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超重要な存在だからこそ慎重に選べ! 技能実習生の採用窓口である「監理団体」とは?

一般的な企業は、技能実習生を採用する場合、自社で求人を出したり、選考を行ったりすることが基本的にはできません。さまざまな基準を満たした企業しか自社で採用を行なうことができず、それは技能実習生採用の3%以下。では、どこが技能実習生の採用窓口となっているのでしょうか? 答えは、日本国内の「監理団体」です。

監理団体とは、技能実習法に定められた監理許可を受けて実習監理を行う、営利を目的としない日本の団体です(技能実習法2条10項)。「監理」とは 物事を監督し指導することで、「管理」と異なることがポイント。主な活動内容は以下の通りです。

実習生入国まで

  • 受け入れ企業の求人申し込みを受ける
  • 相手国の送り出し機関に技能実習生候補生の募集を依頼する
  • 送り出し機関や受け入れ企業と協力しながら技能実習生を選考・決定する
  • 受入れ企業と技能実習生の雇用契約を結ぶための支援を行う
  • 実習計画の提出、申請受理票の受領、措置結果受領を行う
  • 地方出入国在留管理局にて在留資格認定証明書交付申請
  • 送り出し機関に在留資格認定証明書を送付する

実習生入国後

  • 第1号技能実習の総時間の1/6以上、座学で日本語などの講習を行う(条件により短縮可能)
  • 受入れ企業に技能実習を開始させる
  • 受入れ企業に訪問指導や監査を行う
  • 受入れ企業に指導や支援を行う
  • 外国人技能実習機構に実施状況や監査など報告をする(年に最低5回)
  • 技能実習生を支援・保護する

「一般監理事業」「特定監理事業」の違いは?

監理団体には「一般監理事業」と「特定監理事業」の2種類あります。

一般監理事業

優良な監理団体だけが一般監理事業を行うことができます。内容は1号技能実習から3号技能実習を監理すること。技能実習制度の期間は1号で1年間、2号で2年間、3号で2年間となっているため、実習生は最長で計5年間滞在することができます。

特定監理事業

設立してから日が浅く、一般監理事業の基準を満たしていない監理団体は、限定的な監理のみを認められた特定監理事業を行います。仕事内容は、1号技能実習と2号技能実習の監理。特定監理事業の場合は2号までの受入れのため、実習生は最長で計3年間滞在することができます。

外国人技能実習機構によると、監理団体の数は3194に上り、そのうち一般監理事業は1602団体、特定監理事業は1592団体が登録されています(2020年11月11日現在)。

監理団体になれるのは、一体どんな団体??

監理団体の許可基準は、技能実習法第25条に「日本にある団体で営利を目的としない法人」と定められており、現在は以下の組合や法人が省令で認められています。

  1. 中小企業団体(事業協同組合)
  2. 商工会議所
  3. 商工会
  4. 職業訓練法人
  5. 農業協同組合
  6. 漁業協同組合
  7. 公益社団法人
  8. 公益財団法人
  9. 監理事業を行うことについて特別の理由があり、 重要事項の決定及び業務の監査を行う適切な機関を置いている法人

監理団体になることができる団体は、上記の9団体です。このほかには「法務大臣および厚生労働大臣が告示をもって定める監理団体」もありますが、技能実習生を採用したいと思った場合には、このいずれかの監理団体に依頼することになります。具体的にどのような団体なのか見てしましょう。

  • 事業協同組合(中小企業団体):監理団体の多くを占める事業協同組合。 お互いに助け合い、協同(相互扶助)して事業を行なうことが特徴。
  • 商工会議所:都市部のある一定地域内の商工業者を会員として、商工業の改善発達を目的とした非営利団体。
  • 商工会:都市部以外の町村の地域に設立される、その区域の小規模事業者の経営改善を支援する。
  • 職業訓練法人:働くために必要な知識の教授や、技能を訓練するための非営利法人。
  • 農業協同組合:農業協同組合法に基づく法人で、農薬や肥料をまとめて買い付ける購買事業、販売事業、農家への技術指導などを行なう。
  • 漁業協同組合:水産業協同組合法により設立された協同組合。一定地区の漁業組合員として漁業用具の購買、漁獲物の販売などを行なう。
  • 公益社団法人と公益財団法人:公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律によって行政庁から公益性を認定された法人。

監理団体の見極め方

法令違反がないことはもちろん、技能検定等の合格率や指導相談体制などについて一定の要件を満たした監理団体は、優良となります。上記の一般監理事業で述べたように、優良な監理団体は、技能実習3号まで受け入れることができます。

優良な監理団体を探し出すためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?

  1. 各監理団体では、送り出し国や対象職種、許可期限日、介護職種の有無などが決められています。「外国人技能実習機構」のウェブサイトに記載されている監理団体一覧を参考にしながら確認しましょう。
  2. 監理団体には一般監理事業と特定監理事業の2種類があります。監理団体が実習生に技能を習得させるための高い水準を満たしており、数々の監査を受けていれば、前者に分類されます。
  3. 日本語教育のシステムが確立しているかどうか。確立していれば、 技能実習生が来日直後に座学で日本語や日本の生活に関する一般常識を学ぶ際、それらを身につけやすいでしょう。指導や支援という観点から、実習生たちの母国語が話せる職員がいるかどうかも大きなポイント。
  4. 技能実習法について正しい知識を持っている専門家がいるかどうか。 技能実習関連の法令はたびたび変わります。細かく複雑な手続きをスムーズに行うために、法改正を熟知したうえで書類の作成指導ができる専門家がいると安心。
  5. 技能実習生受け入れに関する実績がどのくらいあるか。

監理団体は技能実習制度のすべてに関わります。外国人技能実習生の採用が成功するかどうかを左右する存在とも言えるかもしれません。慎重に選定することが求められます。

【出典】

  • 上林千恵子著「外国人技能実習制度 30 年の歴史と今後の課題 – 移民政策学会技能実習制度の職種・作業について」 http://iminseisaku.org/top/conference/conf2017/MS-3_Kamibayashi.pdf

  • 杉田昌平著「改正入管法対応外国人材受入れガイドブック」2019年

  • 技能実習制度運用要領(令和2年4月3日一部改正) https://www.mhlw.go.jp/content/000622694.pdf

  • 自治体と送り出し機関と監理団体で覚書を結ぶ ベトナム介護実習生の育成 長野県や送り出し機関が覚書. 日本経済新聞. 2020-03-03. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56333020T00C20A3L31000/(参照 2021-05-24)

  • 帰国した実習生を優先的に関係企業で雇う マルナカ、技能実習生を母国のイオンで優先採用. 日本経済新聞. 2020-07-28. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62005790Y0A720C2LA0000/ (参照 2021-05-24)

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