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タイ人は英語が通じる?企業が知るべきコミュニケーションのコツ

タイは東南アジア屈指の親日国であり、多くの日系企業が現地に拠点を構えています。一方で「タイ人と英語でやりとりできるのか」と不安を感じる採用担当者は少なくありません。
結論からいえば、タイ人の英語力は国全体の平均では高くないものの、バンコクのビジネス層や外資系企業の経験者に絞ればビジネスレベルで通用する人材も確保できます。

本記事ではEF EPIの最新ランキングや現地の教育事情をもとに、タイ人の英語力の実態と採用時に押さえておきたいポイントを整理します。

CONTENTS

1. データと実績で見るタイ人の英語力

まず客観的な指標として、世界最大の英語能力指数ランキングである「EF EPI(English Proficiency Index)」の最新結果から、タイの国際的な立ち位置を確認しましょう。

1.1 EF EPIスコアとASEAN近隣国との比較

2025年版のレポートにおいて、タイの評価は非常に厳しいものとなっています。

世界順位: 123カ国中 116位
評価区分: Very Low Proficiency(非常に低い能力)

アジア全域で見ても最下位層に位置しており、近隣のASEAN諸国と比較するとその差は顕著です。

国名 世界順位 評価区分 英語の公用語性
シンガポール 2位 Very High 公用語
フィリピン 20位 High 準公用語
マレーシア 25位 High 教育言語として普及
ベトナム 58位 Moderate 国家戦略として強化中
インドネシア 80位 Low 共通語(インドネシア語)が強い
タイ 116位 Very Low 独自のタイ語文化が極めて強い

【分析:平均値に隠された「実数」のポテンシャル】
このランキングだけを見ると「タイでのビジネスに英語は使えない」と判断してしまいがちですが、注意が必要です。タイの人口は約7,000万人。そのうち、バンコクを中心とした都市部の上位10〜15%は、非常に高い教育を受けています。
数百万単位の人口が「英語を不自由なく操る層」として存在しており、これは小国の全人口に匹敵するボリュームです。平均値に惑わされず、「ターゲットとする層にリーチできているか」が戦略上の肝となります。

1.2 都市部と地方における英語普及率の格差

タイほど「場所」によって英語の通用度が変わる国も珍しくありません。

バンコク・プーケット・パタヤ:
これらの世界的な観光都市や経済中心地では、日常生活の多くの場面で英語が通じます。大型ショッピングモール、ホテル、高級レストラン、さらにはタクシー配車アプリ(Grabなど)を介したやり取りであれば、英語だけで完結可能です。

イサーン地方(東北部)やローカル市場:
一方、一歩地方へ出たり、観光客の行かないローカルな市場(タラート)に足を踏み入れたりすると、状況は一変します。ここでは英語の看板すら少なくなり、タイ語の基礎知識がなければコミュニケーションは困難です。

採用や進出を検討する際は、「どの地域の出身者か」「どのエリアで活動する事業か」によって、言語戦略を明確に分ける必要があります。

1.3 学歴・職種による英語力の二極化

タイにおける英語力は、教育格差を映し出す鏡でもあります。

ハイエンド層(外資系・IT・コンサル):
チュラロンコン大学やタマサート大学といった国内トップ校の卒業生、あるいはインターナショナルスクール出身者は、CEFR B2(中上級)〜C1(上級)の英語力を持ちます。彼らは技術文書の読解はもちろん、英語での交渉やプレゼンテーションも難なくこなします。

一般事務・サービス業:
中堅大学の卒業生や一般の販売スタッフの場合、英語力は「定型文のやり取り(A2〜B1程度)」に留まることが多いようです。

現場作業員・工場ワーカー:
製造現場のワーカー層では、英語は「単語レベル(A1以下)」が一般的です。日系工場などでは、タイ語を話せる日本人管理者か、日本語通訳(タイ人)が不可欠となります。

参考:各資格・検定試験とCEFRとの対照表

2. なぜタイ人の英語力は伸び悩むのか?

タイ政府も手をこまねいているわけではありません。2011年からは小学1年生からの英語教育を義務化し、予算も投じています。それにもかかわらずランキングが低迷し続けるのには、タイ特有の3つの構造的な要因があります。

2.1 独自文字のタイ文字と文法構造の壁

言語学的な距離が、学習のハードルを極めて高くしています。
文字の壁:
タイ語は44の子音字と32の母音記号、さらに5つの声調(トーン)からなる独自の「タイ文字」を使用します。アルファベットとの親和性がゼロの状態から学習を始めるため、日本人以上に「綴り(スペリング)」と「発音」の一致に苦労します。

文法の壁:
タイ語には、英語の学習者を最も苦しめる「時制の変化(過去形・未来形)」や「動詞の活用」が存在しません。「昨日、行く」「明日、行く」のように単語を並べるだけの構造であるため、英語の「went」「have gone」といった変化を理解・定着させるのに膨大な時間を要します。

2.2 観光大国ゆえの「通じればOK」という意識

タイは年間数千万人が訪れる観光大国です。この環境が、逆説的に「正確な英語」の習得を阻んでいます。

サバイバル・イングリッシュの定着:
観光地では、文法がめちゃくちゃでも、単語を並べればビジネス(売買)が成立してしまいます。
「You go where?(どこ行くの?)」「Discount ok?(安くして?)」といった、いわゆるティーラック・イングリッシュ(ブロークンな英語)が日常生活に浸透しており、学校で習うアカデミックな英語との乖離が激しいのです。「通じているから、これ以上勉強する必要がない」というマインドセットが、中上級へのステップアップを妨げています。

2.3 経済成長と母国語コンテンツの充実

他の中低所得国と異なり、タイは「英語ができなくても十分に豊かに暮らせる」環境が整っています。
強力な内需とコンテンツ:
タイはASEAN第2位の経済規模(GDP)を誇ります。タイ語だけで楽しめる質の高い映画、音楽、ドラマ、SNSコンテンツが溢れており、国民の多くは英語のエンターテインメントを必要としません。

国内で完結するキャリア:
フィリピンのように「外貨を稼ぐために海外へ出る(OFW)」という動機が薄く、国内のタイ企業で働き、タイ語だけで一生を終えることに不自由がないのです。結果として、英語学習のモチベーションは「海外留学を志す富裕層」や「給与の高い日系・欧米企業を目指すエリート層」という、全体のわずか数%の層にしか強く働きません。

3. 日本人が注意すべきタイ英語の3つの特徴

タイ人の話す英語は、時として「ティーリッシュ(Thai + English = Thailish)」とも呼ばれます。彼らの英語に癖があるのは、英語力が低いからではなく、母国語であるタイ語のルールを英語に当てはめているためです。
この特徴を理解しておけば、ビジネスの現場で「何を言っているのかわからない」という混乱を避け、円滑なコミュニケーションが可能になります。

3.1 語尾に「ナ」「カ」「クラップ」がつく丁寧語文化

タイ人と話していると、英語の文末に聞き慣れない音が混ざることに気づくはずです。
特徴: “Okay ka(オッケー・カ)”、”Wait a minute na(ウェイト・ア・ミニット・ナ)”、”Thank you krap(サンキュー・クラップ)”といった表現です。

背景: タイ語では文末に、相手への敬意や親しみを示す「末尾詞(丁寧語の語尾)」をつけるのが絶対的なマナーです。女性なら「カ(Ka)」、男性なら「クラップ(Khrap)」、親しみやお願いを込める時は「ナ(Na)」を使います。

ビジネスでの解釈: これらは英語の「Please」や「Sir/Ma’am」に近いニュアンスで、相手を尊重している証拠です。決してふざけていたり、幼稚な話し方をしているわけではありません。「丁寧な姿勢の表れ」としてポジティブに受け取りましょう。

3.2 独特なイントネーションと声調の影響

英語は「アクセント(強弱)」の言語ですが、タイ語は「声調(トーン)」の言語です。この違いが、独特のイントネーションを生みます。

感情の読み取り: タイ語には5つの声調(上がる、下がる、高く保つなど)があり、一言一句に音の高さが指定されています。そのため、英語を話す際もタイ語のリズムが抜けず、日本人には「歌っているように聞こえる」か、逆に「平坦で感情がない」ように聞こえることがあります。

疑問文の語尾: 通常、英語の疑問文は語尾を上げますが、タイ語の癖で語尾が下がってしまう人もいます。

アドバイス: 相手が怒っているように聞こえたり、やる気がないように感じられたりしても、それは単なる音韻体系の癖である可能性が高いようです。言葉の「音」だけでなく、表情や身振り、文脈から相手の真意を汲み取るよう意識すると、相互理解が深まります。

3.3 文末の子音が省略される傾向

日本人がタイ英語を聞き取る際、最も苦労するのが「単語の最後が聞こえない」現象です。これはタイ語に「閉鎖音」という概念があるためです。

脱落の仕組み: タイ語では、音節の最後に来る子音(終声)を、口の形は作るものの音として出さない(あるいは飲み込む)傾向があります。

英語の単語 タイ人の発音イメージ 脱落・変化のパターン
Rice ライ 末尾の「s」や「ce」が消える
School スクー 末尾の「l」が消えるか「n」に近くなる
Eight エイ 末尾の「t」が聞こえなくなる
Like ライ 末尾の「k」が飲み込まれる

【聞き取りのコツ】
最初はこの「寸止め」のような発音に戸惑いますが、パターンは一定です。文脈から単語を推測する訓練を数日行えば、驚くほどスムーズに聞き取れるようになります。

4. 日本企業がタイ人材を採用するメリットと活用法

英語力の数値(EF EPI)だけを見てタイ人材を敬遠するのは、大きな機会損失です。数値化されにくい「ソフトスキル」と、特定の職種における「適合性」に注目してみましょう。

4.1 微笑みの国ならではのホスピタリティと親日性

タイは「微笑みの国」として知られ、国民の約9割が仏教徒です。相手を敬い、争いを避ける穏やかな国民性は、日本の労働環境と非常に高い親和性があります。

ホスピタリティの質: 相手の状況を察して寄り添う「マイペンライ(気にしないで)」の精神と、目上の人を敬う文化は、日本のサービス業や介護現場で高く評価されています。

高い親日性: 外務省の調査でも、タイは常にトップクラスの親日国です。幼少期から日本のアニメや食文化に親しんでいるため、日本企業のルールや文化を吸収しようとする意欲が他国に比べて格段に強いという特徴があります。

詳細はこちらをご確認ください。
タイ人の特徴や国民性・性格・宗教などを徹底解説|外国人採用お役立ち情報

4.2 特定技能(介護・外食)における即戦力

現在、日本で拡大している「特定技能」制度において、タイ人材は特に介護・外食分野で存在感を示しています。

非言語コミュニケーションの強み: 介護や接客では、高度な英語力や完璧な文法よりも、「優しい表情」「丁寧な所作」「相手への気遣い」が優先されます。タイ人材は、言葉の壁を非言語コミュニケーションで補う能力に長けています。

データの裏付け: タイからの特定技能在留者数は年々増加傾向にあり、試験の合格率も安定しています。日本式の教育(OJT)に対しても、素直かつ真面目に取り組む姿勢が現場の管理者から好評を得ています。

4.3 英語力の伸びしろと入社後の育成戦略

「今は英語が苦手」という人材でも、適切な環境さえあれば急速に成長するポテンシャルを持っています。

基礎教育の土台: 1.2節で述べた通り、タイ人は小学校から英語を学んでいます。語彙や文法の「知識」は頭の中に眠っている状態であることが多いため、実務で使うフレーズに特化した研修を行えば、短期間で「話せる」ようになります。

自発的な学習意欲: 近年、バンコクを中心に若者の間で「キャリアアップのための語学学習」がブームとなっています。オンライン英会話や、海外就職を見据えたIELTS(アイエルツ:移住・就職などで使われる英語試験)対策に励む若者が増えており、入社後の学習支援(資格手当など)を提示することで、爆発的に能力を伸ばす人材を確保できます。

【提案:二段階育成モデル】
採用時は英語力にこだわりすぎず、「親和性・性格・学習意欲」を重視しましょう。入社後に「まずは日本語、次に業務に必要な英語」と段階的に教育するモデルを組むことで、定着率が高く、かつ多言語に対応できるハイブリッドな人材へと育て上げることが可能です。

5. タイ人の英語・言語事情に関するQ&A

タイ人採用や現地ビジネスにおいて、日本人の担当者が抱きやすい疑問をQ&A形式で解消します。

5.1 Q1. タイの公用語は英語ですか?

A. 公用語はタイ語のみです。 フィリピンやシンガポールのようには英語を公用語として運用していません。しかし、2011年から小学1年生での英語教育が義務化されたことで、若い世代を中心に英語に触れる機会は飛躍的に増えています。観光地やビジネス街では英語が通じる場面も少なくありませんが、行政手続きや公共機関の案内は依然としてタイ語が基本であることを理解しておく必要があります。

5.2 Q2. タイ人の英語はネイティブに通じますか?

A. 慣れていないネイティブには聞き取りづらい場合がありますが、実務上の障壁は低いと考えてOK。 タイ語独特の声調や語末の子音省略の影響で、強い訛りを感じるネイティブスピーカーもいます。しかし、現在グローバルビジネスの主流となっている「非ネイティブ同士の英語(グロービッシュ)」の文脈では、大きな問題にはなりません。独特の訛りパターン(「L」が「N」に聞こえるなど)さえ把握すれば、数回のやり取りで十分に意思疎通が可能です。

5.3 Q3. 採用面接は英語と日本語どちらですべきですか?

A. 職種によりますが、両方を組み合わせた総合評価を推奨します。 海外取引や外資系ホテルのフロントなど、業務で英語が必須の場合は英語面接で「即戦力」を確認すべきです。しかし、それ以外の職種では、日本語または通訳を介したタイ語での面接を優先し、候補者の本来の「人柄」や「熱意」を引き出すことが重要です。短い質疑で英語・日本語の基本運用力をチェックし、スコア上の数字だけでなく「伝える姿勢」を評価しましょう。

5.4 Q4. 日本語の習得スピードは速いですか?

A. 初級の適応は早いですが、中級以降は手厚いサポートが鍵となります。 タイ語はSVO語順で日本語とは異なりますが、複雑な活用がないため、単語を並べて意思を伝える初級レベルの習得は比較的スムーズです。また、タイには「相手の地位に応じた言葉遣い(敬語)」の文化が深く根付いているため、目上の人を敬う日本語のニュアンスを理解しやすいという強みもあります。ただし、助詞や漢字は大きな壁になりやすいため、継続的な学習支援が必要です。

5.5 Q5. 英語が話せないタイ人もいますか?

A. はい、属性や地域によっては全く話せないケースも珍しくありません。 特に地方(東北部イサーン地方など)の出身者や、最終学歴が高卒以下の層では、英語に触れる機会が極めて限定的です。バンコクのエリート層と地方のワーカー層では、英語力に天と地ほどの差があるのが実態です。採用時には「タイ人だからこれくらいは話せるだろう」と一括りにせず、個別の語学テストや会話チェックを行うことがミスマッチ防止に不可欠です。

6. まとめ:適材適所での採用が成功の鍵

タイ人の英語力を一言で表すなら、それは「極端な二極化」です。最新のEF EPIデータでは世界下位に位置するタイですが、その中にはネイティブ顔負けの英語を操るエリート層もいれば、英語は全く話せないが世界最高峰のホスピタリティを持つ現場ワーカー層も存在します。採用を成功させるためのポイントは以下の3点に集約されます。

・ 履歴書のスコアを過信せず、面接で「実際の運用力」を確かめること
・ 英語力不足を補って余りある「親日性」や「ホスピタリティ」を評価軸に加えること
・ 入社後のポテンシャルを見据え、日本語・英語の二段階育成プランを提示すること

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