が経過していない状況です。
特定技能1号の在留資格を持っていると最長で5年間日本に滞在できます。特定技能の制度で働いている外国人の多くは特定技能1号の在留資格を持っているとみられ、2022年の時点では特定技能2号の在留資格を持つ必要性は少ないといえます。
しかし、今後は、特定技能1号の在留資格を取得してから5年が経過する外国人が増えるとみられます。引き続き日本に滞在するために、特定技能1号から特定技能2号に移行する外国人が増える可能性は十分にあります。
特定技能の試験について知っておきたいです!
専門家
特定技能の試験は、それぞれの分野によって実施方法が異なります。試験を受ける前に、管轄機関のサイトを見て事前にチェックしておくといいですよ。
4. 特定技能の試験
特定技能の試験は、それぞれの分野によって試験の内容や実施日程が異なります。
また、特定技能の試験は日本のほかに海外でも行われていますが、どの国で試験が行われているかはそれぞれの分野によって異なります。あらかじめ試験の内容を確認しておきましょう。
特定技能の各分野の試験内容について確認したい場合は、下記に記載した「特定技能 試験の案内(分野別)」のリンクを参照してください。
特定技能 試験の案内(分野別)
介護分野:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html#link2
ビルクリーニング分野:公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会
https://www.j-bma.or.jp/qualification-training/zairyu#01
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野:経済産業省
https://www.sswm.go.jp/exam_f/examination_index.html
建設分野:一般社団法人 建設技能人材機構
https://jac-skill.or.jp/exam/
造船・舶用工業分野:一般財団法人 日本海事協会
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/authentication/evaluation/index.html
自動車整備分野:一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会
https://www.jaspa.or.jp/mechanic/specific-skill/言
航空分野:公益社団法人 日本航空技術協会
https://exam.jaea.or.jp/
宿泊分野:一般社団法人 宿泊業技能試験センター
https://caipt.or.jp/tokuteiginou
農業分野:一般社団法人 全国農業会議所
https://asat-nca.jp/
漁業分野:一般社団法人 大日本水産会
https://suisankai.or.jp/skill/
飲食料品製造業分野:一般社団法人 外国人食品産業技能評価機構
https://otaff1.jp/insyoku/
外食業分野:一般社団法人 外国人食品産業技能評価機構
https://otaff1.jp/gaisyoku/
5. まとめ
特定技能1号は、十分な能力や技術、経験を有している外国人が得られる在留資格であり、特定技能2号は熟練した技能を有する外国人に付与される在留資格です。
特定技能1号は日本に滞在できる期間が最長5年ですが、特定技能2号は滞在期間に上限が設けられておらず、更新時に更新することで引き続き日本に滞在できます。
また、特定技能1号から2号に移行する場合は、定められた試験に合格することで特定技能2号の在留資格を得られます。
日本国内の労働力不足の解消を図るためには、特定技能1号の外国人はもちろんのこと、特定技能2号の外国人の活躍も必要だと言えるでしょう。
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