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これってマナー違反?ベトナム人VS日本人【食事編】
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case5

生活関連

2024.11.13

20XX年。
少子&超高齢社会を迎えた日本。
国内企業は、人材不足解消のため外国人材の活用に活路を見出していることだろう。

しかし、外国人材の活用については、労働環境の整備や異文化理解・コミュニケーションなど、課題であふれている。

果たして、企業が外国人労働者から選ばれるには?

本コラムは、外国人材の背景にある“異文化”への理解の第一歩として読んでいただきたいノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case5
これってマナー違反?ベトナム人VS日本人【食事編】

私、伊能ゆりなは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

日頃は外国人材を雇用する企業や雇用される外国人の皆さんをサポートするキャリアアドバイザーとして、メンバーとともに全国各地で起こる珍事を紐解き、解決しているのだが(これまでの「青山智香の解明」はこちら )、現在、弊社ではベトナム、インドネシアなど外国人材市場の開拓にも力を入れており、海外での業務も増えてきた。

今回は、ベトナム出張に際して、見聞き、体験した記録を紹介していきたいと思う。

ランタンの街、ベトナム

ベトナム出張3日目。今日は、訪越(越南:ベトナム)してからずっと気になっていた市場と屋台に行くことになった。



さすがは南国。街全体がどこか沖縄を思わせるような雰囲気で、道行く人々には底知れぬ活気がある。道端に咲く鮮やかな草花、通りや軒先を飾るカラフルな掛物や提灯(ランタン)は、ベトナムの陽気な国柄を表しているように思う。

圧倒的ビタミンカラーに目を奪われていると、いつの間にか飲食店などが立ち並ぶ商店街にたどり着いていた。



ここで、驚くべきはベトナムとて東洋人から西洋人まで、たくさんの外国人を見かけることだ。カメラを向ける先々でベトナム人ではない外国人が通り過ぎていく…。旅行先として、通貨の安い国に旅行客が集まりやすいということだろうか?近年、日本の繁華街が外国人だらけなのと同様にその国の人々の営みを感じるには、やはり観光地以外の居住域にお邪魔するしかない。ベトナムに”ベトナムらしさ”を求めてきた私たちには、少し物足りなさを感じる出来事だった。

そうして、足を伸ばし向かったのは、ちょっと雑多な区域。店内外で食事ができる仕様の、地域住民が利用しそうな飲食店が集まる一帯だ。



日本にも屋台や露店はたくさんあるが、ベトナムの屋台は随分ワイルド。「その調味料は常温保存で大丈夫?」「蓋をせずに置いてあるけど、外気に触れるし虫もいるんだけどな…」といいたくなるような光景も時々、見かける。

「きっと今からここに食事が運ばれてくるのだろう」と言い聞かせ、私たち一行は数軒先のベトナム人で賑わっている食事処に入店した。

クチャラーベトナム人 VS ヌーハラ日本人

コーディネーターおすすめのお店は、さすが地元民であふれている。

つけ麺スタイルのフォーは、大皿に葉っぱが敷かれその上に豪快に食材が載っている。なかなか日本では見ない食卓の光景に、ここぞとばかりに写真を撮らせてもらう。



コーディネーターに尋ねてみると、こうして大皿に盛りつけられ、それぞれが自身のお椀に食べたい分を取り分け食べるスタイルは、家族の日常的な食卓の1シーンらしい。みな、自分の箸でつつくし、取り分けたとしても自分の箸でよそってあげるのが当たり前。ただし、外に出れば日本と同様に取り箸文化となっているそうだ。

ところで、ベトナム人は食事中によくしゃべる。ベトナムの食卓は会話が基本。マナーとして、口の中に食べ物が入ったまま話すのはNG、食器類の音を立ててはいけないなどあるのだが、そもそも食事の習慣は家族の絆を深めるために存在するらしく、1人で食事をとることはめったにないそうだ。



それにしても、咀嚼するのに口を開けたまま、くちゃくちゃと音を立てて食べている姿は隣の席でも気になる。食べながら話すのは“食べる”にも“話す”にも不都合なので、いずれかの動作になりやすいが、咀嚼音や口の中が見える感じは行儀が悪く、見ていられない気持ちになってしまう。

そうこうしているうちに、私たちがオーダーしていたブンチャーが届いた。



ずっと、おいしい匂いだけを含みながら歩いてきたため、お腹はとうにぺこぺこ。喜び勇んで食べようとすると、コーディネーターが私の耳元でつぶやく。

「食事のマナーって気になるでしょう?でもね、ご存知でしょうけど日本人は麺をすする文化じゃないですか。これって、外国人からみると理解できない行為なんですよ」

くー!確かにそうだった。物事は私たちの一方的な価値観では語れない。これぞ文化の違い、越え難い壁なのである。

ここで起きてる事象に名前を付けるなら〈クチャラー VS ヌーハラ〉となるだろうか。

私たちの仕事は、外国人労働者の積極的な受け入れのため、こうした“違い”から起こる摩擦を、互いを知ること、歩み寄りによって解消しようと提案、実践する仕事だ。まずは、私自身から始めなければならない。

こうしてベトナム滞在中の私は毎食のように出てくるフォーを、箸やスプーンを巧み使い、麺をすすらず食べる努力をしたのであった。



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