外国人社員が退職するときに企業が行う手続きは?
知識・業務推進
2022.04.05
企業で外国人社員を雇用していると、場合によっては外国人社員が退職を申し出ることがあります。
退職の理由はさまざまですが、諸事情により母国に帰国しなければならないケースもあるため、退職の申し出を受けなければならないこともあるでしょう。
日本人が退職するときの手続きの流れは理解していても、外国人が退職する場合の手続きについては理解していないケースが多いのではないでしょうか。
この記事では、外国人社員が退職する場合の手続きについて、企業側が行う内容、退職する外国人が行う内容について説明します。
そのほか、外国人社員の退職手続きを行う際に注意したい内容を理解しておくと、手続きがスムーズに行えます。
その手続きの内容は下記の通りです。
それぞれの手続きについて説明します。
退職証明書の交付
退職証明書とは、会社を退職したことを証明する書類です。
日本人の退職者の場合は、社員に求められたときのみ交付すれば良いため、退職者全員に退職証明書を交付する必要はありません。
日本人が退職証明書を必要とするケースは、転職先で退職したことを証明したい場合、あるいは国民健康保険など公的な手続きを行いたいときに離職票がまだ発行されていない場合です。
しかし、外国人の退職者の場合は、在留資格の変更や更新のとき、あるいは就労資格証明書の交付を申請するときに必要となります。
そのため、外国人が会社を退職する場合は、退職証明書を必ず交付しましょう。
退職証明書には下記の内容を記載します。
雇用保険被保険者資格喪失届の提出
雇用保険被保険者資格喪失届とは、雇用保険の給付を受ける資格を失ったことを証明する書類のことです。
外国人が退職した場合、本来は企業が入国管理局に届出をしなければなりませんが、ハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届を提出することで、入国管理局への届出は不要となります。
雇用保険被保険者資格喪失届には「被保険者が外国人の場合のみ記入してください」という欄があり、そこには下記の内容を記入する欄があります。
上記の内容を記入したうえで届出を行います。
在留カード番号の届出
2020年3月1日以降に雇用、または離職した外国人に関しては在留カード番号の届出が必要となります。
「外国人労働者在留カード番号記載様式」には下記の内容を記入して提出します。
なお、在留カード番号の届出はオンラインでも可能です。
参考:退職時に行う手続きのうち、日本人社員と同じ内容のもの
退職時に行う手続きのうち、日本人社員と同じ内容のものとしては下記があげられます。
これらの手続きも忘れずに行いましょう。
このほか、退職後に失業手当を受け取りたい場合は、離職票も交付します。
それぞれについて説明します。
契約機関に関する届出
契約機関に関する届出は、外国人が契約していた機関、つまり企業などと契約していたことを示すために行います。
「契約機関に関する届出」の書類に氏名、性別、生年月日、住所、在留カード番号、在留資格のほか、契約が終了した事由を記入します。
この届出は退職してから14日以内に提出します。
転職先で在留資格の更新、変更
必要に応じて、転職先で在留資格の更新や変更を行います。
在留資格の更新は、在留資格の有効期間が切れる前に行う必要があります。
また、在留資格は職種ごとに異なるため、現時点で保有している在留資格では再就職ができない場合があります。
再就職する場合は、その仕事に合った在留資格を調べておき、必要に応じて在留資格を変更します。
外国人社員の退職手続きを行う際の注意点としては、下記があげられます。
それぞれの注意点について説明します。
返却してもらう主なものとしては下記があげられます。
ただし、上記の項目のうち、退職者が記載を希望しない項目については記載することができません。これは労働基準法で定められています。
例えば、労働者から「退職の事由は記載しないでほしい」という要望があった場合、退職証明書に退職の事由を書くことができません。
もし、記載を希望しない項目を記載した場合、30万円の罰金が科せられます。
在留資格が取り消されてしまうと日本に滞在できなくなり、日本から出国しなければなりません。
外国人が退職するときにひとこと伝えておくと、後で外国人が困らずに済みます。
そのほか、外国人自身で契約機関に関する届出を行う必要があります。また、必要に応じて在留資格の更新、変更の手続きも行います。
それ以外は日本人が退職する場合の手続きと同様です。
基本的な流れとしては、日本人が退職する場合と同様に退職手続きを行い、それに加えて外国人の社員が退職するときに行う手続きも合わせて行う形となります。
外国人社員の退職をスムーズに行うためにも、退職手続きは確実に実施しましょう。
退職の理由はさまざまですが、諸事情により母国に帰国しなければならないケースもあるため、退職の申し出を受けなければならないこともあるでしょう。
日本人が退職するときの手続きの流れは理解していても、外国人が退職する場合の手続きについては理解していないケースが多いのではないでしょうか。
この記事では、外国人社員が退職する場合の手続きについて、企業側が行う内容、退職する外国人が行う内容について説明します。
そのほか、外国人社員の退職手続きを行う際に注意したい内容を理解しておくと、手続きがスムーズに行えます。
CONTENTS
- 1. 外国人社員の退職時に行う手続き
- 1-1. 企業側の手続き
- 1-2. 退職する外国人社員側の手続き
- 2. 外国人社員の退職手続きを行う際の注意点
- 2-1. 貸与品は忘れずに返却してもらう
- 2-2. 退職証明書に退職者が請求しない項目は記入しない
- 2-3. 退職後3か月で再就職や就職活動をしないと在留資格が取り消しに
- 3.まとめ
1. 外国人社員の退職時に行う手続き
外国人社員の退職時に行う手続きについて、企業側が行う手続きと外国人の社員が行う手続きに分けてみていきます。1-1. 企業側の手続き
企業側が行う手続きは、原則として日本人が退職するときとほぼ同様となりますが、それ以外に外国人が退職する場合にのみ行う手続きもあります。その手続きの内容は下記の通りです。
- 退職証明書の交付
- 雇用保険被保険者資格喪失届の提出
- 在留カード番号の届出
それぞれの手続きについて説明します。
退職証明書の交付
退職証明書とは、会社を退職したことを証明する書類です。
日本人の退職者の場合は、社員に求められたときのみ交付すれば良いため、退職者全員に退職証明書を交付する必要はありません。
日本人が退職証明書を必要とするケースは、転職先で退職したことを証明したい場合、あるいは国民健康保険など公的な手続きを行いたいときに離職票がまだ発行されていない場合です。
しかし、外国人の退職者の場合は、在留資格の変更や更新のとき、あるいは就労資格証明書の交付を申請するときに必要となります。
そのため、外国人が会社を退職する場合は、退職証明書を必ず交付しましょう。
退職証明書には下記の内容を記載します。
- 使用期間
- 業務の種類
- その事業における地位
- 賃金
- 退職の事由
雇用保険被保険者資格喪失届の提出
雇用保険被保険者資格喪失届とは、雇用保険の給付を受ける資格を失ったことを証明する書類のことです。
外国人が退職した場合、本来は企業が入国管理局に届出をしなければなりませんが、ハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届を提出することで、入国管理局への届出は不要となります。
雇用保険被保険者資格喪失届には「被保険者が外国人の場合のみ記入してください」という欄があり、そこには下記の内容を記入する欄があります。
- 氏名
- 在留期間
- 派遣・請負 就労区分
- 国籍・地域
- 在留資格
上記の内容を記入したうえで届出を行います。
在留カード番号の届出
2020年3月1日以降に雇用、または離職した外国人に関しては在留カード番号の届出が必要となります。
「外国人労働者在留カード番号記載様式」には下記の内容を記入して提出します。
- 事業所番号
- 事業所名
- 雇用保険の被保険者番号
- 外国人労働者の氏名
- 在留カード番号
なお、在留カード番号の届出はオンラインでも可能です。
参考:退職時に行う手続きのうち、日本人社員と同じ内容のもの
退職時に行う手続きのうち、日本人社員と同じ内容のものとしては下記があげられます。
これらの手続きも忘れずに行いましょう。
- 健康保険被保険者証の回収
- 源泉徴収票の交付
- 社会保険、労働保険の資格喪失手続き
このほか、退職後に失業手当を受け取りたい場合は、離職票も交付します。
1-2. 退職する外国人社員側の手続き
退職する外国人の社員が行う手続きとしては、下記があげられます。- 契約機関に関する届出
- 転職先で在留資格の更新、変更
それぞれについて説明します。
契約機関に関する届出
契約機関に関する届出は、外国人が契約していた機関、つまり企業などと契約していたことを示すために行います。
「契約機関に関する届出」の書類に氏名、性別、生年月日、住所、在留カード番号、在留資格のほか、契約が終了した事由を記入します。
この届出は退職してから14日以内に提出します。
転職先で在留資格の更新、変更
必要に応じて、転職先で在留資格の更新や変更を行います。
在留資格の更新は、在留資格の有効期間が切れる前に行う必要があります。
また、在留資格は職種ごとに異なるため、現時点で保有している在留資格では再就職ができない場合があります。
再就職する場合は、その仕事に合った在留資格を調べておき、必要に応じて在留資格を変更します。
2. 外国人社員の退職手続きを行う際の注意点
外国人社員の退職手続きを行う際の注意点としては、下記があげられます。
- 貸与品は忘れずに返却してもらう
- 退職証明書に退職者が請求しない項目は記載しない
- 退職後3か月で再就職や就職活動をしないと在留資格が取り消しに
それぞれの注意点について説明します。
2-1. 貸与品は忘れずに返却してもらう
外国人社員が退職する場合、貸与品は忘れずに返却してもらいましょう。返却してもらう主なものとしては下記があげられます。
- 社員証
- 制服または作業着
- ロッカーや住居の鍵
- その他、会社が購入した備品など
2-2. 退職証明書に退職者が請求しない項目は記入しない
退職証明書には、下記の5種類の項目を記載する必要があることについて先述しました。- 使用期間
- 業務の種類
- その事業における地位
- 賃金
- 退職の事由
ただし、上記の項目のうち、退職者が記載を希望しない項目については記載することができません。これは労働基準法で定められています。
例えば、労働者から「退職の事由は記載しないでほしい」という要望があった場合、退職証明書に退職の事由を書くことができません。
もし、記載を希望しない項目を記載した場合、30万円の罰金が科せられます。
2-3. 退職後3か月で再就職や就職活動をしないと在留資格が取り消しに
退職する外国人が引き続き日本で仕事をする場合は、退職後3か月で再就職や就職活動をしなければ、在留資格が取り消されることを伝えておきましょう。在留資格が取り消されてしまうと日本に滞在できなくなり、日本から出国しなければなりません。
外国人が退職するときにひとこと伝えておくと、後で外国人が困らずに済みます。
3.まとめ
外国人の社員が退職するとき、企業が行う手続きは下記の3種類です。- 退職証明書の交付
- 雇用保険被保険者資格喪失届の提出
- 在留カード番号の届出
そのほか、外国人自身で契約機関に関する届出を行う必要があります。また、必要に応じて在留資格の更新、変更の手続きも行います。
それ以外は日本人が退職する場合の手続きと同様です。
基本的な流れとしては、日本人が退職する場合と同様に退職手続きを行い、それに加えて外国人の社員が退職するときに行う手続きも合わせて行う形となります。
外国人社員の退職をスムーズに行うためにも、退職手続きは確実に実施しましょう。
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