【最新】ベトナムが1位? 日本で働く外国人労働者数の国別ランキング
2024.09.13
日本で働く外国人の数は年々増加しています。現在では、街に出ると外国人が働いている姿を見かけることが日常的となりました。
日本ではさまざまな国の人たちが働いていますが、どの国の出身者が多いのでしょうか。この記事では、日本で働く外国人労働者数を国別にランキング形式で紹介します。
また、日本で働く外国人労働者数の推移も紹介し、今後の外国人労働者の動向についても考察します。
CONTENTS
1.日本で働く外国人労働者数の国別ランキング
日本で働く外国人労働者数は、厚生労働省が2024年1月に公表した『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』で調べることができます。
下記は、日本で働く外国人労働者数の国別ランキングの統計です。ランキングは上位8位まで示しています。
参考として、「G7/8+オーストラリア+ニュージーランド」のデータも載せました。
G7/8とはイギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシアを指し、先進国の外国人労働者数を合算したものです。
2位:中国 397,918人(香港等を含む)
3位:フィリピン 226,846人
4位:ネパール 145,587人
5位:ブラジル 137,132人
6位:インドネシア 121,507人
7位:韓国 71,454人
8位:ミャンマー 71,188人
参考:G7/8+オーストラリア+ニュージーランド 83,882人
出典:厚生労働省
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001195787.pdf
それでは外国人労働者数の状況について、国ごとに詳しく見ていきましょう。
1-1.ベトナム
2023年時点の外国人労働者数は、518,364人です。増加した人数は前年比で55,980人、増加率は前年比12.1%と大幅な伸びを示しています。
かつて、日本で働く外国人労働者が最も多かったのは中国でしたが、2020年からベトナムが外国人労働者数のトップを毎年更新しています。在留資格別に見ると、ベトナムからの労働者の約40%が技能実習です。
また、ベトナムでは製造業に従事する外国人労働者が最も多く、全体の38.8%を占めています。
技能実習制度の導入により、ベトナムからの労働者は増加傾向にあります。
1-2.中国
外国人労働者数は397,918人です。前年比で見ると、増加数は12,070人、増加率は3.1%とコロナ禍を挟んで増加に転じたものの、トップのベトナムとはさらに差が広がる結果になりました。
外国人労働者数で中国の出身者が減少している背景としては、技能実習の減少が考えられます。
一方で、在留資格別にみると、専門別・技術的分野の在留資格と身分に基づく在留資格は増えています。つまり、今や中国から日本に働きにくる外国人は、かつての技能実習から学歴のある高度人材にシフトしてきていると言えるでしょう。
また産業別に見ると、中国では卸売業・小売業が最も多くの割合を占めています(全体の20.8%)。
1-3.フィリピン
外国人労働者数は226,846人です。増加率は前年比で10.1%、増加数は20,796人でした。
フィリピンは、身分に基づく在留資格を持つ人が圧倒的に多く、全体の66.1%も占めています。また、専門別・技術的分野の在留資格や技能実習も増加しています。
産業別に見ると、製造業が全体の33.1%と最も多い割合を占めています。
1-4.ネパール
外国人労働者数は145,587人で、前年に引き続き20%を超える増加率となっています。ここ2年で急激に増えているインドネシア、ミャンマーに続いて第3位の伸び率となりました。増加数は27,391人です。
在留資格別に見ると、資格外活動が65.5%を占めています。留学者の比率は41.7%で、外国人労働者数が上位の国の中では留学者の比率が最も高い点が特徴です。留学者数は前年比で13,932人増加しています。
特定活動以外すべての在留資格で増加していますが、特に専門的・技術的分野の在留資格と資格外活動の増加率が高くなっています。
また、ネパールは宿泊業・飲食サービス業に勤めている労働者の割合が最も多く、全体の29.7%を占めています。
1-5.ブラジル
外国人労働者数は137,132人です。前年比で1,965人増加し、増加率は1.5%となりました。外国人労働者数が上位の国の中では増加率が最も小さくなっています。
ブラジルの特徴的な点は、身分に基づく在留資格が約99%を占めていることです。日本にいるブラジル人は日系ブラジル人が多く、定住者や永住者といった身分系在留資格を取得しやすいことが要因と考えられます。
また、ブラジルも製造業に従事する労働者の割合が最も多く、全体の39.5%を占めています。
1-6.インドネシア
外国人労働者数は121,507人です。増加率は前年比56%で、コロナ禍以降大幅に増加しています。前年も47.5%と非常に大きく増加しましたが、さらに1年で43,618人も増えています。
在留資格別にみると、技能実習の占める割合が56.2%でした。また専門別・技術的分野の在留資格も倍以上増加しており、全体数を押し上げています。
産業別では製造業が最も多く、全体の35.1%を占めています。
1-7.韓国
外国人労働者数は71,454人です。増加率は前年比で6.1%と増加しました。在留資格別に見ると、身分に基づく在留資格の比率が43.8%で最も高く、専門別・技術的分野の在留資格が43.0%と続いています。
韓国は技能実習の人数が13人と非常に少なく、前年より3人減少しました。
韓国の外国人労働者のうち、産業別に見ると最も割合が多いのは卸売業・小売業で、全体の19.8%を占めています。
1-8.ミャンマー
外国人労働者数は71,188人です。前年比で49.9%とインドネシアに次いで2番目の増加率になりました。2020年にペルーやタイの外国人労働者数を超えてから、飛躍的に増加し続けています。
在留資格別に見ると、技能実習が33.9%で最も大きな割合を占めています。ミャンマーはすべての在留資格において満遍なく増加しているのが特徴です。
産業別では製造業が最も多く、全体の23.0%を占めています。
1-9.G7等
先進国9カ国で構成される「G7等」の外国人労働者数は83,882人です。前年比で2,707人増加し、率にして3.3%の増加となりました。
専門別・技術的分野の在留資格の占める割合が最も大きく55.8%となっています。技能実習はわずか13人ですが、先進国ならではの結果と言えるでしょう。G7等では、教育・学習支援業が36.3%と最も高い割合を占めています。
2.日本で働く外国人労働者数の推移
2011~2023年までの外国人労働者数の推移を以下に示します。
2011年 686,246人 5.6%
2012年 682,450人 -0.6%
2013年 717,504人 5.1%
2014年 787,627人 9.8%
2015年 907,896人 15.3%
2016年 1,083,769人 19.4%
2017年 1,278,670人 18.0%
2018年 1,460,463人 14.2%
2019年 1,658,804人 13.6%
2020年 1,724,328人 4.0%
2021年 1,727,221人 0.2%
2022年 1,822,725人 5.5%
2023年 2,048,675人 12.4%
出典:厚生労働省
外国人雇用状況の届出について(報道発表)
https://www.mhlw.go.jp/
過去13年間の外国人労働者数の推移を見ると、雇用が伸び悩んだ2012年のみ前年比で減少しましたが、それ以外の年は前年比で増加しています。
特に2015年以降の増加は著しく、2016年の増加率は前年比で19.4%に達しました。その背景として、政府が高度外国人材や留学生の受け入れを積極的に行ったことや、技能実習生の受け入れが進んだことが挙げられます。
さらに、雇用の改善が進んだこと、そして国内の労働力不足も重なり、永住者や日本人の配偶者など身分に基づく在留資格を持つ人の雇用も伸びました。
2020年からの3年間は、コロナ禍による入国制限の影響で増加率は低く抑えられていましたが、2023年には12.4%まで回復しています。
3.産業別・在留資格別・都道府県別の外国人労働者の状況
産業別・在留資格別・都道府県別の外国人労働者の状況を見ていきます。
3-1.産業別
産業別で外国人労働者数を見ると、最も従事者数が多いのが製造業で552,399人、続いてサービス業が320,755人、卸売業・小売業が263,555人。宿泊業・飲食サービス業が233,911人となっています。
3-2.在留資格別
外国人労働者数が最も多い製造業は、技能実習が全体の48.3%を占めています。サービス業では身分に基づく在留資格が24.4%、卸売業・小売業は専門的・技術的分野の在留資格が13.0%となっています。宿泊業・飲食サービス業では、資格外活動が32.3%を占めました。
3-3.都道府県別
都道府県別で見ると、全産業計で最も多く外国人労働者が働いているのは東京の542,992人でした。次が愛知の210,159人、大阪の146,384人、そして神奈川、埼玉と続くことから、外国人労働者も首都圏に集まる傾向があることが分かります。
東京では宿泊業・飲食サービス業が全体の20.3%となっています。一方、愛知では製造業が全体の41.1%でした。4.外国人労働者数の現況と今後の予測
2020年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、宿泊業や飲食業を中心に雇用を控えたため、外国人労働者数の増加率は9%台にとどまりました。
しかし、新型コロナウイルスの感染が収束に向かう2022年から徐々に外国人労働者数は回復し、2023年では大きく増加率を伸ばした国が多くあります。 かつては東アジアが中心であった外国人労働者が、現在ではベトナム、フィリピン、そしてインドネシア、ミャンマー、ネパールといった東南アジア諸国にシフトしています。 東南アジアの国々は、まだまだ発展途上で給与水準が低く、かつ、出稼ぎ国として日本が広く認知されている労働人口の多い国です。今後も引き続き、外国人労働力の中心的な担い手となることが予想されます。5.まとめ
日本で働く外国人労働者数を国別に見た場合、最も多いのはベトナムです。
かつて外国人労働者数が最も多かったのは中国でしたが、技能実習制度の導入を契機としてベトナムからの労働者が増加しました。
東南アジア諸国からの外国人労働者数は増加傾向にある反面、中国や韓国、南米といった国々からの外国人労働者数は減少傾向にあります。
2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大により増加率は抑えられていましたが、2022年後半から回復し、東南アジアの外国人労働者数は大きく増加しています。
日本国内の少子高齢化や産業分野の労働力不足は解決の目途が立ちません。今後ますます東南アジア諸国の外国人労働者が日本産業を支える貴重な労働力になっていくことでしょう。
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