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グローバル時代のマナー!
イスラム教・ヒンドゥー教・仏教で気をつけること

グローバル時代のマナー!イスラム教・ヒンドゥー教・仏教で気をつけること
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外国人を採用する上で、宗教に関してあらかじめ理解しておくべきでしょうか?イスラム教やヒンドゥー教など、宗教によって配慮すべきことは異なるのでしょうか?

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国や言語が異なる人と働く上で、相手の宗教を理解することはとても大切になります。なぜなら、外国人の言動や考え方、価値観に宗教は大きな影響を与えているからです。各宗教の特徴を知り、尊重することは、グローバル時代における社会人のマナーと言えるでしょう。
本稿では、日本に滞在する外国人の多くが信仰しているイスラム教・ヒンドゥー教・仏教・ユダヤ教、それぞれの注意点を紹介します。


CONTENTS

  1. 1.多様な宗教を理解する重要性
  2. 2.厳格なルールが多いイスラム教
  3. 3.インドやネパールに多いヒンドゥー教
  4. 4.アジアに多い仏教
  5. 5.宗派による違いがあるユダヤ教
  6. 6.まとめ

1.多様な宗教を理解する重要性

文化庁が実施した2023年の「宗教統計調査」によると、2022年12月31日時点で日本国内に存在する宗教法人数は179,339となっています。このように日本国内だけでも多種多様な宗教があることがわかりますが、世界に目を向けると、個人の宗教観はより一層多様なものになります。

異なる宗教をもつ相手、もしくは宗教をもたない相手など、さまざまな人とコミュケーションを図りながら働くには、相互理解が重要です。相手を理解していないと、宗教上禁止とされている行為を知らない間に押し付けてしまう場合や、相手に不快な思いをさせてしまいかねません。

それでは、世界的な宗教であるイスラム教やヒンドゥー教、仏教、ユダヤ教を信仰している従業員と一緒に働く上で、注意すべきポイントはあるのでしょうか?

2.厳格なルールが多いイスラム教

礼拝

イスラム教徒(ムスリム)の1日は、礼拝に始まって礼拝に終わると言われるほど、多くの礼拝が毎日義務付けられています。礼拝は、日の出前・正午・午後・日没後・就寝前の5回行われ、メッカの方向を向いて行われます。

昨今では、イスラム教徒が礼拝するための部屋を用意する施設が増えていますが、ムスリムが働く職場でも礼拝用の部屋を用意するといいでしょう。またイスラム教では金曜日は安息日ですので、労働時間やスケジュールで調整が必要です。

食事

注意が必要な食材は、コーランで禁止されている豚・アルコール・血液・宗教上の適切な処理が施されていない肉の4つです。豚はイラストでも嫌悪感を示すため、メニューなどに豚のイラストを載せることは控えましょう。また、たとえ目に見えなくても、ブイヨンや出し汁などに豚肉が使用されているのも禁止です。調理の際は、そのような調味料を避け、植物性のものを使用するようにしましょう。ムスリムが使用する調理器具に、禁止されている食材が付着していないかどうかにも配慮する必要があります。

肉は、アッラーに祈りを捧げ、 特殊な食肉処理を行ったハラル・ミール(ハラル・ミート)しか口にしません。ハラルは、イスラム法において「許可された」「合法的」という意味で野菜や果物、大半の魚介類はハラルとされています。

アルコール

ビールやワインなどの飲酒はもちろん避けなければなりませんが、料理酒・みりん・フランベに使用するブランデーなどもアルコールとなるため、これらも調理の際に使用しないよう注意しましょう。

ラマダン

ラマダンと呼ばれる断食期間(イスラム太陰暦の第九月)は、昼間は水も飲まず一切の食事を口にしませんが、日没以降はしっかり飲食をします。やはりタイムテーブルなど業務の調整が必要になるでしょう。

3.インドやネパールに多いヒンドゥー教

食事

ヒンドゥー教では、食材や誰と食べるか、食事を取る時間や時期に対して非常に気を遣います。不殺生を重んじるため、ほとんどの人が肉を食べず、まれに食べる人がいたとしても、鶏、羊、ヤギに限定されます。牛は神聖な動物として崇拝されているのに対し、豚は不浄な生き物とされています。

一般的に避ける食材は、肉全般(特に牛・豚)、魚介類全般、卵、生もの、五くん(ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキ)。これらの食材は調味料に含まれているのもNG。社員食堂などでは料理に含まれる食材・含まれない食材を説明することが大切です。

インドとネパールはヒンドゥー教の教えに沿った食事を取りますが、国によって固有の食事習慣があります。

インドでは、ベジタリアンとノンベジタリアンがいますが、ほとんどがラクトベジタリアン(乳製品は食べる)です。ベジタリアンの人は、玉ねぎやニンニクを食べない人もいますが、すべてのインド人に該当するわけではありません。また南インド、北インドでは主食が違うことも覚えておきましょう。

ネパールは多民族国家であるため、民族ごとに食習慣も異なります。一般的な食事として、ネパールのヒンドゥー教徒では雄牛は神聖な動物として絶対に食べませんが、水牛は食べるという特徴があります。また鶏は肉の中で最もご馳走と言われており、祭事やもてなす際にはチキンカレーがよく出されます。食事は1日2食が主流で、昼食は取らないことが多いため、親睦のためにランチに誘うことを考えている人は、注意が必要です。

アルコール

ヒンドゥー教の規範とされている「マヌ法典」によって、酒を飲むことは「五大罪」の一つとされています。ヒンドゥー教徒が8割を占めるインドではアルコール飲料の広告が禁止されているほか、禁酒日が定められているなど、国全体としてはアルコールの寛容度が低い風潮が根付いています。

アルコールに対する規制が厳しい一方で、インドは世界一の蒸留酒消費量を誇るアルコール大国でもあります。ウイスキーなどの蒸留酒においては、数量ベースで世界の半分程のシェアを占めており、今後もインドのアルコール市場は力強く成長していくでしょう。
インド人と接する際は、これらの事情も踏まえてアルコールに対する立ち振る舞いに気をつけてください。

神聖な右手と不浄な左手、けがれの意識

ヒンドゥー教では、右手は神聖な手、左手は不浄な手とされています。食事を提供する際には必ず右手を使いましょう。また、けがれに対する意識が強く、唾液によって他人からけがれが感染すると考えられているため、食器は使い捨てが最も清潔であるとされています。

4.アジアに多い仏教

仏教徒の9割以上は中国、日本、タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、カンボジア、韓国などアジアの人々で、これらの国々から日本にも多くの労働者が来ています。私たち日本人にとっても馴染みのある仏教ですが、食事などに関しては宗派によって考え方が異なります。中には肉全般や五くんを避ける人もおり、イスラム教やヒンドゥー教と同じようにブイヨンやゼラチンなどを使わず、植物性のもので代用することが必要な場合もあります。職場に仏教を信仰する外国人がいれば、個別に相談するといいでしょう。

5.宗派による違いがあるユダヤ教

ユダヤ教は「ヤハウェ」を唯一神とする宗教で、モーセの十戒を中心とする教えに基づいています。ユダヤ教を信奉する人を「ユダヤ人」と呼び、彼らは自らを神から選ばれた民であると信じています。神が与えた律法(トーラー)を厳格に守ることで救済されると考えるため、ユダヤ人にとって規律を守ることは非常に重要です。
なお、ユダヤ教は世界で最も古い宗教で、キリスト教やイスラム教も大きな影響を受けています。

宗派

ユダヤ教は「超正統派」「正統派」「保守派」「改革派」の大きく4つの宗派に分かれています。「超正統派」はハレディームとも呼ばれ、ヘブライ語で「神をおそれる人々」を意味し、戒律と伝統を重んじるグループです。「正統派」は穏やかに信仰するグループ、「保守派」はアメリカ合衆国において誕生し、「改革派」はドイツで誕生した絶えず変革を唱えるグループです。

食事

ユダヤ人はモーセの律法や聖典の教えに基づき、「カシュルート」と呼ばれる食物の厳格な規定に従うことが求められます。肉と乳製品を同時に食べてはいけない、豚肉や甲殻類などの不浄な動物は避けるなどの掟があります。
一方、カシュルートでは食べていいものを「コーシャ」と呼び、牛、羊、ヤギ、鹿、鶏、また鱗やヒレが簡単に取れる魚などは食べていいとされています。また、イスラム教やヒンドゥー教と違い、ユダヤ教ではアルコールが禁忌ではありません。特にワインはユダヤ教の正典にあたる旧約聖書でも称えられた飲料で、ユダヤ教徒によって生産されたワインはコーシャワインと呼ばれています。

安息日(サバト)

安息日(サバト)と呼ばれる毎週金曜の日没から土曜の日没までは、「何も行ってはならない」と定められています。いかなる労働も行なってはならず、旅行なども禁止です。
他にもユダヤ人にはさまざまな祝日があり、特別な儀式や祈り、断食をすることなどが決められています。ペサハ(過越祭)、ローシュ・ハッシャーナー(新年)、イォム・キプール(贖罪の日)などが有名です。

6.まとめ

イスラム教やヒンドゥー教、仏教、ユダヤ教だけでも、食習慣や信仰スタイルが大きく異なることをおわかりいただけたでしょうか。
宗教の多様性を考えると、事前に考慮すべきポイントをヒアリングするのも良いかもしれません。技能実習生が思う存分仕事に従事できるように、宗教を考慮した環境を目指してください。

【参考】
東京都多言語メニュー作成支援ウェブサイト『外国人おもてなしポイント』
https://www.menu-tokyo.jp/menu/hospitality/religion.php

以下の記事では、世界三大宗教とヒンズー教の概要について紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
外国人と働く際の基本!「世界三大宗教+ヒンズー教」をざっくり解説

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