特定技能の全14職種を一覧で紹介!担当可能業務や受け入れ人数など徹底解説
2022.04.08
日本では人口減少と少子高齢化により、労働力は減少傾向にあります。
労働力が不足している企業では、人員を募集しても思うように採用できずに困っているのではないでしょうか。
労働力不足の対策として外国人の雇用を検討したいところですが、外国人を採用できるのは特定技能の制度で定められた職種に限られています。
この記事では、特定技能の全14職種を一覧で紹介します。外国人を採用できるかどうかをチェックする場合に活用してください。
CONTENTS
- 1. 特定技能とは
- 1-1. 特定技能1号
- 1-2. 特定技能2号
- 1-3. 技能実習との違い
- 2. 特定技能の職種一覧
- 2-1. 介護
- 2-2. ビルクリーニング
- 2-3. 素形材産業
- 2-4. 産業機械製造業
- 2-5. 電気・電子情報関連業
- 2-6. 建設
- 2-7. 造船・舶用工業
- 2-8. 自動車整備
- 2-9. 航空
- 2-10. 宿泊
- 2-11. 農業
- 2-12.漁業
- 2-13. 飲食料品製造業
- 2-14. 外食業
- 3. まとめ
1. 特定技能とは
特定技能の制度とは、日本国内において労働力人口が減少する中、労働力の確保が難しい職種を対象として、特定の技能を有する外国人を労働力として受け入れることを認める制度です。
特定技能の在留資格は「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類があります。それぞれの在留資格については下記で説明します。
1-1. 特定技能1号
特定技能1号は、法務省の外局である「出入国在留管理庁」が以下のように定義しています。
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
(引用:出入国在留管理庁 特定技能ガイドブック)
特定技能1号に求められる技能水準と日本語能力の水準は、試験を実施して確認します。
家族の帯同は基本的に認められていません。そのほか、特定技能1号の在留資格を持つ外国人に対しては、受け入れ機関または登録支援機関による支援が必要です。
必要な支援の内容は下記の通りです。
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保、生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談、苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談、行政機関への通報
(参考:出入国在留管理庁 特定技能ガイドブック)
1-2. 特定技能2号
特定技能1号は、出入力在留管理庁が以下のように定義しています。
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格 (引用:出入国在留管理庁 特定技能ガイドブック)
特定技能2号に求められる技能水準は試験で確認しますが、日本語能力の水準については試験での確認は行いません。
家族の帯同は配偶者と子供のみ認められています。なお、特定技能1号とは異なり、受け入れ機関または登録支援機関による支援は不要です。
1-3.技能実習との違い
特定技能と技能実習との違いは、特定技能の目的は「外国人を労働力として受け入れること」であるのに対し、技能実習の目的は「技術移転による国際貢献」となります。
技能実習では外国人の実習生が日本で技術を学び、学んだ内容を本国に帰って活かします。つまり、技能実習生を日本に受け入れることで国際的な貢献を行っているのです。
技能実習生は貴重な労働力という一面もありますが、本来、技能実習生の受け入れは労働力不足の解消が目的ではない点を理解しておきましょう。
2. 特定技能の職種一覧
特定技能の職種14種類について、担当業務の内容や受入れ見込数など、職種ごとの特徴を紹介します。
なお、受入れ見込数は2020年7月1日時点を基準として5年間の最大値となります。
2-1. 介護
介護の職種が担当する業務は、入浴・食事・排せつの介助など身体の介護に関する業務と、レクリエーション、機能訓練の実施など、身体介護に関連する支援業務です。
ただし、訪問系サービスは除きます。
介護の受入れ見込数は6万人で、14の職種の中では最も多くの外国人労働者を受け入れます。
事業所で受け入れられる外国人労働者の数は、日本人の常勤介護職員の総数が上限となります。
2-2. ビルクリーニング
ビルクリーニングの職種が担当する業務は、デパートなどの大型店舗、ビルに入居するオフィス、学校、映画館や劇場など多くの人々が利用する建築物の内部の清掃です。
ビルクリーニングの受入れ見込数は3万7000人です。
2-3. 素材系産業
素材系産業とは、製品の材料となる「素材」を加工し、他の産業で必要となる材料を生産する産業です。
素材系産業では、素材の加工で必要な技術である下記の13種類の業務を担当します。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 工場板金
- めっき
- アルミニウム陽極酸化処理
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 塗装
- 溶接
(参考:出入国在留管理庁 特定技能ガイドブック)
素材系産業の受入れ見込数は2万1500人です。
2-4. 産業機械製造業
産業機械製造業とは、建設機械や工作機械など、産業用の機械を製造する業種です。
産業機械製造業では、産業機械の製造で必要な技術である下記の18種類を担当します。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 塗装
- 鉄工
- 工場板金
- めっき
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 工業包装
- 電子機器組立て
- 電気機器組立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 金属プレス加工
- 溶接
(参考:出入国在留管理庁 特定技能ガイドブック)
産業機械製造業の受入れ見込数は5250人です。
2-5. 電気・電子情報関連産業
電気・電子情報関連産業とは、コンピュータなどで使用される電子部品や、パソコン、スマホなど機器の製造を担う業種です。
担当する業務は下記の13種類となります。
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 工場板金
- めっき
- 仕上げ
- 機械保全
- 電子機器組立て
- 電気機器組立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
(参考:出入国在留管理庁 特定技能ガイドブック)
電気・電子情報関連産業の職種の受入れ見込数は4700人です。
2-6. 建設
建設の業務では、建物や施設、道路などを造ります。建設の職種が担当する業務は下記の18種類となります。
- 型枠施工
- 左官
- コンクリート圧送
- トンネル推進工
- 建設機械施工
- 土工
- 屋根ふき
- 電気通信
- 鉄筋施工
- 鉄筋継手
- 内装仕上げ/表装
- とび
- 建築大工
- 配管
- 建築板金
- 保温保冷
- 吹付ウレタン断熱
- 海洋土木工
(参考:出入国在留管理庁 特定技能ガイドブック)
建設の受入れ見込数は4万人で、介護、外食業に次いで多くの外国人労働者を受け入れます。
なお、建設の職種では特定技能2号の受け入れが可能です。
2-7. 造船・舶用工業
造船とは船を新たに造ることであり、舶用工業とは、エンジンやプロペラなど船に搭載する各種の機器を製造する産業です。
造船・舶用工業の職種が担当する業務は下記の6種類です。
- 溶接
- 塗装
- 鉄工
- 仕上げ
- 機械加工
- 電気機器組立て
(参考:出入国在留管理庁 特定技能ガイドブック)
造船・舶用工業の受入れ見込数は1万3000人です。
造船・舶用工業の職種は、建設の職種と同様に特定技能2号の受け入れができます。
2-8. 自動車整備
自動車整備の業務は、自動車が日々安全に走行できるように点検や整備を行うことです。
自動車整備の職種が担当する業務は、日常点検整備、定期点検整備、分解整備です。
自動車整備の受入れ見込数は7000人です。
2-9. 航空
航空の職種が担当する業務は「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2種類です。
空港グランドハンドリングとは、航空機の誘導や航空機に貨物を搬入、搬出したりする作業を指します。
航空の受入れ見込数は2200人です。
2-10. 宿泊
宿泊の職種は、フロント業務、接客、宿泊サービスの提供、企画・広報など、ホテル等の運営に関する業務を担当します。
宿泊の受入れ見込数は2万2000人です。
2-11. 農業
農業の職種が担当する業務は「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の2種類です。
耕種農業全般では作物の栽培管理、農産物の集荷・出荷や選別などを行い、畜産農業全般では家畜や家禽の飼養管理、畜産物の集荷・出荷や選別などを行います。
農業の受入れ見込数は3万6500人です。
2-12. 漁業
漁業の職種が担当する業務は「漁業」と「養殖業」の2種類です。
漁業では、魚類の捕獲や海藻類の採取のほか、漁獲物の処理や保存・貯蔵、漁具の製作や補修、漁業で使用する機械の操作を行います。
養殖業では、養殖した魚類や海藻類の育成管理や収獲(収穫)、処理のほか、養殖で使用する資材の製作・補修・管理も行います。
漁業の受入れ見込数は9000人です。
2-13. 飲食料品製造業
飲食料品製造業では、飲食料品の製造・加工のほか、安全な飲食料品を製造するために安全衛生に関する業務も担当します。
ただし、飲食料品に酒類は含まれません。
飲食料品製造業の受入れ見込数は3万4000人です。
2-14. 外食業
外食業では、飲食物の調理や接客、店舗の管理など、外食業に関する業務を幅広く担当します。
外食業の受入れ見込み数は5万3000人で、介護の次に多い人数となっています。
3. まとめ
特定技能の制度で外国人労働者を受け入れられる職種は14種類にのぼります。
これらの職種は主に人材確保が難しいとされる産業であることから、労働力不足を解消できる効果が期待できます。
なお、在留資格が特定技能1号の外国人労働者を受け入れる場合は、受け入れ機関または登録支援機関が外国人労働者のために住居を確保したり、あるいは日本語の学習機会を提供したりするなど、一定の支援が必要となります。
人口が減少局面にある日本では、今後も労働力不足が続くと見込まれます。特定技能の制度を十分に活用して、労働力の確保を目指しましょう。
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