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外国人研修生とは|制度の変更と技能実習生との4つの違いを解説

2010年の「技能実習制度」への改正により、従来の制度が抱えていた「実務をともなう研修」の問題が解消され、実務を行う活動は在留資格「技能実習」に一本化されました。

本記事では、研修生と技能実習生の違い、今後の制度変更について、技能実習生を受け入れるメリット・デメリット、外国人材を受け入れるために必要な準備について解説します。

CONTENTS

1. 「外国人研修生」・「技能実習生」の定義と4つの違い

外国人材を受け入れる際、まず正しく理解しておくべきは「研修生」と「技能実習生」の違いです。これらは似ているようで、在留資格・活動内容・法律上の位置づけに大きな差があります。特に、「研修生制度」は事実上廃止され、実務を伴う活動は「技能実習」に一本化されています。在留資格として「研修」は依然存在しますが、一般企業が人材活用を目的に使う「研修生」は過去の概念であり、現場ではほとんど見られません。ここで、研修生と技能実習生の違いを明確にし、企業として正しい理解を持つことが重要です。

1-1. 外国人研修生とは

外国人研修生とは、在留資格「研修」を持つ外国人を指します。研修生の活動目的は、主に技能修得であり、実務を伴わない研修が原則です。そのため、研修生は「労働者」ではなく、給与や労働条件に関する日本の労働法は原則として適用されません。企業が研修生を受け入れる場合も、実務を伴う作業や利益のための労働を行わせることはできません。
従来の研修制度は、技能修得の名目で事実上労働力として利用されるケースが問題視されていました。この問題を是正するため、2010年に「技能実習制度」への制度改正が行われ、実務を伴う研修は技能実習に統合されました。現在、一般企業における研修生の受け入れは非常に限定的です。
参考:在留資格「研修」|ISA
入管法が変わります – 新しい研修・ 技能実習制度|法務省

このように研修生は、あくまで技能の習得を目的とする教育的性格の強い活動であることがポイントです。

1-2. 外国人技能実習生とは

一方、外国人技能実習生とは、在留資格「技能実習」を持つ外国人であり、その目的は「開発途上国等への技能等の移転による国際協力」にあります(技能実習法第1条)。技能実習生は受け入れ企業と雇用契約を結ぶ「労働者」であり、日本の労働法令が適用されます。つまり、研修生とは異なり、実務を伴う業務に従事し、給与も支払われます。
企業にとって重要なのは、技能実習生は国際貢献という目的のもと、計画的に技能習得を行う制度であることです。研修生のように「単なる教育」という枠を超え、実務経験を積みながら長期的に雇用することが前提になっています。参考:技能実習法|厚生労働省
また、詳細は外国人技能実習制度の法律、技能実習法の内容を知っておこうをご確認ください。

1-3. 研修生と技能実習生の4つの違い

研修生と技能実習生は、次の4つの点で明確に区別されます。

  1.   1. 雇用契約の有無

    •     ○ 研修生:雇用契約なし

    •     ○ 技能実習生:受入企業と雇用契約を結ぶ

  2.   2. 労働法の適用

    •     ○ 研修生:適用されない

    •     ○ 技能実習生:労働基準法、労働安全衛生法等が適用

  3.   3. 金銭の支給

    •     ○ 研修生:原則給与なし(交通費・宿泊費等の支給は例外)

    •     ○ 技能実習生:最低賃金以上の給与が必要

  4.   4. 実務の可否

    •     ○ 研修生:実務不可

    •     ○ 技能実習生:計画に基づき実務が可能

さらに、在留期間にも差があります。研修生は最長1年(合理的理由があれば延長可能)ですが、技能実習生は最長5年間の在留が可能で、長期的な人材活用が可能です。

2. 企業が知るべき制度の要点と最新動向

2027年4月頃には、技能実習制度から新しい「育成就労制度」への移行が予定されています。企業が受け入れを検討する際には、現行制度の理解に加え、将来的な移行に備えた対応が求められます。

2-1. 外国人技能実習制度の受け入れ形態

技能実習制度の受け入れ形態は大きく2種類に分かれます。

  1.   1. 団体監理型:監理団体を介して複数企業が実習生を受け入れる方式。安全衛生や生活支援などの管理が団体を通じて行われるため、初めて技能実習生を受け入れる企業に適しています。

  2.   2. 企業単独型:企業が直接技能実習生を受け入れる方式。企業側で全ての管理や指導を行う必要があります。

多くの企業は、管理負担を軽減できる団体監理型を選択しています。また、技能実習生保護の観点から、受け入れる人数には上限が設定されており、過剰な受け入れは認められていません。参考:技能実習制度 運用要領|厚生労働省

2-2. 「技能実習制度」から「育成就労制度」へ

従来の技能実習制度は、本来の国際貢献という目的から逸脱し、人手不足の解消手段として利用されるケースが増え、失踪者数の増加という課題が指摘されました。これを受けて導入されるのが「育成就労制度」です。
育成就労制度では、原則3年で特定技能1号への移行・転籍が可能となるため、企業側は長期的な人材囲い込みが難しくなります。企業は制度変更を見据えて、キャリアパスや人材定着の仕組みを再検討する必要があります。参考:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議|ISA

また、詳細は【新制度】育成就労制度とは?技能実習からの変更点を解説をご確認ください。

3. 技能実習生を受け入れるメリット

技能実習生を受け入れることには、企業にとって具体的なメリットがあります。主に、人材不足解消、コスト削減、求人広告費の削減の3点が挙げられます。

3-1. 人材不足解消

技能実習生は原則として5年間の在留期間が定められており、途中の転職は原則禁止されています。そのため、国内人材に比べ離職率が低く、安定した人材確保につながります。また、技能実習2号修了後は、試験免除で特定技能1号(最長5年)への移行が可能となり、合計最長8年間の長期雇用が期待できます。
詳細は技能実習生は転職不可|特定技能移行で転職できるをご確認ください。

3-2. 人件費抑制効果

技能実習生は最低賃金以上の給与が必要ですが、外国人正社員の平均賃金と比較すると低く抑えられるケースがあります。そのため、人件費のコスト削減に寄与する可能性があります。参考:「令和6年外国人雇用実態調査」の結果を公表します|厚生労働省

3-3. 求人広告費抑制効果

技能実習生は送り出し機関や監理団体を通じて受け入れるため、国内の求人媒体に出稿する費用(2〜4週間で5〜50万円程度)が削減できます。ただし、求人媒体や募集条件によって費用には差が生じる場合があります。

4. 技能実習生を受け入れるデメリット

一方で、受け入れには企業側の負担も存在します。主に3つのデメリットが挙げられます。

4-1. 外部コストがかかる

監理団体への入会金、送り出し機関への費用、渡航費、ビザ申請費用など、初期コストとして50〜100万円/名程度が発生します。さらに、受け入れ後も監理団体への会費(月額3〜5万円/名程度)がランニングコストとして必要です。団体によって費用には差があるため、事前の確認が重要です。

4-2. 受入担当者の育成が必要

技能実習計画に基づいた指導員配置や生活指導員の育成、労働基準法遵守のための社内教育など、受入担当者の育成が必要です。これには人件費や研修費などの内部コストがかかります。
詳細は技能実習計画とは?審査基準や認定までの流れをご確認ください。

4-3. 日本語能力が想定より乏しいことがある

介護職など一部職種では、日本語能力試験(JLPT)N4以上の能力が求められますが、多くの職種では義務付けられていません。そのため、業務指導や安全教育の際に、日本語能力の不足が課題になる場合があります。参考:技能実習「介護」における固有要件について

5. 外国人材を受け入れるために必要な準備

外国人材を受け入れるには、制度理解だけでなくサポート体制の整備も重要です。企業と実習生双方にとって良好な環境を作るためには、以下の準備が求められます。

5-1. OJT体制の確立

OJT開始前に安全衛生教育を実施する義務があり、「安全衛生に関するマニュアル」を翻訳するか、理解しやすい日本語に変換する必要があります。単に技能を教えるだけでなく、理解しやすい日本語で指導できる指導員の教育も重要です。

5-2. 異なる文化・習慣に対する受容性とサポート体制

住居、医療、銀行口座開設など、生活初期の手続きを専任担当者がサポートする体制が求められます。また、宗教や生活習慣に対する理解を社員が示すことで、ハラスメント防止や定着率向上につながります。

5-3. 中長期的な視点で人材を育成する意志

実習生のモチベーション維持には、修了後の特定技能制度への移行を見据えたキャリアパスの提示が重要です。監理団体による監査とは別に、企業側でも定期的に面談を行い、孤立を防ぐ仕組みを作ることが求められます。

6. まとめ|外国人材の安定採用は専門家選びが重要

研修生制度は事実上廃止され、実務を伴う活動は在留資格「技能実習」に一本化されました。在留資格「研修」は依然残りますが、企業が人材活用を目的に使う「研修生」は過去の概念です。外国人材を安定的に採用するには、制度の正しい理解と信頼できる専門家の選定が不可欠です。ぜひ、不明点、お困りごとがあれば海外人材タイムスにお問い合わせください!




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