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交際相手が窓ガラスを割って部屋に侵入してきました
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.16

生活関連

2025.01.31

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.16
交際相手が窓ガラスを割って部屋に侵入してきました

ワタシ、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

彼女に会いたい一心で

━栃木県のとある技能実習生寮でその事件は起こった。



♪ブーブーブー

遠くで呼ばれている気がして目を覚ますと携帯電話が鳴っていた。さっき寝たばかりなのに、と思いつつ起き上がると着信音が止んだ。

「何時なの…、もう朝?」

携帯電話を手に取る。すると画面が光り、再び着信を知らせるバイブレーションが左手をくすぐり始めた。

「……ン?アイユさん……?」

画面が眩しい上に頭も働かない。目を細め、通話ボタンをタップする。

「ゆりなさん!助けて、助けてください!アグスが…彼が……ゆり…(ガサガサガサ、ゴトッ)」

通話画面を最小化し時計を見ると時刻は1時を過ぎたばかり。就寝して2時間も経っておらず夢うつつだった私は、彼女の叫び声にハッとした。
アイユさんはインドネシア人技能実習生で、ついさっき、お昼の面談で、同じ工場で働く彼氏と最近うまくいってないという話をしてくれていた。

……アイユさんが危ない!

瞬時に点と点がつながり、アイユさんに呼びかけてみるが、あちらからは物音しか聞こえない。

(ガザガザガザ………ザザザッ……)

「アイユさん、アイユさん?どうしたの、今どういう状況?」

(ガチャッ…パタパタパタ)

「ゆ、ゆりなさん!逃げました!私、逃げてる…!アグスが窓、割って部屋に入ってきた。血だらけになって…アグス来ない…部屋で叫んでる…!ゆりなさ…」



「え?!窓ガラス割ってって、それ、アグスさんケガしてるんじゃない?」

すると急に電話の主が代わった。

「アフマドです。ゆりなさんですね?物音がしたから、外に出てみたらアイユさんが布団を被って通路を走ってて。ちょっと部屋を見てきます。(アイユさん、私の部屋に入って……はい、ここにいて!)あ、ゆりなさん?また電話しますので…」

「あ、待って、アフマドさん。私も今から準備してそちらに向かうから!」

「わかりました、では」

電話の向こう側でどんな事件が起きているのか想像するしかないが、アフマドさんが間に入ってくれたようで緊急事態を脱したことがわかる。アフマドさんは他の技能実習生より在住歴が長く日本語も堪能で、この栃木の食品加工会社で働くチームのリーダー的存在だ。



私は栃木出張からそのまま明日は福井県へと出張で、栃木市内のビジネスホテルに居た。ここから、彼女らの寮までは車で15分程度。夜道ならもっと早く着けるかもしれない。

急ぎ身支度を整えると駐車場へとダッシュした。

住居侵入・器物損壊

現場に到着したのは、事件から30分後。
アフマドさんの仲裁のおかげで、事態は収まったものの、アイユさんの部屋に入ると奥の方でガラスの破片が散らばり、ドアに向かって何かを引きずったように残る血痕、アイユさんの物と思われる私物が散らかっていた。そして、ベッドの横に震えるアイユさん…。

私の顔を見た途端、泣きだしてしまった彼女の背中をさすり、改めて部屋中を見回すと、キッチンダイニングにある椅子に座るアグスさん、アグスさんの手と足の止血したタオルを交換するアフマドさんの2人が居た。恐らく、アグスさんは自分が割った窓ガラスの破片で怪我をし、血だらけになってしまったのだろう。思いつめたような表情のアグスさんに、どんな言葉をかけようか考えているとアイユさんがとつとつと事の次第を話し始めた。

「私、彼の電話に出なかった。メッセージも無視した。そしたら彼が急に来て、ドアを叩くから怖くなって布団に潜ってた。そしたら今度は窓をドンドン叩く音がして…。気づいたらすごい音がして彼が窓を割って入ってきたのがわかった。だから、逃げた。怖くて。部屋を出たらアフマドさんが出てきたから助けてと言った。あとはわからない。アフマドさんが見たら……彼は…」

すると、アフマドさんが顔についた血痕を拭きながらこちらにやってきた。

「アイユさん、大丈夫ですか?私、ビックリしました。叫ぶみたいな声がして、起きたらガシャンと音がして。泥棒かと思いました。玄関出たらアイユさんが布団を引きずって走ってました。アイユさん、助けて部屋に行ったらアグスさんがガラス片で怪我して血だらけになってました…。私、アグスさんを落ち着かせて怪我の手当をしました」

「ごめんなさい。でも、私、別れたいです。アグスは、私と感覚が合わないです。別れたいと言って、連絡取らなかったら…」

「アグスさんが押しかけてきた?」

「はい…」

要するに、痴情のもつれということだ。
しかし、窓ガラスを割ってまで彼女の部屋に入ってこようとするだなんて、ひと昔前のドラマでもなかなかない状況だ。技能実習生や特定技能外国人のライフサポートの仕事に従事して数年が経つが、周囲でもこんな話は滅多に聞かない。けが人が少なかったのが不幸中の幸い。アフマドさんが居てくれなかったら事態はもっと困窮を極めていただろう。



遠くで聞こえていたサイレンの音がすぐそこで止まり、救急隊員の方々が降りてきた。念のため、軽傷のアフマドさんとアイユさんも診てもらうよう言われ、私も一緒に病院へ向かうことにした。

救急車に乗せられたアグスさん。
後に、彼は自己都合退社したということだった。






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