外国人アルバイトを採用できる在留資格の解説
2023.11.02
外国人アルバイトを採用する際は、取得している在留資格について確認しましょう。在留資格で定められている活動範囲や労働時間のルールは採用のポイントとなります。
本記事では、外国人アルバイトを採用できる在留資格について解説していきます。
1.外国人がアルバイトできる在留資格とは?
日本での就労が認められた在留資格は複数ありますが、在留資格「技術」がコンピューター技師や自動車設計技師などに限定されるように、在留資格ごとに就労の制限があります。そして、アルバイトが可能な主な在留資格は、以下の7種類となります。
1-1.身分系在留資格
身分系在留資格とは「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」を指します。これらの在留資格は就労制限がないので、アルバイトでの雇用が可能です。
「永住者」は日本の永住権を取得した外国人、「日本人の配偶者等」は日本人と結婚している外国人、「永住者の配偶者等」は永住者と結婚している外国人、「定住者」は子どもの頃に連れ子として来日した外国人や日系ブラジル人などです。
1-2.在留資格「留学」
在留資格「留学」は、日本の大学や専門学校などの教育機関で学ぶことを目的としているので就労不可に分類されますが、「資格外活動許可」を得ることで、週28時間以内のアルバイト(夏休みなど長期休業中は1日8時間、週40時間以内)が可能となります。資格外活動許可申請は、留学生自身が出入国在留管理局で行う必要があります。
1-3.在留資格「家族滞在」
「家族滞在」は、日本で就労している外国人や外国人留学生の扶養を受ける配偶者・子どもが取得している在留資格です。在留資格「留学」と同様に、あらかじめ出入国在留管理局に資格外活動許可申請を行い、許可を得ていればアルバイトとして採用できます(週28時間以内)。
1-4.在留資格「特定活動」
在留資格「特定活動」は、インターンシップで来日した外国人、アマチュアスポーツ選手、ボランティアに携わる人、医療行為を受ける人など、さまざまな外国人が対象となります。その中でもアルバイトが可能かどうかは、どのような内容の特定活動であるかが重要です。
たとえばワーキングホリデーのために来日した外国人は、アルバイト雇用が可能です。在留期間は6カ月または1年ですが「留学」「家族滞在」と異なり就労制限がありません。また、就職活動を目的とする「特定活動」を取得し、資格外活動を許可されている場合もアルバイトとして雇用できます。
2.資格外活動許可とは?
在留資格によって定められている活動以外で報酬を得る活動をする場合には、資格外活動許可が必要です。資格外活動許可は2種類あり、それぞれ内容が異なります。詳しく見ていきましょう。
2-1.包括許可とは?
包括許可は、勤務先や仕事内容を特定せず、就労を一律的に許可する制度です。来日時の空港や、在留資格申請時に同時に申し込むことができます。コンビニエンスストアやレストラン、家庭教師など、風俗営業店を除く一般的なアルバイトではこちらを取得します。事前に就労許可を取っておけるため、採用後は待機期間なくすぐに働けるほか、就労先を変える際にも許可を取り直す必要がないのはメリットでしょう。ただし、就労時間には制限があり、7日間の合計が28時間以内に収まるようにしなければなりません。なお、特例として、夏季休暇など学校の長期休暇中は1日8時間、7日間の合計で40時間まで就労できる時間が延長されます。
2-2.個別許可とは?
個別許可は、本来の就労資格がある人が、その資格で定められた活動以外の仕事を行う際に必要になるものです。たとえば、留学生が就職活動の一環でインターンシップを行う場合や、在留資格「教授」を持つ大学教授が、副業として語学学校の教師をする場合などが該当します。勤務先や仕事内容をその都度個別に指定して申請するため、審査の結果次第では許可が下りないこともあります。ただし、包括許可のように就労時間の一律制限はありません。
3.「技能実習」「特定技能」はアルバイト採用できない
在留資格「技能実習」は、技能実習生として出身国では習得が困難な技術・技能などの修得・習熟・熟達を図るために日本で働くことが目的なので、短時間のアルバイトで雇用することはできません。また、資格外活動も原則として許可されないので、副業としてのアルバイトも不可能です。
また、介護や建設など特定産業分野が指定されている在留資格「特定技能」は、正社員・フルタイムでの直接雇用を原則としているので、アルバイトやパート、派遣といった短時間での雇用形態は認められていません。
4.外国人アルバイトで採用する際のポイント
外国人をアルバイトとして雇用するには、在留資格、それにまつわる就労制限、そして資格外活動の許可を得ているかどうか、などが重要となってきます。ここでは、外国人をアルバイトで採用する際の注意点をまとめて解説します。
4-1.在留資格を確認する
すでに説明したように、アルバイトで雇用できる主な在留資格は身分系の在留資格と資格外活動を許可された「留学」「家族滞在」の外国人、ワーキングホリデー目的で来日した「特定活動」の外国人となります。その他の在留資格取得者をアルバイトとして雇用することはできませんし、仮に雇用してしまった場合は罰則の対象となるので注意が必要です。
4-2.在留カードを確認する
在留資格は外国人本人の口頭での申告だけでなく、在留カードを見て確認しましょう。在留カードには外国人が取得している在留資格が明記されていますが、ここで注意が必要なのは「留学」など、就労不可の在留資格です。在留カードの表面には「就労不可」と明記されていますが、資格外活動を許可されていれば、裏面に「許可」と記載されているので必ずチェックしましょう。
4-3.Wワークであるか確認する
「留学」「家族滞在」の在留資格で、資格外活動を許可されている場合、週28時間以内のアルバイトが可能です。労働時間の管理は、自社だけの就労であれば管理しやすいですが、問題はWワークをしている場合です。
他社でのアルバイト時間と自社でのアルバイト時間の合計で週28時間以内と規定されているので、他社でアルバイトをしている場合は、労働時間を申告してもらう必要があります。
4-4.ハローワークの届出を行う
外国人を雇用した際は、アルバイトであっても「外国人雇用状況の届出」をハローワークに提出しなければなりません。届出用紙はハローワークで入手するほか、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。届出を怠ったり、虚偽の報告をしたりすると罰則の対象となりますので注意しましょう。
4-5.外国人アルバイトの違法採用に注意する
アルバイトが認められている外国人を雇用するためのポイントについて説明してきましたが、逆にアルバイトが認められていない外国人を雇用した場合はどうなるのでしょうか。アルバイトが認められていないにも関わらず雇用すると、その事業者が「不法就労助長罪」の対象となる恐れがあります。
具体的には、密入国した人や在留期限の切れた外国人、観光目的の外国人、単純労働が認められていない在留資格取得者の雇用、週28時間以内の制限がある留学生に対して制限時間を超えて労働させている場合などです。不法就労助長罪に問われないためにも、在留カードのチェックやWワークの確認などを怠らないようにしましょう。
5.外国人留学生のアルバイトの制限は?
資格外活動許可を得ている外国人留学生はアルバイトが可能ですが、その就労にはいくつかの制限があります。詳しく見ていきましょう。
5-1.禁止されている仕事がある
風俗営業店での勤務は資格外活動許可の制度において禁止されています。一般的に、風俗営業店=性的サービスを提供する店をイメージする人が多くいますが、法的には接待を伴う飲食や遊興を目的とする店舗も風俗営業店に分類されます。パチンコ店やゲームセンターなども風俗営業店になることを覚えておきましょう。
5-2.長期休暇中は例外もある
資格外活動許可における就労可能時間は7日間で28時間ですが、留学生の場合、夏休みなど学校の長期休暇の期間中は働ける時間が例外的に延長されます。具体的には1日8時間、週40時間まで就労が可能です。なお、ここでいう長期休暇とは学則で定められた長期休業期間を指すため、たまたま休講が重なったような場合には当てはまりません。
5-3.28時間以上は罰則
7日間で28時間という制限は、どの曜日から数え始めてもその後の連続した7日間で就労時間が28時間以内に収まるようにしなければならないという意味です。特にアルバイトの場合はシフト勤務も多く、日によって就労時間が異なるケースは珍しくありません。この場合、カウントを始める曜日によっては28時間を超えてしまう可能性があるため注意が必要です。なお、夏季休暇など大学が長期休みの期間は1日8時間、7日間で最大40時間まで働くことができます。ただし、同じようにどの曜日から数えても就労時間が制限内に収まるようにしてください。万が一、オーバーワークとなってしまった場合には、留学生のみならず雇用主にも罰則が課されます。
6.まとめ
慢性的な人材不足やインバウンドによる訪日外国人の増加などを受け、外国人のアルバイト雇用に注目が集まっています。
しかし、安易に外国人を雇い入れることで罰則の対象となることを恐れ、二の足を踏むこともあるかもしれません。そのような心配は、外国人アルバイトを採用するポイントを押さえれば解消できるはずです。ここまで解説してきた内容をしっかりと確認し、外国人アルバイト採用を成功させましょう。
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