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海外人材Times

タイ人の共食VS日本人のぼっち飯〜食欲を満たすだけの「ご飯」でいいの?〜

生活関連

2026.03.02

みなさん、こんにちは。
教えてタイムスくんのコーナーです。

今日のテーマは、食事!スマホとお友達の私たち。我が身を振り返る良いきっかけとなればと思います。

登場人物
キャリアアドバイザー「伊能あやめ」:外国人雇用に取り組む企業や雇用される側の外国人人材が抱える課題を解決・サポートする業務に携わる弊社のキャリアアドバイザー。過去に青山智香と共に解決してきた事件はこちらから。

チャイさん:タイ出身の技能実習生。

共食VS個食

「あー……。これはなかなか難しい問題ね」

思わず愛用のタブレットを膝に置き、小さくため息をついた。

今日の相談者は、タイからやってきた技能実習生のチャイさん。都心から少し離れた場所にある食品加工工場で働き始めて3ヶ月が経つ。

「それで、チャイさん。仕事の方はどうなの?」

私が努めて明るく声をかけると、彼女は力なく微笑んだ。

「仕事は大丈夫です。みなさん親切です。でも……」

「でも?」

「会社のご飯は寂しいですね」

チャイさんの悩みは、仕事でも寮での生活でもなかった。彼女の悩みは昼休みの過ごし方だった。

私は、チャイさんの話を聞きながら、タイの文化を頭の中で整理した。
タイでは「こんにちは」の代わりに「ギンカオ・ルー・ヤン?(ご飯食べた?)」と声をかけ合うほど、食事はコミュニケーションの核となる…はずだ。日本人のように一人で食べる「個食」は、よほど時間がなくて急いでいる時か、あるいは友達が一人もいない悲しい状況を意味する。

チャイさんによれば、現状はこうだ。

    同じチームの斉藤さん:たいていご飯はカップラーメン。お湯を注いだら、必ずテーブルの奥の席に行き、片手でスマホを操作しながら無言ですすっている。

    同じチームの櫻井さん:自分のデスクで流し込むようにコンビニ弁当をたいらげ、即座に昼寝に入るまたはスマホゲームに熱中。

    同じチームの宮田さん:他のチームの仲の良い数人で集まってはいるが、会話をしているふうで、だいたい全員がスマホの動画を見ている。

「で、チャイさんの国では、みんなでワイワイ食べるのが普通なんだもんね?」

「はい…。タイでは、仕事仲間は家族です。おかずをシェアして、今日何があったか話して、笑います。でも、みなさんは……ロボットみたい。いつもスマホ、見てる。私はいつも悲しいです」

彼女の言葉は切実だった。たぶんチャイさんは「一人で食べたいからそうしている」のではなく「どうしていいかわからず、孤立している」のだ。

「チャイさんはいつも一人ってことだよね?」

「いえ、ほかのチームと時間が合うときはそちらに行きます。ですが、毎日一緒ではないから一人になることがあります。仕事が忙しい人や一人を選ぶ人は仕方ないですが、もっとみなさんとご飯を食べたいです。特に同じチームの人は……ときどきでいいから」

「なるほど。会社の状況や個人の主義主張は理解してるけど、って感じだな」

「しゅぎしゅちょう?……えっと、無理をさせてはいけないと思っています。日本人はシャイですから。おひとり様、多いですから」

「OK、OK!あなたの言いたいことはわかったつもりよ。担当の村田さんにちょっと相談してみるわね」

私はチャイさんを笑顔で見送った後、腕を組んで考え込んだ。ランチ会や親睦会を開くのは一番手っ取り早いけれど、それはあくまでイベントだ。終わればまた、静まり返ったスマホの世界に逆戻りするだけ。日本人の“シャイ”や“タイパ重視”の壁は、一朝一夕には崩れない。

「強制じゃなくて、自然に……。コミュニケーションできる『何か』が必要ね」

“コミュニケーションスポット”の設置

私は工場の裏手へ向かった。村田さんは現場のリーダーで面倒見も良く、若手のホープ。この時間はたしか工場裏で翌日の仕事の準備をされているはずだ。

——午後の日差しが差し込む倉庫の脇で、私は村田さんと向かい合ってコンテナに座った。缶コーヒーをすする彼の手はすすで汚れている。

「ごめんごめん、待たせたね。で、チャイさんが何だって?お昼ご飯はたいてい別チームの子たちと食べてた気がするけど」

「そうですね。最近は、そのチームともあまり時間が合わないのか一人になることが多いようです。たぶん、チャイさん的には同じチームの方との接点がほしいんだと思います。仲間意識がわくような?タイだと“同じ釜の飯を食う”のが当たり前なんですよー。日本はそういうところが薄れてきてしまったから、個食の方が市民権を得てるところもありますし」

「なるほどね。私がいればみんなを誘って……があるけど、そうだな、斉藤さんも櫻井さんも宮田さんも、あまり和気あいあいは得意じゃないかもな。そういうのが得意で率先してくれてた市川さんも先月、産休に入ってしまったし」

「そうですか。では、これは私からの提案なんですが、休憩室に“フリー・スナック&トッピング・コーナー”を作ってみませんか。名付けて『味変(あじへん)ステーション』なんてどうでしょう。名前がダサいけど(笑)!

——翌週。休憩室の電子レンジの横にテーブルが設置された。
テーブルの上には小さな看板が置かれ「おすすめの調味料&おすそわけ(ご自由にどうぞ)」と記されている。さらに、上手とはいえない文字で『今日のタイ・スパイス:ナムプラー&唐辛子。カップラーメン(しょうゆ味)に入れると、トムヤムクンみたいになります! チャイより』と書かれていた。ボードの前には、小さな小瓶に入った調味料の小瓶が並んでいる。

そこへ昼休みとなり、いつものメンバーが現れた。

味変ステーションに気づいたのはカップ麺を持った斉藤さんだ。

「へえ、チャイさんとこのスパイスか。どれどれ……お、意外と合うな、これ」

その独り言を聞き逃さなかったのが、隣ですでにコンビニ弁当を広げていた櫻井さんだ。

「え、斉藤さん、それおいしいですか?気になったんですけど、勝手に使うのもなーって遠慮してたんですよ」

「ああ、なんか味が深くなるっていうか。おいしいよ。ほら、“ご自由にどうぞ”ってあるから、いいんじゃないの?櫻井さんのその野菜炒めにも合うんじゃないかな」

「じゃあちょっともらいます……」

そこへ、チャイさんがやってきた。

「あ! 斉藤さん、使ってくれました? 櫻井さんも!?……うれしいです!」

——私の狙いは的中した。
「さあ、今日からみんなで楽しく喋りましょう」なんて急に言われても困るし「個食じゃ寂しいから一緒に食べましょう」と誘われても身構えてしまう。でも、こんな形なら無理に会話する必要もない……というか、自然発生的に会話が生まれる。

こうして“味変ステーション”は、単なる調味料置き場ではなく、会話のハブスポットとなった。また、日本人メンバーがチャイさんに試してほしい調味料が置かれるようになり、今のところチャイさんのお気に入りは「梅干し」と「ふりかけ(おかか)」。ときどき母国のお菓子も『おやつにどうぞ』と配られるようになったそうだ。

さらに、村田さんからのその後の報告によると、現在チャイさんは漬物の勉強をしているらしい。宮田さんから糠床をもらって自家製漬物を試作中なうえに、宮田さんと仲の良い別チームの人々との交流も生まれ、今年は梅仕事にも取り組んでみようと計画中。いつの間にか、コミュニケーションのハブスポットが食文化の学びの場となっているとのことだった。

共食はできなくても、食を通したコミュニケーションはできる。できないことではなく、できることに目を向けることの大切さを実感した出来事だった。

#共食 #個食



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