海外の仕事の考え方と日本人との違いは?
2024.05.23
外国人雇用において、外国人社員の仕事の考え方について事前に知っておくことをおすすめします。日本人とは異なる価値観を持った外国人社員と働きやすい職場環境を整備するために、各国の習慣や文化なども含めて理解しておきましょう。
本記事では、外国人と日本人との仕事における考え方の違いについて解説します。
CONTENTS
外国人の仕事の考え方、日本との違い
日本人と外国人では、文化や慣習が異なり、価値観に違いがあることから仕事に対する考え方も異なります。この考え方の違いから、採用後のトラブルに発展してしまう可能性もあります。ここでは、日本人と外国人の違いについて考察します。
時間
日本人は基本的に「時間は守る」ことが常識であり、美徳として認識されています。時間にルーズな人はビジネスシーンではもちろん、日常生活でも評価されません。しかし、日本以外の多くの国は、日本ほど時間に対する意識が厳しくありません。時間を守ることよりも、仕事そのものの内容を評価する傾向にあります。
給料と昇格
変わりつつあるとはいえ、現在も日本企業の多くは、年功序列となっています。業務において若手社員が大きな貢献を果たしたとしても、それが直ちに反映されて先輩社員の収入を超えることは、ほとんどありません。
しかし、海外の場合は年功序列の考えはなく、給料は出来高制であることが多いので、新入社員であっても売り上げに貢献すれば、すぐに給料に反映されます。
雇用スタイル
日本の多くの企業では新卒で社員を採用し、業務内容や勤務地を限定せずに採用するメンバーシップ型雇用が行われています。 一方、諸外国ではジョブ型といわれる雇用がほとんどで、採用時に業務内容が明確に決められます。働く人の能力が給与に反映されるため、高効率・高品質に業務を進めようとする意識が高いといえます。
仕事とプライベート
今でこそ、ハラスメントの観点から日本企業も社員に忠誠心を求めるようなことは減少してきましたが、それでも日本企業では仕事を第一に考える人が多いといえるでしょう。
しかし、多くの外国人が優先するのは家族やプライベートです。家族や自分を犠牲にしてまで会社に尽くすという発想はありません。
国民性
日本では多くの人に意見を求めたり、根回しをしたりして物事を進めていく「集団主義」の傾向があります。
反対に海外では個が尊重される「個人主義」が主流です。自分の考えや意見を通すことが重要視されており、会議などでも自らの考えを主張することは当たり前であり、プレゼンテーションにも長けています。
2.外国人の仕事の考え方を尊重する働き方のコツ
日本人と外国人は、仕事に対するスタンスや考え方に多くの相違部分がありますが、その違いはどちらが「良い」「悪い」といったものではありません。お互いがそれぞれの文化やビジネス上の慣習を理解することで、未然に人間関係の悪化や業務上のトラブルといったマイナス要因を防ぐことができます。
社員の業務内容を明確にする
外国人を雇用する場合は、外国人社員のみならず日本人社員も個々の業務内容を可能な限り明確にするといいでしょう。お互いのポジションを理解して、仕事の進め方や課題を共有すれば、誤解が生じることもありません。
業務内容が曖昧なまま仕事を進めていくと、上司や同僚からの依頼に対して「これは自分の仕事なのだろうか」という不満が生じかねません。
社内コミュニケーションを円滑にする
はっきりと自己主張する外国人社員とのコミュニケーションは、会話が基本です。便利なネットツールが続々と登場していますが、お互いの顔を見て実際に話すことよりも効果のあるコミュニケーションはありません。
また、企業側も社員へのヒアリングなどを通じて、社員間での不和や誤解がないかどうかを把握する必要があります。
目的を共有する
日々の業務を進めていくための情報共有だけでなく、プロジェクトの目指すべき目的や、課題などについても意識を共有できると、よりコミュニケーションも深まります。また、今後のキャリアや人生における目標など、個人的な事柄についても話せるようになれば、さらにお互いの距離は縮まります。
3.日本の会社が見直したい働き方
日本企業が外国人人材を採用する場合、日本と外国の違いを意識し、相互理解を深めることが大切です。しかし、その違いの中には見直すべき部分があることも事実です。とくに令和の時代においては、外国人だけでなく若い世代も、昭和的な会社のあり方を疑問視しています。ここでは日本の会社の改革すべきポイントについて解説します。
残業
海外と比較すると、日本は残業が多いといえます。長らく日本企業では長時間働く人を評価し、残業は美徳と考えられてきました。しかし、海外では残業は仕事ができない人として扱われます。もちろん日本でも残業に対する意識は変わってきていますが、そもそも外国人は残業に肯定的な感覚は持ち合わせていません。
休暇や有休
日本では有給休暇制度はあっても、休みにくいと言われてきました。今でこそ、企業が有休消化を社員に求める風潮となってきましたが、休みを取ると同僚に負担がかかる、人事評価が下がるかもしれない……などと考えてしまう人も少なくありません。
しかし海外では休暇をとることに遠慮する人はいないので、休暇をとりにくい日本の企業風土はナンセンスなものに映るでしょう。
自己主張の方法
海外は個人主義で日本は集団主義の傾向があると前述しましたが、それはつまり、日本人はあまり自己主張しないことを意味しています。誰かの意見に同調し、「空気を読む」ことを優先することに重きをおき、強く主張することが苦手といえるでしょう。
しかし、外国人は意見をしっかりと主張します。外国企業では同僚に対しても上司に対してもフランクに意見を言える環境が整っていますし、何でも言えるからこそ、新しいアイデアが生まれることにもつながります。
飲み会やお付き合い
かつて「飲みニケーション」という言葉があったように、日本の会社は社員同士の飲み会を大切にする文化がありました。しかし、現代の若者が仕事とプライベートを分けて考えるように、海外に飲み会文化はほぼありません。むしろ令和の時代に働く若い世代は、海外の常識に親近感を覚えているかもしれません。
これからの時代は、海外人材のプライベートを重視する考え方に寄り添っていくことが、より求められていくでしょう。
4.仕事の考え方の他に外国人の文化・習慣を知る
外国人の仕事の考え方は、生まれ育った母国の文化や習慣が、その根源となっています。つまり、それぞれの出身国の文化・習慣を理解することがスムーズに仕事を進めることにもつながります。外国人人材の主な出身国の特徴が分かれば、さらにコミュニケーションが促進されます。
フィリピン
フィリピン人は家族をとても大切にします。大家族であることが多いフィリピンでは、家計を支えるために海外へ出稼ぎに行くケースが多く見られます。
また、フィリピン人はホスピタリティがあり、フレンドリーなタイプが多いのも特徴です。そのため比較的コミュニケーションを図りやすいといった側面があります。
インドネシア
インドネシア人は寛容でおおらかな国民性といわれています。フィリピン人と同様にフレンドリーな気質で、コミュニケーションを図るうえではあまり問題がないでしょう。
日本文化との大きな違いは、多くの人がイスラム教を信仰していることが挙げられます。
豚肉やアルコール類を食すことが禁じられているなど、飲食を含むイスラム教の教義や慣習に注意が必要です。
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ネパール
家族を大切にする文化はネパールでも同様です。かつてはカースト制度があったため、親族だけでなく同じカーストに属する人への仲間意識が強い傾向にあります。また、年長者を敬う文化があるので、年功序列の日本企業とは相性が良いといえるでしょう。
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ベトナム
ベトナム人も家族を大切にする傾向があります。家族のイベントや病気などのトラブルがあれば、仕事を休むこともためらいません。ベトナム人を雇用する際は、家族に関わるイベントなどに配慮することで、職場に摩擦が生じないようにする必要があります。
なお、ベトナム人は一般的に仕事そのものには誠実に対応し、勤勉さや器用さを持ち合わせているのも特徴です。
アメリカ
さまざまなルーツを持つアメリカ人は、YES/NOをはっきりと主張することからみても、とてもプライドが高いことが特徴です。
多くの民族が共存しているため、競争が激しい社会であることも、強い自尊心が育まれる背景となっています。
また、アメリカ人は仕事においてスペシャリストを求め、専門分野でのスキルアップを求める傾向があります。
ドイツ
ドイツ人と日本人は、その性質が似ているといわれています。時間やルールを厳守する点や組織を重視する点など、多くの類似点があります。しかし、仕事やライフスタイルに対して全く同じ感覚を持っているわけではありません。
例えば個人の意思を尊重する考え方は、他の多くの国と同様です。ただしディスカッションする際も感情的になることはなく、常に論理的に話を進めるなどの特徴があります。
まとめ
日本人と外国人では、さまざまなシーンで仕事に対する考え方の違いが現れます。時間に対する感覚や明確な自己主張に、日本人社員との摩擦が生じてしまうかもしれません。しかし、外国人も悪気があってのふるまいではないことを理解すべきです。それぞれの国の文化や習慣に配慮するとともに、日本の文化や習慣を理解してもらうことが円滑なコミュニケーションを育み、スムーズに仕事を進めることにつながります。
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