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高度人材(高度専門職)ビザ|ポイント計算と永住への道を解説

日本経済の活性化や国際競争力強化のため、国が積極的に受け入れを進めている「高度人材」。その証明となるのが在留資格「高度専門職」です。この資格は、学歴、職歴、年収などを点数化する「高度人材ポイント制」で70点以上を獲得した、専門的な知識や技術を持つ外国人に与えられます。取得者には、永住権申請の要件緩和や配偶者の就労許可など、多くの優遇措置が用意されています。この記事では、「高度専門職とは?」という基本から、複雑なポイント制度の仕組み、具体的な優遇内容、永住への道筋、申請手続き、そして企業が高度人材を受け入れる際のポイントまで、わかりやすく解説します。

CONTENTS

1. 在留資格「高度専門職」とは? 選ばれた高度人材の証明

以下に、在留資格「高度専門職」に関する内容をまとめます。

高度人材とは

「高度人材」とは、日本の産業・経済の国際競争力を高めるため、高度な専門知識や技能を有する外国人を指します。政府はこうした人材を積極的に受け入れるため、優遇措置を伴う在留資格「高度専門職」を設けています。

高度専門職とは

在留資格「高度専門職」は、ポイント制(学歴・年収・職歴・日本語能力など)により一定基準を満たした外国人に対して付与される在留資格です。

主な特徴:

  •   ● 通常の在留資格より優遇された制度設計(複合活動の許可、家族帯同の拡大など)

  •   ● 永住への道が早い(通常10年 → 高度専門職は最短1年)

高度専門職1号の3類型と活動内容

 

区分活動内容主な職種例
① イ:高度学術研究活動大学・研究機関での研究・教育活動大学教授、研究員、特任講師など
② ロ:高度専門・技術活動専門知識・技術を用いた業務システムエンジニア、コンサルタント、金融専門家、製品開発者など
③ ハ:高度経営・管理活動企業や事業の経営・管理業務企業経営者、会社役員、スタートアップCEOなど

高度専門職2号とは?

「高度専門職1号」での活動を3年間以上継続した者が申請できる、より強力な在留資格です。

比較項目高度専門職1号高度専門職2号
在留期間原則5年無期限(実質的な永住)
活動範囲認定された特定活動に限る(イ・ロ・ハのいずれか)イ・ロ・ハいずれの活動も可能、かつほぼ制限なし
家族の在留配偶者の就労可能、両親・家事使用人の帯同条件付き1号と同等、またはそれ以上
永住申請可能時期最短1年(条件あり)不要(事実上、永住に近い)

ポイント制の概要(参考)

項目内容加点例
学歴修士・博士最大30点
年収高ければ高いほど加点最大40点以上
職歴長いほど有利最大15点
日本語能力JLPT N1~N2など最大15点
年齢若年層ほど高得点最大15点

→ 合計70点以上で「高度専門職」として認定可能(制度により条件変動あり)

2. 高度人材ポイント制を徹底解剖:計算方法と70点の壁

以下に、「高度人材ポイント制」の仕組みと計算方法をわかりやすく解説します。

ポイント制とは?

高度専門職の在留資格を得るには、「高度人材ポイント制」により70点以上を取得する必要があります。
これは、外国人の専門性・経験・収入・日本語能力などを客観的に評価し、優遇措置の対象となる人材を選定する制度です。

評価項目と配点(※一部は活動類型によって異なる)

共通項目(イ・ロ・ハ いずれの活動類型にも共通)

項目内容配点例
学歴博士:30点 / 修士:20点 / 学士:10点博士号取得:+30点
職務経験3年以上:5点 / 5年以上:10点 / 7年以上:15点IT業界7年:+15点
年収活動類型により基準異なる(ロ・ハは300万円以上必須)600万円以上:+15点700万円以上:+20点1000万円以上:+40点
年齢30歳未満:15点 / 30~34歳:10点 / 35~39歳:5点29歳:+15点

活動類型ごとの固有項目(一部例)

  •   ● 高度学術研究活動(イ)

    •     ○ 論文発表・特許:1件で+10点(最大20点)

  • 高度専門・技術活動(ロ)

    •     ○ 日本の国家資格保持(例:弁護士、技術士):+5~15点

  •   ● 高度経営・管理活動(ハ)

    •     ○ 経営責任の有無(例:代表取締役):+10点

特別加点項目(ボーナス)

項目内容配点
日本語能力JLPT N1:+15点 / JLPT N2:+10点N1合格者:+15点
特定大学卒業世界ランキング上位大学:+10点東大卒など
成長分野への従事IT・AI・バイオなど成長分野:+5点 
金融・投資運用業関連事業に従事:+5点 
研究実績特許取得、査読論文あり等:+10~20点 

合格ライン:合計70点以上で「高度専門職1号」に認定

  •   ● 取得後、在留期間5年が与えられ、各種優遇措置を受けられます。

  •   ● 3年後に高度専門職2号へ移行可能(無期限・活動制限なし)。

ポイント計算モデル例(活動類型:ロ)

モデルケース:ITエンジニア(32歳・修士号・年収700万円・職歴7年・N2)

項目内容点数
学歴修士号20点
職歴7年15点
年収700万円20点
年齢32歳10点
日本語能力JLPT N210点
成長分野IT分野に従事5点
合計 80点(→合格)

ポイント計算に役立つリンクは下記

出入国在留管理庁「高度人材ポイント制計算表」

3. 高度専門職のメリット:7つの優遇措置を使いこなす

在留資格「高度専門職」は、ポイント制により選ばれた高度人材に対して、通常の在留資格よりも手厚い優遇措置が与えられます。以下、その代表的な7つを紹介します。

優遇①:複合的な在留活動の許容

  •   ● 複数の在留資格にまたがる活動が可能。

  •   ● 例:大学教授(高度学術研究)として教職に就きながら、関連企業の経営にも従事。

  •   ● 通常の在留資格では別途許可が必要な複数活動も、高度専門職では包括的に認められます。

優遇②:在留期間が一律「5年」(高度専門職1号)

  •   ● 初回から最長の在留期間(5年)が付与されます。

  •   ● 他の就労資格では、通常1年~5年の幅があるため、更新頻度の低減・計画的なキャリア形成が可能。

優遇③:永住許可要件の大幅緩和(※最重要)

  •   ● 通常の永住要件(原則10年以上在留)に比べ、高度専門職では

    •     ○ 1号で3年在留 → 永住申請可(ポイント80点未満)

    •     ○ 1号で1年在留 → 永住申請可(ポイント80点以上)

  •   ● → 日本で長期定住・家族の安定生活を目指す場合、大きなメリット。

優遇④:配偶者の就労制限が緩和

  •   ● 通常、配偶者が「就労可能な在留資格」を別途取得するには学歴・職歴要件が必要。

  •   ● 高度専門職の配偶者は、これらを満たさなくても:

    •     ○ 「技術・人文知識・国際業務」や「教育」などの範囲でフルタイム就労可。

  •   ● → 配偶者のキャリア形成や家庭の経済的安定に寄与。

優遇⑤:「親」の帯同が可能(一定条件下)

日本では一般に「親の帯同」は認められていませんが、高度専門職の場合、以下の条件で例外的に可能になります。

要件内容
子の年齢7歳未満の子の養育または妊娠中で介助が必要
年収世帯年収800万円以上
居住親との同居が原則
在留資格「特定活動」の在留資格が付与される

優遇⑥:家事使用人(住み込み等)の帯同も可能(一定条件)

多忙な高度専門職を支える目的で、家事使用人の同伴が認められます。

要件内容
年収世帯年収1000万円以上
雇用条件家事使用人に月額報酬20万円以上
家庭事情小さな子のいる家庭や共働き等で家事支援が必要
手続き事前に在外公館等でビザ申請が必要

優遇⑦:入国・在留手続きの優先処理

高度専門職として認定されると、各種申請が迅速に処理されます。

手続き通常高度専門職
在留資格認定証明書交付申請約1ヶ月~2ヶ月10営業日以内
在留資格変更・更新2週間~1ヶ月原則5営業日以内


このように、「高度専門職」資格は、外国人にとって非常に有利な在留資格であり、企業にとっても人材確保の鍵となります。申請要件や手続きに不安がある場合は、行政書士など専門家への相談が有用です。

4. 【高度人材と永住】最短1年!永住権取得への優遇ルート

ここで、高度専門職として在留する外国人が、日本で永住権(永住許可)を取得するための具体的な条件・流れを解説します。

通常の永住許可要件

一般の外国人が永住許可を得るには、以下のような厳しい条件があります。

  •   ● 原則10年以上日本に継続して在留
     (うち就労資格で5年以上の実績が必要)

  •   ● 素行が善良であること(前科なし、納税・保険等も含む)

  •   ● 独立して生計を立てていること

  •   ● 日本の国益に適合する者であること(公益性や安定性)

高度専門職への優遇:永住要件の期間短縮

高度人材として認定され、「高度専門職」の在留資格で活動している場合、以下のように永住申請までの年数が大幅に短縮されます。

ポイント評価必要な在留期間条件
80点以上1年間 高度専門職として継続在留高得点者への特例
70点以上3年間 高度専門職として継続在留一般的な高度専門職者

※「高度専門職1号」としての継続的な就労実績が必要です。

永住申請時に必要な主な要件(高度人材でも共通)

  1. ポイント計算表の提出

    •     ○ 申請時点で70点または80点以上であることの証明資料を添付。

  2. 素行善良要件

    •     ○ 前科なし、交通違反が少ない、納税・社会保険料納付に問題がないこと。

  3. 独立生計要件

    •     ○ 一定の収入が継続して得られていること(一般的に年収300万~以上が目安)。

  4. 国益適合要件

    •     ○ 公的義務の履行(住民税、年金、健康保険など)。

    •     ○ 公共の福祉に反しないこと。

永住者 vs 高度専門職2号:何が違う?

項目永住者高度専門職2号
在留期間無期限無期限
就労義務なし(自由)就労活動が必要(高度専門職の範囲)
活動制限制限なし高度人材ポイント制度に基づく活動のみ
配偶者・子の扱い帯同可能(原則)1号と同様の制限あり
退去強制の基準より厳格永住者よりやや緩やか
参政権なしなし(いずれも外国籍のため)

補足:「高度専門職2号」になるには、1号として3年間活動し申請する必要があります。

ポイント:永住と高度専門職は「目的」によって選び分ける

目的選ぶべき資格
将来の日本永住・幅広い活動の自由永住者
日本で高度専門職としての就労に特化高度専門職2号

高度専門職として80点以上を獲得していれば、最短1年で永住許可申請が可能です。ただし、在留期間の短縮が認められても、素行・収入・納税など他の永住要件を満たす必要があります。また、永住者と高度専門職2号はいずれも無期限の在留が可能ですが、活動の自由度や退去強制の要件などに違いがあります。
このように、早期に永住を目指す場合は、早い段階でポイントの確認と必要書類の準備を進めることが大切です。

5. 高度専門職ビザの申請・更新手続きステップガイド

ここからは、高度専門職ビザの取得・変更・更新に必要な具体的な手続きの流れと書類を解説します。

申請パターン①:海外から新規来日する場合

  •   ● 手続き名称:在留資格認定証明書交付申請

  •   ● 手続きの流れ:申請書類準備 → 出入国在留管理局へ提出 → 審査 → 認定証明書交付 → 海外でのビザ申請・入国

  •   ● 申請場所:出入国在留管理局

  •   ● 標準処理期間:通常1〜3ヶ月(優先処理あり)

  •   ● 主な必要書類:

    •     ○ 申請書、写真

    •     ○ ポイント計算表および立証資料(学歴、職歴、年収等)

    •     ○ 受入機関関連書類(企業概要、雇用契約書等)

    •     ○ 本人関連書類(パスポートコピー、履歴書等)

申請パターン②:日本国内で他の在留資格から変更する場合

  •   ● 手続き名称:在留資格変更許可申請

  •   ● 手続きの流れ:申請書類準備 → 出入国在留管理局提出 → 審査 → 許可・不許可決定

  •   ● 申請場所:出入国在留管理局

  •   ● 標準処理期間:約1〜3ヶ月(優先処理あり)

  •   ● 主な必要書類:

    •     ○ 申請書、写真

    •     ○ パスポート・在留カード

    •     ○ ポイント計算表、立証資料

申請パターン③:高度専門職1号の在留期間更新

  •   ● 手続き名称:在留期間更新許可申請

  •   ● 申請時期:在留期間満了の3ヶ月前から申請可能

  •   ● 申請場所:出入国在留管理局

  •   ● 標準処理期間:約1ヶ月(優先処理あり)

  •   ● 主な必要書類:

    •     ○ 申請書、写真

    •     ○ パスポート・在留カード

    •     ○ ポイント計算表、立証資料

    •     ○ 納税証明書等(税金・社会保険の支払い証明)

  •   ● 注意点:更新時もポイントの再計算と証明資料の提出が必要。

高度専門職2号への変更申請

  •   ● 対象者:高度専門職1号として3年以上継続して活動した者

  •   ● 手続き概要:在留資格変更許可申請で申請可能

  •   ● 特徴:無期限の在留期間、活動範囲の拡大

オンライン申請の可否

一部の申請はオンラインでの受付が可能だが、書類内容によっては来局が必要な場合もあります。

6. 企業向け:高度人材(高度専門職)の採用・雇用ガイド

最後に、企業が高度人材を採用・雇用する上でのメリット、注意点、必要なサポートについてまとめます。

採用メリットの再確認

  •   ● 優秀な専門知識・技術を持つ人材を確保できる。

  •   ● 多様な視点によるイノベーション促進。

  •   ● 高度専門職ビザの優遇措置により、在留手続きが比較的迅速・円滑。

  •   ● 長期的な定着と安定的な労働力確保が期待できる。

採用プロセスでのポイント

  •   ● 候補者のポイント試算に協力:応募者の高度人材ポイントを把握し、認定要件を満たすか確認。

  •   ● 年収提示の重要性:ポイント計算の中で年収が重要な要素のため、適切な年収設定が必要。

  •   ● 在留資格申請への協力:必要書類の準備や情報提供を迅速に行う体制づくりが求められる。

雇用管理上の注意点

  •   ● 入社時の在留カード確認:資格種類と在留期間を必ず確認し、合法的な就労状態を維持。

  •   ● 待遇の適正維持:年収減額はポイント減少や在留資格変更を招く可能性があるため注意。

  •   ● 活動内容の管理:許可された範囲内の業務に従事させること。

  •   ● 在留期間更新サポート:更新時期の把握と必要書類の準備支援を行う。

  •   ● 転職・退職時の対応:所属機関変更届などの適切な手続きを案内し、トラブル防止。

特別高度人材制度(J-SKIP)との関連性

特別高度専門職は、より手厚い支援や利便性があり、J-SKIP制度との関係性も理解して活用を検討しましょう。

以上、高度人材を採用・雇用することで、優秀な専門知識や技術を持つ人材の確保が可能となり、イノベーションの促進や業務の効率化が期待できます。また、高度専門職ビザの優遇措置により手続きが迅速化され、長期的な定着も見込めるでしょう。
雇用管理では入社後の在留カードの資格・期間確認や、年収の適正維持、許可された活動範囲内での業務従事が求められます。在留期間の更新時には必要書類の準備や手続きサポートが欠かせませんが、転職や退職時の届出案内も重要であり、特別高度人材制度(J-SKIP)との関連性を理解し活用することで、さらに円滑な雇用管理が可能となります。

7. まとめ:高度専門職制度を理解し、キャリアとビジネスに生かす

高度専門職は、日本が求める高度人材を対象にポイント制で認定される優遇された在留資格です。永住許可要件の緩和など多様なメリットを享受できる一方、ポイント計算や申請手続きは複雑で、要件を継続的に満たすことも重要です。企業にとっては優秀な人材を確保する絶好の機会ですが、適切な理解とサポート体制が不可欠です。

ポイント計算や申請の具体的な手順、個別ケースの適合性については、自己判断せず出入国在留管理庁や専門家に相談することをおすすめします。

 

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