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飲食店への食べ物の持ち込みは、法律違反になりますか?
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.4

生活関連

2024.11.08

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.4
飲食店への食べ物の持ち込みは、法律違反になりますか?

ワタシ、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。
実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら、私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

飲食店に食べ物を持参するのは、法律違反なの?

ある昼下がりの午後、ベトナム人のユエンさんとタイ人のダオさんに誘われてお茶をすることになった。彼女らは、同じ食品加工工場で勤務する技能実習生。出身地も住まい(=寮)も違う2人だが、工場勤務をする中で同じチームに配属されたことがきっかけで仲良くなったらしい。

待ち合わせは15時に駅前のカフェ。5分前に着くつもりで家を出た私は、事故による電車遅延で足止めをくらってしまい、少し歩いて別路線から2人の待つカフェに向かっていた。結果的に20分近く遅れてようやく目的地に辿り着いたときには、ユエンさんもダオさんも注文したパフェを片手に写真撮影をしていた。



「お待たせー」

手を振り合図すると、気づいた2人が元気いっぱい手を振り返してくれた。綺麗なままのパフェを見る限り、撮影などしながら私が来るのを待っていたのだろうか。これは申し訳ない!駆け寄り、声を掛ける。

「もしかして、待っててくれたの?ごめんね。パフェ、おいしいうちに食べて!」

「いえ、写真撮ってました。SNSにアップします、この写真。友達にも紹介します」

ダオさんが私にスマホを見せてくれた。ユエンさんもダオさんに倣って画面をフリックする。パフェと楽しそうな2人の表情が交互に写っていた。日本の生活を楽しんでいるのは良いことだ。

私は、店員さんを呼び止めカフェラテを頼み、お手洗いに立った。

お店のルール、マナーを守りましょう

席に戻ると2人がはしゃいでいた。聞けば、ラズベリーが思いのほか酸っぱかったらしく、顔を見合わせ笑っている。

「生クリームと一緒に食べたらいいんじゃない?」

パフェの白い層を差しながらアドバイスする。

「そう?でも、ユエンさん『生クリーム食べても酸っぱい」言ってます!」

うんうんと頷くユエンさんは、顔をくしゃくしゃにして“酸っぱい”のジェスチャーをしている。食べてみなよ?と言うようにダオさんのパフェを指差し、促されたダオさんもラズベリーを口に入れると、2人して同じジェスチャーをする。

「ただの仲良しじゃなーい!」

つられて笑っていると、後ろの方から声がした。



「大変お待たせしました」

注文していたカフェラテが届く。ミルクで器用にハートが描かれているパターンのラテだ。

店内はたくさんのお客さんで賑わっており、にっこりほほ笑むと、店員さんはそそくさとキッチンに戻っていった。

遠くの席で「すみませーん」と声を上げる人々が見える。エプロン姿の店員さんが慌ただしくテーブル間を駆け回り、今さっきの店員さんもキッチンから出てきて、声の主の元へ向かっている。

最近はどこに出かけても外国人観光客だらけだ。下手すれば、飲食店のキッチンスタッフが全員、外国人の場合もある。日々の生活の中で日本の労働力不足を実感する機会が増え、政府による子育て支援策が求められるが果たして……。



「……コーヒーね」

「クリーム……かな?」


「コーヒーにシラップ入れるが、いいよ」

「えー!ブラックが合う、じゃない?」

なんだか目の前が盛り上がっているようで顔を戻すと、テーブルには半分以上なくなったパフェに、無造作に置かれたスプーン、くしゃっと丸められたペーパーが転がり、コーヒーで口直し(?)をする2人がこちらを見ていた。

「あ。カフェラテ、飲まないですか?」

ユエンさんが聞いてくる。

「飲んでくださいー!温かいがおいしいですよ」

ダオさんが同調する。



「飲むよ、飲む…んだけど、そのコーヒー、スターバックスのコーヒーじゃない?」

「そうです。今日はカフェ巡りしてますから、お昼ご飯の後すぐスターバックスに行きました」

「えっと、そうじゃなくて。ここ、スターバックスじゃないのに持ってきたらダメよ?」

「ベトナムは、これ、普通です。みんな、やってます。ダオさんは?」

「そうですね。お店の人、何も言わなかったからOKじゃないですか?」

もしかして、海外は持ち込み可の国が多いのだろうか。とはいえ、ここは日本。OKなわけがない。

「ううん。日本は、飲食店に別の飲食店で買った物を持ち込んだらダメなの」

今度は2人が言葉を失った。

「…法律で、ダメですか?」

「いや、法的根拠はないんだけどね。難しいかもしれないけど、日本は性善説に基づいたマナー重視の国だから。直接的に禁止する法律があるわけじゃないけど、外から持ってくるのはマナー違反なの。ほら、みんなが好き勝手に食べ物を持ち込んだら、お店側が儲からないじゃない?」

「えー?でも、この前、食べきれなかったご飯を持って帰りました。お店の人、パックしてくれました」



「それは、食べ残しを持ち帰ることを禁止する規定もないからお店の人がOKならOKなの。食品衛生法で!ただ、それで食中毒とかになっても責任は取りませんよという範囲の中でやってることなのよ」

「うーん、日本のマナー、難しいですね。今度から気をつけます」

「そうね。今回はお店の人が忙しくて気づかなかったんだと思うけど、普通、入店する時に注意されるから。持ち込まないように気をつけて。コーヒー残ってるなら、そのまま持って帰ろうね?」

「はい。じゃあ、ここでコーヒー頼んだらいいですか?」

「そうしましょう」

2人は大人しく、コーヒーを注文した。



さて、ここで今一度、法的問題について確認しよう。
お店には、自身のお店で行うサービスを自由に決める権利がある。よって、食べ物の持ち込みを禁止しているお店でそうした行為が発覚した際、店主から退店を求められる場合がある。店内は“店主の所有する建物の敷地内”となるため、もし、ルールを無視すれば建造物侵入罪」や「不退去罪」とみなされる可能性があるのだ。

こうして海外人材と関わっていると、日本がいかに人の善意に基づいたルール、規制、法律に準じる国家であるかがわかる。改めて、橋渡しをする私たちの役割の大きさを実感する出来事だった。





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