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高齢化が進む農業・林業における外国人材の重要性

日本を人材不足から救う一手、外国人材の活用について、人材業界の課題に向き合い続ける(株)キャムコム 代表取締役 宮林が語ります。


短期集中連載 「日本企業が外国人材に「選ばれる力」を持つために」

第四回 高齢化が進む農業・林業における外国人材の重要性


農業の高齢化と外国人材の導入

農業は日本の食糧供給を担う重要な産業ですが、高齢化が急速に進行しています。2021年の調査によれば、農業における65歳以上の就業者の割合は53.3%に達し、全15業種の中でも最も高い割合を示しています。高齢農業従事者にとって、農作業は身体的に大きな負担となり、廃業に追い込まれるケースも少なくありません。さらに、天候による収入の不安定さや安価な輸入作物との競合が若者の参入を妨げています。

こうした課題に対して、外国人材の導入が一つの解決策となっています。2021年には約38,500人の外国人が農業分野で働いており、その多くは技能実習制度を利用しています。技能実習制度は技術を学ぶためのものであり、給与も発生しますが、2019年に開始された特定技能制度により、より熟練した外国人材の雇用が可能となりました。技能実習から特定技能への移行が進んでおり、コロナ禍の影響を受けた一時的な鈍化を経て、再び増加が予想されています。

成功事例:マジカナファーム

北海道広尾郡大樹町にあるマジカナファームは、外国人材の導入に成功した農業法人の一例です。2014年に6戸の個人農家が共同で設立したこの法人は、現在1350頭の牛を飼育しています。20名のスタッフのうち、11名はベトナムとインドネシアからの技能実習生です。牧場の経営者である坂井正剛氏は、技能実習生を「なくてはならない存在」と位置づけています。実習生は搾乳や牛舎の清掃、牛の飼養管理などの作業を行っており、真剣に取り組んでいます。

住環境の確保や言語の壁など、受け入れには様々な課題がありましたが、2019年には新築の社宅を建設し、冷暖房完備の個室を用意するなど、実習生が快適に生活できる環境を整えました。また、作業手順を撮影した動画に母国語の字幕をつけるなどの工夫を行い、言葉の壁を乗り越えるための取り組みも行っています。実習生の学習をサポートするために勉強会も開催し、丁寧に知識を伝える努力を続けています。

実習生の生活環境と地域の交流

坂井氏の妻であるじゅりさんは、実習生とのコミュニケーションを大切にし、日常的に話しかけたり、スキーや夏祭りなどのイベントを通じて交流を深めています。真冬の気温がマイナス20度に達する大樹町で、実習生が充実した生活を送れるよう、坂井夫妻は実習生を家族の一員として迎え入れています。また、マジカナファームのSNSを通じて、次の期に来る予定の実習生との交流も生まれています。

SNSは外国人材と牧場をつなぐ架け橋となり、町内の外国人材と地域住民との交流も盛んに行われています。地域住民が積極的に実習生に話しかけ、実習生たちが町のお祭りや行事に参加することで、地域に元気が戻ってきています。

JA大樹町の支援と地域とのつながり

JA大樹町は2014年頃から外国人材の受け入れを推奨しており、理事の浅野邦雄氏は、JAが主導して外国人材の採用を進める中、組合長や役員が自らの牧場で実習生を受け入れ、その姿を見せることで普及が進んだとその取り組みの経緯を振り返ります。JA大樹町では、月に一度の日本語教室やレクリエーションを通じて、実習生との交流を深めており、そこで実習生たちは日本語の勉強だけでなく、友人との再会やリフレッシュの機会も得ています。

大樹町の住民も外国人材との交流を楽しんでおり、地域全体で彼らを受け入れる土壌が形成されています。今後も外国人材の受け入れを拡大し、彼らに生きがいややりがいを提供することで、地域との長期的な関係を築いていくことが目指されています。

地域と外国人材の密なつながり

地域住民との交流も重要です。大樹町では、住民が積極的に外国人技能実習生に話しかけ、彼らを町の一員として受け入れる姿勢が見られます。スーパーでの買い物中に話しかけられることも日常的であり、実習生たちが地域に溶け込む手助けとなっています。このような交流が、外国人材にとっての生活の質を向上させるとともに、地域全体の活力を高めています。

大樹町は、外国人材を受け入れる土壌が整っており、今後もさらに多くの外国人材を迎え入れることが期待されています。地域全体が一体となって外国人材を支える姿勢は、他の地域にも模範となるでしょう。坂井氏や浅野氏が強調するように、外国人材との密なつながりを築くことが、今後の農業・林業の持続可能性を高める鍵となります。

大樹町の取り組みは、外国人材活用のロールモデルとなりうるものであり、地域ぐるみでの関わりが重要な要素となっています。外国人材の存在が、地域社会に新たな活力をもたらし、持続可能な農業・林業の発展に寄与することが期待されます。

次回は建設業界で協働を実現している企業をご紹介いたします。

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