【最新】留学生アルバイトの雇用ガイド|時間制限・注意点を解説
2025.08.19
コンビニや飲食店で貴重な戦力となっている留学生アルバイト。しかし、その雇用には「資格外活動許可」や「週28時間以内」といった、日本人学生にはない厳格なルールが存在することをご存知でしょうか。これらのルールを正しく理解せずに雇用すると、企業側が「不法就労助長罪」という重い罰則を受けるだけでなく、留学生本人の将来を左右する事態にもなりかねません。
本記事では、留学生をアルバイトで雇用する上で絶対に守るべきルールから、違反時の罰則、そして採用担当者が具体的に何をすべきかまでを網羅的に解説します。トラブルを未然に防ぎ、良い関係を築くためにぜひご一読ください。
CONTENTS
1. 雇用前の大前提:「資格外活動許可」の確認方法
2. 週28時間の壁:留学生アルバイトの時間制限ルール
3. 法律で禁止されている職種(風俗営業など)
4. ルール違反のリスクと罰則
5. 採用担当者がすべき3つの確認・管理ポイント
6. ルールを守ればメリットも!留学生雇用の利点
7. まとめ
1. 雇用前の大前提:「資格外活動許可」の確認方法
1.1 資格外活動許可とは?
日本に在留する留学生は、基本的に「留学」という在留資格で滞在しています。この「留学」資格は、学業を主目的としたものであり、原則として就労(アルバイト)は認められていません。しかし、留学生が日本でアルバイトを行う場合は、必ず事前に出入国在留管理庁から発行される「資格外活動許可」を得る必要があります。
この資格外活動許可は、学業に支障をきたさず、週28時間以内のアルバイトを認める特別な許可であり、無許可で働かせることは不法就労に該当します。したがって、採用前に資格外活動許可の有無を必ず確認することが雇用主の義務となります。
1.2 在留カードのどこを見ればわかる?
資格外活動許可の有無は、留学生が携帯している在留カードの裏面で確認できます。在留カード裏面の下部に「資格外活動許可欄」があり、そこに以下のようなスタンプが押されています。
例:
許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く
このスタンプがある場合、その留学生は資格外活動許可を得ており、アルバイトをすることが認められています。一方で、在留カードの表面には「就労不可」と記載されていることが多いため、必ず裏面の資格外活動許可欄を確認することが重要です。
採用時には以下を必ず確認しましょう。
- ● 在留カードの原本を提示してもらう
- ● 表面で「在留資格:留学」であることを確認する
- ● 裏面の「資格外活動許可欄」に許可スタンプがあるか確認する
この確認を怠ると、不法就労助長罪の対象になるため、細心の注意が必要です。

2. 週28時間の壁:留学生アルバイトの時間制限ルール
2.1 原則:週28時間以内
留学生が資格外活動許可を得てアルバイトをする場合でも、労働時間は法律で厳しく制限されています。具体的には、「1週間につき28時間以内」と定められており、この制限を超えて働くことは認められていません。この28時間には、残業時間も含まれますので、労働時間の合計が28時間を超えないよう注意が必要です。
2.2 例外:長期休暇中は週40時間まで
学校の学則に基づく夏休みや冬休みなどの長期休暇期間中は、労働時間の上限が緩和されます。この期間中は、「1日8時間以内、かつ週40時間以内」まで働くことが可能です。ただし、大学の休講や特別な授業停止日が重なった場合でも、それが学則で定められた正式な長期休暇でなければ、この例外は適用されません。したがって、休暇の種類を正確に把握することが重要です。
2.3 時間計算の注意点
「1週間」の定義は、一般的にイメージされる月曜から日曜までの固定された期間ではなく、「任意の7日間の連続した期間」を指します。つまり、例えば水曜日から次の火曜日までの7日間の労働時間も計算されます。このため、労働時間を週ごとに調整する「変形労働時間制」は、留学生の資格外活動許可における時間管理には適用できません。労働時間はどの7日間を切り取っても28時間(通常時)以内に収める必要があります。

3. 法律で禁止されている職種(風俗営業など)
資格外活動許可があっても、留学生が以下の「風俗営業」や「性風俗関連特殊営業」に該当する職種で働くことは、法律(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律=風営法)で固く禁止されています。
【禁止されている主な職種例】
- ● パチンコ店
ギャンブル性のある遊技場での業務は性質上、風営法の規制対象となります。 - ● 麻雀店
賭博性のあるゲームを扱う店舗も同様に禁止されています。 - ● ゲームセンター
一部のゲームセンターは遊技機の性質や営業時間によって風俗営業に該当する場合があります。 - ● 照度が10ルクス以下のバーや喫茶店
夜間に暗い環境での営業は、風俗営業とみなされるため、留学生の就労は禁止です。 - ● キャバレー
客に接待を行う飲食店で、特に性風俗関連特殊営業に分類されます。 - ● ホスト・ホステスのいる飲食店
接客を伴う飲食店のうち、ホストやホステスがいる店舗も同様に禁止されます。
【法的リスクと罰則】
これらの職種で留学生を働かせることは違法となり、留学生本人だけでなく雇用主も厳しい罰則の対象になります。
具体的には、「出入国管理及び難民認定法」や「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づき、違反した場合には罰金や懲役刑が科されることがあります。雇用主は「不法就労助長罪」に問われる可能性があり、最高で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることもあります。留学生自身も在留資格の取消しや強制送還といった重い処分を受けるリスクがあります。
資格外活動許可があるからといって、これら禁止職種での就労が認められるわけではありません。雇用前に勤務先が上記のような業種に該当しないか十分に確認することが必要です。

4. ルール違反のリスクと罰則
4.1 雇用主側の罰則(不法就労助長罪)
資格外活動許可がない留学生を雇用したり、週28時間の制限を超えて働かせたりした場合、雇用主は「出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の不法就労助長罪」に問われる可能性があります。この罪の罰則は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と非常に重く、悪質な場合は両方が科されることもあります。
過去の判例では、在留カードの確認を怠り不法就労者を雇用した事業主に対して罰金刑が科されたケースもあります。「知らなかった」は免罪理由にならず、在留カードの原本確認を怠った場合でも処罰の対象となるため、必ず正確に確認することが求められます。
4.2 留学生側のペナルティ(在留資格の取消し・強制送還)
ルール違反で就労した留学生は、入管法に基づき、次回の在留期間更新申請が不許可になるリスクが非常に高くなります。さらに、悪質な場合は在留資格の取消し措置が取られ、退去強制(強制送還)が実施されることがあります。強制送還されると、原則として5年間は日本への再入国が禁止されるため、将来的な就学や就労に大きな影響を及ぼします。過去の事例では、不法就労により強制送還された留学生が多数存在しており、その後の再入国が長期間拒否されています。

5. 採用担当者がすべき3つの確認・管理ポイント
留学生を雇用する際には、法令遵守が非常に重要です。違反があれば、留学生本人だけでなく企業側にも重い罰則が科される可能性があります。そこで、採用担当者が必ず行うべき3つのポイントを以下に示します。
5.1 ポイント①:採用時の在留カード確認
- ● 在留カードの原本を必ず提示してもらうことが第一歩です。
- ● 表面を見て、在留資格が「留学」であることを確認します。
- ● 次に裏面を見て、「資格外活動許可」の有無をチェックします。
確認すべき表記の例:
【裏面記載】
資格外活動許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く
これが記載されていなければ、アルバイトはできません。コピーのみの提示や不鮮明な画像などでは確認不十分となるため、必ず原本を見てください。
5.2 ポイント②:掛け持ち(ダブルワーク)の管理
留学生の「週28時間」の労働制限は、すべての勤務先の合計時間に対して適用されます。したがって、自社での労働時間が28時間以内であっても、他のアルバイト先を含めて超過すると不法就労となります。採用時には、他のアルバイト先があるかどうか、勤務時間の目安をヒアリングしておきましょう。
雇用後も定期的に「掛け持ちは変わっていないか?」「勤務時間に無理はないか?」など、コミュニケーションを通じた継続的な確認が必要です。
5.3 ポイント③:入退社時のハローワークへの届出
留学生を雇用・離職させた際は、ハローワークへの「外国人雇用状況届出」が法律で義務付けられています(雇用対策法第28条)。提出期限は以下の通りです。
- ● 雇用:雇用日の属する月の翌月10日まで
- ● 離職:離職日の属する月の翌月10日まで
届出には、在留カード情報や在留資格、雇用形態などの記載が必要です。遅延や未提出は行政指導の対象となるため、速やかに処理する体制を整えておくことが大切です。

6. ルールを守ればメリットも!留学生雇用の利点
留学生の雇用には制限もありますが、適切にルールを守って雇用すれば、企業にとっても多くのメリットがあります。以下の3つの観点で、その利点を紹介します。
メリット①:人手不足の解消
留学生は若くて意欲のある人材が多く、真面目で責任感を持って働く人が多数います。特に、飲食店・小売・コンビニなど人手不足が深刻な業種において、大きな戦力となります。
勤務日数や時間を柔軟に調整できる学生が多く、繁忙期などのスポット対応にも有効です。
メリット②:多言語対応とインバウンド対策
留学生の多くは日本語に加え、自国語や英語を話せるマルチリンガル人材です。外国人観光客が多く訪れる地域では、接客・案内業務において高い価値を発揮します。日本文化に精通している留学生は、外国人顧客へのスムーズなサービス提供にもつながります。
メリット③:職場の活性化
留学生という異文化を持つ人材が職場に加わることで、社員や他の従業員との交流を通じて新しい視点や価値観がもたらされます。ダイバーシティ推進にもつながり、組織全体の雰囲気が明るくなったという企業の声もあります。留学生自身も、働く中で日本語力やマナーを習得し、企業とWin-Winの関係を築けるケースが多いようです。
補足:安心・安全な雇用のために
留学生の雇用は、「法令遵守」と「継続的なサポート」がセットです。採用時のチェック、勤務時間の把握、行政手続きの徹底を行えば、リスクを回避しながら、職場にとって大きな力となる人材を迎えることができます。

7. まとめ
留学生をアルバイトとして雇用する際には、「資格外活動許可」の有無を必ず確認し、「週28時間ルール」を厳守することが、企業としての最低限かつ絶対の責任です。これらのルールに違反すると、留学生本人だけでなく、雇用した企業側も重大な法的リスクを負うことになります。不法就労助長罪に問われたり、留学生が強制送還されるような事態は、企業の社会的信用を著しく損なうだけでなく、本人の将来にも深刻な影響を及ぼします。「知らなかった」「うっかり」は決して言い訳にはならず、採用前の確認と雇用後の継続的な管理体制が不可欠です。しかしながら、ルールをしっかり理解し、適切なサポートと管理を行えば、留学生は企業にとって非常に大きな戦力になります。
人手不足の解消、多言語対応によるインバウンド対策、そして職場の多様性と活気の向上など、留学生ならではの強みはさまざまです。企業が正しい知識を持ち、信頼関係を築く努力を惜しまなければ、留学生と企業の双方にとって実りある雇用関係を築くことができます。
そのためにも、制度や法律の理解を深め、コンプライアンスを徹底することが、これからの人材戦略において重要な鍵となるでしょう。
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