イスラム教のルール、守るべきか論争に終止符を
“信仰は個人の自由”byムスリム
2026.02.17
みなさん、こんにちは。
教えてタイムスくんのコーナーです。
このところ、外国人雇用の問題などについて語っていますが、知人から「君の話もいいけど、私の話も聞いてくれ」と切実なメールが届きましたので、そのうちのひとつ「ハラル(ハラール)弁当事件」をご紹介したいと思います。
そして、最近SNSで話題になりがちな宗教の問題についても独自目線で深掘ってみます。
ハラル(ハラール)弁当事件
とある職場で、新入社員のランチ会(歓迎会)が催された。
当日の弁当のラインナップは
・トンカツ弁当
・唐揚げ弁当
・焼き魚弁当
メンズの多い部署で、普段ならトンカツか唐揚げ一択なのだが、新入社員の中にインドネシア出身の社員も混じっており、聞くところによると2人ともムスリムとのことで、イスラム教のルールに則り、ハラル(ハラール)も意識して弁当を用意したらしい。
いざ昼食!
みな、ワクワクしながらお弁当が並ぶテーブルに集まった。
「アフマドさん、サミーラさん。お二人からどうぞ〜!お弁当取ったら、お茶のボトルが置いてある、あちらの席へどうぞ」
「ありがとうございます。じゃあ、お先に……」
そう言って、アフマドさんが手にしたのは焼き魚弁当。続いて、サミーラさんが手にしたのはトンカツ弁当。
…へ?!
驚愕する一同の中、先輩が口火を切る。
「えっと…こんなこと聞いていいかわからないんだけど、ムスリムだよね?それ、トンカツだよ。そう、豚、豚肉なんだよ。魚フライとか準備したらよかったかな。ごめんなさいね」
「ありがとうございます。いえ、今日は歓迎ランチでトンカツがあるって聞いてて。実は朝から楽しみにしてたんですよ」
聞けば「気にするときもあるけど、今日はいい日だった」らしい。
“今日はいい”とは?そんなの聞いてねー!ムスリムのみなさんって、ハラルフードしか食べないんちゃうん?
そんなわけで、この日のランチはムスリムの生活習慣の話題で盛り上がったそうだ。
信仰心の強いアフマドさんが、なんちゃんてムスリムのサミーラさんに呆れ返っていたのは言うまでもない。
以上、ハラル(ハラール)弁当事件でした。
信仰の深さはどうやって決まるのか
さて、こうした珍事を見聞きしていると、なんとなく理解はしているものの宗教(イスラム教やイスラム教のルール)って知ってるようで知らないんだな、と実感。
そこで、ムスリムの同僚に“宗教に対する忠誠度”について聞いてみることに。
質問
「信仰の深さってどんなふうに決まるの?」
回答
「家庭環境により左右されるかな」
どうやら、育ってきた環境、両親の言動がそのまま引き継がれるらしい…。
ほうほう、日本人と一緒じゃないですか。
無宗教なりに、仏教や神道を信仰している自覚があるので「宗教を信じているのか?」と聞かれると困るけど、「じゃあ、やらなくていいよね?」と言われると、まあやる。いや、ちゃんとやる!「だって、神様、仏様をないがしろにしたら罰が当たるじゃん」。
——サミーラさん、そんな感覚と似てる?
きっと、1日(朔日)、15日参りを欠かさぬ人たちからみると、なんちゃって神道の私も冷ややかな目で見られているんだろうけど、そのぐらい緩い信仰心でも大丈夫なところが日本らしいとも言えるのか。
続いて、ムスリムにどのようなタイプがいるかも聞いてみましょう!
ムスリムにもタイプがある(ゆる信仰派の意見)
この層は、先ほどの例に近い「基準」や「頻度」が緩い人々。一応、ムスリムという自覚はあるものの、戒律(イスラム教のルール)に対しては努力目標ぐらいの認識でいて、世俗化が進んだ国や都市に住む人々、海外育ちや移民2世3世に多いようす。ちなみに、サミーラさんはまさにこのタイプで、生まれこそインドネシアなもののガッツリ海外育ちの強いて言えばムスリムさんとのことでした。
日本でも地方出身者で「実家では三が日は“仕事をしない・家事をしない・料理をしない”などしてたなー」「玄関にしめ縄は絶対に飾ってた(しかも一夜飾りにならないように)!」と語る人は少なからずいるはず。世俗化が進めば、そうした文化、風習が緩む(なくなる)ってことは、世界的にみてもあるあるなのでしょう。
どういう基準で許容範囲が決まるのか?
では、こうした人々はどういう基準でハラム(宗教的に禁止されている行為や物)を捉えているのか。たとえば、ハラムフードを口にするか否かの判断基準についてはどうなんだろう。
質問
「どんなときにハラムとハラルを使い分けてるの?」
回答
- ● 罪悪感が強い・弱い(性格)ベース
- ● 週または月に1回までのような頻度を設けている
- ● 特別な日はOKとしている
- ● 自国では食べないなど場所を決めている(海外や旅行中はOKなど)
- ● 少量ならOK
- ● 付き合いの場ではOK
- ● 自分で買わなければOK
- ● ベーコンはダメだけどハムはOK
ゆる信仰派の人々の中にも、家族はしっかり信仰しているというパターンもあるようで、その場合「家族の前ではハラムフードを食べないようにしている」とのこと。食べ物に関しては「加工されてれば大丈夫」といった謎ルールを設けている人もいるらしい。本人の中では「完全に破ってるわけじゃない」という納得感があり、戒律をON/OFFではなく摂取量で調整している感じと理解するとよさそうですねー。
その戒律違反をどう思ってるの?
ここで、彼らの正直な声に耳を傾けてみよう。
質問
「ところで、あなたは一応ムスリムだよね?ハラル・ハラムを守らなくていいの?」
回答
「ダメなのは知ってる(罪だとは思ってる)んだけどね……」
「人生ってそんな綺麗事じゃ済まされないじゃない?」
「完璧なムスリムじゃないだけさ」
なるほど、実に人間味あふれる回答。まるで、ご都合主義的に神社にお参りに行く私のよう。
ガチ勢は違反者をどう見てる?
もちろん、敬虔(けいけん)なイスラム教徒の方々からすると、ゆる信仰派は「同じムスリムでも理解できない!」ただ面白いのは、ガチ勢ほど他人を裁かないということ。理由はシンプルで「裁くのは神の仕事」だから。
最後に、イスラム教をもっと知るべく禁止事項について学んでみましょう。特に、共に生活(仕事)をしていると食事の場面で悩むことが多いので、飲食不可のものを知っておくと◯。
イスラム教のルール!禁止行為リスト
信仰・思想(最重要)
- ● 多神崇拝
- ● 偶像崇拝
- ● 神以外を神と同等に崇めること(シャルク)
- ● 神・預言者への冒涜
- ● 宗教を嘲笑・否定する行為
食べてはいけないものリスト
生命の危険がある場合は例外的に許されますが、以下のものを口にしてはいけません。
肉類・動物性食品
- ● 豚肉
- ● 豚由来のすべての製品
- ○ ラード
- ○ ゼラチン(豚由来)
- ○ 豚エキス
- ○ 豚骨スープ
- ○ ラード
飲み物・発酵系
- ● アルコール類すべて
- ○ ビール
- ○ ワイン
- ○ 日本酒
- ○ 焼酎
- ○ ウイスキー など
- ○ ビール
→酔う目的の飲料全般NG
調味料・加工食品
- ● アルコールを含む調味料
- ○ みりん
- ○ 酒
- ○ ワインビネガー(未発酵処理の場合)
→料理の加熱でアルコールが飛ぶと考える人もいるが厳格派はそもそも使わない
- ○ みりん
- ● 豚由来原料を含む調味料・加工品
- ○ スープの素
- ○ カレールウ
- ○ ソーセージ・ハム・加工肉
- ○ お菓子、プリン、ゼリー、ヨーグルト(ゼラチンを含むもの)
- ○ 加工食品の添加物
- ○ スープの素
海産物(※学派差あり)
- ● ウナギ
- ● ナマズ
- ● 貝類・甲殻類
- ○ エビ
- ○ カニ
- ○ イカ
- ○ タコ
- ○ エビ
→スンニ派(人口の約9割を占める)の一部ではOK、ハナフィー派ではNGとする場合があり個人差が大きい
※ハラールとハラームについての補足
- ● 「屠殺(とさつ)」のルール:鶏肉や牛肉であっても、イスラムの法に則った方法(神の名を唱えて頸動脈を切るなど)で処理されていないものは、豚肉と同じく「食べてはいけないもの(ハラーム)」になります。
- ● ゼラチン:「豚由来」だけでなく、「イスラム法に則って処理されていない牛」から取ったゼラチンも厳格な人は避けます。そのため、植物性の寒天(アガー)が代替品としてよく使われます。
- ● 醤油のアルコール:日本の醤油は醸造過程で微量のアルコールが発生するため、ハラール認証を受けた(アルコールを添加しない、または除去した)醤油を選ぶムスリムもいます。
※海産物の学派差
- ● ハナフィー派(主にトルコ、中央アジア、パキスタンなど):「魚の形をしていないもの」を避ける傾向が強く、エビ、カニ、貝、タコなどをNGとする人が多いようです。
- ● シャーフィイー派(主にインドネシア、マレーシアなど): 「海に住んでいるものは基本的に全部OK」という考え方が強く、エビもタコも大好物という人がたくさんいます。
今日のまとめ:「ハラル(ハラール)事件」から見えてきたもの
今回のハラル(ハラール)弁当事件から見えてきたのは「ムスリム=全員ガチガチに戒律厳守」なんてイメージが、実はそういう人ばかりでもないという事実ではないでしょうか。
ムスリムにもガチ勢からゆる勢までフルラインナップが存在していて、その差を分けるのは育った環境や生活スタイル。日本人が「正月はなんとなく神社行くし、でも普段は忘れがち〜」なのとだいたい同じノリな気がしましたね。しかも面白いのは、ガチ勢ほど他人をジャッジしないところ。「裁くのは神の仕事」ってスタンス、強すぎて逆に優しく感じませんか。
宗教問題って聞くと身構えがち。だけど、実際はめちゃくちゃ人間くさいし、適当だし、空気読むし、今日はいい日だからトンカツいっちゃう?なんて日もある。そう考えると、異文化理解って「正解を覚える」だけでなく「個人差があると知る」のが大事なのかも。
とりあえず、困ったら焼き魚!これ、世界共通の正義です(私調べ)。
※本稿は、青山智香・伊能ゆりな&あやめの事件簿に掲出しそびれた事件簿を元に編集しています。過去の記事はこちらからお楽しみください。
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終
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