【外国人採用の基本】30種類以上ある「在留資格」とは?

外国人が日本の企業で働くためには在留資格が必要です。在留資格は一般的に「就労ビザ」として知られていますが、日本の在留資格制度はどのようなものなのでしょうか?
就労ビザとは?
就労ビザはよく耳にする言葉ですが、実は正式名称ではありません。外国人が日本に入国するためには、必ず在留資格を取得する必要があります。その中で、就労を主目的とした在留資格が慣用的に「就労ビザ」と呼ばれています。
外国人は、日本で行う活動が、在留資格の規定する活動範囲内にあてはまる場合に限り、出入国在留管理庁の許可を取得したうえで、日本で就労することができる仕組みになっています。
在留資格は、日本で行う予定の活動や、身分・地位によって種類が異なります。現在、日本で認められている在留資格は30種類以上ありますが(以下のリストを参照)、その中には制限なく働ける在留資格もあれば、基本的に働くことができないものもあります。それぞれの在留資格は、就労できる活動内容が定められているため、規定に該当しない仕事に従事することはできません。
<就労が目的の在留資格>
- 外交:外国政府の大使、行使、総領事、代表構成員など、およびその家族
- 公用:外国政府の大使、行使、総領事の職員、国際機関などから公の用務で派遣され者など、およびその家族
- 教授:大学教授等
- 芸術:作曲家、画家、著述家
- 宗教:外国の宗教団体から派遣される宣教師など
- 報道:外国の報道機関の記者、カメラマン
- 高度専門職1号:ポイント制による高度人材
- 高度専門職2号:ポイント制による高度人材
- 経営・管理:企業等の経営者・管理者
- 法律・会計業務:弁護士、公認会計士
- 医療:医師、歯科医師、看護師
- 研究:政府関係機関や私企業等の研究者
- 教育:中学校・高等学校等の語学教師等
- 技術・人文知識・国際業務:機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者など
- 企業内転勤:外国の事業所からの転勤者
- 介護:介護福祉士
- 興行:俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手など
- 技能:外国料理の調理、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属加工の職人など
- 特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を要する技能が求められる業務に従事する外国人
- 特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人
- 技能実習1号:技能実習生
- 技能実習2号:技能実習生
- 技能実習3号:技能実習生
- 文化活動:日本文化の研究者
- 短期滞在:観光客、会議参加者など
- 留学:大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校および小学校などの学生・生徒
- 研修:研修生
- 家族滞在:在留外国人が扶養する配偶者・子
- 特定活動:外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者など
- 永住者:法務大臣から永住許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く)
- 日本人配偶者:日本人の配偶者・子・特別養子
- 永住者の配偶者:永住者・特別永住者の配偶者および日本で出生し、引き続き在留している子
- 定住者:第三国定住難民。日経3世、中国残留邦人など
<就労することができない在留資格>
<法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行う在留資格>
<活動に制限がない身分または地位に係る在留資格>
技人国・特定技能・技能実習について
ここからは、在留資格の中で特に多い技人国・特定技能・技能実習について概説します。
1. 技術・人文知識・国際業務(技人国)
日本国内の企業に雇われて仕事する外国人の約9割が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得して働いています。一般的には、技術・人文知識・国際業務の頭文字をとって「技人国」(ぎじんこく)と呼ばれています。技人国ビザの外国人が行う業務は、技術や知識などの専門性が必要。技術・人文知識・国際業務の具体的な内容については次の通りです。
- 技術:理学、工学その他の自然科学の分野に属する知識を要する業務(例、機械工学等の技術者、システムエンジニア)。
- 人文知識:法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を要する業務(例、企画、営業、経理などの事務職)。
- 国際業務:外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務(例、英会話学校などの語学教師、通訳・翻訳、デザイナー)。
技人国ビザを取得するためには、学歴を含め、さまざまな要件を満たす必要があります。外国人の雇用を希望する企業は早めに申請者が条件を満たしているかどうかを確認しておきましょう。
2. 特定技能
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。人手不足が深刻な産業で就労を希望する外国人は、まず同1号を取得します。その在留期間は通算5年。通常、延長は認められておらず、母国へ帰国しなければなりませんが、特定技能2号は在留期間に通算で上限はなく、5年の在留期間を修了しても、技能水準や日本語能力を確認する試験に合格すれば、引き続き日本に在留することができます。
特定技能1号は次の14職種が指定されています。
①介護 ②ビルクリーニング ③素形材産業 ④産業機械製造業 ⑤電子・電子情報関連産業 ⑥建設業 ⑦造船・船舶業 ⑧自動車整備業 ⑨航空業 ⑩宿泊業 ⑪農業 ⑫漁業 ⑬飲食料品製造業 ⑭外食業
特定技能2号で指定されているのは2業種。
①建設業 ②造船・舶用工業
3. 技能実習
技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年)に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度です。この制度は、受入機関のタイプおよび技能実習生の行う活動により、1号・2号・3号に区分されています。
日本の在留資格制度の概要を見てきました。ビザは30種類以上もありますが、外国人の雇用は、この制度について知り、理解することから始まります。
【出典】
出入国在留管理庁『在留資格一覧表』(令和2年9月現在)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/qaq5.html.pdf
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