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優秀な人材確保に外国人ITエンジニアの採用がおすすめ

IT業界の人材不足に伴い、海外からの外国人ITエンジニアの採用活動が高まっています。

では、実際に外国人ITエンジニアを採用するには、どうしたらいいのでしょうか?

本記事では、外国人ITエンジニアの雇用状況、採用メリットと注意点、必要な在留資格や求人における確認ポイントを解説します。

CONTENTS

  1. 1.外国人ITエンジニアの在留人数の現状
  2. 2.外国人ITエンジニアの採用が増えている理由
  3. 3.外国人ITエンジニアを採用するメリット
  4. 4.外国人ITエンジニアを採用する際の注意点
  5. 5.外国人ITエンジニアの就労ビザは?
  6. 6.外国人ITエンジニア求人の確認ポイント
  7. 7.まとめ

1.外国人ITエンジニアの在留人数の現状

外国人ITエンジニアが該当する在留資格は「専門的・技術的分野」のうち「高度専門職」を含む「技能・人文知識・国際業務」です。

厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によると、令和5年10月時点で「専門的・技術的分野の在留資格」が595,904人で、身分系在留資格の次に多くなっています。

引用:「外国人雇用状況」届出状況まとめ(令和5年10月末時点)

また、前年比は115,995人で21.7%増加しています。なお、「専門的・技術的分野の在留資格」ではITエンジニアを含む「技能・人文知識・国際業務」が366,168人と半分以上を占めています。

引用:「外国人雇用状況」届出状況まとめ(令和5年10月末時点)

2.外国人ITエンジニアの採用が増えている理由

外国人ITエンジニアの採用が増えている理由には、主に次の5つの要因があります。

日本のIT人材不足

経済産業省の発表によると、2030年までに40万~80万人のIT人材が不足すると予想されています。

引用:参考資料(IT人材育成の状況等について)

これには、4つの要因があります。

日本の少子高齢化

内閣府「令和5年版高齢社会白書」によると、令和4年10月時点で総人口の29.0%が65歳以上の高齢者で占められており、64歳以下の人口は減少傾向にあります。さらに2070年には日本の高齢化率はなんと38.7%に達する見込みと推測されており、日本の少子高齢化による労働者人口の減少は、IT業界にも影響を与えると考えられます。

引用:令和5年版高齢社会白書 第一節高齢化の状況 1.高齢化の現状と将来像

DX拡大に伴うIT需要の拡大

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に伴い、製造業やサービス業はもとより、農業や漁業といった第一次産業でもDXの導入が始まったことでIT需要の拡大が急速に進んでいます。IT人材の不足は今後さらに深刻になっていくものと予想されます。

IT技術の革新スピードに追いつけない

IT分野は革新スピードが非常に速く、常に最先端の知識や技術が必要とされます。AIやIoT、ビッグデータなど次から次へと進化していく高度な専門知識やスキルを習得し続けなければなりません。終わりのない勉強量に自身の限界を感じて断念してしまう場合や、そもそもの勉強のため、必要とされる時間の捻出が忙しすぎて叶わないこともIT人材を不足させている要因になっています。

ITエンジニアに定着するネガティブイメージ

従来ITエンジニアには、「きつい・帰れない・給料が安い」という3Kのネガティブイメージが定着しています。現在はフレックス制やリモートワーク制の導入などでITエンジニアの労働環境は改善傾向にありますが、それでも「残業が多い」「ハードワーク」「納期に追われる」などのマイナスのイメージが根強く残っていることが、ITエンジニアの人手不足を助長させています。

外国人IT人材の受け入れ環境ができている

出入国在留管理庁では、外国人材の受け入れを促進させるべく「高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度」*を設置して受け入れ環境を整えています。また、社内公用語を英語にする企業や、積極的に外国人IT人材を採用するようになった企業も増えています。実際に、日本人ITエンジニアより外国人ITエンジニアのほうが増加率が高くなっているという統計もあります。

*高度人材ポイント制とは……ポイント制という仕組みを通じて高度外国人材と認められた外国人に対して、出入国在留管理上の優遇措置を講じることにより、受け入れを促進する制度

参照:高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度(入管庁HP)

日本語能力を重視していない

外国人が日本の企業で働く際に最も障壁となるのは日本語能力です。しかしながら、ITエンジニアは接客業と違い技術職のため、深い日本語能力がなくても仕事が可能であるという利点があります。また、IT分野は外国人エンジニアが多く在籍している企業もあるため、そのような企業ではなおさら日本語能力は重視されないでしょう。

ただし、社内でスムーズにコミュニケーションをとるためにも基本的な日本語はマスターしておく必要があります。

将来性が高い業界である

IT技術は日々進化しています。第四次産業革命*が始まっている現代において、今後もDXはさらに進み、人々の生活をより効率的で便利なものにしていくでしょう。IT業界は将来性も需要も非常に高い業界であるため、雇用の安定といった面においても、ITエンジニアは外国人にとって魅力ある職種といえます。

*第四次産業革命とは……IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータを用いた技術革新が起こる時代のこと

バックグラウンドに関係なく働ける

ITエンジニアは技術職のため、専門知識や経験が重視されます。そのため、年齢や性別、国籍などのバックグラウンドに関係なく活躍することができます。

3.外国人ITエンジニアを採用するメリット

外国人ITエンジニアを採用することは、日本国内でのITエンジニア不足を補うだけでなく、さまざまな付加価値があります。

優秀な人材を採用できる

採用市場が海外に広がるため、市場の規模が大きくなる分、優秀なエンジニアに出会える確率も格段に増えます。また、AIなど高度な専門スキルを持つITエンジニアの育成に力を入れている国や地域もありますので、日本よりも最新の技術スキルを持った優秀な人材を採用できる可能性も高くなるでしょう。

社内ダイバーシティを促進できる

経済産業省はダイバーシティ経営の推進に向けてさまざまな取り組みを行っています。

多様なバックグラウンドを持つ外国人材を採用することで、企業のダイバーシティ&インクルージョンが促進され、競争力の強化およびイノベーションが生まれます。これにより多様性を重視した組織づくりが可能になり、企業としての価値を高めることができるでしょう。

また、社内のダイバーシティ&インクルージョンが進むことは、企業の採用ブランディングにもプラスの影響を与えます。最先端の優秀な技術力を持つ外国人ITエンジニアと一緒に働けることや自然と英語力が高まる環境が用意されている企業は、日本人ITエンジニアにとっても魅力的に見えるでしょう。

技術力が高まる

インターネットビジネスの最先端はアメリカを中心とする海外にあるため、海外市場からITエンジニアを探すことで、日本未上陸の最先端なIT技術に触れている外国人材を採用することができます。そもそも全世界の人材が対象になるため、母数が増える分、高い技術力を持ったエンジニアを見つけやすいというメリットもあります。

4.外国人ITエンジニアを採用する際の注意点

外国人ITエンジニアを採用することは企業にとっても多くのメリットがありますが、日本人の採用とは異なるため、いくつか注意が必要です。

在留資格の手続き・更新を把握する

外国人が日本で働くには就労ビザが必要です。就労ビザの取得には一定の時間がかかること、採用する企業側も提出する書類があることなどから、外国人ITエンジニアの採用は日本人のように採用したら即入社とはいきません。

また就労ビザの有効期限にも注意してください。ITエンジニアが該当する「技術・人文知識・国際業務」は3カ月、1年、3年、5年のいずれかで更新が必要となります。有効期限を1日でも超過すると更新ができなくなりますので、ビザの在留期間は必ず把握しておきましょう。

異文化・習慣を理解する

日本とは異なるバックグラウンドを持っている外国人材は、社内のダイバーシティを促進する一方で、日本人には理解しがたい文化や習慣を持つことも忘れてはなりません。例えば日本人は無宗教の人が多いですが、海外のほとんどの国では宗教への信仰があります。

多くの外国人にとって宗教が日常生活に及ぼす影響は非常に大きく、食べ物の制限や祈りの時間など、業務時間中も配慮が必要なケースがあります。外国人材を受け入れる企業は、異文化や習慣を理解する努力が不可欠です。

転職が早いケースもある

日本では長らく終身雇用の年功序列制が採られてきましたが、外国人はアメリカを代表するように終身雇用の概念がないなど、そもそもの仕事に対する考え方が違います。そのため、自身のキャリアアップや収入アップなどを考え、日本人よりも早いサイクルで簡単に転職を決めるケースがあります。突然の退職で混乱することのないように、仕事に対する考え方や働く期間について事前に擦り合わせておくことが大切です。

5.外国人ITエンジニアの就労ビザは?

ITエンジニアとして働くには、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を取得する必要があります。「技術・人文知識・国際業務」の「技術」に該当します。

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」は大学などの卒業者が、それぞれの専攻分野を生かした仕事に就く際に取得するビザです。ITエンジニアはこの「技術」に該当し、理学や工学など理系分野の専門知識を生かす業務に就く場合に取得します。

「技術・人文知識・国際業務」の取得条件

「技術・人文知識・国際業務」の取得条件は以下のとおりです。

・従事する職務内容と関連する科目を大学や専門学校で専攻していたこと*
・日本人が従事する場合と同等以上の報酬を受け取ること

*例外として、「10年以上の実務経験がある」もしくは「情報処理技術の資格を取得する」ことで、学歴要件に代えることができます。

その他にも、所属する企業の経営状態が安定していることや、ビザを申請する外国人の素行が不良でないことも条件に含まれます。

「技術・人文知識・国際業務」取得の流れ

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」取得の流れは以下のとおりです。

在留資格認定証明書の交付申請の手続きには1〜3カ月ほどかかります。もし必要書類の準備などに時間がかかった場合はさらに日にちを要するため、余裕をもって取り組むようにしてください。 一つずつ見ていきます。

在留資格の取得

まず、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」を取得できる要件を満たしているか、もしくは満たす見込みがあるかを確認します。

国内にいる外国人ITエンジニアを採用する場合には、すでに取得している在留資格の種類や有効期間などを在留カードで確認します。

面接・内定

在留資格を取得できる要件が揃っていた場合は、面接をして内定を出します。その際に雇用契約書を手交しますが、採用する外国人が理解できるよう母国語で作成する必要があります。

就労ビザ申請

いよいよ入国のための就労ビザ申請です。

外国人を雇用する企業は出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書」の交付申請を行い、内定者に送付します。内定者は在留資格認定証明書を持参のうえ現地の在外公館でビザ申請、発給を受ければ、晴れて来日し就業が可能になります。

ハローワーク届け出

最後にハローワークへの届け出も忘れないようにしましょう。雇用保険加入なら「資格取得届」、雇用保険非加入なら「外国人雇用状況の届出」を提出します。この「外国人雇用状況の届出」は、外国人を雇用する企業が必ず提出しなければならない届け出です。万が一、提出をし忘れた場合には、罰金刑などか課される可能性もあるので注意してください。

6.外国人ITエンジニア求人の確認ポイント

外国人ITエンジニアの求人を出す際に押さえておきたいポイントについて説明します。

雇用条件を見直す

より良い雇用条件が提示されている企業を選ぶのは外国人も同じです。雇用形態、雇用期間、給与、勤務時間、休日、福利厚生、雇用保険などを見直して充実させておきましょう。

とくに給与は重要です。IT分野は世界的に急成長を遂げている分野であり、日本だけが就職先ではありません。現状、日本のITエンジニアの年収は他のアジア諸国とほとんど変わらないため、優秀なITエンジニアから選ばれるには、相応の給与を用意する必要があるでしょう。

多言語を幅広く活用する

ITエンジニアは技術職のため日本語能力が高くなくても働けるところが利点です。しかしながら、チームを組んで仕事をする以上はチームメンバーと良好な関係を築けるようサポートしていく必要があります。

また、長く働いてもらうためにも居心地の良い環境を用意することは大切です。外国人ITエンジニア向けに日本語教育の研修を実施したり、日本人側が外国語の理解を深めたりしていくことだけでなく、日本語以外に英語や多言語でコミュニケーションできる環境を整備しておくといいです。

社内の公用語を英語にする企業も増えています。さらに通訳を配備したり、音声翻訳ツールを設置したりするなどのシステムを導入できれば外国人にとって働きやすい職場になるでしょう。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事で説明したとおり、海外市場には先端技術に触れている、もしくは理解することができる優秀なITエンジニアが多くいます。そもそもIT業界自体がグローバルな業界であるため、外国人ITエンジニアを採用することで日本企業のグローバル化や多様性が進むことは大きなメリットになるでしょう。在留資格の管理に注意して、ぜひ優秀な外国人ITエンジニアを多く採用し、自社の発展につなげてください。

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上記に当てはまる企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

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