トラックドライバーの人員不足を外国人労働者で解消?
2023.05.18
昨今の運送・流通業界における人員不足を背景に、外国人労働者導入に向けた検討が始まろうとしています。
現状は外国人在留資格を保有していても、日系人や日本人の配偶者を除く外国人はトラックドライバーとして就労することが認められていません。中型や大型の自動車免許取得が長期化する点や、荷積みの丁寧さ・時間的な感覚などに文化の差異が生じかねないなどの点が、ドライバーとして働くことが認められない要因として挙げられます。
しかし、2022年の6月に集計された貨物自動車運転手の有効求人倍率は2.01で、全職業の平均値である1.09を大きく上回ってしまっています。有効求人倍率が2.01ということは、求職者1人に対して2.01件の求人があるということです。それに加えて「2024年問題」と呼ばれる運送・物流業界の課題では、時間外労働時間の上限規制による、さらなる人員不足が予測されます。
こういった背景から全日本トラック協会が求めているのが、一連のドライバー業務を外国人在留資格の「技能実習」に追加するというものです。「技能実習」というものは、外国人技能実習制度のことで、低賃金で労働者を確保するために使用されている実情が問題となり、2023年4月10日には、制度の廃止と実態に即した新制度を改めるとの見解が示されました。
ほかにも「特定技能」への追加の調整も進めたいと全日本トラック協会は表明しています。この制度は、人員不足の解消のためや専門的な知識を持った外国人の受け入れを行うためのもので、外国人がタクシードライバーとして就労することも可能とされています。ただし、日本の4年制大学の卒業や大学院の修了、日本語能力試験かBJTビジネス日本語能力テストの成績が一定以上必要になるなど、高い能力が求められています。
「技能実習」やそれに代わる可能性のある新制度、「特定技能」などに就労可能な職業として追加の検討を求められていますが、現状では制度制定の意図を汲んだ活用となるとは必ずしも言い切れない可能性があるようです。運送・物流業界の人員不足解消案については、今後の動向が注目されますが、外国人労働者の雇用が正しく行われる案が提示されることを期待します。
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