「技能実習制度」→「育成就労」|1~2年の同職場での就労などを条件に同業務分野内での転籍も可能に
2024.02.19
2024年2月9日、政府が「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」を開催しました。 そこで、外国人が技術を学ぶ「技能実習制度」の廃止と、新制度の「育成就労」を創設する方針を決定。この制度は人材の確保を目的としており、同業務分野内かつ一定期間の就労などを条件に職場を変えられる「転籍」ができるものになる予定です。
岸田首相は本会議の中で「政府としては(外国人労働者との)共生社会の実現を目指し、我が国が外国人材から選ばれる国になるという観点に立って、本日決定した方針に基づき、技能実習制度および特定技能制度の見直しに向けた作業を進めていく」と発言。関連法案提出のための作業と、外国人材受け入れのための環境整備を指示しました。
現状「技能実習制度」では「転籍」が原則認められていません。そのため、厳しい労働環境下で技能実習生が失踪することも相次いでおり、「技能の実習」を目的としていながらも外国人の労働力を低賃金で確保することに利用していることへの矛盾も含め、人権侵害につながると指摘されていました。 それに加え、中国などとの外国人材争奪戦が激化する中で、人材不足を解消するために外国人が働きやすい制度に改変するべきとの声も上がっていました。
政府はこれらの指摘を受け、有識者会議からの報告と自民党からの提言も踏まえて、現状の技能実習制度を廃止したうえで、改めて人手不足の分野での人材確保と人材育成を目的とした「育成就労制度」の方針を決定しました。
今回決定した「育成就労制度」では、1~2年ほどの一定期間同じ職場で働くなどの諸要件を満たすことで、同じ分野の中で転籍が可能になります。有識者会議では当初、転籍可能になる期間を1年以上としていましたが、地方から都市への人材流出を懸念する声が自民党の議論によって上がり、分野によっては最長2年とすることに決定しました。
また、「育成就労制度」での受け入れ分野は、既存の「特定産業分野」に限定されており、場合によってはこの範囲を拡大するよう検討することのこと。 人材育成と評価に関しては日本語能力を重視しており、熟練した場合には事実上の永住も可能な特定技能に移行できるようです。
「日本人と外国人が互いに尊重し、安全・安心に暮らせる共生社会の実現」を目指し、「外国人がキャリアアップしつつ国内で就労し活躍できる」「人権侵害等の防止・是正等を図り日本が魅力ある働き先として選ばれる国になる」という新制度への見方を政府は強調し、これに関する法案を国会に提出し、成立を図る模様です。
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