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【徹底解説】特定技能2号の試験内容|要件・分野・難易度

在留期間の上限がなく、家族帯同も可能な「特定技能2号」。1号からのステップアップを目指す方にとって、その取得要件である「試験」は大きな関門です。そもそも「どんな試験なの?」「難易度は?」「どう対策すればいい?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、特定技能2号 試験の基本から、対象分野ごとの内容、受験資格、申込方法、効果的な対策、注意点まで詳しく解説していますので、計画的な準備を進め、合格を掴みましょう。

CONTENTS

特定技能2号と移行に必要な「試験」の基本

特定技能2号とは?1号からのステップアップとメリット

特定技能2号は、特定技能制度における上位の在留資格です。特定技能1号修了者などが、熟練した技能レベルで就労するために創設されました。在留期間更新の上限なし、要件次第で家族帯同可能、永住許可申請への道が開けるなどのメリットがあります。

なぜ特定技能2号になるために「試験」が必要なのか?目的と位置づけ

試験は2号に必要な「熟練した技能」の保有を客観的に証明する手段であり、特定技能1号から2号へ移行するための重要な要件です。高度な専門人材であることの公的認定になります。

試験で問われる「熟練した技能」とは?求められるレベル感

2号試験で問われる「熟練した技能」とは、長年の実務経験に裏打ちされた高度な専門性と実践スキルを指します。建設分野で言えば班長クラスが該当し、現場での指導・管理能力が問われます。単純作業ではなく、応用力や判断力が求められるレベル感と考えてください。

特定技能2号の対象分野と分野別「試験」の概要

特定技能2号の対象となる産業分野(※2025年8月最新)

2025年8月現在、特定技能2号の対象となる産業分野は以下の11分野です。

  •   ● 建設

  •   ● 造船・舶用工業

  •   ● ビルクリーニング

  •   ● 工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)

  •   ● 自動車整備

  •   ● 航空

  •   ● 宿泊

  •   ● 農業

  •   ● 漁業

  •   ● 飲食料品製造業

  •   ● 外食業

特定技能1号の全分野が対象ではない点に注意が必要です。

なお、対象分野は今後拡大する可能性があります。最新情報は出入国在留管理庁のホームページに掲載されますので、随時確認してください。

◆出入国在留管理庁ホームページ:https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html

【建設分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

建設分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分(土木、建築、ライフライン・設備)

複数の区分に分かれているため、自身の業務に応じた試験区分を選択する必要があります。各区分の概要は以下の通り。

  •   ● 土木区分

   ○ 複数の作業員を指導しながら、土木施設の新設・改築・維持・修繕作業などに従事し、工程管理を行う

  •   ● 建築区分

   ○ 複数の作業員を指導しながら、建築物の新築・増築・改築・移転・修繕・模様替作業などに従事し、工程管理を行う

  •   ● ライフライン・設備区分

   ○ 複数の作業員を指導しながら、電気通信・ガス・水道・電気その他のライフライン設備の整備設置・変更・修理作業などに従事し、工程管理を行う

求められる技能レベル(班長レベルの実務経験+学科・実技)

複数技能者を指導し工程管理できる「班長」相当の能力と、学科試験・実技試験による評価が行われます。

実務経験要件の詳細(班長経験など)

試験合格とは別に、一定期間の実務経験(班長経験含む)が必要です。

【造船・舶用工業分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

造船・舶用工業分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分(溶接、塗装、鉄工)

以前は「溶接」区分のみが対象でしたが、2023年6月の閣議決定により、全ての区分が対象になりました。各区分の概要は以下の通り。

  •   ● 溶接区分

   ○ 熟練した溶接技能により溶接品質の管理、後輩外国人材への技術指導、溶接工程の効率化や改善提案、複数作業員の指揮・監督を行う

  •   ● 塗装区分

   ○ 船舶塗装に関する専門知識と技能を用いて金属塗装や噴霧塗装作業、複数作業員の指揮・監督を行う

  •   ● 鉄工区分

   ○ 熟練した鉄工技術により金属加工や構造物組み立て、溶接、塗装、鉄工、仕上げなどの業務に従事するほか、複数の作業員を指揮・監督を担う

求められる技能レベルと実務経験要件

指示に基づき自律的に高度な作業ができるレベルが求められます。学科試験と実技試験のほか、一定期間の実務経験が必要です。

【ビルクリーニング分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

ビルクリーニング分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分

区分なし。建築物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場管理および業務計画の作成、進行管理、その他マネジメント業務を行います。

求められる技能レベルと実務経験要件

2年以上の実務経験と学科・実技試験にて評価されます。記述式の問題が含まれるため、高い日本語能力が必要です。

実務経験要件の詳細

技能実習のビルクリーニング作業は実務経験に含まれません。

【工業製品製造業分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)分野で特定技能2号を目指す際の試験です。

試験区分(金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理)

複数の区分に分かれているため、自身の経験やスキルに応じた試験区分を選択する必要があります。各区分の概要は以下の通り。

  •   ● 金属加工区分

   ○ 複数の作業員を指導しながら、素形材製品や産業機械などの製造作業に従事し、工程管理を行う

  •   ● 電気電子機器組立て区分

   ○ 複数の作業員を指導しながら、電気電子機器などの製造、組立作業に従事し、工程管理を行う

  •   ● 金属表面処理区分

   ○ 複数の作業員を指導しながら、表面処理などの作業に従事し、工程管理を行う

求められる技能レベルと実務経験要件

実技試験のみ。学科試験はビジネス・キャリア検定3級を受験します。もしくはこれらの試験に替えて、技能検定1級取得でも可です。いずれのルートも実務経験は3年以上必要です。

【自動車整備分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

自動車整備分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分

区分なし。自動車の日常点検、定期点検整備、特定整備またはこれに付随する電子制御装置整備・板金塗装などの一般的な業務や、他の作業員への指導を行います。

求められる技能レベルと実務経験要件

学科試験と実技試験があり、両方の合格と3年以上の実務経験が必要です 。

実務経験要件の詳細

自動車整備士技能検定2級合格者は実務経験不問です。

【航空分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

航空分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分(空港グランドハンドリング、航空機整備)

2区分あり、それぞれ業務内容や試験内容が異なるため、自身の業務に応じた試験区分を選択します。区分ごとの概要は以下の通り。

  •   ● 空港グランドハンドリング区分

   ○ 指導者やチームリーダーとして工程管理を行いながら、航空機の地上走行支援、手荷物・貨物取扱などの業務に従事する

  •   ● 航空機整備区分

   ○ 自らの判断により、航空機の機体や装備品などの整備業務を行う

求められる技能レベルと実務経験要件

学科試験と実技試験の合格と3年以上の実務経験が必要です。ただし航空機整備区分のみ、航空従事者技能証明を試験の合格に替えることができます。

【宿泊分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

宿泊分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分

区分なし。複数の従業員を指導しながら、旅館やホテルにおけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどの宿泊サービスの提供業務を行います。

求められる技能レベルと実務経験要件

学科試験と実技試験の合格に加え、宿泊施設での2年以上の実務経験が必要です。

実務経験要件の詳細

複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどの業務に満遍なく従事した経験が求められます。

【農業分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

農業分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分(耕種農業、畜産農業)

2区分に分かれ、従事する業務に合わせて選択します。区分概要は以下の通り。

  •   ● 耕種農業区分

   ○ 栽培管理、農産物の集出荷・選別などの農作業およびこれら業務の管理業務

  •   ● 畜産農業区分

   ○ 飼養管理、畜産物の集出荷・選別などの農作業およびこれら業務の管理業務

求められる技能レベルと実務経験要件

学科試験と実技試験があります。実務経験には現場における2年以上の管理経験もしくは3年以上の実務経験が必要です。

【漁業分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

漁業分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分(漁業、養殖業)

2区分あり、自身の業務に合わせて試験区分を選択します。区分概要は以下の通り。

  •   ● 漁業区分

   ○ 漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生確保、操業指揮者補佐、作業員の指導および工程管理など

  •   ● 養殖業区分

   ○ 養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産物の育成管理および収獲(収穫)・処理、安全衛生確保、養殖管理者補佐、作業員の指導および工程管理など

求められる技能レベルと実務経験要件

技能試験(学科+実技)の合格と、日本語能力試験N3以上の取得が必要です。いずれの試験区分も2年以上の現場管理補佐もしくは工程管理者としての経験が求められます。

【飲食料品製造業分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

飲食料品製造業分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分

区分なし。飲食料品(酒類を除く)の製造・加工および安全衛生の確保ならびにそれらの管理業務を行います。

求められる技能レベルと実務経験要件

学科試験と実技試験、2年以上の実務経験で評価されます。

実務経験要件の詳細

複数の作業員を指導しながら、自身も作業を行えるトータル管理能力が必要です。

【外食業分野】特定技能2号評価試験の内容と特徴

外食業分野で特定技能2号を目指す際の必須試験です。

試験区分

区分なし。飲食物管理、接客、店舗管理などの外食業全般および店舗経営に従事します。

求められる技能レベルと実務経験要件

学科+実技の2科目で構成される技能試験の合格と日本語能力試験N3以上の取得が求められます。技能試験の出題は日本語で行われ、漢字にルビは振られません。実務経験は2年以上必要です。

実務経験要件の詳細

副店長やサブマネージャーなど店舗を補佐する者としての経験が求められます。

各分野の試験実施状況と最新情報の確認方法(試験実施機関HPなど)

2025年8月現在の試験実施状況と最新情報の確認方法は以下の通りです。

分野

実施頻度

実施地域

最新情報入手先(試験日程、会場、申込方法など)

建設

毎月

日本(全国)

https://jac-skill.or.jp/exam/(建設技能人材機構HP)

造船・舶用工業

随時

申請者の希望する場所

https://www.classnk.or.jp/hp/ja/authentication/evaluation/index.html(日本海事協会HP)

ビルクリーニング

3カ月ごと

日本(東京・大阪)

https://www.j-bma.or.jp/qualification-training/zairyu(全国ビルメンテナンス協会HP)

工業製品製造業

3~4カ月ごと

日本(全国)

https://www.sswm.go.jp/exam/#information(製造分野特定技能評価試験ポータルサイト)

自動車整備

毎日

日本(全国)および海外(インドネシア、・フィリピンなど多数)

https://www.jaspa.or.jp/mechanic/specific-skill/index.html(日本自動車整備振興会連合会HP)

航空

年1~2回

日本(東京)

https://exam.jaea.or.jp/(日本航空技術協会HP)

宿泊

毎日

日本(全国)

https://caipt.or.jp/(宿泊業技能試験センターHP)

農業

毎月

日本(全国)および海外(タイ・カンボジアなど多数)

https://asat-nca.jp/asat2(全国農業会議所HP)

漁業

毎日

日本(全国)

https://suisankai.or.jp/skill/(大日本水産会HP)

飲食料品製造業

年3回

日本(全国)

https://otaff1.jp/(外国人食品産業技能評価機構HP)

外食業

年3回

日本(全国)

https://otaff1.jp/(外国人食品産業技能評価機構HP)

特定技能2号試験の受験資格と申込方法

受験に必要な主な要件(実務経験年数など、分野により異なる)

受験には各分野で定められた実務経験が必要です。たとえば建設分野では班長経験が必要など、具体的な経験や年数は分野によって異なるものの、一般的には特定技能1号の就労経験が必要なケースが多いでしょう。なお、2号試験において日本語能力は原則合格の要件には入りません。

試験の申込プロセス:誰がどこに申し込むのか?

各分野の所管省庁が委託する試験実施機関ごとに申込方法が異なります。

企業経由での申込が必要な分野について

特定技能2号の試験申し込みは、どの分野も受入れ企業が手続きを行うのが一般的です。

個人での申込が可能な場合

本人など個人が直接申し込める場合は、申請書などの申込書類を用意します。ただし、実務経験証明など企業に提出してもらう書類もあるため、個人だけで申し込みを完了できるケースはほとんどありません。

試験日程・会場の確認方法

試験日程・会場は、各試験実施機関HPで確認可能です。申し込み期限が2〜3週間前に締め切られたり、実務経験証明など企業に作成を依頼する書類があったりするため、早めの情報収集を推奨します。

受験にかかる費用について

受験手数料の目安は15,000円程度です。ただし、40,000円以上する造船・舶用工業(溶接)や2,000円で済む建設などもあります。その他関連費用としてテキスト代や交通費などがかかります。

特定技能2号試験の難易度と合格に向けた対策

各分野の試験の合格率・難易度の傾向

試験の合格率・難易度は分野により大きく異なります。公表されているデータでは、建設が10%〜20%程度、飲食料品製造業が50%超、造船・舶用工業では100%の結果もありました。ただし、全体としては1号試験の一般的な合格率(50〜70%)と比べて難易度は高い傾向があります。

効果的な試験対策:学習方法のポイント

公式テキストや過去問・サンプル問題の活用

各分野の試験実施機関が提供する教材での知識習得と問題演習が基本です。

実務経験を通じた技能の習熟

日々、スキルアップの意識を持ちながら業務に臨み、指導経験を重ねることも重要です。

日本語能力(学科試験対策として)の向上

日本語能力試験の合格が必須でなくても、学科試験は日本語で出題されるため、読解には相応の日本語力が必要です。

講習会や対策講座の利用検討

業界団体や民間企業の対策講座を受講する方法もあります。試験実施機関や関連団体のHPなどから情報を収集するほか、SNSや掲示板などの口コミも参考になるでしょう。

特定技能2号試験に関する注意点

注意点1:実務経験要件の証明と在留期限の関係

2号の在留資格を得るには、試験合格+実務経験の両方が必要です。これは1号の在留期限である5年の内に受験要件を満たせるか判断しなければならないことを意味します。2号受験には1号からの計画的な準備が欠かせません。

注意点2:所属企業との良好な関係構築の重要性(実務経験証明など)

実務経験証明書発行など、試験申し込みには企業の協力が不可欠です。日頃から良好なコミュニケーションを保ち、信頼関係を築いておきましょう。

注意点3:試験合格後の在留資格変更申請について

試験合格=2号取得ではありません。合格後に別途、管轄の出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」を行うことで資格が付与されます。なお、変更申請には2号試験の合格証などが必要です。

まとめ:特定技能2号試験は計画的な準備と対策が鍵

特定技能2号は日本でキャリアアップを目指す重要な選択肢の一つになります。2号移行の要件である試験合格と実務経験をクリアするためには、最新情報の確認と分野ごとの要件理解が必須です。企業側の理解と協力体制を整備し、計画的な実務経験の蓄積と試験対策の両立を図りましょう。

 

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