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頭をなでる行為ってタブーなんですか?
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case7

生活関連

2024.11.27

20XX年。
少子&超高齢社会を迎えた日本。
国内企業は、人材不足解消のため外国人材の活用に活路を見出していることだろう。

しかし、外国人材の活用については、労働環境の整備や異文化理解・コミュニケーションなど、課題であふれている。

果たして、企業が外国人労働者から選ばれるには?

本コラムは、外国人材の背景にある“異文化”への理解の第一歩として読んでいただきたいノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case7
頭をなでる行為ってタブーなんですか?

私、伊能ゆりなは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

日頃は外国人材を雇用する企業や雇用される外国人の皆さんをサポートするキャリアアドバイザーとして、メンバーとともに全国各地で起こる珍事を紐解き、解決しているのだが(これまでの「青山智香の解明」はこちら)、現在、弊社ではベトナム、インドネシアなど外国人材市場の開拓にも力を入れており、海外での業務も増えてきた。 今回は、ベトナム出張に際して、見聞き、体験した記録を紹介していきたいと思う。

ベトナム料理の歴史的背景を学ぶ

ベトナムの国民食といえばフォー。ベトナムは、年に3度も米を収穫できる稲作国家なことから、それをすりつぶして平麺にしたフォーや、丸細麺のブン、日本でも近年人気のライスペーパーなど、米を主食として加工した料理が豊富だ。

今日、お邪魔したレストランでもやっぱり麺料理をいただくことになった一同。「またかー!」と思いつつも、味付けはお店や具材によって違うため、飽きることなく楽しめる。



ところで、ベトナムは1000年以上、中国の支配下にあり、さらにフランスの植民地時代を経ているため食生活においても各国の影響を受けているといわれている。たとえば、米や餅を食べ、茶碗や箸を使い、お茶を飲む習慣は中国から、フランスパンを食べ、コーヒーを嗜む習慣はフランスから取り入れられたものと考えられる。

また、世界では「塩味、甘味、苦味、酸味」の4つの味覚を中心に語られるが(日本は、そこに「うま味」を入れて「五味」と表現することがある)、ベトナム料理は「五味・五彩・二香」を料理の理想形としているらしい。念のため、以下にまとめてみよう。

「五味・五彩・二香」とは
五味となる調味料は?
1塩気:ヌクマム、魚醤
(ヌクマムは小魚を塩漬けにして発酵させたもの、日本でいう魚醤、タイでいうナンプラー)
2酸味:ライム、レモン、トマト、ココナッツ酢、タマリンド、カラマンシー
3辛味:コショウ、唐辛子、ショウガ、ニンニク
4甘味:砂糖、ココナッツ、サトウキビ
5コク:ナッツ類、油脂

五彩とは?
白、黒、赤、青(緑)、黄色

二香とは?
・ハーブなどの香辛料の香り(香味野菜、ハーブ、調味料などによるもの)
・香ばしい香り(揚げニンニクやネギ/炒りゴマやナッツ/焼きライスペーパーなどによるもの)

これらを一皿に、できるだけ多く入れることがベトナム料理の肝だといわれている。

親しみを込めて頭をなでる文化は日本だけ?!

さて、こうしてベトナム料理に関する豆知識を得て食事を楽しんでいると、隣の席のベトナム人家族が私たちに話しかけてきてくれた。といっても、お父さんはベトナム人で片言の日本語がわかる程度。お母さんが日本人で、私たちの会話を聞き懐かしくなり、思わず声をかけたとのことだった。



椅子に座っている子どもは、もうすぐ2歳になるらしくベトナムの民族衣装アオザイを着ている可愛らしい女の子。日本語がわかるのかわからないのか、人懐っこく私たちに微笑みかけてくる。

するとお母さんが思い出したようにバッグからナッツを取り出し、私たちに手渡してくれた。



「私たち、実はカシューナッツを作っているんです。もしよかったら、これ差し上げますよ。アーモンドはおまけみたいなものです(笑)」

「へー!農家をされているんですね。そういえば、ベトナムはカシューナッツの生産が盛んなんですよね。いいんですか?ありがとうございます」

「もちろん。味はついていませんが乾煎りでも十分おいしいんですよ。これも何かのご縁ですから。ベトナムツアー、楽しんでくださいね」



「そろそろ行こうか」というようにお父さんがレジに向かい、お母さんも席を立ち準備を始めた。私たちはひとしきりお礼を言い、最後に子どもの頭をそっとなで「またね」と声をかけた。

すると、お母さんが振り向きざまにそっと教えてくれた。

「そうそう。ベトナムは、いや、確かタイやインドネシアもそうですが、宗教の関係で頭、髪の毛に触れるのはタブーとされています。もちろん、そんなセンシティブに捉える人ばかりではありませんが、気をつけた方がいいかもしれません。東南アジアの多くの国では頭には神様や魂、精霊など神聖なものが宿ると考えられています。日本で親しみを込めて子どもの頭をなでるのは、よほどの他人や乱暴な感じでなければ問題ないと思いますが、海外では注意したほうがいいですよ」

「たしかに、聞いたことあったかも!すみません。つい……」

「いえいえ、宗教への信仰度合も人それぞれですし、あまり深刻にならないでください。国の文化や個人の考え方、価値観は違って当たり前ですからね。可愛がってくださってありがとうございます」



こうして、たくさんの学びを得た私たちはベトナム人一家とお別れしたのだった。



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