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日本のお土産文化に秘められた想いに触れて
インドネシア人留学生アプリリアのニッポン見聞録Vol.42

生活関連

2025.09.24

私、伊能あやめは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。今回は、我が事業部にやってきたインドネシア人留学生による見聞録をお届けしたい。

インドネシア人留学生アプリリアのニッポン見聞録
日本のお土産文化に秘められた思いに触れて

エンリ ファウザン ハビビエさん と アプリリア ヌルマウリさん

 

〜前置き〜

弊社では、インドネシアの名門校であり最も歴史ある日本語教育機関でもある国立パジャジャラン大学日本語学科より、インターン生を受け入れることとなった。学生らは将来、日本での就職を希望している。一方で、企業が海外の優秀な大学生を新卒で採用するメリットは、将来有望なASEAN市場に精通した人材を早期に確保できる点にある。彼、彼女らは高い学習意欲と多言語対応力を持ち、日本文化への理解も深く、異文化環境にも柔軟に対応できるため、グローバル展開を目指す企業にとっては、コストパフォーマンスに優れた戦略的な人材となる。

また、弊社で新たに開発した外国人材採用プラットフォームMintoku messeでは、そうした優秀な新卒の外国人材を求人を出すだけで現地に出向かず採用できる。



Mintoku messeは、ベトナム・インドネシアを中心としたアジアのトップ大学と提携し、
企業と海外人材をつなぐ採用プラットフォームです。日本語力や専門性を備えた理系・文系の学生と、現地に行かずに出会える仕組みを構築。提携大学内での就職相談会やマッチングイベントをMintokuが代行し、企業は求人情報を提供するだけで優秀な人材の確保が可能です。さらに、採用後の住居手配や生活サポートも一貫して対応。
“採って終わり”ではなく、定着と活躍まで見据えたグローバル採用を実現します。



部署間を越え、既にSNSマーケティング部門にて即戦力として活躍中の2人。改めて、今日はアプリリア ヌルマウリさん(以下、アプリリアさん)の見聞録をお届けする。

 

初めての「お土産」

「……あやめさん、これ、いただいてもいいでしょうか」

打ち合わせから戻ると、アプリリアさんが小声で私に声をかけてきた。手には、小さな袋に入った京都土産と書かれたお菓子が2つ。

「うんうん、どうぞどうぞ。駒井さんだったかな?京都旅行のお土産だそうよ」

なぜ詳細を知っているかというと、朝から駒井さんに「海外事業部の皆さんでどうぞ」と声をかけられたからだ。休憩スペースのテーブルに並べられたお菓子は、あっという間に半分以上なくなっていた。

「旅行……のお土産…ですか?」

「そう。あ、お土産はわかるよね。それで、私たちは休暇を取って旅行に行ったらお土産を買って、次の出社日に会社のメンバーに配るの。日本だとわりと普通の習慣なんだけど、インドネシアにはない文化なのかしら」

アプリリアさんは不思議そうにお菓子を見つめながら、小さく首をかしげた。

「うーん、ないですね。あ、でも、すごく素敵だと思います。ちょっと驚きました」

「お土産は買うでしょう?家族とか親しい友人とか?」

「はい。もちろんそうします。でも、職場の人たちには買わないです。わからないけど、旅行は“自分の時間”って感覚が強いです。だから、休んで帰ってきたら、すぐ仕事に戻るだけ?というか…」

「なるほど。たしかに、日本では“お土産”って、ちょっと特別かもね。旅行中も『誰に何を買おうかな』って考える人が多いと思うのよ。もちろん職場の人たちも含めてね」
「休んでる間に、会社のことを考えるって、なんだか優しいですね…」

そう言いつつもあまり納得してなさそうなアプリリアさん。私は「どうぞ」という表情でアプリリアさんの質問を待った。

旅の道中に、誰かを想う

「えっと……。じゃあ、なぜ、日本人は旅行で職場の人たちにお土産を買ってきますか?理由がまだよくわかりません。会社にいる人は『友達=親しい』ではない人ですよね?」

「うんうん、そうね。はっきりとした理由が言えるわけじゃないけど……たぶん、いくつかの気持ちが混ざってると思うのよ」

「たとえばどういう気持ちですか?」

「まず一つは、“感謝”かな。『お休みをいただいてありがとうございました』っていう気持ち。それを直接言うのはちょっと照れくさいし、全員に言って回るには時間がかかるから、お菓子を配ることで気持ちを伝えるんだと思うのね」


「なるほど……インドネシアでは、口で言えば十分って考えるかもしれないです」

「もう一つは、たぶん“気遣い”なんだよね。自分だけ楽しい時間を過ごしてきたことに、ちょっと罪悪感があるというか?『皆さんも一緒に、少しだけ旅の空気を』って感じかな?」

アプリリアさんは、お菓子の袋をまじまじと見つめている。

「お土産にそんな意味……考えたことなかったです」

「そうだよね。私たちでさえほぼ無意識だから、こうして真剣に意味を考えたことはなかったかも(笑)でもこれは“義務”じゃなくて“思いやり”としてやってる人が多いと思うのね。だから、マストではない。ベター。ほら、職場の潤滑油よ」

「じゅんかつゆ…?はい、後で調べてみます。あ、あやめさんも一緒に食べますか?」

アプリリアさんは煎餅が入った小袋をそっと開けてこちらに向けてきた。

「ありがとう。じゃあ、ひとつもらうわね」

しょっぱくて、ほんのり甘い味がする——その煎餅の風味の中に「誰かを思う気持ち」が溶け込んでいる気がした。

「日本の職場って、そういう“間接的なコミュニケーション”が多いですね」

アプリリアさんがにっこり笑って、再び小袋を差し出してくる。

「うん、直接言わないけど、ちゃんと伝えようとするよね。“言わずに察する”っていう文化があるからこそ成立するのかもしれないけど」

「お土産を通してそれが伝わるのは素敵だと思います」

「ありがとう。良い文化であり、でも、ちょっぴり面倒くさい文化でもあるわね(笑)アプリリアさんも今度どこか行ったらお土産買ってきてくれる?」

私が冗談っぽく言うと、アプリリアさんはクスッと笑った。

「そうですね……今なら、喜んで。日本の“お土産文化”を学びましたから、できますよ!」

ふたりは顔を見合わせて笑った。



——知らなかった習慣。
——そこに込められた気持ち。
——言葉にしない優しさ。

文化の違いを知ることは、驚きと同時にちょっとした喜びをくれる。小さなお菓子に宿る、大きな気づきとともに。


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