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「お通し」は断れる? ━私たちそんな食べ物、頼んでません!
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.7

生活関連

2024.11.29

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.7
「お通し」は断れる? ━私たちそんな食べ物、頼んでません!

ワタシ、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。
実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら、私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

初めての居酒屋

「いらっしゃいませー!」
「ありがとうございました!」



店員さんの爽やかな笑顔とフロア中にこだます声高らかな挨拶。今日の居酒屋は味もコスパも良く、おまけに店員さんの接客も抜群で、機会があればまた海外メンバーを誘って来店したいお店だ。



来日して間もないメンバーは「日本らしい食べ物が食べられた!」と喜んでおり、中でもサクサクの天ぷらは追加注文するほど気に入ってくれたようだった。

詳しく話を聞いてみると、それぞれの国でも衣をつけるなどして食材を高温の油で揚げる料理はあるらしい。ただ、日本の天ぷらのようにサクサクな野菜やフワフワの白身魚…ではないそうで、薄衣のパリッとした食感の中に風味豊かな味わいを閉じ込められる巧みさ、そうした細部への悦びにこだわれる感性は、やはり日本人ならではではないかという感想を述べてくれた。



そもそも天ぷらはポルトガル(またはペルシア)からの伝来説が有力で、ポルトガル語の「テンポーラ(temporas)」が語源。ポルトガルではカトリックの斎日に肉食を避ける代わりに、小麦粉の衣で魚や野菜を揚げた料理を食べていたことが起源といわれている。私自身、海外旅行に出かけた先で食べた揚げ物が日本のそれほどおいしかった記憶はない。外国由来の料理でも味わいを追求し、もはや別の料理へと昇華させてしまう日本人の器用さと探求心、繊細さに改めて気づかされた私だった。

夜も更け、そろそろ終電の時間だ。店員さんに「お会計」の声をかけ、お手洗いへと向かった。

「お通し」って何?!

席に戻ると、タイ人のナロンさんと数名が注文票を片手に何やら議論を繰り広げていた。ナロンさんの隣に座っているベトナム人のグエンさんはスマホを見つめ、向いに座るインドネシア人のマイケルさんの手は、メニュー表の文字をたどっている。

「どうしたの?まだ何か食べたかった?」

するとマイケルさんが顔をあげ、ナロンさんの注文票を指差し「これは何ですか?」と尋ねてきた。見ると料理名の最上部に〈お通し400円×6〉の文字がある。

「『お通し』は何ですか?何の食べ物を使う料理ですか?私たち、それを頼みましたか?」

すかさずグエンさんによる質問攻め……。
テーブルの奥で談笑していたインダさんとチャンさんもこちらに集まってきた。



「お通しは、みんなの国にあるチップと同じようなものよ。お店によっては『席料』とか『サービス料』というところもあるわ。日本はチップ制じゃないから、みんなの国のようにホテルやマッサージ店に行ってもチップを渡す必要はないんだけど、ご飯屋さんでは時々こうして注文とは別に料理代という形でチップを取るの。お客さんも注文した料理がくるまでの間にお酒を飲みながら、つまむ…そう、食べることができるでしょう?」

「でも、チップだったらスタッフがもらいますが、これはお店がもらいますね?」

「そう…なる……わねぇ」



確かに、海外でいうチップはお店より対個人に支払われる方が多そうな気もする。しかも、そもそもチップ制ではない日本において、飲食店だけがこうした慣習を取り入れている理由は私自身もわからない。
しばし沈黙していると、日本歴の長いインダさんがパンと手を合わせた。

「でも『お通し』って日本的で私は好きですよ!お金のやりとりは、趣がないですから」

「そうですね。こういうことを、あんもくの……って言いますよね?」

チャンさんも続いてフォローしてくれる。

「暗黙の了解のことかしら?そうね、2人とも日本文化へのキャッチアップがすごいじゃない。そうそう、趣がある。良い文化よね。それより、インダさんは『趣(おもむき)』なんて言葉を知っているのね、すばらしい!チャンさんも『暗黙の了解』ってどこで覚えたのよ」

ちょっとした歓声が上がり、来日して間もない3人にインダさんが英語で「趣」の意味を解説してくれ、その場はお開きとなった。

帰り道。私は改めて「お通し」について調べてみることにした。



「お通し」 「突き出し」 「先付け」どれも最初に出される料理ではありますが、それぞれ意味や由来が異なります。

「お通し」とは、お客様から最初のお料理の注文を受けた後に出す、酒を飲みながら軽くつまめる小料理の事を指します。お通しは席料の意味を持つ場合も多いです。
「お通し」の由来は、お客様の注文に対して「お店が注文を承りました」ことを表すために出されるようになったと言われています。
「お客様の注文はお通ししました」の意味から「お通し」と呼ばれるようになったそうです。

「突き出し」は関西でいう「お通し」です。ただ「突き出し」の由来は、お客様の注文とは関係なく最初に出す(=突き出す)からきているといわれています。そのため「お通し」と「突き出し」には、
  お客様の注文を受けてから出す:「お通し」
  お客様の注文とは関係なく出す:「突き出し」
との意味の違いがあるようです。

「先付け」とは、あらかじめコース料理の中に組み込まれている一番最初の料理となります。
「先付け」の由来は懐石料理からきています。懐石料理では、なますやお造りをご飯と汁物の奥側である向こうに付けた物として「向付け」といいます。 その「向付け」より先に出される料理から「先付け」と呼ぶようになったといわれています。懐石料理の派生で会席料理が始まったとされており、懐石料理の名残で会席料理における最初の料理を「先付け」と呼ぶようです。

https://kappo-aun.jp/2020/05/23/otooshi/より

なるほど。店舗によっては「お通し」を、お店の味をアピールするものとして力を入れているといった話も聞いたことがあるが、日本人の私自身もまだまだ知らないことがあるようだ。








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