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“お試し”採用から成長戦略を支える柱へ――株式会社INGSの海外人材活用成功の舞台裏

生活関連

2026.02.18

人材確保という課題を長らく抱え続けてきた業界の1つに、飲食業界がある。

 

しかしそんな業界課題を軽やかに飛び越えて見せるように、人材確保を実現し、着実に成長を遂げている企業がある。

株式会社INGSはラーメン事業とレストラン事業の2事業を主軸とした成長に伴い、400名に満たない規模ながら3年半という短い期間で100名を超える海外人材を採用してきた。

 

決して長期とは言えない期間でこれだけの採用を実現し、組織の成長を支えてきた背景には一体何があるのだろうか。

 

話を伺っていくと、人事担当者必見のクリティカルな採用戦略が見えてきた。

■プロフィール

株式会社INGS 取締役 人事部長 磯野勇さん

4年かからずに100名越え――INGSの海外人材採用の手腕

これまで本連載が取材してきた飲食企業では、特定技能が制度化される2019年以前からアルバイトなどで海外人材が働くための文化や土壌を作ってきていた企業が多かった。しかし今回登場するINGSは、海外人材活用を始めたのが2022年6月からだという。

 

「きっかけは、当時お世話になっていた会社さんからご紹介をいただいたことでした。

飲食企業にとって、人材確保は永遠の課題ではありますが、当時は人材不足で現場が回らないというような課題を抱えていたというわけではなく、あくまで人材確保の選択肢の1つとして“試しにやってみようか”というような温度感でした。そのため、1人目を採用したタイミングでは、現在行っているように登録支援業務を内製化したり、中長期的な計画を見込んでいたりということもまったくありませんでした」

1番最初に採用された特定技能第1号の社員は、ネパール出身の女性社員。国内転職だったこともあり、日本語も流暢で、すでに日本での生活にも馴染んでいた。また磯野さんは「ネパールの方は発音に癖がないので、他の国の方に比べてより日本語でのコミュニケーションが取りやすい傾向がある」とも話してくれた。

彼女は年4回ある査定機会を活かし、日本人社員に引けを取らない早さで副店長職まで駆け上がる。海外人材活用の入口で彼女と出会えたことは、INGSにとって非常に大きな転機となった。

採用開始から1年後の2023年7月時点で、外国籍社員の数は10名にまで増えた。その過程で登録支援業務の内製化も進んでいった。2026年1月現在では、特定技能95名、それ以外の在留資格が8名、全体で103名の海外人材が現場で活躍しており、さらに入社予定の内定者が12名いる。もちろんこの勢いは止まらず、今後も採用は続けていく予定だという。

 

「中長期的に500店舗という目標を定めて、そこに到達するために様々な取り組みを行っています。そのうちの1つが海外人材の積極的な採用です。目標を達成し、組織が1つ上のステージに到達するためには、海外人材の採用と活躍が不可欠だと経営層、人事、現場を含めて同じ認識を持っています」

 

海外人材活用の成功を支えた“三位一体”の取り組み

INGSの海外人材活用は、毎年多数店舗を出店する組織の成長にあわせてその規模を幾重にも拡大してきた。とはいえ、海外人材の本格的な採用を始めておよそ4年弱。成功の秘訣は一体どこにあるのだろうか。

 

「振り返ってみると、成功の要因として考えられるものは2つあると思います。

1つ目は、営業部の方々が協力的であることです。初期段階から海外人材と営業部を交えて懇親会を実施したり、採用面接に参加してもらいました。

人材を採用し、スムーズに働けるようサポートするのは人事の役目ですが、実際に一緒に働くのも評価するのも営業部です。ですので、人事部と営業部の連携が整っていないと、あらゆる施策が思うように推進出来ません。。だからこそ、営業部の理解と協力を得ながら海外人材の採用を進めていけたことは、非常に大きかったと思います」

 

実際、営業部からも採用した海外人材は好評で、「もっと採用してほしい」という意見が上がってくることも珍しくない。また、営業部長は外国籍の従業員に向けて自主的に懇親会や研修を開催するなど、非常に高いコミットメントを発揮してくれているため、磯野さんもとても助かっているそうだ。

 

「2つ目は会社、つまり代表の方針です。

現在、僕を含めて8名が会社全体の採用教育を担当していますが、弊社のような300~400名くらいの従業員規模の会社では珍しい組織編成だと思います。特に、飲食では人事部門に人数が少なかったり、営業部が採用教育業務を兼任していたり、ある程度の規模にならないと専任にならない場合も珍しくありません。

他社様の業務分掌が異なると思うので、人数で単純に比較することはできませんが、海外人材に限らず「採用教育に投資する」という選択が僕と代表とで一致していたことは、成功を強く後押ししてくれた要因だと思っています。仮に僕が1人ですべてをやることになっていたら、組織の成長戦略を支えるような規模にはなっていなかったと感じます」

 

採用は人事の努力だけでは成功しない。経営・人事・現場が三位一体となって取り組んで初めて、実りある採用活動が可能になるのだ。

 

海外人材が企業の成長を加速させる?

ここまで非常に順調な海外人材採用ロードを歩んでいるINGSだが、もちろんすべてが順風満帆なわけではなく、課題を感じながら試行錯誤を続けている。なかでも教育――特に日本語教育と企業文化理解は今まで以上に力を入れていきたいという。

 

「内定が出てから入社までの数カ月の期間で日本語のレベルアップをしてくる方はほとんどいません。そこで、今年の3月から入国前に任意でオンラインの日本語研修を行うことにしました。

また、入社後の研修も見直しています。これまでよりも期間を延ばし、現場の見学や座学などを行っています。座学では“寸胴”のような機材・器具の名称のような基礎知識から徹底的に学んでもらうことで、よりスムーズに現場で働き始められるような体制を整えています」

 

入社後の育成は現場の役目でもあるものの、異国の地での仕事にいち早く馴染むためのサポートは人事の領分でもある。万が一、そこが著しく欠けてしまえば現場が混乱し、「どうして採用したのか」という不満に繋がってしまうのは、新入社員の国籍に関わらず想像に容易いことだろう。

もちろん、特定技能2号の資格取得を含む入社後の育成も欠かさない。

 

「最低月2回、テキストの読み合わせや模擬問題に取り組んでもらっています。日本人が受けても合格が難しいような難易度の問題なので、会社で提供する勉強だけではなく個人での勉強も必要ですが、営業部長たちも研修に協力してくれるなどしながら、組織的なサポートを行っており、特定技能2号の合格者も3名まで増えました。

成長速度に関して言えば国籍での差はほとんどありません。ただし、理念浸透と事務作業は海外人材がつまずきやすい部分です。文化を理解し伝える人材になれなければマネジメントができませんが、理念浸透や文化理解には時間がかかります。現在、弊社の特定技能1人目であるネパール人の社員を含めて外国籍の副店長が5名いますが、順調にいけば今年中には初の外国籍店長が誕生する予定です」

5年の在留期間を超えてより長い期間を働けるようになったことで、日本にやってくる海外人材もより長期間日本で働き、キャリアを築くことをモチベーションにしている場合が多くなっている。

そのためには海外人材とともに企業も成長し、事業規模を広げ、店長や副店長などのポストを作っていく必要があるだろう。だが同時に、磯野さんは成長戦略を描く企業にとってこそ海外人材活用が鍵になる可能性を指摘する。

 

「経営方針と人事と現場の3つの連携がとれていることが大前提にはなりますが、まずは挑戦してみるのが良いと思います。今はこうして様々な企業の成果やノウハウ、課題などの情報にアクセスし、そのうえで自社にあったロールモデルを見つけることも可能かと思います。

今の業績は今の組織が作り上げたもの。掲げている成長戦略に向けて企業は変化しなければ次のステップ、新たなステージにはいけません。成長戦略を描いている企業であればあるほど、海外人材の活用は有力な選択肢の1つなのではないでしょうか」

 

■取材協力

株式会社INGS

住所:

〒160-0022 東京都新宿区新宿6-28-8 ラ・ベルティ新宿3階

URL:https://ingsinc.co.jp/

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