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なぜ定着しない?外国人留学生採用の失敗例と改善策

元入管職員の女性社労士がお届けする
~タイムス大学 外国人雇用のいろは講座⑤~

プロフィール 石野 明紀葉 先生
熊本大学法学部を卒業後、法務省福岡入国管理局にて外国人の入国・在留審査に従事。その後、地元に戻り、出産・育児を経て鹿児島大学や就労支援施設で事務職や助成金申請業務に携わりながら、行政書士および社会保険労務士の資格を取得。現在は法律事務所での勤務と並行して、Kiire社会保険労務士事務所を運営し、外国人雇用や在留資格に関する労務相談、障害年金請求を専門に、企業や個人への法的サポートを提供しています。

先生:今日は、外国人留学生の採用後に起こる問題についてお話ししましょう。特に、早期退職やトラブルの原因としてよく見られるのは、給与額の変更や育児休暇が取得できないこと、さらには専門外の部署への異動です。
企業での実際の事例をいくつか紹介するので、一緒に考えてみましょう。



生徒:部署異動でどのような問題が起きるのでしょうか?

先生:一例を挙げてみます。外国人社員が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で通訳や翻訳業務をしていたとしましょう。その場合、その業務内容に合った部署に配置されている限り問題はないのですが、異動先が全く異なる業務、たとえば一般事務の部署に変わると、これが在留資格に合わない「資格外活動」とみなされる可能性があります。

生徒:具体的にどのような問題になるのでしょうか?

先生:資格外活動とみなされると、入管(出入国在留管理庁)から調査を受けることになり、在留期間の更新が不許可となったり、不法就労とみなされたりすることがあります。日本人社員の異動であれば、問題にならないかもしれませんが、外国人の場合は在留資格に合った業務を行っていないと不法就労とみなされ、法的に問題となるわけです。

生徒:なるほど、それは注意が必要ですね。他にも、業務内容が在留資格に適合しているかどうかの確認以外に企業が配慮すべきことがあれば教えてください!



先生:給与額の変更については、労働契約や就業規則に基づき、労使の合意により適正に行われる必要があります。一方的な変更や、正当な理由のない減額はトラブルの原因となりやすいので注意が必要です。
また、育児休業の取得についても、国籍や在留資格にかかわらず、日本の労働基準法や育児・介護休業法などに基づき、すべての社員に対して平等に取り扱うことが求められます。

生徒:企業は、外国人社員が不安なく働ける環境を作るために、細心の注意を払う必要がありますね。

先生:そうですね。異動や待遇の変更については、外国人社員が自分の在留資格や労働条件に問題を感じないよう事前に確認をし、配慮することが大切です。企業側の対応次第で、外国人社員の早期退職やトラブルを防ぐことができますよ。



今日の授業のまとめ
・在留資格にあった業務を行っていないと不法就労となる
同じ社内であっても部署異動により、在留資格と異なる業務に就かせた場合「資格外活動」とみなされる可能性がある。

・外国人も日本人も待遇差をつけてはならない
給与額や育児休暇取得などの労働条件について、差別的な取り扱いや、制度の利用を不当に制限することは法令違反となる可能性がある。

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