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在留資格「経営・管理」の変更点 —資本金3000万円時代に向けて知っておきたいこと

元入管職員の女性社労士がお届けする
~タイムス大学 外国人雇用のいろは講座11~

プロフィール 石野 明紀葉 先生
熊本大学法学部を卒業後、法務省福岡入国管理局にて外国人の入国・在留審査に従事。その後、地元に戻り、出産・育児を経て鹿児島大学や就労支援施設で事務職や助成金申請業務に携わりながら、行政書士および社会保険労務士の資格を取得。現在は法律事務所での勤務と並行して、あきは社労士・行政書士事務所を運営し、外国人雇用や在留資格に関する労務相談や研修を専門に、企業や個人への法的サポートを提供しています。instagramはこちらから。



先生:今日は、「経営・管理ビザ」――いわゆる起業ビザの新ルールについて一緒に学びましょう。2025年10月16日から、外国人が日本で起業するための在留資格「経営・管理」の基準が大きく変わります。

生徒:えっ、起業のルールが変わるんですか?

先生:はい、特に注目されているのが「資本金要件」の引き上げです。これまでは500万円以上でしたが、新ルールでは3,000万円以上が求められるようになります。

生徒:3,000万円!? かなりハードルが上がる印象ですね…。

先生:たしかに、数字だけを見るとそう感じるかもしれません。ただし、これは“日本で本気でビジネスをしたい人”に向けて、より実態重視の制度に変わったとも言えます。

なぜ今、制度が変わるのか?

先生:今回の見直しには、大きく2つの背景があります。

背景① 諸外国の制度に近づけるため
先生:たとえば、韓国の「貿易経営ビザ」では約3,000万円が基準、アメリカの投資家ビザでも1,500万〜3,000万円が一般的です。これまで日本は「500万円」という比較的低い水準だったため、形だけの申請も一部で見られるようになってしまったんです。

背景② “実態のあるビジネス”かどうかが重視されるように
先生:実際に入管では、「本当にその事業は実現可能なのか?」「事業所はあるのか?」といった実態を確認します。

生徒:つまり、「書類だけ整っていても、ちゃんとした経営ができていなければ通らない」ってことですね。

先生:そのとおり。今後は、“経営者としての覚悟と準備があるか”がより問われるようになります。

これから必要になる4つの新要件

先生:資本金の引き上げ以外にも、新たに求められる要件が3つあります。しっかり押さえておきましょう。

① 日本語能力の要件(N2レベル相当)
先生:本人、または雇用する常勤職員のどちらかが、日本語能力試験N2レベル相当の語学力を持っている必要があります。

生徒:経営者が必ずしも話せなくてもいいんですね?

先生:そう。「日本語でのやり取りを担える体制があるか」がポイントです。

 

②常勤職員の雇用義務化
先生:また、改正前は資本金500万円以上を代替する要件として「常勤職員2人以上」の雇用がありましたが、改正後は資本金等の額に関わらず、1人以上の常勤職員の雇用が必須となります。

③経営者の経歴
先生:申請者は、以下のどちらかを満たす必要があります。
  ● 経営・管理業務の3年以上の実務経験(起業準備活動も含む)
  ● 修士号以上の学位を経営関連分野で取得していること

生徒:経験か学歴のどちらかがあればいいということですね!

④ 事業計画書の「専門家確認」
先生:提出する事業計画書の信頼性については、中小企業診断士・税理士・公認会計士などの専門家による確認が必須になります。

生徒:これは今までなかった仕組みですよね?

先生:はい。事業の実現可能性を第三者が確認する仕組みが加わったことで、計画の質がより問われるようになります。

※すでに「経営・管理」ビザを持っている人への経過措置
先生:すでにこのビザで在留している方には、2028年10月15日までの3年間は経過措置期間となります。

生徒:じゃあ、今すぐ基準を満たしていない人も、しばらくは大丈夫なんですね。

先生:ただし、その間に事業実績や体制を整えることが重要です。将来的な更新に備えて、早めに準備しておくことをおすすめします。

これから起業するなら、今できる準備は?

先生:これから「経営・管理」ビザでの起業を目指す方は、次のような点に注目しましょう。

◎ 実現可能な事業計画と資金計画を練る

専門家のサポートを受けながら、説得力のある事業計画を用意しましょう。

◎ 日本語ができる人材とのネットワーク構築

経営を補佐してくれる常勤スタッフや、パートナー企業との連携がカギになります。

◎ 自分の経歴や学歴を整理しておく

経営経験や学位の証明書類は、申請時の重要な材料になります。

今日の授業のまとめ

● 2025年10月16日から、起業ビザの要件が大幅に変更される。
  資本金要件が500万円 → 3,000万円へ。

● 4つの新要件に注意!
  日本語能力(N2相当)/常勤職員の雇用義務化/経営者の経験や学歴/専門家による事業計画確認

● 今できる準備が未来の在留に直結する。
  実現性の高い事業計画、人材体制、自己経歴の整理がカギ。

● 経過措置は2028年10月まで。
  → 現在の在留者も、将来に備えて対応が必要。

今回のルール変更はこれから日本で起業したい人にとっては、大きな転換点になります。制度内容の変更はありますが、きちんと準備をすれば、より信頼される経営環境が整うとも言えます。焦らず、正確な情報と専門家のサポートを活用して、ステップを踏んでいきましょう。

 

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