合理的にあり得ない
～キャリアアドバイザー青山智香の解明～

ワタシ、青山智香は外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決・サポートする業務に携わっている、いわゆるキャリアアドバイザー。
実はこれまでも珍事の解明のため、全国を飛び回っている（過去の事件はこちらからどうぞ）。



ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら、私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

外国人技能実習生の生活実態に迫るpart.1

いつも愛読くださっている皆さん、ありがとうございます！
本コラムもスタートより半年が経ち、たくさんの反響をいただいております。
その中で時々、聞かれる「青山さんたちキャリアアドバイザーの皆さんがやってる寮の巡回、もっと詳しく知りたい」という声。特に、外国人雇用をうまく進めたい企業の皆さんは同じような悩みを抱えていることが多いようですね。

そこで今回は私たちが使っている「寮巡回報告書」の一部を公開したいと思います。生活面において、どんなことに注意しておくとよいか参考にしていただければと思います。

まずは『清掃・整頓』のカテゴリから！！

【寮巡回報告書　清掃・整頓チェックリスト】


1.自転車は所定の場所に止め鍵を掛けられているか。
→技能実習生は、通勤や買い物で、よく自転車を使います。手軽に所有できる自転車は便利である一方で、盗難にあいやすいので必ず鍵を掛けるよう指導しています。
他にも、その辺に置かれている自転車に勝手に乗っていかないよう伝えています。鍵がかかっていなかったとしても、所有者がいれば窃盗です。

2.玄関は綺麗に靴を揃え、整えられているか。
→日本人は子どもの頃から、履物を揃えるよう学校や家庭で教育されていますが、外国は違います。普段、履かない靴はロッカーにしまうなどの指導も必要です。
また、玄関は、チラシやDMなど不要な書類がたまりやすいので、置きっぱなしにせず捨てるよう注意しています。

3. 掃除は当番制で行っているか。
→写真を掲出するのは厳しいかも…と判断するほど、汚れた部屋もあります。そして、共有スペースは当番制にしておかないと間違いなく荒地と化します（笑）比較的、女性の方が物が多い傾向にありますが、整理整頓もできています。



4. リビングや各部屋の床や階段にゴミやホコリが散乱していないか。
→掃除をするといっても、身の回りにしか意識がなく、階段や通路の床によくゴミやホコリが落ちていますね。掃除指導の際には、共有スペースに注意…！また、各々の判断基準に任せるのではなく、OKの基準を示すようにしています。

5.室内で喫煙をしていないか。
→近年、日本でも喫煙に対する意識、環境が変わってきました。ただでさえ、借金や母国の家族への仕送りがありますから、寮の退去時にクロス張替え費用を発生させないためにも、室内での喫煙は禁止しています。部屋の前（外）や駐輪場で喫煙し、吸い殻の放置を発見した際は注意の上、週末に分担してゴミ拾いをさせました。

6.トイレ・お風呂・洗面台の掃除はできているか。
→水回りはカビが発生しやすく、除去も大変なのでこまめに掃除するよう指示しています。専用溶剤を使っても取れないほど汚れになっている場合もあるので、やはり日頃の使い方、掃除の仕方などは徹底的に指導します。

7.ガスレンジの周りやキッチンの排水溝の掃除ができているか。
→キッチンは頑固な汚れの温床になりやすい場所です。その場しのぎで使えればいいという考えではなく、長く使うこと、故障なく使えるよう、掃除を徹底させています。

8.ゴミの分別はきちんと行えているか。
→“ゴミはゴミ箱に”ではなく“この辺がゴミ置き場”というパターンや、至る所にゴミを置きっぱなしにしていて、ゴミ捨ての際に回収するツワモノまでいます。まずは、ゴミをゴミ箱に捨てる意識や溜めない意識を持つよう指導します。
それから、東南アジアなどの国では、ゴミを分別する習慣がありません。むしろ、缶などは売ればお金になるもの。各種ゴミの日を確認して、定期的にゴミ出しをするよう指導しています。



9. 室内は換気されており異臭はないか。
→衛生意識が低いため、さまざまな臭いがこもりがち。掃除だけでなく、洗濯や入浴など、用法用量を守った身の回りの衛生意識は徹底的に指導します。また、エアコンのフィルター清掃と取り付けについて、清掃方法と操作方法を実演して指導したこともあります。

10.ベランダは掃除されておりゴミなどが溜まっていないか。
→ベランダにゴミをためてしまったり、タバコの吸い殻が放置されていたりといったことは多いですね。近隣住民の迷惑にもなるので、油断できません！他にも、押し入れなどの見えないところは要チェックです。

11.布団を干しシーツを洗っているか。
→下手をすると、寝具は引きっぱなし。ご想像の通り、カビが生えているなんてことが普通にあります。布団の上で飲食をしている場合もあるので、洗えるものは洗うよう指導します。

12.部屋の鍵は持っているか
→部屋は借り物。スペアキーを含め、鍵を失くしていないか定期チェックします。もちろん失くした場合は弁償です。会社の社員証やカードキーなども同じです。紛失を未然に防ぐ声掛けも有効です。

以上『清掃・整頓』部門からでした。
ひと言で指導すると言っても、実物を見せたり、やって見せたりといった実演が必要な場合もあります。それだけ、個人の感覚はさまざま、国が違えば文化も生活習慣、様式も違うということなのです！

次回は『住居、健康面』チェック項目をお届けします、お楽しみに。

終