難民ビザとは?就労の条件と日本の認定率数%の現実を解説
2026.02.18
難民ビザ(特定活動)の定義や就労条件、2024年施行の改正入管法による変更点を解説します。日本の難民認定率は1〜3%程度と極めて低く、安易な申請や雇用にはリスクがともないます。申請の流れや不法就労にならないための注意点をまとめました。
「難民ビザ」という名称の正式な在留資格は日本には存在しません。一般的に難民認定申請中の外国人に付与される「特定活動」がそう呼ばれています。しかし、この制度を正しく理解せずに申請や雇用を行うと、不法就労や強制送還といった重大なリスクに直面します。
特に2024年6月施行の改正入管法により、ルールは厳格化されました。
本記事では、難民認定の認定率や就労条件、最新の法改正についてのデータをもとに解説します。
CONTENTS
- 1. 難民ビザとは「特定活動」のこと
- 2. 日本における難民認定の厳しい現実
- 3. 難民認定申請中の就労可否と条件
- 4. 2024年施行「改正入管法」による3つの変更点
- 5. 難民認定申請の流れと必要書類
- 6. 難民認定された場合に得られる権利と定住者ビザ
- 7. 難民ビザに関するよくある質問(Q&A)
- 8. まとめ|難民申請や雇用は専門家の判断を仰ぐべき
1. 難民ビザとは「特定活動」のこと
日本の入管法には「難民ビザ」という在留資格は存在せず、実務上は「特定活動」が付与される仕組みになっています。また、難民申請を行ったすべての人に在留資格が与えられるわけではありません。本章では、これらの点を踏まえつつ、難民申請制度と在留資格の全体像をわかりやすく解説します。
1.1 正式名称は「特定活動」であり難民ビザは通称
「特定活動」とは、法務大臣が個々に指定する活動を対象とした在留資格です。難民認定申請者に限らず、インターンシップや外交官の家事使用人など、さまざまなケースで利用される、幅広い枠組みとなっています(参考:在留資格「特定活動」 | 出入国在留管理庁)。
このうち、「難民認定申請中」であることを理由に許可される特定活動が、通称として「難民ビザ」と呼ばれます(参考:難民認定制度 | 出入国在留管理庁)。
1.2 在留カードを持てない「仮放免」のケース
オーバーステイ(不法滞在)の状態から難民申請を行った場合などには、在留資格が付与されず、「仮放免」という不安定な地位となることがあります(参考:仮放免制度について | 出入国在留管理庁)。
仮放免者には在留カードが発行されず、原則として就労も認められません。また、国民健康保険に加入できないなど、生活面で厳しい状況に置かれる可能性があります。

2. 日本における難民認定の厳しい現実
「申請すれば誰でも通る」というのは誤解です。日本での難民認定は、極めて狭き門であり、申請者の多くは認定を得られません。ここでは、出入国在留管理庁の最新統計をもとに、申請者数に対する認定数の低さについて数字で解説します。
2.1 申請者数に対する認定率はわずか数%
2024年の難民認定申請者は12,373人、そのうち難民として認定されたのはわずか190人でした(参考:令和6年における難民認定者数等について)。
以下のグラフは、近年の難民申請者数と認定者数の推移を表したものです。認定率は極めて低く、1〜4%程度で推移しています。

※我が国における難民保護の状況等のデータをもとに作成
人道的な配慮で在留が認められたケースもありますが、それらを含めても大半が「不認定」となっている現実があります。
2.2 欧米諸国と比較して極めて低い認定数
では、日本と比較して、欧米諸国の難民認定数はどのようになっているのでしょうか。
参考として、2021年のデータを見ていきます。

※難民認定者数と認定率の世界比較、受け入れ数ランキングや日本の現状 – 国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパンのデータをもとに作成
カナダの難民認定率は55.38%、イギリスは56.56%と、いずれも50%を超えています。他の受入国と比較すると、日本の難民認定数が著しく少ないことが、数字からも明らかです。
この背景として、日本の難民認定審査が他国と比べて厳格である点が指摘されています。特に、「個別に迫害を受けるおそれ」があることを客観的な証拠で示す必要があり、このことが認定のハードルを高くしている一因といわれています。
2.3 就労目的の「偽装難民」対策で審査は厳格化
過去には、「難民申請をすれば一律に就労できる」という運用がなされていた時期があり、就労を目的とした申請、いわゆる「偽装難民」が急増した経緯があります(参考:「難民認定制度に関する検討結果(最終報告)」 | 出入国在留管理庁)。
こうした状況を受け、現在は制度の乱用を防ぐため、申請直後の就労を一律に認めないなど、難民認定制度の運用が厳格化されています。
3. 難民認定申請中の就労可否と条件
難民認定申請中の就労可否は、在留カードだけでは判断できません。ここでは、見分け方の具体例と、違反した場合のリスクについて、申請者だけでなく雇用主の視点も含めて解説します。
3.1 パスポートの「指定書」で就労可否を確認する
在留カードの表面には「特定活動」としか記載されないため、必ずパスポートに貼付される「指定書」を確認する必要があります。
指定書に「就労してはならない」と記載されているか、あるいは具体的な就労活動が許可されているかによって、就労の可否を見分けることができます。
【イメージ】

※詳細は外国人雇用の書類の「指定書」とは?|確認ポイントと注意点をご覧ください。
3.2 就労が認められる「特定活動(6カ月・就労可)」
留学や技能実習などの正規の在留資格で在留していた人が難民認定申請を行い、一定期間経過後に生活維持の必要性が認められた場合、「就労可」の特定活動が付与されることがあります(参考:特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合) | 出入国在留管理庁)。
ただし、在留期間は原則として6カ月ごとの更新となり、その都度、就労可否が再審査されるため、立場は不安定です。
※詳細は在留資格「特定活動」のビザとは?種類・条件・就労制限を徹底解説をご覧ください。
3.3 就労が禁止される「特定活動(就労不可)」
難民認定申請から間もない期間や、過去に申請が却下された経緯がある場合、技能実習からの失踪直後などは、就労が認められないケースが一般的です。
この期間は公的支援を受けられないことも多く、経済的に困窮するリスクが高くなります。
3.4 違反した場合は雇用主にも罰則がある
就労が認められていない申請者を雇用した場合、事業主には「不法就労助長罪」として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されるおそれがあります(参考:不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします。|厚生労働省)。
「知らなかった」では済まされないため、雇用前には在留カードと指定書の内容を必ず確認し、就労可否をダブルチェックすることが重要です。

4. 2024年施行「改正入管法」による3つの変更点
2024年6月10日に施行された改正入管法は難民認定申請者の立場に大きな影響を与えています。本章では、特に「強制送還」に関するルールの変更点を中心に、申請者にとってリスクが高まった点を解説します(参考:入管法等改正法の概要等|出入国在留管理庁)。
※詳細は改正入管難民法を総まとめ|特定技能・育成就労の最新情報をご覧ください。
4.1 3回目以降の申請者は強制送還の対象になる
改正前は、難民認定申請中であれば申請回数にかかわらず強制送還が停止されていましたが、改正後は「3回目以降の申請者」には送還停止効が原則適用されなくなりました(参考:入管法改正案について | 出入国在留管理庁)。
これにより、申請を繰り返して長期在留や就労を続ける手法は通用しなくなっています。
4.2 収容に代わる「監理措置制度」の導入
入管施設への収容に代わり、親族や支援者などの「監理人」の指導・監督の下で社会生活を送る「監理措置」が導入されました(参考:監理措置制度について | 出入国在留管理庁)。
監理人には、対象者の生活状況や各種届出を監督する義務があり、違反があった場合には過料などの制裁が科されます。
4.3 退去命令に従わない場合の罰則強化
退去命令を受けたにもかかわらず出国しない場合、1年以下の懲役などの刑事罰の対象となる規定が新設されました。あわせて、逃亡や送還妨害に対する罰則も強化され、制度の運用はより厳格になっています。
5. 難民認定申請の流れと必要書類
難民認定申請から結果が出るまでの一般的な流れ(1次審査→結果通知→異議申し立て)を、時系列に沿って解説します(参考:フローチャート | 出入国在留管理庁)。
審査期間は案件によって異なりますが、数カ月から数年に及ぶこともあり、長期化するケースが少なくありません。
5.1 申請権者と提出先(地方出入国在留管理局)
申請できるのは日本に上陸している外国人で、住所地を管轄する 地方出入国在留管理局 に本人が申請する必要があります。
原則として本人の出頭が必要ですが、16歳未満や疾病などの事情がある場合は代理人による申請も可能です。
5.2 迫害を証明する資料などの必要書類
難民認定申請書、陳述書、写真のほか、重要な「迫害のおそれ」を客観的に証明する資料が必要です。具体例としては、本国の逮捕状や脅迫状、所属団体の証明書などが挙げられます。
単なる口頭の主張だけでは証拠不十分とされるケースが多く、資料の収集・準備には高いハードルがあります。
5.3 1次審査から結果通知、異議申し立てまでのフロー
難民認定申請後は、1次審査として難民調査官による面接が行われます。審査期間は案件によって異なり、結果が出るまでに数カ月から数年かかる場合もあります。
不認定となった場合でも、「異議申し立て」を行うことは可能です。判断が覆らない場合は、さらに行政訴訟に進むことになります。
6. 難民認定された場合に得られる権利と定住者ビザ
万が一、難民認定を受けた場合にどのような法的地位が得られるのかを見ていきます。認定されると、就労制限がなくなり、健康保険や年金などの社会保障も利用できるため、生活基盤が安定します。
6.1 就労制限のない「定住者」ビザの付与
難民認定を受けると、通常「定住者」の在留資格が付与され、日本人と同様に職種や時間の制限なく就労が可能になります(参考:在留資格「定住者」 | 出入国在留管理庁)。
在留資格は1年〜3年ごとの更新が必要ですが、安定した生活基盤が得られるメリットがあります。
※詳細は「定住者」とは? 永住者との違い、就労制限・取得要件を解説をご覧ください。
6.2 国民年金や児童扶養手当などの社会保障
難民条約にもとづき、日本国民と同じ待遇が保障されるため、国民年金や児童扶養手当、生活保護などの受給資格が得られます。また、自治体によっては、日本語教育や就職斡旋などの定住支援プログラムを利用できる場合もあります(参考:条約難民・補完的保護対象者・第三国定住難民への支援について | 出入国在留管理庁)。
6.3 海外渡航が可能になる「難民旅行証明書」
本国のパスポートは使用できません(使うと迫害の恐れがないとみなされるため)が、日本政府が発行する「難民旅行証明書」を使って海外渡航が可能になります(参考:難民旅行証明書(入管法第61条の2の15) | 出入国在留管理庁)。
これにより、母国以外の国への出張や旅行ができるメリットがあります。

7. 難民ビザに関するよくある質問(Q&A)
難民ビザに関してよくある5つの疑問に、簡潔かつ明確に答え、不安の解消をサポートします。
7.1 Q1. 難民申請中に一時帰国はできますか?
原則として一時帰国はできません。母国へ帰れるということは「迫害の恐れがない」と判断され、申請の取り下げや不認定の理由になる可能性があるためです。
特別な事情がある場合でも、再入国許可を取得することは非常に困難です。
7.2 Q2. 難民申請が不認定になったらどうなりますか?
在留資格「特定活動」の更新が認められず「特定活動(出国準備)」に変更されるか、退去強制手続きに移行します。
例外的に、在留特別許可(人道配慮)を受けられる場合もありますが、ケースは非常に限定的です(参考:「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について」の公表 について | 出入国在留管理庁)。
7.3 Q3. 留学ビザや技能実習から難民ビザへの変更は簡単ですか?
申請自体は可能ですが、本来の在留目的(留学・実習)を放棄したとみなされ、就労許可が下りないケースが多くなります。
安易な申請は、将来的に他のビザ(就労ビザなど)を取得する際に悪影響を及ぼすリスクがあるため注意が必要です。
7.4 Q4. 難民申請中の外国人を雇用する際のリスクは何ですか?
突然の認定棄却により雇用継続が不可能になるリスク、就労不可期間が含まれるリスク、不法就労助長罪に問われるリスクなどが考えられます。
雇用契約書には、在留資格が失効した場合に解雇できる旨の条項を盛り込むことが重要です。
7.5 Q5. 行政書士に依頼するメリットは何ですか?
認定要件に沿った論理的な陳述書の作成支援や、法改正に対応した適切なアドバイスを受けられます。これにより、認定の可能性をわずかでも高められるとともに、複雑な入管手続きを代行してもらうことで、心理的・時間的な負担も軽減できます。
8. まとめ|難民申請や雇用は専門家の判断を仰ぐべき
難民認定制度は極めて複雑です。また、法改正によりリスクも増大しているため、自己判断は推奨しません。特に、不法就労助長罪などの法的リスクを回避するには、最新の法律に精通した専門家のサポートが不可欠です。
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