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【技能実習】ビルクリーニングで受け入れる方法を解説

近年、ビルクリーニング業界は厳しい人手不足に陥っている状況です。

現状「特定建築物」と呼ばれる不特定多数の人が利用するビルや百貨店などは、建物の衛生管理を維持することが法律で義務付けられています。この「特定建築物」は年々増加しているにもかかわらず、2017年におけるビルクリーニング業界の有効求人倍率は2.95倍と、需要過多の状況が継続中です。加えて、ビルクリーニング業界では、65才以上の高齢の清掃従事者が全体の37.2%も占めていることから、現状の人手不足問題は将来的にさらに加速すると言われています。

厚生労働省は、ビルクリーニング業界への外国人採用を積極的に推し進めることを要請しているようです。

そこで本記事では、外国人をビルクリーニング業で技能実習生として受け入れる方法を詳しく解説します。

CONTENTS

 

 

1.技能実習生の受け入れ区分

外国人技能実習生の受け入れ方法は、「企業単独型」と「団体監理型」があります。

1-1.企業単独型

企業単独型は、自社が持つ海外の支店や現地法人の職員を直接受け入れる方式です。技能実習生にかかる申請や管理はすべて自社で行うため、管理費用を安く抑えることができます。また、グループ企業内から受け入れるため、技能実習生の人柄や業務への姿勢を知った上で採用できるので安心です。技能実習終了後は、現地の支店で働くことができるため、育成にかかったコストも回収できます。

一方で企業単独型は、現地に支店があるような、いわゆる大企業でないと選択できない受け入れ方式であり、申請や管理費用もコストは抑えられますが、煩雑な手続きに時間を取られることになります。

1-2.団体監理型

団体監理型は、技能実習生を受け入れたい企業からの要請に基づき、監理団体という非営利団体が海外から技能実習生を受け入れ、現地での採用、調整、各種手続きや管理をする受け入れ方式です。団体監理型であれば、海外に支店などを持たない中小企業でも技能実習生を受け入れることができます。また、費用はかかりますが、煩雑な手続きや調整、技能実習生のサポートまで対応してくれるので、企業は技能を習得させることだけに集中できます。

2.ビルクリーニングの外国人材を採用するための要件

ビルクリーニングで外国人材を採用するには次のような要件をクリアしておく必要があります。一つずつ見ていきましょう。

2-1.「建築物清掃業」「建築物環境衛生総合管理業」のどちらかに登録してあること

外国人材を採用する事業所は、建築物衛生法に基づいた登録事業者でなければいけません。「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」への登録が必要です。なお、事業者登録には「清掃作業監督者である」などの人的要件と「真空掃除機、床みがき機がある」などの物的要件があり、そのいずれも満たす必要があります。

2-2.特定技能協議会の構成員となること

ビルクリーニングで外国人を採用したい場合、特定技能の在留資格を取得するケースが多いことから、雇用する事業所は「特定技能協議会」の構成員になることが求められます。当協議会は特定技能外国人を受け入れる事業所が加入する団体組織であり、各産業分野ごとに分かれています。ビルクリーニングで雇用する事業所は、「ビルクリーニング分野特定技能協議会」に加入し、構成員とならなければいけません。

2-3.外国人人材を業務内外でサポートできる体制であること

事業所は受け入れた外国人に対し、業務はもちろん、それ以外の日本での生活や健康面についても支援を行うことが義務付けられています。住居、電気・ガス・水道、携帯電話、金融機関での口座開設など各種手続きのサポートや健康相談など、外国人が安心して生活できる体制を構築することが重要です。なお、業務では外国人材の語学的な成長を支援しつつも、研修やマニュアルなどでは言語の障壁がないよう努める必要があります。

3.在留期間

技能実習制度では1号から3号まで在留資格があります。技能実習1号は入国した1年目、技能実習2号は2~3年目、技能実習3号は4~5年目にあたります。

1号から2号、2号から3号へと移行するにはそれぞれ条件がありますが、1号から2号は試験に合格し、申請認定が下りれば移行可能です。そのため、ビルクリーニングとして技能実習生を受け入れた場合は、基本的に3年間は続けて在留することができます。2号から3号への移行は、受け入れ企業(もしくは団体監理型の場合は監理団体)が優良認定されていることが条件になりますが、満たしている場合には、5年まで在留期間が延長できます。

4.割り当て可能な作業内容

ビルクリーニングを技能実習で受け入れる場合は、厚生労働省が定めている作業内容しか行うことができません。また、必須業務と関連業務に制限があり、必須業務は「必ず行うこと」、関連業務は「必要に応じて行うこと」と決められていますので、作業内容が関連業務ばかりに偏らないように管理する必要があります。

4-1.技能実習1号の作業内容

技能実習1号の作業内容は、以下の通りです。

<必須業務>

・作業の段取り
器具及び資材の取扱及び整備作業、什器及び備品などの取扱作業

・クリーニング作業
資材の使い方を修得するための各種清掃作業の補助

<関連業務>

・ベッドメイク作業
枕カバー・シーツ・浴衣などの替え、準備

4-2.技能実習2号の作業内容

技能実習2号における作業内容は、以下の通りです。

<必須業務>

・作業の段取り
資機材(器具、資材及び機械)の取扱及び整備作業、什器及び備品などの取扱作業

・クリーニング作業
日常清掃作業(トイレ日常清掃作業を除く)

<関連業務>

・ベッドメイク作業
枕カバー・シーツ・浴衣などの替え、準備

4-3.技能実習3号の作業内容

技能実習3号の作業内容は、以下の通りです。

<必須業務>

・作業の段取り
資機材の取扱及び整備作業、什器及び備品などの取扱作業

・クリーニング作業
日常清掃作業(トイレ日常清掃作業を除く)

<関連業務>

・ベッドメイク作業
枕カバー・シーツ・浴衣などの替え、準備

5.技能実習生の実務経験、日本語レベル

技能実習制度の目的は、「技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力すること」とされています。

出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/index.html

技能を修得するために日本に入国するので、経験は問われません。また、日本語レベルも技能実習の中で学んでいくことになりますので、低くても問題ありません。

6.受け入れ人数

常勤職員の人数によって基本人数枠が決められています。ここで言う常勤職員とは、既に実習を受けている技能実習生を除く、正社員もしくは、正社員と同様の就業時間で勤務している者を指します。この基本人数枠を基準として、受け入れ方式が企業単独型か団体監理型かで受け入れ可能な人数が決定します。

なお、どちらの受け入れ方式にも上限があり、1号は常勤職員の総数、2号は常勤職員の総数の2倍、3号は常勤職員の総数の3倍を超える人数の受け入れはできません。

7.転職可否、入社までの期間

技能実習では転職はできません。入社までに掛かる期間は、6カ月程度です。

8.給与水準

15万~20万円程度とされています。

9.外国人技能実習生対象「ビルクリーニング技能検定」

ビルクリーニング技能検定に合格すると、ビルクリーニング技能士の称号が与えられます。ビルクリーニング技能士は国家資格ですので、取得すればその技能を社会的に証明できます。

厚生労働省は、指定試験機関「公益社団法人全国ビルメンテナンス協会」に、外国人技能実習生向けのビルクリーニング技能検定の実施を推奨しています。

9-1.受験資格

出典:公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会 https://www.j-bma.or.jp/qualification-training/foreigner

9-2.試験方法と合格基準

実技試験と学科試験があります。両方に合格することで、ビルクリーニング技能士の資格が取得できます。

9-3.合格後の「合格証明書」に関する手続き

特定技能で採用する場合には、ビザ申請に日本語試験と技能試験の両方の合格証明書の提出が必要です。その際、日本語試験は受験者自身が写しを用意しますが、ビルクリーニング技能試験の合格証明書は受け入れる企業側が交付の申請を行わなければなりません。企業は外国人と雇用契約を交わした後、全国ビルメンテナンス協会宛に合格証明書の交付を申請します。なお、申請には1万4300円程度の交付手数料がかかります。

10.まとめ

日本政府は、今後5年間で3万7000人のビルクリーニング作業員を増やす予定であるとしています。しかしながら、日本国内は少子高齢化が続き、中でもビルクリーニング業界は、その影響を色濃く受け、日本国内の求人だけでは人手不足解消の目途が立っていません。
政府も解決策として、外国人労働者の雇用を拡大させる方向である今、本記事で紹介した方法を参考にビルクリーニングで外国人技能実習生の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか。

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