日本語能力試験(JLPT)N4のレベルとは?|難易度・合格率を解説
2026.02.13
日本語能力試験(JLPT)N4は、在留資格「特定技能」の取得要件であり、外国人採用における重要な判断基準の1つです。しかし、JLPT N4に合格しているからといって、必ずしも現場で問題なくコミュニケーションが取れるとは限りません。試験で測れる能力と、実務で求められる日本語力には一定のギャップが存在します。
本記事では、JLPT N4の日本語レベルや試験内容、難易度、学習時間の目安を整理したうえで、取得によるメリットやN4レベルの人材を採用する際に企業側が注意すべきポイントや受け入れ体制について解説します。
CONTENTS
- 1. 日本語能力試験(JLPT)N4のレベルとは?
- 2. JLPT N4の試験内容と出題傾向
- 3. JLPT N4の難易度・合格率・学習時間の目安
- 4. 日本での就労・キャリアにおけるJLPT N4取得のメリット
- 5. JLPT N4合格に向けた効果的な勉強方法
- 6. JLPT N4レベルの人材を採用する際の注意点と受け入れのポイント
- 7. まとめ:JLPT N4の人材を活かすために企業ができること
1. 日本語能力試験(JLPT)N4のレベルとは?
日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人を対象とした日本語試験で、N1からN5までの5段階でレベル分けされています。N4は「基本的な日本語を理解することができる」レベルに位置づけられ、日本の日本語学校で初級コース(前半)を修了した段階に相当します。つまり、N4は「日本での生活に必要な最低限の日本語力」を示す指標であり、日常生活での簡単な会話や、基本的な文章の理解が可能なレベルです。
なお、JLPTについて詳しく知りたい方は、こちらをご一読ください。
いろんなメリットあり!「日本語能力試験」が外国人にウケるわけ
1.1 JLPT N4の認定基準:基本的な日本語を理解できる
JLPT N4の認定基準は、公式には以下のように定義されています。
- ● 読む能力:基本的な語彙や漢字を使った、日常生活の身近な話題の文章を読み、理解できる
- ● 聞く能力:日常的な場面でややゆっくりと話される会話であれば、内容をほぼ理解できる
N4の学習目安として、語彙数は約1,500語、漢字数は約300字が必要とされています。これは「生活の基本」を支える語彙・漢字の範囲であり、日常生活でよく使う表現を中心に学ぶことになります。
1.2 上位レベル(N1・N2)との違い
N4は「基礎・入門レベル」であり、ビジネスレベルのN1・N2とは大きな差があります。
N1・N2は、ビジネスシーンで必要となる抽象的な表現や、複雑な議論、専門的な文章の理解を含みます。一方でN4は、定型的なやり取りは可能ですが、複雑な話題への対応は困難です。多くの日本語学習者にとって、N4は日本での生活基盤を作るための最初の目標として位置づけられます。
上位レベルの違いについて詳しく知りたい方は、こちらをご一読ください。
日本語能力試験(JLPT)N1・N2とは?レベル別の難易度を解説

2. JLPT N4の試験内容と出題傾向
JLPT N4の試験は「言語知識(文字・語彙)」「言語知識(文法)・読解」「聴解」の3セクションで構成され、すべてマークシート方式の選択問題です。記述式は一切ありません。ここでは、各セクションの出題傾向と対策ポイントを解説します。
2.1 言語知識(文字・語彙)
N4の「文字・語彙」セクションでは、以下のような出題が中心です。
- ● 漢字の読み方・表記
- ● 文脈に適した単語の選択
- ● 類義語の言い換え
- ● 単語の用法(文中で正しく使われているか)
出題される語彙は、日常生活に密着したものが中心で、「住所」「病院」「送る」など、生活の中で必ず使う単語が多く出題されます。また、似た形の漢字や長音・促音(例:「おじさん」と「おじいさん」)の違いを問う問題も多く、漢字の細かな差異に注意が必要です。
2.2 言語知識(文法)・読解
文法・読解では、以下のような問題が出題されます。
- ● 文法形式の判断
- ● 文章の組み立て(並べ替え)
- ● 文章の流れに合った文法の選択
- ● 100字〜450字程度の短文・中文の読解
読解問題の内容は、お知らせ・案内板・手紙など、実生活で目にする媒体からの情報検索問題が中心です。つまり、日常生活の場面で「情報を読み取る力」が求められます。
2.3 聴解(リスニング)
聴解は以下の4パターンで構成されます。
- ● 課題理解(何をすべきか)
- ● ポイント理解
- ● 発話表現
- ● 即時応答
音声スピードはナチュラルスピードよりややゆっくりで、発音もはっきりしています。問題形式としては、イラストなどの視覚情報を組み合わせて解答するタイプが多く、メモを取りながら聞く能力も必要です。

3. JLPT N4の難易度・合格率・学習時間の目安
日本語能力試験(JLPT)は、相対評価ではなく「基準点を超えれば合格」という方式で実施されます。つまり、受験者の中で上位何%だから合格、という仕組みではなく、一定の能力があれば誰でも合格できる試験です。しかしながら、N4は「誰でも合格できる簡単な試験」ではありません。基礎力を着実に身につける必要があり、学習時間を確保して準備することが重要です。ここでは、N4の難易度を数値で示すために、合格率・合格基準・学習時間の目安を解説します。
3.1 過去の試験データにもとづく平均合格率:約30〜45%
近年のデータでは、JLPT N4の合格率は約30〜45%の間で推移しています(参考:2025年 第1回(7月)データ | 過去の試験のデータ | 日本語能力試験 JLPT)。この数値から読み取れるのは、受験者の半数以上が不合格となる回もあるということです。したがって、N4は「初級だから簡単」という認識ではなく、基礎力の定着が必要な試験であると理解する必要があります。また、国内受験者と海外受験者の合格率には大きな差がなく、どの国でも基準点を超えることが求められます。つまり、日本語学習の環境が整っていない場合、合格は決して容易ではないという現実があります。
3.2 合格に必要な総合得点と科目ごとの基準点
JLPT N4の合格基準は、総合点だけでなく科目ごとの基準点を満たす必要があります。
- ● 総合得点:180点満点中、90点以上
- ● 言語知識(文字・語彙・文法)・読解:120点中38点以上
- ● 聴解:60点中19点以上
つまり、総合点が90点以上であっても、どちらかの科目が基準点を下回ると不合格になります。そのため、偏った学習ではなく、バランスよく3セクションを強化することが合格への近道です。特にN4では「聴解」が苦手な学習者が多く、聴解の基準点を下回ることで不合格になるケースが少なくありません。学習の際は、リスニングを軽視せず、問題形式に慣れる練習を積むことが重要です。
3.3 初学者がN4合格に要する学習時間の目安:300〜400時間
JLPT N4に合格するための学習時間の目安は、一般的に300〜400時間とされています。
これは日本語学習が未経験の状態から、基礎的な語彙・文法・聴解を身につけるために必要な時間です。もし既にN5レベル(入門)を取得している場合は、追加で150〜200時間程度の学習が目安になります。つまり、N5の基礎がある場合は、N4への到達は比較的短期間で可能です。例えば、1日1時間の学習を継続した場合、ゼロからスタートすると約1年弱の期間が必要になります。逆に、1日2時間程度の学習時間を確保できれば、半年程度で到達することも可能です。

4. 日本での就労・キャリアにおけるJLPT N4取得のメリット
JLPT N4の合格は、単なる語学力の証明にとどまらず、日本で就労するための公的な資格要件にも直結します。特に、深刻な人手不足が続く産業分野で働くための在留資格「特定技能」の取得において、N4は必須条件となります。そのため、N4取得は「日本で働くための最初の関門」とも言えます。また、N4を取得することで、仕事の基礎を理解する土台ができ、将来的なキャリア形成にもつながります。
4.1 在留資格「特定技能1号」の必須要件を満たせる
在留資格「特定技能1号」を申請するためには、日本語能力試験N4以上(またはJFT-Basic A2レベル)の合格が必須要件の一つです。この日本語要件は、建設、介護、外食業など、特定技能の対象となる全16分野に共通しており、N4合格が就労の前提条件となっています。
特定技能について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご一読ください。
在留資格「特定技能」とは? 技能実習との違いや採用ポイントを解説 – 海外人材タイムス
4.2 アルバイト採用や長期的なキャリア形成の基礎ができる
特定技能ビザ以外でも、N4の合格は「簡単なマニュアルや図解入りの指示書を理解できる」という証明になります。そのため、品出し、清掃、工場作業など、業務フローが決まっている仕事の採用で有利に働くことがあります。さらに、N4の内容を確実に習得することは、将来的にリーダー職や複雑な業務を担うために必要な「N3・N2レベル」へ到達するための土台となります。N4は「日本で働くための入口」であり、次のステップに進むための基礎固めと位置づけることができます。

5. JLPT N4合格に向けた効果的な勉強方法
JLPT N4は「基礎レベル」と言われる一方で、合格率が30〜45%程度で推移していることから、決して簡単な試験ではありません。特に働きながら学習する外国人材にとっては、学習時間の確保が難しいため、反復と習慣化が合格の近道になります。ここでは、N4合格に向けて効果的な勉強方法を「漢字・語彙」「聴解」「過去問」の3つの観点で解説します。
5.1 漢字・語彙の反復と基本文型の習得
N4合格の基本は、頻出漢字・語彙の定着と基本文型の理解です。N4は「日常生活の基本的な会話や文章」を理解できるレベルであるため、まずは語彙の土台を固める必要があります。
毎日の反復が重要
頻出漢字や語彙は、単語帳やアプリを活用し、毎日繰り返し確認することが定着の近道です。特に、仕事で使う言葉が多い場合は、業務に関連する語彙を優先して覚えると効率的です。
文法は「理解」と「例文暗記」
助詞の使い方や動詞の活用(て形、ない形など)は、文法書で論理的に理解することが大切です。しかし、単にルールを覚えるだけでは実践で使えません。例文ごと暗記することで、文脈に沿った使い方をセットで覚えると効果的です。
5.2 聴解対策としての音声教材を活用した練習
N4の聴解は、試験で最も苦手とする人が多いセクションです。その理由は、音声が一度しか流れないことと、会話の内容を瞬時に理解する必要があるからです。
日常的に日本語の音に触れる
日本語の音に慣れるために、YouTubeやアプリなどの音声教材を日常的に聞く習慣をつけましょう。通勤・通学中に流すだけでも、耳が日本語に慣れていきます。
シャドーイングで「聞く力」と「話す力」を同時に鍛える
シャドーイング(音声に続いて発声する練習)は、聞き取り力の向上に加えて、発音やリズムも身につきます。N4の聴解では「似ている音(拗音や促音)」の聞き分けが重要なため、こうした音の違いを重点的に練習することが有効です。
5.3 公式サイトの問題例や過去問を活用した実践練習
本試験の形式に慣れるためには、公式問題例や過去問を使った実践練習が欠かせません。
公式サイトの問題例を活用する
日本語能力試験の公式サイトでは、各レベルの問題例が公開されています。実際の出題形式や聴解音声を事前に体験できるため、試験の雰囲気に慣れることができます。
公式問題集や模擬試験で時間配分を練習
公式問題集や市販の模擬試験を使って、試験時間の配分に慣れておくことが重要です。苦手なセクションを特定し、試験直前はその分野を重点的に復習することで、合格率が上がります。
聴解は「集中力」も必要
聴解問題は一度しか音声が流れないため、一発で聞き取る集中力が求められます。普段から集中して聞く練習を積み重ねることが、合格のカギになります。

6. JLPT N4レベルの人材を採用する際の注意点と受け入れのポイント
N4合格は、特定技能ビザの要件を満たす重要な指標ですが、現場で即戦力として動けることを保証するものではありません。試験の点数だけでは測れない「実践的なコミュニケーション能力」には個人差があり、採用時には慎重な見極めが必要です。ここでは、N4レベルの実態と、企業が準備すべき受け入れ体制について解説します。
6.1 「試験合格」と「会話力」のギャップに注意
JLPTは「話す(スピーキング)」科目がないため、N4合格者でも会話が苦手なケースがあります。例えば「読み書きはできるが、とっさの質問に答えられない」という状況は珍しくありません。そのため、採用面接では資格の有無だけで判断せず、日本語で簡単な質疑応答を行い、実際の運用能力を確認することが重要です。
6.2 現場での指示出しは「やさしい日本語」が必要
N4レベルは、ネイティブの自然な会話を完全に理解できるレベルではありません。
現場の日本人社員は、難しい熟語を避け、短く分かりやすい「やさしい日本語」で話す配慮が求められます。方言や早口、曖昧な指示は伝わらないリスクが高いため、明確な指示出しが不可欠です。
やさしい日本語について詳しく知りたい方は、こちらをご一読ください。
外国人採用のときにも意識したい「やさしい日本語」とは?
6.3 入社後の日本語教育と定着支援が重要
N4は就労のスタートラインに過ぎず、業務を円滑に進めるにはN3以上のレベルアップが望ましいケースが多いようです。特に、専門用語や業界用語はN4の学習範囲に含まれていないため、入社後の教育が必要です。企業側が日本語教育や生活サポートを提供することで、定着率の向上や早期戦力化につながります。「資格を持っているだけで終わらせない」受け入れ体制が、採用成功の鍵になります。
7. まとめ:JLPT N4の人材を活かすために企業ができること
JLPT N4は、特定技能ビザ取得に必要な日本語要件を満たす重要な資格であり、基礎的な日本語理解力の証明になります。しかし、合格=即戦力ではなく、現場での会話力不足や専門用語の理解不足が残るケースが多く、放置するとミスマッチや早期離職につながりかねません。企業がN4人材を戦力化するためには、入社後の継続的な日本語教育や生活面のサポートが不可欠です。特に、業務指示の「やさしい日本語化」や、現場で必要な語彙・表現の定着支援は、定着率向上に直結します。
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