要注意!監理団体急増で発生する問題とは?適正なサービスや費用の見直し方をご紹介
2021.11.01
2020年、全国の監理団体数は3000団体を超えました。数字だけを見ると少ないと感じる人もいるかもしれません。
しかし、2019年時点で2800団体だったことを考えると、わずか1年で10%増加しているということです。
一方、監理団体数が急増した背景として、ビジネス的な視点から「収益を挙げられそうだから」など、安易な理由で設立する団体が多く見受けられます。監理団体は技能実習生を受け入れてサポートを行う重要な役割を担う組織です。
今回の記事では適正な監理団体の費用や、そのあるべき姿について説明します。この記事を読むことで、監理団体の存在意義を理解できるようになりますので、ぜひご参照ください。
【監理団体が急増したことによる問題】
監理団体に期待される本来の役割を果たさず、利益追求を行う団体が増加したことで数々の問題が生じています。
例えば、監理団体の人手不足や企業に要求する監理費用の高額化、送り出し機関からの賄賂の受け取り、相次ぐ不正、不祥事などの問題が挙げられるでしょう。
もちろん、監理団体の中には費用に見合ったサポートを実施し、受け入れ企業や技能実習生のことを第一に考えているところもありますが、その数はほんの一握りといわれています。
このように責任を持って本来の役割を行う監理団体が埋もれてしまうことで、受け入れ企業や技能実習生にも影響が出ているのです。
【監理団体のサポートや監理費用が正当か判断する方法】
現在、監理団体と契約を結んでいる企業や、これから契約を結ぶ監理団体を探している企業は、監理団体のサポートや監理費用が正当か判断する必要があります。
上記で説明した通り、本来の役割を果たさず、利益追求を目的にしている監理団体が増加しているためです。
以下の点をチェックして、監理団体のサポートや監理費用が適正かどうかを確認してみてください。
■組合の入会費用、実習生の研修費用、各種申請手数料などの本来かかる費用の他に、使途不明な費用が請求されていないか(適正な初期費用は1名あたり20万~25万です)。
■実習生が50万円以上の借金を背負っていないか。
■定期監査時に実習生の社宅を訪問し、注意指導などをしているか。
■企業や実習生の問い合わせ、相談に対して適切に対応しているか。
■技能実習生の失踪はないか。失踪したときにその後の改善などを提示しているか。
■高すぎたり安すぎたりしていないか(基準は月額2万円程度)。
監理団体によってサービスやサポートの質は様々で、監理費用の設定が適正かどうかは一概にいえるものではありません。しかし、監理団体の本来やるべきこと、あるべき姿、存在意義は共通しています。
新型コロナウイルスの影響により、新規入国がない現在、リモート対応を取り入れる監理団体が増加しており、受け入れ企業と監理団体の関係性が希薄になりつつあります。
しかし、新規入国がない現在だからこそ、技能実習制度の運用や監理団体との関係性、費用の見直しなどを行ういい機会なのではないでしょうか。次章で監理団体が本来遂行するべき役割を確認しましょう。
【監理団体本来の役割とは】
そもそも監理団体とは、来日する技能実習生や受け入れ企業へのサポートを行う団体のことです。
技能実習生を受け入れたい企業は監理団体を通して、海外現地の送り出し機関に依頼を行い、面接・研修が完了次第、技能実習生を雇用することになります。その中で監理団体が担う役割は以下の通りです。
① 企業の依頼を受け、送り出し機関と連携して技能実習生を募集する。
② 現地での面接サポートや受入までの各種行政手続き。
③ 受入後、企業が適正な技能実習を行っていることを監査・指導する。
非営利団体である監理団体は、上記のサポートを遂行する役割が期待されています。しかし、監理団体が急増し競争が激化しており、営利目的による「本来受け入れ企業が行うべき業務の代行」などのサービス業化が進んでいるのが現状です。
本来なら「利益の追求」ではなく「技能実習生のサポート」を主眼に置いて活動を実施する必要があります。現在は、本来の役割をきちんと果たし切れていない監理団体が増えてしまっているのです。
それぞれの役割について以下で確認しましょう。
【技能実習生の募集】
監理団体は、送り出し機関を選定し受け入れ企業に変わって求人を行います。
まず、送り出し機関が現地政府に認定されているか確認し、問題のない機関と契約を結ぶ流れです。
契約した送り出し機関に求人募集をかけて、技能実習生を募集します。候補者が集まったら、受け入れ企業と面接を実施します。監理団体は技能実習生をサポートするために、企業との面接に同行することがほとんどです。
【行政手続き関係】
監理団体は、受け入れ企業が技能実習生を迎えるために必要な行政手続きを行います。特に、入国に関しては地方入国管理局への申請や、入国関係の書類作成などの様々な手続きが必要になるため、監理団体のサポートが必要です。
また、企業は技能実習生を受け入れる前に、「技能実習計画」を作成しなくてはいけません。監理団体には、この「技能実習計画」の作成をサポートする役割があります。
技能実習生を保護するための機関、外国人技能実習機構に作成した計画を提出し、認定を受けます。
【技能実習の監査・指導】
監理団体は3ヶ月に1回、受け入れ企業でどのような実習が行われているか監査する役割を担います。労働時間や残業時間などに問題がないか、宿泊施設や生活環境は整っているか、技能実習生の生活を確認するためです。
また、監理団体は技能実習生だけでなく受け入れ企業に対して、職員による指導体制に問題はないか、計画通りに実習が進められているか確認し、月に1回以上の指導を行います。
まとめ
今回の記事では、監理団体との契約を見直したい企業や、契約を結ぶ監理団体を探している企業に向けて、監理団体の本来の役割や、監理団体のサポートや監理費用が正当か判断する方法を解説しました。
監理団体には、来日する技能実習生や受け入れ企業へのサポートを行う役割が期待されています。しかし、監理団体の中には利益追求のために、サービス業化が進んでいることが問題視されています。
監理団体のサポートを利用する前に、サポート内容や監理費用が適正かどうか判断することが大切です。
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