外国人労働者とうまくコミュケーションをするコツは?離職率を減らすために
2023.10.26
外国人労働者を採用しても、早期離職してしまうケースは少なくありません。これは日本語能力不足、習慣や文化の違いなどによって、うまくコミュニケーションが取れないことが主な要因となっています。
本記事では、外国人労働者が考えている日本の職場に対する希望や不満などを踏まえて、コミュケーションを円滑にするためのコツや日本語教育法などについて解説します。
CONTENTS
1.外国人労働者が日本で働きたい理由
現在日本では182万2725人の外国人労働者が働いています(令和4年10月末時点)。これほど多くの外国人を受け入れている理由には、少子高齢化などによる人材不足という日本の現状があります。
では、外国人は日本で働くことについて、どこに魅力を感じているのでしょうか? まず考えられるのは、日本型の雇用慣行です。外国人にも日本の住環境は人気があり、長期滞在を希望しているケースは少なくありません。彼らはそのための手段として就業を捉えていることも多く、長期就業を前提とした日本企業の雇用慣行はそうしたニーズにマッチします。
また、日本企業は長期にわたって活躍してもらうために、十分なコストをかけて人材育成を行うことも特徴です。手厚い教育機会を受けながら長期就業に期待できる日本企業に就職することは、日本への長期滞在を目的とする外国人にとって大きなメリットといえます。
2.外国人労働者がなぜ会社に定着しない?
しかし、実際には日本企業に採用されても離職してしまう外国人労働者が後を絶ちません。この理由はどこにあるのでしょうか?
ホワイトカラーで働く外国人300人を対象にアデコ株式会社の行ったアンケート調査「日本で働く外国人の意識調査」では、「男女が平等に扱われていない」(43.3%)、「外国人に対する差別がある」(39.0%)という回答が得られています。
また、「『阿吽の呼吸』といった直接的でないコミュニケーションが煩わしい」(40.0%)、「遠回しな言い方がわかりにくい」(39.0%)、「日本独自の習慣に戸惑ったことがある」(70.3%)といった課題も浮き彫りになっています。
このことから外国人労働者が定着しない理由の根本には、日本企業の多様性への不寛容さとともに、コミュニケーション不足があると推察されます。
3.外国人労働者とうまくコミュケーションを取るコツ
外国人労働者に長く定着してもらうためには、コミュニケーションが重要であることが見えてきました。では、外国人労働者と上手にコミュニケーションを図るコツはあるのでしょうか。ポイントを解説します。
3-1.お互いの異文化を理解する
日本人と海外から訪れる外国人とでは、さまざまなところに文化や価値観の違いが存在します。これは働き方においても同様で、日本人には当たり前のことであっても外国人もそうであるとは限りません。
そのため、日本式の働き方を当然として押し付けるのではなく、外国人労働者の意見も聞いた上で日本式の働き方への理解を求めましょう。
3-2.簡単な日本語を使う
「次の機会に」「また今度」など曖昧な表現やニュアンスの理解が求められる日本語は、世界的に見ても難解な言語です。日本での就労を希望する外国人は一定レベルの日本語能力を有していますが、それでも習熟度には個人差があります。
できるだけ遠回しな表現や曖昧な言葉は避け、正確かつ簡潔な言葉を使うように社内で徹底すると外国人労働者も理解しやすいでしょう。
3-3.ミスを恐れず積極的に会話する
外国人と接する機会が増えているとはいえ、外国人や英語に苦手意識を持つ日本人はまだ多いです。そのため、企業内においても日本人同士のコミュニティーが形成されやすい傾向にあり、外国人労働者が孤立しまうことも珍しくありません。そうした環境は外国人労働者にとって大変居心地が悪く、退職を考えるきっかけにもなりえます。そうならないためにも、業務以外のことでも積極的に話しかけることが大切です。
3-4.ジェスチャーを取り入れる
外国人とコミュニケーションを図る上では、言葉だけではなくジェスチャーを交えることも有効です。たとえば業務でやってほしいことを実演すれば、言葉だけの時と比べてより意図が伝わりやすいと考えられます。ただし、ハンドサインは国によって意味が異なるケースがあるので、注意しましょう。
3-5.わかったふりをしない
外国人労働者に限った話ではありませんが、理解していないのにわかったふりをすることはビジネスにおいて非常に危険な行為です。後に会社にとって大問題に発展する可能性もありますし、理解してもらえないという不信感を与えかねません。
特に外国人労働者と接する時は理解しようとしている姿勢を相手に見せることで、信頼関係も構築しやすくなるはずです。
4.外国人労働者に指導できる日本語教育法
外国人雇用において、日本語能力が高いに越したことはありません。しかし、日本語の習熟度には外国人労働者にとってばらつきがあり、日常会話に問題はなくても業務を行うにはギリギリというケースも考えられます。そのため、採用後も日本語能力が向上するように指導できる体制を構築しておくことが大切です。本項では4つの日本語教育方法を解説します。
4-1.日本語の研修を行う
これは自社で日本語研修を行う方法です。業務時間内に組み込むことで外国人労働者が日本語を勉強する時間を確保できる、日本語学習の進捗や理解度を企業も把握しやすいことなどがメリットして挙げられます。
ただし、ビジネス日本語の指導は専門スキルが必要です。そのため、専用の教材を活用したり、外部から講師を招いたりするといいでしょう。
4-2.日本語学校に通う
近年では外国人労働者向けの日本語学校も増えていますので、採用後に日本語学校に通うよう指導するのもおすすめです。この場合ですが、学校へ通うための時間の融通や費用の一部負担など、外国人労働者の負担が大きくならないように企業のサポート体制を検討しましょう。
4-3.eラーニングを活用する
eラーニングを活用し、独学で学習するという方法もあります。自宅でも行えることから都合に合わせて学習できる半面、外国人労働者のやる気次第と個人に委ねる割合が高くなります。やる気を出してもらうためにも、企業として何かしらのフォロー体制は考えておいたほうがいいでしょう。
4-4.ボランティアの日本語教室を利用する
日本語学校よりも費用面の負担が小さい地方自治体やNPO、国際交流などの団体が運営するボランティアの日本語教室に通ってもらうのも手です。ただし、数自体がまだ多いとはいえないので、自社の近くでボランティア日本語教室が開設されているか事前に調べておくことをおすすめします。
5.まとめ
せっかく外国人を雇用してもすぐに辞められてしまっては、人材不足という課題はいつまでたっても解消できません。外国人雇用は採用するだけではなく、企業に定着してもらってはじめて意味があります。そのために重要なのが外国人労働者とのコミュニケーションです。
企業として外国人労働者とどう接していくべきなのか。採用後も見据えて、外国人労働者に働きやすい、働きたいと思ってもらえる環境を今から考えておきましょう。
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