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ブラジルの公用語はポルトガル語|英語・スペイン語が通じない理由

ブラジルの公用語はポルトガル語です。南米の多くの国がスペイン語圏である中、ブラジルだけが異なる言語を公用語としていることに、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。特に、ブラジル人材の採用や受け入れを検討している企業にとって「英語は通じるのか」「スペイン語で代用できないのか」といった言語面の判断は、現場トラブルや定着率に直結する重要なテーマです。

本記事では、ブラジルがポルトガル語圏となった歴史的背景から、ブラジル人の英語力の実態、企業が知っておくべき言語サポートのポイントを解説します。

CONTENTS

1. ブラジルの公用語はポルトガル語|歴史的背景や言語の特徴

ブラジルは南米大陸の約半分の面積を占め、人口も同大陸で最大規模を誇る国です。周辺国のアルゼンチンやペルーはスペイン語圏であるため、ブラジルもスペイン語圏だと誤解されることがあります。しかし、ブラジルは南米で唯一、ポルトガル語を公用語とする国です。
この事実は、ビジネスの現場で特に重要になります。採用面接や日常のコミュニケーションにおいて、スペイン語で話しかけることは、相手に「自分たちの言語や歴史を理解していない」と受け取られるリスクがあります。もちろん、緊急時や簡単な意思疎通ではスペイン語が役立つこともありますが、基本はポルトガル語が必須である点を理解することが大切です。

1.1 なぜブラジルは南米で唯一のポルトガル語圏なのか

ブラジルがポルトガル語圏である理由は、1494年にスペインとポルトガルが結んだ「トルデシリャス条約」にあります。この条約によって、南米大陸は東側がポルトガル領、西側がスペイン領と分割されました。その後、1500年にポルトガル人がブラジルに到達し、長期間にわたって植民地支配が続いた結果、現在のポルトガル語圏が形成されました。この歴史背景から、ブラジル人は「南米の中で自分たちは言語的に孤立している」という独自のアイデンティティを持つ傾向があります。スペイン語圏諸国とは文化的にも一線を画しており、言語の違いは単なるコミュニケーションの問題ではなく、歴史やアイデンティティに関わる重要な要素です。そのため、ブラジル人を採用する際は、スペイン語で代用するのではなく、必ずポルトガル語での対応が求められます。特に採用面接や契約書の確認など、重要な場面ではこの点が大きな差になります。

1.2 欧州ポルトガル語とブラジルポルトガル語の違い

ポルトガル語は「ポルトガル本国(欧州)」と「ブラジル」で話される言葉に違いがあります。発音や語彙の差が大きく、同じポルトガル語でも意味やニュアンスが変わることがあります。ブラジルポルトガル語は母音を明瞭に発音する特徴があり、日本人にとっては聞き取りやすい傾向があります。一方、欧州ポルトガル語は子音を強く発音するため、聞き取りが難しいと感じる人も多いようです。ビジネスシーンでの通訳や翻訳ツールの設定では、必ず「ブラジルポルトガル語」を指定することが重要です。欧州ポルトガル語の翻訳を使用すると、ニュアンスの違いから業務指示が正確に伝わらなかったり、現地スタッフに違和感を与えたりする原因になります。例えば、日常会話で使う表現やスラング、敬語のニュアンスが異なるため、誤解が生じやすいのです。特に契約内容や安全衛生、品質管理などの重要事項は、言語の違いによる誤解が重大なトラブルに発展しかねません。

2. ブラジル人の英語力と他言語の習得状況

日本企業がブラジル人材を採用する際、陥りやすい誤解のひとつが「英語で指示が出せるだろう」という期待です。フィリピンやインドのように英語運用能力が高い国とは異なり、一般的なブラジル人材に対して英語やスペイン語を共通言語として使うのは難しいケースが多いようです。また、南米の多くがスペイン語圏であることから「南米出身ならスペイン語も通じるだろう」と考える企業もあります。しかし、ブラジルはポルトガル語圏であり、スペイン語と似ているとはいえ、ビジネスレベルでの正確な意思疎通は保証されません。
ここでは、客観的なデータと言語特性から、なぜ英語やスペイン語での代用が難しいのかを解説します。

2.1 EF英語能力指数から見るブラジル人の英語力

語学教育機関EFが発表する「英語能力指数(EF EPI 2024)」において、ブラジルは世界116カ国中81位に位置します。これは「低い(Low Proficiency)」レベルに分類され、英語の運用能力は「自己紹介程度」「観光客として道案内ができる程度」にとどまります。つまり、複雑な業務指示や細かな安全管理の説明を英語で行うことは難しいケースが多いのです。また、ブラジル国内で流暢な英語を話せる層は、教育環境が整った都市部や、私立学校で教育を受けた富裕層に偏る傾向があります。そのため、製造業や施工現場など、現場で活躍する人材の多くは、英語が苦手な場合が多く注意が必要です。

もし採用要件に「日常会話レベルの英語力」を設定すると、応募できる人材が限られ、採用競争で不利になる可能性があります。現場での即戦力を確保したい場合、英語ではなく、ポルトガル語を前提にした採用設計を心がけましょう。

2.2 ブラジル人にスペイン語は通じるのか

ポルトガル語とスペイン語は同じ系統の言語であるため、日常会話レベルで「なんとなく通じる」こともあります。しかし、ビジネスの現場では、正確性が求められる場面が多いため、スペイン語で代用するのは危険です。特に、契約内容の確認や安全衛生管理、品質管理などは、言語の曖昧さが重大な事故やトラブルにつながりかねません。ポルトガル語とスペイン語は綴りが似ている単語もありますが、意味がまったく異なる場合があります。たとえば、ポルトガル語の「Doce」は「甘い」を意味する一方、スペイン語の「Doce」は「12」という数字を意味します。このような違いは、誤解を生むだけでなく、命に関わる指示の誤解につながる可能性があります。したがって、ブラジル人材を採用する際は、スペイン語での対応ではなく、必ずポルトガル語での運用体制を整えることが重要です。

ブラジルは南米で唯一のポルトガル語圏であり、歴史的背景から「スペイン語圏と一線を画す」という強いアイデンティティを持っています。そのため、採用面接や日常のコミュニケーションでスペイン語を使うことは、相手に無理解と受け取られるリスクがあります。また、英語力は国全体として高くないため、英語での共通言語化は現場では難しいケースが多いようです。ビジネス上の正確性が求められる場面では、ポルトガル語を前提にした運用が必須になります。ブラジル人材の採用を成功させるためには、言語面の前提を正しく理解し、ポルトガル語でのコミュニケーション体制を整えることが重要です。

3. ブラジル人材と働く上で知っておくべきコミュニケーションの特性

ブラジル人材を採用し、日本で一緒に働く際に重要なのは、単に言語能力だけではありません。文化的背景に基づくコミュニケーションの特性を理解することが、マネジメントコストの削減や離職防止につながります。ブラジル人は一般的に陽気で社交的な性格が多く、職場の雰囲気を明るくする存在になりやすい一方で、対立を避ける傾向があり、分からないことがあっても「分かった」と答えてしまうことがあります。これは日本人側から見ると「理解しているのにできない」「指示が伝わっていない」と感じる原因になります。ここでは、ブラジル人材のコミュニケーションの特徴と、日本企業が実務で注意すべきポイントを解説します。

3.1 日本語学習におけるブラジル人特有のハードルと傾向

ブラジル人の日本語学習で、比較的習得が早いのが「発音」です。ポルトガル語には日本語よりも多くの母音が存在し、母音の発音が多様です。日本語の5つの母音(あ・い・う・え・お)は、ポルトガル語の発音体系の中に含まれているため、日本語の発音は比較的習得しやすい傾向があります。そのため、日本人にとっても聞き取りやすい日本語を話すブラジル人は少なくありません。一方で、文字情報の習得には高いハードルがあります。特に、漢字や「ひらがな・カタカナ」の使い分けは、ポルトガル語圏の学習者にとって難易度が高い部分です。そのため、業務指示を「書面のみ」で渡すと、理解が追いつかずミスやストレスが生じることがあります。

対策としては、口頭での説明や動画マニュアルの併用が効果的です。映像や音声で伝えることで理解度が飛躍的に上がり、作業効率の向上にもつながります。また、ブラジル人材を採用する際には、翻訳ツールの活用や、やさしい日本語を前提にした運用体制を整えることが重要です。やさしい日本語については、下記をご参照ください。

参考:外国人採用のときにも意識したい「やさしい日本語」とは?

3.2 業務指示における曖昧表現のリスクと言語化の重要性

日本では「空気を読む」「言わなくても察する」といったハイコンテクストなコミュニケーションが一般的です。しかし、ブラジル人材にとっては、曖昧な指示は理解できないことが多く、結果としてミスやトラブルが発生します。例えば、「なるべく早く」という指示は、ブラジル人にとって「いつまでに?」という基準が曖昧で、行動に落とし込めません。
そのため、業務指示は以下のように、具体的かつ定量的に言語化することが重要です。

  •   ● 「14時までに完了する」
  •   ● 「ゴミを袋にまとめて所定の場所に置く」
  •   ● 「この手順を3回繰り返す」

指示が伝わらない原因の多くは、言語の壁だけではなく、指示内容の具体性が欠けていることが多いようです。また、文化的に「分からない」と言いにくい性格があるため、質問が出ないまま作業が進んでしまい、結果的に品質トラブルや事故につながることもあります。
ハイコンテクスト文化については以下をご参照ください。

参考:ハイコンテクスト文化とは?ローコンテクストとの違いやデメリットを解説

4. 外国人材を雇用する企業が知っておくべき言語サポートのポイント

外国人材の採用初期に言語サポートを行うことは、早期離職を防ぎ、中長期的な採用コストを下げるために必要です。ただし、すべてを日本人社員が抱え込むと、現場の負担が増え、逆に離職や人材不足を招くリスクがあります。そのため、ツールや外部リソースを適切に配分した設計が求められます。

4.1 業務内容に応じた通訳・翻訳手段の選び方

日常的な業務連絡や簡単な指示であれば、Google翻訳やDeepLなどの翻訳ツールで対応可能です。一方、雇用契約、就業規則の説明、労働災害防止の安全教育など、法的責任や生命に関わる場面では、必ずプロの通訳やバイリンガルスタッフを介在させるべきです。特に安全教育は、誤解が事故につながるため、翻訳ツールのみに頼るのは危険です。また、外国人材との定期的な面談では、翻訳ツールではなく通訳やバイリンガルスタッフを介して、母語で意思疎通できる環境を整えることが重要です。これはメンタルヘルスケアの観点でも大きな効果があります。

4.2 雇用定着を促す日本語教育支援

日本語教育の機会を提供することは、業務効率の向上だけでなく、企業へのロイヤリティ(帰属意識)を高める効果があります。具体的には以下のような施策が有効です。

  •   ● 日本語教室の受講料補助
  •   ● 資格取得支援(JLPTなど)
  •   ● 日本語能力試験の合格を昇給要件にする

特に日本語能力試験(JLPT)の合格を昇給要件にすると、学習意欲が高まり、定着率の向上につながります。JLPTについては、以下の記事をご参照ください。

参考:日本語能力試験(JLPT)N1・N2とは?レベル別の難易度を解説

ブラジル人材と働く上では、言語能力だけでなく文化的背景に基づくコミュニケーション特性を理解することが重要です。特に「分からないと言えない」文化や、曖昧な指示に対応できない傾向を前提に、具体的・定量的な指示設計を行うことが、トラブルを減らす近道です。また、翻訳ツールや通訳の適切な活用、そして日本語教育支援の導入は、早期離職を防ぎ、中長期的な採用コストを削減します。ブラジル人材の採用・定着を成功させるには、言語サポートを前提とした体制設計が不可欠です。

5. まとめ:適切な言語理解とサポート体制が、ブラジル人材の定着を実現する

ブラジルの公用語はポルトガル語であり、英語やスペイン語での代替は意思疎通のミスを招き、ビジネスリスクを高める要因となります。特に、国民全体の英語能力は決して高くなく、現場での指示や安全教育、契約内容の説明などを英語で行うことは難しいケースが少なくありません。そのため、ブラジル人材を採用する際には、ポルトガル語によるマニュアル整備や日本語教育の支援が早期戦力化に直結します。言語の壁は初期の仕組み作りで乗り越えることが可能であり、適切な環境を整えれば、ブラジル人材は勤勉で貴重な戦力になります。

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