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【最新】外国人技能実習生とは?制度の仕組み・受入れ方法を解説

 企業の労働力確保や国際貢献に関わる「技能実習生」制度。関心は高いものの、その仕組みや手続きは複雑で、「よく分からない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、技能実習制度の目的や対象職種、受け入れの流れ、監理団体の役割といった基本から、企業側のメリット・デメリット、遵守すべき注意点まで分かりやすく解説。特定技能との違いや、今後の「育成就労」制度への移行についても触れ、制度の正しい理解と適切な判断をサポートします。

CONTENTS

「外国人技能実習生」と「外国人技能実習制度」の基本

技能実習制度の本来の目的:開発途上国等への技能移転と国際貢献

技能実習制度の目的は、日本の技術・知識を途上国へ移転し、その国の経済発展を担う人材を育成する国際協力にあります。しかし実際には、人手不足の解消を目的とした労働力の確保として利用されていることが多く、本来の目的との乖離が問題視されています。

「技能実習生」とはどんな外国人材か?

技能実習制度に基づき、日本で技能や知識などをOJTを通して学ぶために在留する外国人です。1960年代にあった「研修」制度を前身としています。研修制度が海外拠点を持つような大企業しか対象にしなかったのに対し、技能実習制度では中小企業でも外国人材を受け入れられるようになりました。実習生は実習実施企業と雇用契約を結ぶ労働者として扱われるため、労働基準法を始めとする関連法規の保護下に置かれます。

技能実習生の区分(1号・2号・3号)とそれぞれの在留期間について

技能実習には1号・2号・3号の区分があります。

それぞれの特徴は以下の通りです。

 

在留期間(実習年度)

目的

移行に関する注意

技能実習1号

1年(入国初年度)

基礎技能の習得

 

技能実習2号

2年(入国2~3年目)

習熟度を高める

試験合格などが必要

技能実習3号

2年(入国4~5年目)

熟達を目指す

受け入れ企業に優良認定などの要件あり


制度上の在留期間は、1号・2号・3号を合わせ最長5年です。

技能実習の対象となる職種・作業分野一覧

実習内容は、国が定めた「移行対象職種・作業」に該当する必要があります。対象分野は2025年6月時点で91職種168作業です。農業、建設、食品製造、機械・金属などの分野があります。詳細は外国人技能実習機構(OTIT)ウェブサイトにある「移行対象職種情報 |」をご覧ください。


出典)出入国在留管理庁|外国人技能実習制度について

令和5年度「外国人技能実習機構統計」より、技能実習の受け入れ人数が最も多かったのは建設関係の23.6%、次いで食品製造関係が19.6%、機械・金属関係が13.1%でした。

国内における技能実習生の受け入れ人数の現状と推移

出典)出入国在留管理庁|外国人技能実習制度について

 

出入国在留管理庁の発表によると、令和6年の技能実習生在留者数は45万6595人で過去最多となりました。コロナ禍の影響により令和2年以降は減少していたものの、令和4年に再び増加に転じ、現在も増加傾向にあります。

 

出典)出入国在留管理庁|外国人技能実習制度について

国籍別構成比ではベトナム、インドネシア、フィリピンなどが多い傾向です。

外国人技能実習生の受け入れ方法:2つの方式と手続きの流れ

受け入れ方式の種類:「企業単独型」と「団体監理型」の違い

日本の企業などが海外の現地法人、合弁企業、取引先企業の職員を受け入れて実習を実施する方式を「企業単独型」と言います。

【企業単独型の特徴】

  •   ● 企業単独型のメリット:監理費不要、自社ニーズに合った育成が可能

  •   ● 企業単独型のデメリット:自社内に海外拠点などが必要、管理・支援負担が大きい、実施企業は少数

一方、事業協同組合や商工会といった非営利団体(=監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で実習を実施する方式を「団体監理型」と言います。

【団体監理型の特徴】

  •   ● 団体監理型のメリット:海外拠点を要しない、監理団体が煩雑な手続きや入国後講習、監査・指導などをサポートしてくれる

  •   ● 団体監理型のデメリット:監理費が発生する、監理団体の質によるサポートの差が大きい

現状、企業単独型と団体監理型では1:9の比率で大多数の企業が団体監理型を採用しています。

【団体監理型】技能実習生受け入れの基本的なプロセス・流れ

  •   ● Step1: 監理団体への加入と受け入れ相談

技能実習生を受け入れるには監理団体に加入しなければなりません。自社に合った監理団体を選定し、受け入れたい職種や人数、時期などの相談を行います。

  •   ● Step2: 求人申込み・候補者選定(送出機関との連携)

監理団体を通じて、提携する送出機関へ求人情報を提出します。その情報を基に送出機関は候補者の募集・選抜をし、現地またはオンラインにて企業による候補者の書類選考および面接を行います。

  •   ● Step3: 雇用契約の締結と技能実習計画の作成・認定申請

内定者との雇用契約を締結したら、実習内容、目標、期間などを定めた技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)へ申請します。

  •   ● Step4: 在留資格(ビザ)関連の申請手続き

技能実習計画の認定後、地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付を申請します。

  •   ● Step5: 技能実習生の入国準備とビザ(査証)取得

在留資格認定証明書を本人へ送付し、現地の日本大使館・領事館でビザ(査証)を申請・取得します。あわせて航空券手配など渡航準備も始めます。

  •   ● Step6: 入国後講習の受講義務とその内容

入国後は、日本語、日本の生活・文化、法的保護情報、専門知識基礎などについて、一定期間(約1ヶ月)の講習受講が必要です。企業への配属前に実施することが義務付けられており、監理団体が主体となって行うケースが多いでしょう。

  •   ● Step7: 企業への配属、技能実習の開始

講習修了後、受け入れ企業へ配属されます。事前に認定を受けた技能実習計画に基づき、OJT等を通じて実習を開始します。

外国人技能実習制度を支える「監理団体」「送出機関」とは?役割と選び方

監理団体の主な役割:実習実施企業への指導・監査、実習生支援

監理団体の主な役割は、受け入れ企業に対する指導・助言です。具体的には、技能実習計画作成のサポートや定期的な監査を行い計画通りに実習が行われているかなどをチェックします。ほかにも技能実習生からの相談対応、生活指導、入国・帰国支援なども重要な役割です。

監理団体には特定監理事業と一般監理事業の2種類があり、特定監理事業は技能実習1号と2号のみ、一般監理事業は3号まで監理が可能です。

優良な監理団体を見極めるためのチェックポイント

技能実習制度を適切に運用するためには、監理団体の見極めが非常に重要です。最もわかりやすい基準は許可の種類です。一般監理事業は、特定監理事業よりも高い水準をクリアした優良認定を受けています。ほかにも、監理費の内訳に妥当性があるか、人員、対応言語、相談窓口などのサポート体制はどうなっているか、これまでの実績、得意とする職種・国などを確認します。また、行政処分歴の有無も非常に重要です。OTITや厚生労働省のウェブサイトで情報が確認できるため、必ずチェックしておきましょう。

送出機関の主な役割:母国での募集・選抜・日本語教育・送り出し

送出機関の主な役割は、日本で技能実習を希望する人材の募集・選抜です。出国前には日本語教育、日本の文化・習慣に関する事前研修も行います。健康診断の実施や送り出し手続きのサポートもあります。なお、送出機関を選ぶ際は、送出国によって適正であると認定された認定送出機関であることの確認が必要です。

監理団体・送出機関選定における注意点と過去のトラブル事例

監理団体や送出機関の中には、高額な手数料請求や保証金の徴収、虚偽の説明など不適切な行為を行う団体も残念ながら存在します。監理団体と送出機関が癒着する構造的な問題もありますが、万が一、不適切な団体を利用した場合は企業側もダメージを被ることになります。企業側が主体的に情報を収集し、慎重に選定する責任は重大です。

企業が外国人技能実習生を受け入れるメリットとは?

メリット1:若手労働力の確保と計画的な人員体制の構築

国内での採用が難しい若年層の労働力を確保できる可能性があります。また、技能実習計画に基づいた一定期間の就労が見込めるため、計画的な人員体制の構築が可能になります。

メリット2:職場環境の活性化と異文化理解の促進

若い技能実習生の存在が職場に活気をもたらす効果が期待できます。同時に、日本人従業員が異文化に触れ、国際感覚を養う機会が生まれるメリットもあります。

メリット3:既存従業員の指導力・マネジメント能力の向上機会

技能実習生への指導を通じてマネジメント経験を積む機会が創出され、教える側のスキルアップにつながります。

メリット4:(結果として)人件費や採用関連コストの抑制効果も

低賃金自体を目的にすることは制度趣旨に反しますが、技能実習生を受け入れた結果として国内採用より人件費総額を抑えられることがあります。国内の求人広告関連費と比較した場合に監理団体経由での採用の方がコストメリットが高くなる可能性があるためです。

外国人技能実習生受け入れにおけるデメリットと注意すべき点

デメリット1:受け入れ体制の整備と管理業務の負担増

受け入れに際しては職場内から実習指導員と生活指導員を選任・配置する必要があります。また、技能実習生の住居の確保、生活必需品の準備、各種申請・届出書類作成などのサポートも必要です。管理の手間がかかることに加え、監理団体に支払う監理費も毎月発生します。

デメリット2:言語・文化の違いによるコミュニケーション課題

日本語能力レベルには個人差があり、意思疎通が難しいことも課題です。指示の誤解は作業ミスを招きかねず、業種によっては重大な事故につながるリスクがあります。文化・習慣の違いからくる誤解やストレスは外国人、日本人双方にとって負担となります。

デメリット3:技能習熟・日本語能力向上に要する時間と労力

入国直後は即戦力とはならず、一定の教育・育成期間が必要です。また、日本語能力向上のための継続的なサポートも必要になります。

デメリット4:在留期間の制限(最長5年)による定着の難しさ

制度上、原則として技能実習生は最長でも5年で帰国しなければならず、育成しても長期的な戦力としては定着しない可能性があります。ただし、特定技能へ移行するという選択肢は存在しますので、自社の展望に合わせて検討することをおすすめします。

注意点:労働基準法など関連法規の遵守義務

技能実習生も労働者であり、国籍関係なく労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの日本の法規が適用されます。賃金、労働時間、休日、安全衛生管理の面でも日本人と同様の法的保護が必要です。加えて、OTITへの報告義務、技能実習法に基づく義務の遵守もあります。

注意点:人権侵害や不正行為(違約金要求等)の防止徹底

パスポートの取り上げや、強制帰国、違約金・保証金の徴収は違法行為として禁止されています。暴行、脅迫、セクハラ、パワハラなどの人権侵害行為の防止も徹底する必要があります。企業と監理団体双方のコンプライアンス意識が非常に重要です。

比較解説:「技能実習」と「特定技能」はどう違うのか?

制度の目的(技能移転 vs 人手不足解消)

技能実習の目的は「国際貢献としての技術移転」です。一方、特定技能は「国内の人手不足分野への労働力確保」を目的とします。

対象となる職種・業務範囲の相違点

技能実習は移行対象職種、特定技能は特定産業分野に対象職種が限定されています。双方の職種は一部重なるものもありますが、付随業務が含まれるなど特定技能の方がより広範な業務が行えるケースが多いのが特徴です。

在留期間の上限と転職(転籍)の可否

技能実習の在留期間は1号2号3号合わせて最長5年です。原則転職はできません。一方、特定技能は1号で通算5年、また同一分野内であれば転職も可能です。

技能実習から特定技能への移行制度について

技能実習2号を良好に修了した者は、関連分野の特定技能1号へ試験免除で移行が可能です。特定技能への移行は実習生・企業双方にとって有効なキャリアパスの選択肢となり得ます。

外国人技能実習制度の課題と今後の展望(新制度「育成就労」への移行)

現行の技能実習制度が抱える主な課題点(人権、失踪、目的乖離等)

技能実習制度は、国際貢献という目的を掲げながらも実態としては人手不足の補充手段として利用されているケースが多く、本来の目的との乖離が問題視されていました。低賃金や長時間労働、人権侵害、実習生の失踪などの問題も発生しています。また転職制限がキャリア形成の阻害になっている点も改善が必要でした。

新制度「育成就労」創設の背景と目指すもの

新制度となる育成就労では、技能実習制度の問題点を解消し、人材確保と人権保護の両立を目指します。外国人材を育成し、特定技能などへステップアップさせることを主眼に置く新たな制度として期待されています。

育成就労制度の概要と主な変更点(転籍ルール緩和等)

※育成就労制度は2027年の施行を目途に現在も法案審議中の段階です。ここでは現時点で変更が見込まれる点について解説します。

技能実習から育成就労に名称が変わり、実態との乖離が問題視されていた目的は「人材育成」と「人材確保」へと明確化されます。転籍(転職)制限は緩和され、一定の要件下であれば可能、また受け入れ分野と特定技能分野の一致促進によりスムーズな移行を目指します。さらに、監理団体と登録支援機関における役割を見直し、支援体制の強化に努める予定です。

制度移行に向けて企業が準備・検討すべきこと

制度移行まで継続的に最新情報を収集しつつ、育成計画、キャリアパス支援を含めた受け入れ計画の見直しを進めてください。あわせてコンプライアンス体制の強化、人権意識の向上、さらには監理団体との連携強化や情報共有を行い、新制度に即した運用体制を整えておきましょう。

まとめ:外国人技能実習制度を正しく理解し、適切な受け入れと育成を

技能実習生の受け入れにあたっては、制度の目的と仕組みの再確認による正しい理解が欠かせません。受け入れ後は法令遵守と人権尊重を大前提とした適正な運用が求められます。メリットだけでなくデメリットや注意点も理解した上で検討していくことが重要です。育成就労制度への変更を見据え、今後の動向に注視しながら対応準備を進めていきましょう。 

 

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