日本と海外は何が違う? 外国人材が驚く6つのこと
2022.06.17
今度自社で外国人材を採用することになりました。就業に関すること以外にどのようなサポートを行えばいいのでしょうか?
専門家
留学や海外での就労などを経験すると、カルチャーショックに直面する機会が増えます。中には、不安やストレスにつながるケースもあるため、外国人材の採用を考えている企業はメンタルケアに対する理解も深めることが大切です。
CONTENTS
1. 外国人材が直面する生活におけるトラブル
引用:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/surveyofForeigners_3.pdf
株式会社パーソル総合研究所が実施した意識調査によると、外国人が生活を送る上で感じるトラブルには様々なものがあることが明らかになりました。
例えば、「社会保障制度や年金制度のわかりにくさ」、「地域社会との関わりがもてないこと」、「老後の生活の不安」などのトラブルが上位に入っています。
他にも、外国人が相談できる窓口の少なさや、差別・偏見、日本特有のマナーなど、あらゆる場面で生活のしづらさを感じているようです。
多様性は現代ビジネスのキーワードの1つですが、国や社会が異なることから不安や戸惑いは生じます。外国人が働く職場では、そこに気をつけることが大切ですが、どのような問題が考えられるでしょうか?
次章では、コミュニケーション、文化、労働観、医療、災害に分けて見てみます。
2. コミュニケーション
仕事はもちろん、日常生活を送る上で、コミュニケーションは欠かせません。母国語でない言語でやり取りをしている外国人は、コミュニケーションをとる際に困惑することがよくあります
よく外国人が戸惑うことの1つに、日本語の「すみません」があります。これは感謝または謝罪のどちらを意味する言葉なのでしょうか? 日本人は日常のさまざまな場面で「すみません」を使います。その意味は背景に応じて変わりますが、それに対して欧米人は「謝罪」を「自分の非を認める、弱みを見せる」と認識しているので、本当に必要な場面でしか謝る必要はないと考えています。
また、日本は高コンテクスト文化で、「空気を読む」民族ですが、欧米は低コンテクスト文化で、言語による情報伝達を重視します。このようなコミュニケーションスタイルの違いは、ときに伝達ミスや誤解を招きます。
日本語でのやり取りに慣れている場合は、何かを依頼した際に「それは難しいです。」と回答があれば相手の「NO」という意思を汲み取れますが、そうでない場合ははっきりと「私にはできません。」と言わないと意図が伝わりません。
ほのめかす行為は日本特有の文化であることを理解し、お互いに歩み寄る姿勢が重要です。
3. 文化
日本と外国人では価値観が異なります。例えば、次の3つが挙げられます。
•「お客様は神様」
外国人が日本の接客業について驚くのは、「お客様は神様」という考え方です。これは日本のおもてなし文化の根底にありますが、海外ではそうではありません。
お客様に愛想よく応じたり、待たせないようにしたりする行為は、海外では当たり前ではないのです。外国人を接客業などで採用する場合は、ここの部分に対する認識を共有する必要があります。
•仕事とプライベートの混同
昨今では減っているものの、日本の職場はまだ社員や従業員が同じ釜の飯を食うことを大切にしています。仕事が終わった後も同僚と飲みに行ったり、食事をしたりすることで、お互いの理解を深め、一体感を持つ。しかし、これは外国人から見ると仕事とプライベートを混同しています。海外では仕事とプライベートと切り分ける考え方が強いため、飲み会などに誘う際は本人の意思を尊重することが大切です。
•印鑑文化
日本では会社の書類に印鑑(はんこ)を使うことが一般的です。韓国や台湾などでも、日本のような印鑑文化はありますが、対照的に欧米はサイン文化。近年では、紙の削減や在宅勤務の普及とともに、日本人の印鑑に対する見方も変わりつつあります。
4. 労働観
一般的に欧米の企業はジョブ型雇用(特定の仕事に対する遂行能力を持つ人材を雇う)で成果主義を採用しているのに対し、日本人はメンバーシップ型雇用(総合的な技術を持つ人材を雇う)で、目標に到達するまでのプロセスに重きを置き、年齢や協調性、会社への貢献度を評価します。このように労働観が異なるため、外国人と仕事をする場合は、仕事の進め方や役割についてよく話し合い、認識を合わせておくことが重要です。
引用:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/surveyofForeigners_3.pdf
外国人の職場に対する不満として、「給料が上がらない」、「昇進・昇格が遅い」、「給料が安い」などが上位に挙げられます。
ジョブ型雇用であれば給料や昇進・昇格は実力に基づいて評価されますが、日本企業の多くはメンバーシップ型雇用であるため、外国人がこのような不安を感じやすいのです。
このように労働観が異なるため、外国人と仕事をする場合は、仕事の進め方や役割についてよく話し合い、認識を合わせておくことが重要です。
ただ、近年はジョブ型雇用を導入する企業も見受けられるようになり、日本企業の形態も変容しつつあります。
5. 医療
日本の医療機関を利用することに不安を感じている外国人も少なくありません。受付や医師に自分の症状をうまく伝えられないというコミュニケーションの問題が一因とされています。 また、日本の医療機関の利用方法や支払いの仕組みがわかりづらいという指摘もあります。
実際に、先ほど紹介した生活におけるトラブルの調査においても、「病気やケガをしたときの対応」で困ったことがある外国人が18.6%存在することがわかりました。
外国人を雇用する企業は、いざという時のためにも研修などで対応方法などを共有するとよいでしょう。
6. 災害
日本では、よく地震が発生します。地震がない国から来た人にとっては地震そのものが恐怖であることに加え、災害情報や防災標識の中には多言語対応していないものもあるため、災害時にどのような行動を取り、どこに避難するべきかがわからないという外国人もいます。
引用:https://www.soumu.go.jp/main_content/000798092.pdf
一般財団法人ダイバーシティ研究所の資料によると、外国人への災害対応では「ストック情報(災害に対する前提知識)」と「フロー情報(災害時の情報)」が重要になるとされています。
このストック情報が不足していたり、フロー情報が日本語のみで発信されていたりなど、外国人が災害時にトラブルに見舞われるケースも少なくありません。
外国人を雇用する企業は、災害時に備えてストック情報を共有し、どうすればフロー情報を効率的に収集できるかまで、しっかりと指導しておくことが重要です。
言語だけでなく、文化や医療など、外国人が困難を感じる場面は様々であることがわかりました。
専門家
ここで取り上げたことが全てではありませんが、外国人を採用する日本企業はこのような点に注意を払い、外国人の不安を取り除くようにしましょう。
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