ベトナムのデパートがジャパニーズ高島屋だった件
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case35
生活関連
2025.06.11

20XX年。
少子&超高齢社会を迎えた日本。
国内企業は、人材不足解消のため外国人材の活用に活路を見出していることだろう。
しかし、外国人材の活用については、労働環境の整備や異文化理解・コミュニケーションなど、課題であふれている。
果たして、企業が外国人労働者から選ばれるには?
本コラムは、外国人材の背景にある“異文化”への理解の第一歩として読んでいただきたいノンフィクションストーリーです。
少子&超高齢社会を迎えた日本。
国内企業は、人材不足解消のため外国人材の活用に活路を見出していることだろう。
しかし、外国人材の活用については、労働環境の整備や異文化理解・コミュニケーションなど、課題であふれている。
果たして、企業が外国人労働者から選ばれるには?
本コラムは、外国人材の背景にある“異文化”への理解の第一歩として読んでいただきたいノンフィクションストーリーです。
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case35
ベトナムのデパートがジャパニーズ高島屋だった件
私、伊能ゆりなは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。日頃は外国人材を雇用する企業や雇用される外国人の皆さんをサポートするキャリアアドバイザーとして、メンバーとともに全国各地で起こる珍事を紐解き、解決しているのだが(これまでの「青山智香の解明」はこちら)、現在、弊社ではベトナム、インドネシアなど外国人材市場の開拓にも力を入れており、海外での業務も増えてきた。
今回は、ベトナム出張に際して、見聞き、体験した記録を紹介していきたいと思う。
ベトナムのデパートへ行く
ここまで数話にわたる見聞録をしたためてきたが、楽しんでいただけているだろうか。私はいま特定技能ドライバーの育成や紹介スキーム構築に伴う出張でベトナムを訪れている。昨秋(2024年9月)ついに運送業で外国人ドライバーの受け入れが解禁されたことで、弊社においてもより良質なドライバー人材の育成、就労支援に尽力している——というのが今回の出張の背景だ。

1日目は日本の物流企業が行う現地面接会、送り出し機関(日本語学校)の授業への参加、自動車学校の訪問で任務完了。明日以降は会議や企業挨拶、会食などが予定されている。

さて、そんな翌日を迎えた私と同僚の一行は一通りの業務を終え、夜の会食までの時間にホーチミンの街を散策してみることにした。
さすがベトナム最大の都市であり経済の中心地、ホーチミンはさまざまな高層ビルが肩を並べ、まるで日本でも主要都市にいるかのような活況ぶり。街ぶらのつもりだった私たちは周囲の人々に流されるように、自然とどこか親しみを感じるデパートに吸い込まれていった。

「わー。日本じゃん、もう!」
吹き抜けの店内は洗練された空間。目的もなく歩いているつもりだが、見渡す限り日本にゆかりがありそうなお店がずらり。

日本にいれば北海道を“HOKKAIDO”と表記した看板にこそ出会わないが、どのお店もめちゃくちゃ日本っぽいラインナップ。
「あ、あれは…!」

はい、こちらUNIQLOです。
日本のショッピングモールの常連UNIQLOが、デパートの一大テナントとしてフロアを占領している。

調べてみるとUNIQLOは、2025年2月末時点でベトナムに27店舗を展開しており、そもそもほとんどの商品の生産を中国やベトナム、バングラデシュ、インドネシア、インドの工場に委託しているが、店舗拡大と共にベトナム人材の育成と登用を進めているらしい。さすがというかニクいというか、これが世界的アパレルブランドUNIQLOたる所以といったところだろうか。他にも、日本の大学に留学するための奨学金の創設や研修プログラムなどを通じた人材育成を図り、ベトナム店舗の店長の約7割をベトナム人が占めるという徹底ぶりで国際貢献も果たしているようだ(2023年11月時点)。
現在、約24万人のベトナム人労働者が直接的、間接的にUNIQLOの生産工程に携わっていると聞けば、この占有面積も妙に洒落た雰囲気にも納得がいく。

こちら、私が購入したベトナム限定Tシャツ。なんか、っぽいでしょう?
もちろん、日本と同じテイストの無地の衣類や各種雑貨も多数販売されている。金額的に日本とほぼ同価格なのでベトナムの物価から推測すると、お察しの通り“UNIQLOはハイブランド扱い”になるんだとか。
…というか、こちらのデパート全体が見た目(店舗)だけでなく販売されている商品の価格帯も日本と同じぐらいな印象だ。ベトナムの物価は日本の半分ほど(または半分以下、1/3程度)なはずだから、こうした商売が成り立つということは一定数の富裕層の存在が伺える。
うーん、平和ボケしてる間に、東南アジアにも追い抜かれたりして。
続いて、腹ごなしにフードコートに行ってみるとこちらにも「日本」がたくさん。とりあえず、深く考えずにラーメンを食べてみる。

「お、普通にうまいぞ。この味噌ラーメン、日本の味がする!欲を言えば、海苔とか卵とか…のっててほしかったけど十分おいしい!!」
食後は、せっかくなので外の街並みも見に行くことにした。
「いやぁ、ここまでだと高島屋か伊勢丹か…いや、小田急?京王百貨店!?にいるみたいだなー」
すると、先を行くメンバーが振り返る。
「え?伊能さん。ここ?このデパートはその“高島屋”ですよ!ほら、玄関」

なんと、入口にはあの高島屋の看板(ロゴ)が堂々と掲げられていた。

なるほど、約10年も前にベトナム進出していたのか!
ホーチミンのど真ん中に日本が誇るデパート高島屋サンがあったとは、びっくり。そして街に馴染み過ぎてて気づかなかった…。
色々な意味でお見それしました。
ホーチミン市内に軒を連ねる日本の飲食店
すっかり日も暮れて、煌びやかな夜景タイムへ。
ベトナムも地方に行けば整備されていない路面や家々があり田舎らしい風景がまだまだ残っているが、中心部は日本と遜色ない高層ビルの明りやネオンでキラキラしている。まさに100万ドル…は言い過ぎなので100万ドンの夜景(でも、6000円弱じゃ安すぎるか)!
さて、街中散策を終え、これから送り出し機関の方々との会食に向かう一行。
ここで私たちを待ち受けていたのは、ちよだ鮨…を越え、右に味仙、左に吉野家…と、写真を撮りこなさないほどある、日本の飲食店の数々だった。

ちなみに味仙は創業50年の元祖台湾ラーメン店。日本でも馴染み深い味仙がこんなところにもあるなんて。駐在員も増え、グローバル化も進み、世界各地で日本食が食べられる時代になったんだなあ。
「あ、あのお店っぽい。なんか見慣れない漢字だけど…」
スマホの地図アプリを見ながら道案内してくれていたメンバーが薄明かりの先を指さす。

春…?
SYUNKATO
春夏冬
春夏「秋」冬
「秋」がない
「飽き」ない!!!
もうこれ、オーナー日本人確定でしょ!ウマすぎるでしょう!

騒がしい店内に入ると、日本人が集…ってはなくベトナム人女性のスタッフさんたちがお客さんたち以上におしゃべりに花を咲かせていた。

めちゃくちゃ日本の居酒屋感ある刺身の盛り合わせ(笑)。明日はバインミーを食べて帰ろう。

—そして今、私は念願のバインミーを胃袋に納め、飛行機に乗っている。出張疲れの中、仮眠も取らずキーボードを叩いているのには理由がある。両隣は、東南アジア系の方と見られる恰幅の良いおばさまと若者、下は硬い座面、背後はリクライニングがききそうできかないシート、前方は足を鋭角に折り畳むほどしかない省スペースに挙動が阻まれているのである。控えめに言って辛い!
こうしてバゲットや隙間を埋める野菜に挟まれたベーコンよろしくバインミー化した私は、偶然手持ちしていたパソコンを開き、気を紛らわすべく執筆に専念している。右隣のおばさまから5分おきに繰り出される左手、左ひじ、左足アタックが眠れない原因のひとつだったことも念のため記しておこう。

ああ、早く日本に帰りたい。
「日本みたいだね!」と嬉々としていた昨日に戻りたい。

でも、若人の熱気に刺激を受け、経済発展の最中にある街や人々の様子に目を見張り、関係者各位の皆さまとのご縁を改めて認識できたベトナムは最高だった。ご飯もおいしかったし!
ということで「カモン、ベトナム!」=ベトナム語でありがとう。
以上、ベトナムで発見したモノ・コト編でした。
終
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