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特定技能外国人受け入れのメリットは? デメリットと解決策を解説

人手不足解消策として特定技能で外国人を雇用するルートが徐々に定着してきています。
特定技能では、日本語と技術試験に合格した人の中から即戦力になる人材を採用することが可能です。

本記事では、在留資格・特定技能の概要、特定技能外国人を受け入れるメリット、デメリットと解決策を解説します。

CONTENTS

  1. 1.特定技能制度とは
  2. 2.特定技能の追加分野について
  3. 3.特定技能で外国人を受け入れるメリット
  4. 4.特定技能で外国人を受け入れるデメリットと解決策
  5. 5.特定技能で受け入れる際の注意点
  6. 6.技能実習から特定技能への移行手続き
  7. 7.特定技能外国人は産休が取れる
  8. 8.まとめ

1.特定技能制度とは

特定技能とは、人手不足が深刻化する日本の産業分野で働くために、一定の技能および日本語能力基準を満たした外国人に対して在留が認められる制度です。

在留期間によって1号と2号があり、1号は最長5年、2号は在留制限なく日本で活動することができます。試験水準について、1号では、従事する産業分野別に設定されている技能評価試験の合格や日本語レベルN4以上が取得要件として求められます。特定技能2号では、家族帯同が認められたり支援機関が不要になったりと1号よりも自由度が高くなり、日本での永住資格を取得しやすくなるメリットもあります。

特定技能は、従事できる業務範囲が幅広く、単純作業を兼ねる仕事にも就くことが可能であるため、外国人の採用活動を行う際、特に注目されている在留資格です。

2.特定技能の追加分野について

特定技能制度は2019年4月よりスタートしましたが、近年運用要項が変更され、さらに外国人を雇用しやすいシステムが構築されてきています。
慢性的な人手不足の解消策として、新しい産業分野が追加され、外国人の就労先が拡大されました。

特定技能の運用要項の変更内容について、以下のポイントを確認しておきましょう。

特定技能1号は、2024年3月29日付で「12分野+4分野追加」になることが閣議決定しています。
以下の12分野に追加されるのは、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野です。

  1. 介護業
  2. ビルクリーニング業
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野
  4. 建設業
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備業
  7. 航空業
  8. 宿泊業
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業

※追加4業種

  • 自動車運送業:トラック運送、バス、タクシーの運転手など
  • 鉄道:運転士、車掌など
  • 林業:育林、素材生産など
  • 木材産業:製材業、合板製造業などに係る木材の加工など

さらに「工業製品製造業分野」「造船・舶用工業分野」「飲食料品製造業分野」の3つの既存の分野に新たな業務が追加されます。

  • 工業製品製造業分野:「紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製、RPF製造、印刷・製本」を追加
  • 造船・舶用工業分野:「造船・舶用機械・舶用電気電子機器」の3業務区分に再編し業務区分の作業範囲を追加
  • 飲食料品製造業分野:スーパーマーケット食料品部門における惣菜などの製造も可能

また、特定技能2号の対象分野は今まで「建設・造船・舶用工業」のみでしたが、2023年6月に新しく「介護」を除く9分野が追加され、11分野での受け入れが可能となっています。

3.特定技能で外国人を受け入れるメリット

では、続いて特定技能で外国人を採用するメリットについて確認しましょう。

人材不足解消策になる

中小企業や小規模事業者は人手不足が特に深刻化しています。そんな中、日本国内で持続可能な経済活動・社会基盤を構築するための生産性向上や人材確保に向けた取り組みとして在留資格「特定技能」が設定されています。特定技能外国人を採用することで、一定の専門性・技能を持つ即戦力となる人材を確保することが可能です。

受け入れ人数の制限がない

特定技能で外国人を採用する際は、受け入れ人数の上限がなく、企業の採用人数枠に合わせて雇用が可能です。ただし、建設分野・介護分野のみ受け入れ人数の上限が設定されています。

  • 建設分野:特定技能1号の外国人は、受け入れ機関の常勤の職員の総数を超えないこと
  • 介護分野:特定技能1号の外国人は、事業所単位で日本人の常勤介護職員の総数を上限とすること

若い人材が確保できる

特定技能の年齢制限は、18歳以上です。若年層の人材を獲得したい企業においては、特定技能制度を利用することで若い労働力を確保できます。

以下は、出入国在留管理庁「特定産業分野別 年齢・男女別 特定技能1号在留外国人数」のデータです。(2023年12月末現在)
18〜29歳の年齢層の採用が最も多くなっています。

  • 総数:208,425人(男115,094人/女93,331人)
  • 18~29歳:126,135人(男64,945人/女61,190人)
  • 30~39歳:72,170人(男44,711人/女27,459人)
  • 40~49歳:9,663人(男5,228人/女4,435人)
  • 50~59歳:457人(男210人/女247人)

また特定技能産業分野の中でも「飲食料品製造業分野」は、18〜29歳の若い人材の採用率が特に高く、41,563人(男14,126人/女27,437人)という結果となっています。

技能実習からの移行が可能

「技能実習」から「特定技能」への移行は、以下の要件を満たした場合に可能です。

  • 技能実習2号を良好に修了していること
  • 技能実習の移行対象職種と、特定技能1号の業務区分に関連性が認められること

上記の条件に該当する外国人は、特定技能の技能試験と日本語試験が免除されます。
移行できる業務について詳しい内容は、こちらより確認してください。

外国人を雇用する際は、技能実習生として3年間日本企業で働いてきた外国人を、在留資格「特定技能」で採用することが可能です。

日本語能力と技術検定合格者を採用できる

特定技能の取得要件には、日本語能力試験と技能評価試験の合格があります。

  • 日本語能力N4レベル以上:基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を読んで理解することができる。日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。
  • 技能評価試験:特定産業分野で働く外国人が、日本語能力や技能を一定水準満たしているかどうかを判断する試験

上記試験の合格者を採用できるため、自社業務で適用可能か判断できるでしょう。

特定技能1号2号で中長期雇用も可能

特定技能1号の在留期間は最長5年で、2号に移行すると在留期間の上限なく日本で働くことが可能です。したがって、特定技能の外国人を採用すれば中長期的な雇用を見込むことができ、長く雇用できれば業務効率や生産性の向上にもつながります。

会社の業務状況を見直すきっかけになる

外国人を雇用する際は、外国人社員が働きやすい職場環境に整備する必要があります。そのためには、事前に自社業務の状況を把握して、改善または新しいシステムづくりも欠かせません。
また、就労規則の見直し、外国人社員の相談窓口の設定、日本人社員の研修なども新しい体制づくりにおいて重要なポイントです。

したがって、外国人社員を受け入れることで会社の業務状況を見直すきっかけになり、職場環境が活性化するメリットがあります。

4.特定技能で外国人を受け入れるデメリットと解決策

では、続いて特定技能の外国人を受け入れるデメリットと、解決策として事前に押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。

外国人特有の手続きや確認が必要になる

外国人を採用する際は、日本人社員と同様の手続きに加えて外国人特有の手続きが必要になるため、雇用管理が複雑になります。
外国人の雇用状況の報告義務、入管法のルールに沿った雇用管理や確認事項について十分理解しておかねばなりません。

外国人雇用状況の届出

外国人の雇入れ時と離職時に、ハローワークに届け出を提出します。雇用開始日、または離職日の翌月10日が提出期限です。届けを出し忘れると30万円以下の罰金の対象となるため注意が必要です。

在留資格・在留カードの管理

在留資格は、在留期間の有効期限を過ぎると日本での活動ができなくなるため、引き続き雇用を延長する際は在留期間について忘れずに管理が必要です。
外国人の雇用管理においては管理ツールを活用すれば、在留期限の管理や書類作成、人材管理、業務進捗の管理など、煩雑になりやすい業務を一括管理できるようになるでしょう。

在留カードについては、法務大臣が中長期在留者に交付するICカードであり、外国人が日本で活動するための身分証明になります。また、外国人は常に在留カードを所持していることが義務付けられています。外国人を雇用する際は、在留カードを確認し不法就労にならないように注意しましょう。

転職のリスクがある

特定技能では、転職が可能です。外国人は自由に職業を変えることが認められているため、一度採用しても日本人社員と同じように転職のリスクが伴います。

ただし、転職する場合は在留資格変更許可申請などの手続きを行う必要があり、申請中は就労が認められていないため働くことはできません。また在留資格の変更手続きでは、転職先の受け入れ企業と旧受け入れ企業の協力が必要です。また異業種に転職する場合は、技能評価試験の合格も必要です。

したがって、特定技能の外国人が転職する場合は、受け入れ企業が協力して手続き上のサポートをする必要があります。

言語と文化の壁がある

特定技能では一定の日本語スキルがある外国人を採用できますが、コミュニケーションにおいては改めて説明が必要になるケースも多くなるでしょう。
外国人社員の日本語学習については、入社後も引き続き日本語教育や研修、日本語学校や日本語教室の情報提供などのサポートが必要になります。

また外国人の文化や習慣については、事前に各国情報を知っておくことを基本に、日本の価値観を押し付けないことや常識の違いを理解し合える環境づくりが大切です。
日本人も外国人も今までの習慣を見直して、お互い許し合える職場にしていきましょう。

人材紹介会社選びが難しい

外国人を採用するのは自社独自では難しい場合が多くあります。そのため企業と外国人求職者をマッチングさせるサービスを活用するほうが、採用プロセスが簡単に進むでしょう。

外国人に特化した人材紹介会社を選ぶことで、採用効率が高くなり外国人雇用のルールの指導を受けながら求人活動を行えます。また、入管法による複雑な手続きに関してもサポートがあるので安心です。

ただし、人材紹介会社は全国多数に及ぶため、選択するのが難しいかもしれません。
そこで良い人材会社を選ぶために、まずは採用基準や目的、いつまでに決めたいのかなどを明確に提示できるように、採用計画を立てることが重要です。採用計画に合わせて、自社業務の分野に長けている人材会社を選び、人材紹介の実績や経験、有料職業紹介許可のナンバーが記載されているかをチェックしましょう。
特定技能の場合は、登録支援機関と人材紹介会社を兼ねている会社がおすすめです。

5.特定技能で受け入れる際の注意点

特定技能で外国人を受け入れる際は、採用ミスマッチが起きないように、企業が事前に整備しておくべきことや採用する外国人について確認すべきポイントを押さえておきましょう。

労働条件と賃金条件の確認

特定技能が創立される前にスタートした技能実習制度では、過酷な労働条件や低賃金によって失踪する外国人の問題がありました。特定技能では、安価な労働力としての雇用は認められていません。日本人と同等以上の条件で賃金を支払う必要があり、労働基準法に沿って雇用することが条件となります。

特有の支援と準備が必要

特定技能では、支援計画に沿って以下の内容を実行する必要があります。外国人の就労環境と日本での生活が安定するように、雇用側の企業はサポートしてあげましょう。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国の際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続きの同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情の対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職サポート
  10. 定期面談・行政機関への報告

外国人の不法就労に注意する

もし、在留資格の期限切れで雇用を続けたり、在留資格の活動範囲外の業務を外国人社員に与えたりすると、当該外国人と雇用主双方が不法就労助長罪の対象として問われるため注意が必要です。入管法第73条の2により、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。

6.技能実習から特定技能への移行手続き

技能実習から特定技能への移行手続きは、技能実習2号または3号の外国人を対象に、移行業務の関連性を確認して以下の流れで手続きを進めていきます。

  1. 外国人と雇用契約を締結する
  2. 支援計画を立てる
  3. 登録支援機関と委託契約を締結する
  4. 事前ガイダンスを実施する
  5. 健康診断を行う
  6. 分野ごとの上乗せ基準、国ごとの手続きがあれば申請する
  7. 在留資格変更許可申請書を作成し、必要書類を準備する
  8. 地方出入国在留管理官署へ申請・書類を提出する
  9. 申請後およそ1~2カ月の審査期間がある
  10. 審査に通過すると特定技能1号での在留資格認定証明書が交付される

7.特定技能外国人は産休が取れる

特定技能の外国人を雇用する際は、外国人に起こり得る事態に正しく対応できるように事前に準備しておきましょう。

例えば、雇用している外国人が妊娠した場合、どのような対応が正しいのか事前に知っておくことが大切です。
特定技能の外国人が妊娠した場合は、日本人社員と同じように産休を取ることができます。
妊娠を理由に解雇したり強制帰国を促したりするような行為は認められていません。

ただし注意点として、産休はその期間が特定技能1号の在留期間5年の間に含まれる場合に限り認められます。また、特定技能1号は原則家族帯同を認められていないため、特定技能1号の外国人の子どもの在留資格には特定活動が該当し、生まれた子どもを母国へ帰さずに母子が日本に在留できます。

8.まとめ

特定技能は、人手不足解消策として企業に大きなメリットをもたらす在留資格です。採用できる産業分野も今後16分野に拡大され、2号への移行ルートも構築されてきています。
日本国内では、今後ますます外国人材の需要が高まってくるでしょう。特定技能外国人を採用する際は、メリットとデメリットを知って正しい雇用管理ができるように基礎知識を押さえておくようにしましょう。

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