【食べ過ぎ注意】ベトナム人が大好きな果物とは？
キャリアアドバイザー伊能あやめの事件簿Vol.42

生活関連

2025.08.22

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も！！

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの？」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能あやめの事件ファイルVol.42
【食べ過ぎ注意】ベトナム人が大好きな果物とは？

ワタシ、伊能あやめは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。
実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている（これまでの珍事はこちらからどうぞ）。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

ベトナム人が大好きな果物とは？

ココナッツやバナナ、マンゴスチンなど多くの果物が露店で売られているベトナム。野菜や果物が無造作に並ぶ風景を眺めていると、日本の原風景を見ているようでなんだかノスタルジックな気分になる——まあ実際は、地元の人々が現地の言葉で売買しているので、思い出になって初めてのほほんと眺めていられるんだけど。

つい先日、ベトナム出張から戻ったばかりの私は、写真を見ながらお昼休憩をとっていた。隣には、ベトナム人のマイさんが座っている。

「ねえ、マイさん。ベトナムってフルーツ大国だよね？」

TikTok動画をニヤニヤしながら手繰っていたマイさんが顔を上げる。

「ベトナムはバナナが世界で1番ですネ！でも、マンゴー、パイン、ドラゴンフルーツ、ライチ……も、たくさん生産してますよ。みんなフルーツ好きですから。例えばこの時期は、ライチです。日本もライチの飲み物ありますけど…ソルティライチ？暑いから、おいしい？でも、私たち、ライチを食べますよ。ジュースじゃなくて、フルーツのライチ！」

出典：https://www.kirin.co.jp/softdrink/kitchen/products/product_detail16.html

「なるほど。確かにソルティライチって、熱中症対策のスポーツ飲料としても売られてるからなー！ライチって栄養価高いしね」

「私もライチは好きですね。あやめさんは何のフルーツが好きですか？」

「私は……実は、フルーツ大好きだったんだけどアレルギー症状が出るようになってしまってね。林檎とか桃とか苺とか、バラ科のアレルギーで。フルーツ好きだったのに食べられなくなっちゃった」

「アレルギー？！大変ですね！ベトナムはライチを食べ過ぎて、会社を休む人がいます。私の友達も1日寝込みましたから」

「それはもう、病気じゃない！」

「うーん？そうかも。ライチ病になるから、私は親に1日10個までと決められていましたよ」

「ラ…ライチ病？！」

ライチ病とは？

ライチ病とは初耳…！な私は、早速調べてみることにした。

＊ライチ病とは

主に発展途上国の一部地域で、子どもたちに見られる急性の脳症のことを指します。特にインドのビハール州などで毎年ライチの収穫期（5～6月頃）に、空腹状態の子どもが突然けいれんを起こしたり、意識を失ったりする症例が多く報告されており、その中には死に至るケースもあります。この病気の発症には、ライチに含まれる自然由来の毒素が関係していると考えられています（バングラデシュ、ベトナム南部、中国南部でも一部報告あり）。

ライチには「ヒポグリシンA」や「MCPG（メチレンシクロプロピルグリシン）」といった成分が含まれており、これらには血糖値を下げる作用があります。特に未熟なライチにはこれらの成分が多く含まれており、空腹の子どもが大量に食べることで、体内の糖分を保つための代謝が妨げられ、急激な低血糖を引き起こします。その結果、脳に必要なエネルギーが不足し、意識障害やけいれんなどの症状が現れるのです。

この病気は「ライチ病」として知られるようになりましたが、正確には「低血糖性脳症」と呼ばれることもあります。発症の多くは夜間や早朝で、夕食をとらずに寝た子どもが朝方に倒れるという共通の特徴があります。

予防には、空腹でライチを食べさせないことや、子どもに十分な栄養と夕食を与えることが重要です。また、未熟なライチの摂取を避けることも大切です。健康な大人や、通常の食事をしている人が成熟したライチを適量食べる分には問題はないとされています。
このように、ライチ病は特定の条件が重なったときに発症するものであり、ライチそのものが「危険な果物」というわけではありません。しかし、食文化や社会環境によっては命に関わるリスクとなるため、注意と理解が求められています。

ライチは、ビタミンCや葉酸、カリウム、食物繊維などを豊富に含む栄養価の高い果物で、美肌効果や疲労回復、免疫力の強化に役立つほか、高血圧の予防や便秘の改善といった健康効果も期待される果物。ましてや、スポーツドリンクとしての知名度もあってか日本での“ライチ”は「健康的な食べ物」の印象が強い。

特定の食べ物の過剰摂取による健康被害はさまざまあれど、ライチ病なるものを初めて知った私（逆に皆さん、ご存じでした？！）。マイさんの友人はライチ病ではなさそうだったものの、やはり食べ過ぎてめまい、動悸、全身の倦怠感が出て寝込んでしまったとのこと。会社を休む人たちなども同様に、脳症とまではいかずとも上記のような症状や、過剰摂取による血色不良、口の渇きなどの不調が現れ、軽度のライチ病が疑われるためお休み…というような話だった。

日本にもたくさんの◯◯の産地があり、全国各地においしい食べ物&飲み物が溢れている。つい好みの物には1日の摂取量を超えて手が伸びがちだが、いくら健康に良いという食べ物でも過剰摂取には気をつけなければならない。

そして、近くにベトナム人がいる皆さんは「ライチを食べすぎてないか？」ちょっと気にかけてあげてくださいね（笑）！

終

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