ビザ(査証)とは?パスポートや在留資格との違いや申請方法を解説
2025.11.07
ビザ(査証)は、外国人が他国へ入国する際に必要となる重要な書類です。しかし、パスポートや在留資格との違いが曖昧で、正確に理解できていないケースがあります。特に外国人の雇用を検討する企業担当者にとって、これらの知識は不可欠です。
本記事では「ビザとは何か」という基本的な定義から、関連用語との違いや具体的な種類、そして外国人雇用における手続きの流れまでを体系的に解説します。本記事を読むことで、ビザに関する疑問が解消され、スムーズな採用活動の第一歩を踏み出せるでしょう。
CONTENTS
- 1. ビザ(査証)とは何か?
- 2. 「ビザ」と混同しやすい用語との違い
- 3.【目的別】日本のビザ(査証)の主な種類
- 4. 外国人を雇用するためのビザ申請から入国までの3ステップ
- 5. ビザに関してよくあるQ&A
- 6. まとめ:ビザへの正しい理解が外国人雇用の第一歩です
1. ビザ(査証)とは何か?
ビザとは、渡航先の国の大使館や領事館が発行する「入国許可推薦状」のようなものであり、その外国人の身元や渡航目的が事前に審査済みであることを示す書類です。外務省の定義によると、ビザ(査証)は「日本への入国を希望する外国人が、上陸審査で不許可とならないことを示す証明」とされています。ただし、ビザがあれば必ず入国できるというわけではありません。最終的な入国の可否は、空港や港における入国審査官の判断によって決まります。つまり、ビザはあくまで「入国審査を受けるための前提条件」であり、「入国を100%保証するものではない」という点を理解しておくことが重要です。
では、なぜこのようなビザ制度が存在するのでしょうか。主な目的は次の2つです。
- 1. 国家の安全を守るため:テロや犯罪、不法入国を防ぐために、入国前に申請者の身元や経歴を確認する必要があります。
- 2. 国内の外国人を公正に管理するため:就労や就学など、入国目的に応じた適切な在留を維持するための管理体制を整えることが求められます。
このように、ビザは国の安全保障と社会秩序の維持に欠かせない制度であり、外国人雇用や国際交流を行う際には、まず理解しておくべき基本知識といえます。より詳細な情報は
査証(ビザ)|外務省をご確認ください。

2. 「ビザ」と混同しやすい用語との違い
ここでは、ビザとよく混同される用語との違いを整理します。目的は、読者がそれぞれの言葉の役割と関係性を正しく理解し、適切に使い分けられるようになることです。たとえば「海外在住の優秀なエンジニアを日本に呼び寄せる」というケースを想定しましょう。
流れは次のようになります。
- 1. パスポートの準備(本人の身分証明)
- 2. 在留資格の認定(日本での活動内容の許可)
- 3. ビザの申請(日本大使館・領事館で入国のための承認)
- 4. 入国と在留カードの交付(日本到着後に法的な滞在資格を取得)
つまり、パスポート → 在留資格 → ビザ → 入国 という順序で手続きが進むのです。これらを混同すると、採用や渡航の準備段階で誤った手続きを行うリスクがありますので以下の表を参考にしてください。
| 用語 | 発行元 | 主な目的 | 形態 | 有効期間 |
|---|---|---|---|---|
| パスポート(旅券) | 自国政府 | 国際的な身分証明 | 紙冊子 | 通常5年または10年 |
| ビザ(査証) | 渡航先の大使館・領事館 | 入国許可の推薦 | パスポート内のシール・印 | 渡航目的による(短期~数年) |
| 在留資格 | 日本の入管(入国管理局) | 日本国内での活動許可 | 在留カード等 | 在留期間内(更新可) |
2.1 パスポート(旅券)との違い
パスポートは「自国政府が発行する国際的な身分証明書」であり、海外では運転免許証や健康保険証の代わりとなる唯一の本人確認書類です。外務省によると、パスポートは日本国民の「国籍および身元を証明する公文書」と定義されています。ビザを「特定の国への入場券」と例えるなら、パスポートは「その入場券を購入するための本人確認書類」といえます。つまり、パスポートがなければビザを申請することもできません。実務上の注意点として、ビザ申請時には一定の残存有効期間があるパスポートが必要です。たとえば日本では、残存期間が6か月未満だと申請が受理されないケースもあります。渡航前には必ず有効期限を確認しておきましょう。
参考:パスポートの申請から受領まで(初めてパスポートを申請するとき等の例)|外務省
2.2 在留資格との違い
ビザと在留資格は、似ているようで本質的に異なります。わかりやすく言えば、ビザは「日本に入国するための玄関の鍵」であり、在留資格は「日本という家の中で何をしてよいかを示すルール」です。多くの人が「就労ビザ」という言葉を使いますが、これは正確には「在留資格」の一種であり、法律上は「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」などが該当します。この違いを理解していないと、「ビザを取ればすぐ働ける」と誤解し、採用や雇用契約上のトラブルにつながるおそれがあります。在留資格に関する詳細な情報については在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁 をご確認ください。
また、在留資格との違いにまつわる情報の詳細は外国人の在留資格とは?種類一覧・ビザとの違い・就労可否を解説を参考にしてください。
2.3 ESTA(電子渡航認証)との違い
ESTA(Electronic System for Travel Authorization:電子渡航認証システム)は、日本とアメリカの間の査証免除プログラムに基づく制度です。これは、観光や短期商用(90日以内)で渡航する日本人などが、ビザを取得する代わりにオンラインで事前申告を行う仕組みです。参考:ESTA(エスタ)申請 – 在日米国大使館と領事館
重要なのは、ESTAはビザの一種ではないという点です。ESTAは「ビザ免除の代替手続き」であり、入国許可そのものを保証するものではありません。外国人雇用など長期滞在を前提としたケースでは、ESTAは関係しないことが多いため、用語を混同しないよう注意しましょう。

3.【目的別】日本のビザ(査証)の主な種類
ここでは、日本の数あるビザの中から、外国人を雇用する企業に特に関係の深い種類に絞って解説します。外務省によると、日本のビザには短期滞在から永住までさまざまな種類がありますが、企業採用に直結するのは「就労を目的とするビザ」と「就労以外の活動を目的とするビザ」に大別されます。それぞれのビザが、どのような在留資格(活動内容)と結びついているのかを理解することで、採用対象者に必要な手続きを明確にイメージできるようになります。参考:就労や長期滞在を目的とする場合|外務省
3.1 就労を目的とするビザ(就業査証)
日本で働くことを目的として入国する外国人が取得するのが「就労ビザ(就業査証)」です。大学などで学んだ専門知識や、過去の職務経験を活かしてエンジニア・マーケター・コンサルタント・通訳などとして働く外国人が対象となります。この就労ビザは、在留資格のうち主に次のような区分に該当します。
- ● 技術・人文知識・国際業務(通称:技人国ビザ)
専門知識を持つ外国人が、企業で設計・開発・翻訳・貿易などの業務に従事する場合に取得する最も一般的なビザです。 - ● 高度専門職ビザ
学歴・年収・研究実績などのポイントに応じて優遇される在留資格であり、家族帯同や永住許可の要件が緩和されるなどのメリットがあります。 - ● 技能ビザ
調理師・職人・スポーツ指導者など、特定の技能を活かした職種で働く人が対象となります。
これらは企業の採用活動において中心的なビザであり、外国人雇用を検討する際には、どの在留資格が候補者の経歴や職務内容に合致するかを確認することが重要です。
詳細はこちらの記事をご確認ください。
就労ビザとは?日本の就労ビザの種類や取得方法を紹介
外国人採用でよく聞く「技人国ビザ」って何? その特徴と注意点をチェック – 海外人材タイムス
3.2 就労以外の活動を目的とするビザ(一般査証・特定査証)
次に、当初の目的は就労ではない外国人を雇用するケースです。たとえば「日本の大学に通う留学生」や「日本人と結婚している外国人」などがこれに該当します。代表的な例として、以下のような雇用シナリオがあります。
- ● 留学生(一般査証)をアルバイトとして雇用する場合
留学生は「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間以内でのアルバイトが認められています。
採用時には、在留カードの裏面に「資格外活動許可」の記載があるかを必ず確認しましょう。 - ● 日本人の配偶者等(特定査証)を正社員として雇用する場合
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」「永住者」などの在留資格を持つ人には、就労制限がありません。
そのため、職種を問わず自由に働くことができます。
このように、同じ外国人であっても在留資格の種類によって「働けるかどうか」は大きく異なります。企業側が採用の際に必ず確認すべきポイントは、在留カードの「就労制限の有無」欄です。
詳細は在留カード「就労不可」とは?アルバイトの条件と確認方法 をご確認ください。
4. 外国人を雇用するためのビザ申請から入国までの3ステップ
ここでは、海外に住む外国人を初めて日本に呼び寄せて雇用するケースを想定し、企業が行うべき一連の手続きを3つのステップに分けて解説します。このプロセスには出入国在留管理庁、外務省、在外公館(大使館・領事館)など複数の機関が関わるため、計画的なスケジュール管理が不可欠です。
4.1 ステップ1:企業が在留資格認定証明書(COE)を申請する
まず、受け入れ企業が日本国内の出入国在留管理庁に対して、採用予定の外国人の活動内容が在留資格の条件に適合することを証明する「在留資格認定証明書(COE:Certificate of Eligibility)」を申請します。このCOEの取得が、外国人雇用手続き全体の成否を左右する最も重要な工程です。申請には、企業の登記簿謄本・雇用契約書・会社案内のほか、外国人本人の学歴証明書や職務経歴書など、活動内容の妥当性を示す多数の書類が必要となります。
また、審査には1〜3か月程度かかることもあるため、採用スケジュールには余裕を持って対応することが望まれます。参考:在留資格認定証明書交付申請 | 出入国在留管理庁
4.2 ステップ2:外国人本人が在外日本公館でビザを申請する
COEが交付されたら、企業はその原本を外国人本人に送付します。本人はそれを持って、自国にある日本大使館または総領事館でビザを申請します。COEがある場合、日本側で活動内容の審査はすでに完了しているため、この段階では主に本人確認や最終チェックが行われ、比較的スムーズに発給されます。通常、審査期間は数日〜1週間程度です。
4.3 ステップ3:来日と在留カードの受領
ビザが発給されたら、本人はそのビザが貼付されたパスポートを持って日本へ入国します。空港の入国審査で「中長期滞在者」として認められた場合、その場で在留カードが交付されます。この在留カードは、日本国内での公的な身分証明書であり、外国人が生活・就労するうえで不可欠なものです。常時携帯義務があるため、企業は入社時に本人へ注意喚起するとともに、コピーを保管しておくことが望まれます。
参考:在留カードとは? | 出入国在留管理庁
この3つのステップを正しく理解し、必要書類を早めに準備しておくことで、スムーズな外国人雇用が実現します。ビザ関連の手続きは、国際採用における最初の関門であり、企業にとっての信頼構築にも直結する重要なプロセスです。
詳細は在留カードとは?番号確認・偽造対策・見方をわかりやすく をご確認ください。

5. ビザに関してよくあるQ&A
ここでは、初めて外国人雇用に携わる人事担当者の方が抱きがちな疑問を中心に、実務で役立つ5つの質問と回答をまとめました。それぞれの回答は、結論を先に述べ、その理由や背景を補足する構成としています。
5.1 Q1. ビザの申請はどこで行いますか?
A. 原則として、申請者本人が居住する国・地域にある日本の大使館または総領事館で行います。ビザ申請は、企業担当者が日本国内で代理申請するものではありません。
企業が行うのは、あくまで日本国内での「在留資格認定証明書(COE)」の取得までであり、その後のビザ申請は外国人本人が自国で行う必要があります。この役割分担を正しく理解することで、書類提出のタイミングや責任の所在を明確にできます。
5.2 Q2. 申請から取得までどのくらいの期間がかかりますか?
A. 手続き全体で2〜3カ月程度が目安です。まず、日本国内での「在留資格認定証明書(COE)」の審査に1〜3カ月程度かかります。その後、本人が自国の日本大使館などで行う「ビザ申請」に5〜10営業日程度が必要です。そのため、採用が決定してから実際に入社できるまでには、少なくとも2〜3カ月の期間を見込むのが現実的です。繁忙期(春・秋)は審査が遅れることもあるため、計画的なスケジュール管理が求められます。
5.3 Q3. ビザがあれば必ず日本に入国できますか?
A. いいえ。ビザがあっても入国が保証されるわけではありません。ビザはあくまで「入国審査を受けるための推薦状」であり、最終的な入国可否は空港の入国審査官の判断に委ねられます。たとえば、ビザ申請時と入国時で雇用条件が大きく異なっていたり、虚偽の申請内容が疑われたりする場合には、入国が許可されないこともあります。そのため、企業側は申請時の条件や契約内容を正確に保つことが重要です。
5.4 Q4. 取得したビザの有効期間とは何ですか?
A. 「ビザに記載された有効期間」は、日本に入国するための期限を示します。通常、ビザの有効期間は3カ月間であり、「この期間内に日本で入国審査を受けてください」という意味です。日本に滞在できる期間は別であり、実際の在留期間は入国時に交付される「在留カード」に記載されます(例:1年、3年、5年など)。また、在留期間の更新は満了日の3カ月前から申請可能です。早めに準備しておくことで、就労継続に関するトラブルを防ぐことができます。
詳細は【 記入例付】在留期間更新許可申請書の書き方・入手方法・注意点 をご確認ください。
5.5 Q5. 申請が不許可になるのはどのような場合ですか?
A. 書類の不備や内容の矛盾、学歴・職務内容の不一致、企業の信頼性不足などが主な原因です。具体的な不許可事例としては、次のようなケースがあります。
- ● 申請書類の記載内容に矛盾がある
- ● 学歴や職歴が、申請した在留資格の活動内容と一致していない
- ● 受け入れ企業の経営状況が不安定であると判断された
- ● 過去に在留資格違反や不法就労の履歴がある
これらのリスクを企業や個人で判断するのは難しく、専門家(行政書士など)による事前確認が有効です。結果的に、時間やコストの節約にもつながります。

6. まとめ:ビザへの正しい理解が外国人雇用の第一歩です
本記事では、外国人を日本で雇用する際に知っておくべきビザの基本知識と実務の流れを解説しました。最後に、重要なポイントを以下に整理します。
- ● ビザとは、入国先の国が発行する「入国許可推薦状」である
- ● ビザ、パスポート、在留資格はそれぞれ異なる目的と発行主体を持つ
- ● 外国人雇用には、「①在留資格認定証明書の申請 → ②ビザ申請 → ③入国と在留カード交付」という3つのステップがある
- ● ビザの有効期間は「入国までの期限」であり、滞在期間とは別物である
- ● 書類の不備や要件の不一致により不許可となるケースもあるため、専門家の支援を受けることが有効
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