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インドネシアにはカラスはいません!
インドネシア人留学生アプリリアのニッポン見聞録Vol.46

生活関連

2025.10.22

私、伊能あやめは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。今回は、我が事業部にやってきたインドネシア人留学生による見聞録をお届けしたい。

インドネシア人留学生エンリのニッポン見聞録
インドネシアにはカラスはいません!

エンリ ファウザン ハビビエさん と アプリリア ヌルマウリさん

 

〜前置き〜

弊社では、インドネシアの名門校であり最も歴史ある日本語教育機関でもある国立パジャジャラン大学日本語学科より、インターン生を受け入れることとなった。学生らは将来、日本での就職を希望している。一方で、企業が海外の優秀な大学生を新卒で採用するメリットは、将来有望なASEAN市場に精通した人材を早期に確保できる点にある。彼、彼女らは高い学習意欲と多言語対応力を持ち、日本文化への理解も深く、異文化環境にも柔軟に対応できるため、グローバル展開を目指す企業にとっては、コストパフォーマンスに優れた戦略的な人材となる。

また、弊社で新たに開発した外国人材採用プラットフォームMintoku messeでは、そうした優秀な新卒の外国人材を求人を出すだけで現地に出向かず採用できる。



Mintoku messeは、ベトナム・インドネシアを中心としたアジアのトップ大学と提携し、
企業と海外人材をつなぐ採用プラットフォームです。日本語力や専門性を備えた理系・文系の学生と、現地に行かずに出会える仕組みを構築。提携大学内での就職相談会やマッチングイベントをMintokuが代行し、企業は求人情報を提供するだけで優秀な人材の確保が可能です。さらに、採用後の住居手配や生活サポートも一貫して対応。
“採って終わり”ではなく、定着と活躍まで見据えたグローバル採用を実現します。



部署間を越え、既にSNSマーケティング部門にて即戦力として活躍中の2人。改めて、今日はアプリリア ヌルマウリさん(以下、アプリリアさん)の見聞録をお届けする。

ゴミ捨て場のカラス

「……あやめさん、日本って、本当に不思議な国ですね」

午後の会議を終えた後、デスクに戻ろうとする私に、アプリリアさんが声をかけてきた。

「え?また何かあった?」

「朝、家の近くのゴミ捨て場を通りました。そしたら黒い大きな鳥がゴミ袋をつついていて……」

「ああ、カラスかな?」

「そうです、カラスです!びっくりしました。ゴミ袋が破れていて、中身が散らばって。静かな住宅街なのに、その場所だけ戦場みたいでした」

「生ゴミのある日なんかは、ネットかけ忘れるとすぐやられるよ」

「ネットですか?」

「うん。ゴミ袋の上にネットをかけておくとカラスが近づきにくくなるの。でも、カラスも賢いからねぇ」

「なるほど。インドネシアにはカラスはいません。カラスみたいな鳥はたくさんいますけど、少なくともバリには一匹も。全身真っ黒で、人間が近くにいても全然逃げないし、平気でゴミをつついていてびっくりしました。それに、近くで見ると思っていたより大きな鳥でした……不気味です」

「そうね、不気味!気持ち悪いよね。カラスってあんな見た目でいて賢いから、街では厄介な存在なのよ。日本では、ちょっとした都市問題になってるくらい」

「もう共存するしかないんですね」

「うん、実際のところ対策が追いつかないし。しょうがないのよ」

「わかります。では、燃えるゴミの日はカラスとの闘いですね」

「急に曜日を変えたらカラスも驚いたりしてね(笑)」

「そうそう、日本のゴミの分別はすごいですね。可燃、不燃、資源、ペットボトル……こんなに細かく分けるの、初めてでした」

「慣れるの、大変だったでしょう?」

「正直、大変でした。でも、慣れてくると意味があるって分かってきて。分別しながら“これは何ゴミ?”って考えるの、ちょっとしたパズルみたいで楽しいです」

彼女はそう言って、いたずらっぽく笑った。

正解のないコミュニケーション

「実は、もう一つ気づいたことがあるんです」

「なに?」

「カラスにゴミを荒らされていた場所。近くを通る日本人の人たちが、ほとんど何も言わずに通り過ぎていきます。気づいてないみたいに」

「……それはあるかもね。日本人は街のことに無関心だから。空気を読む文化も影響してるかも」

「空気を読む?」

「つまり、“誰かがやるだろう”って考えるの。注意すれば波風が立つかもしれない。黙って通り過ぎる方が正しいとされる場面がある。だから、カラスが散らかしても、誰かが正しくゴミ出ししてなくても、べつに注意しない…」

「それって優しさの反対、じゃないですか?」

「うーん、どうだろう。でも、全員がそうじゃないよ。たとえば、町内会の人たちは毎朝ゴミ捨て場を掃除してるし、子どもたちが“ごみゼロ運動”っていう清掃活動をしていたりもする」

「なるほど。つまり、見えにくいところで行動してる人もいるんですね」

「そう。日本人は、声をあげるより、静かに動く人が多いかもしれない」

アプリリアさんは腕を組んで、真剣に考え込むような顔になった。

「……それって、いいことなんでしょうか?」

「難しいね。たぶん、正解はない。でも、良いか悪いかは置いといて、アプリリアさんが“変だな”と思ったことを言葉にするのはすごく大事なことだと思う。自分の意見を持つ、相手に伝えるというのはコミュニケーションの基本だものね」

彼女は少し目を丸くして、私の顔を見た。

「私の疑問に、ちゃんと向き合ってくれる上司がいてよかったです」

私が苦笑いすると、アプリリアさんもつられて笑った。

その日の夕方、アプリリアさんからメッセージが届いた。

添付されていたのは、きちんとネットがかけられたゴミ捨て場の写真だ。メッセージにはこう書かれていた。

「今朝はカラス、いませんでした!きちんとゴミ出しされていたのでしょうか。小さな変化でもうれしいです」

私はちょっと考えて

(たぶん、日本の街も、人も、少しずつ良くなっていける。そう思わせてくれるのは、あなたみたいに違和感を言葉にしてくれる人がいるから)

と返信した。

カラスが荒らすゴミ捨て場。それは日本にとっての日常で、アプリリアさんにとっての異常だった。文化の違いとは、目に見える制度やマナーだけではない。無意識のうちに根付いている「当たり前」に、誰かが気づいてくれること。それが、私たちが互いを理解していく、第一歩なのかもしれない。


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