特定技能「自動車運送業」とは?外国人ドライバー採用の要件を解説
2026.01.23
特定技能「自動車運送業」で外国人ドライバーを採用するための制度概要を紹介。時間外労働規制により深刻化する人手不足への対応策として注目される本制度について、受け入れ要件や免許取得方法、国内在住者・海外人材それぞれの採用手順をまとめています。
2024年4月から始まったドライバーの時間外労働規制により、物流業界では人手不足がより深刻な課題となっています。こうした状況を受け、外国人材の活用策として注目されているのが、在留資格「特定技能」に新たに追加された自動車運送業分野です。
一方で、制度や手続きが複雑で全体像をつかめず導入に踏み切れない企業も少なくなりません。本記事では、特定技能「自動車運送業」の制度概要や受け入れ要件、日本での免許取得方法、採用方法や費用の目安まで解説します。
CONTENTS
- 1. 特定技能「自動車運送業」とは
- 2. 特定技能でドライバーを受け入れるための要件
- 3. 外国人ドライバーが日本で運転免許を取得・切り替える方法
- 4. 特定技能でドライバーを採用する方法
- 5. 採用決定から業務開始までにかかる期間の目安
- 6. 運送業で外国人材を雇用するメリット
- 7. 外国人材の雇用時に想定されるリスクと対策
- 8. 特定技能でのドライバー採用にかかる費用の内訳
- 9. まとめ:特定技能による外国人ドライバー採用を進めるために
1. 特定技能「自動車運送業」とは
2024年4月から「働き方改革関連法」にもとづく時間外労働の上限規制が適用され、ドライバーの時間外労働は年960時間までとなりました。その影響で、物流業界の労働力不足は危機的な状況にあります。
こうした不足を補うため、新たに特定技能の「自動車運送業」分野が追加されました。
従事可能な業務区分は以下の3つであり、いずれも車両整備や清掃などの関連業務を付随的に行うことが認められています。
- ● トラック:集配・長距離輸送に加え、荷役(積み下ろし)作業も可能。
- ● タクシー:運転業務に加え、乗降介助や顧客対応があり、高い日本語能力(JLPT N3相当以上)が求められる。
- ● バス:路線・観光バスの運転に加え、車内アナウンスや乗客の安全確認、荷物の取り扱いが可能。
▶特定技能について詳細は、在留資格「特定技能」とは? 技能実習との違いや採用ポイントを解説をご参照ください。
2. 特定技能でドライバーを受け入れるための要件
特定技能でドライバーを採用するには、企業と外国人材の双方が国の定める基準を満たす必要があります。法令を遵守することはもちろん、外国人材が安全かつ健康に働ける職場環境を整えておくことも重要です。
どちらか一方でも基準を満たさなければ、在留資格(特定技能ビザ)は許可されないため、初期段階での確認が必須です。
2.1 企業が満たすべき要件
運送事業者としての許可を取得していることに加え、外国人材を受け入れるための認証取得や職場体制の整備が求められます。
2.1.1 事業者認定と協議会への加入
まず貨物自動車運送事業法または道路運送法に基づく許可を受けた正規の事業者であることが前提です。
トラック事業者は、「安全性優良事業所(Gマーク)」または「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」のいずれかの取得が必須です。一方、バス・タクシー事業者は、「運転者職場環境良好度認証制度」の取得が求められます。いずれの場合も、有効期限内であることが条件です。
さらに、特定技能の外国人材を1名でも受け入れる場合は、「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入が必須です。加入手続きは、在留資格申請前に行う必要があります。
2.1.2 報酬設定と支援体制の構築
外国人であることを理由に、不当に低い賃金を設定することは法律で固く禁止されています。特定技能で働く外国人ドライバーには、同じ業務に従事する日本人ドライバーと同等額以上の報酬を支払う必要があります。
また、入国前のガイダンスや生活オリエンテーション、公的手続きへの同行なども義務付けられています。自社で専門的な支援体制を整備できない場合は、自動車運送業分野特定技能協議会に加入している登録支援機関に、支援計画のすべてを委託することも可能です。
2.2 外国人ドライバーが満たすべき要件
「技能」「日本語」「免許」の3つの要件をクリアしている必要があります。
2.2.1 技能試験の合格と一定の日本語能力
技能試験として、「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格していることが必須です。試験はCBT方式(コンピュータ試験)で実施され、問題は日本語で出題されます。
日本語能力については、日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2以上が必要です。ただし、接客を伴うタクシー・バスのドライバーは、より高い水準としてJLPT N3以上が求められます。
▶日本語能力試験の詳細については、日本語能力試験(JLPT)N1・N2とは?レベル別の難易度を解説をご参照ください。
2.2.2 日本の運転免許証の保有
トラックは第一種運転免許、バス・タクシーは第二種運転免許が必要です。さらに、バス・タクシードライバーは「新任運転者研修」の修了も必須となります。
海外から外国人を呼び寄せる場合は、まず「特定活動」の在留資格で入国し、定められた期間内に日本の免許取得や新任運転者研修を行う必要があります。期間は、トラックで6カ月、バス・タクシーで1年です。
なお、外国の運転免許を持っているだけでは条件を満たせません。必ず日本の免許へ切り替えるか、新たに取得する必要があります。
▶特定活動について詳細は、在留資格「特定活動」のビザとは?種類・条件・就労制限を徹底解説をご参照ください。

3. 外国人ドライバーが日本で運転免許を取得・切り替える方法
外国人材をドライバーとして採用する際は、どの方法で日本の運転免許を取得させるかが重要なポイントとなります。
日本の運転免許を取得する方法は、大きく分けて、教習所に通って新規に取得する方法と、外国の運転免許を日本の免許に切り替える方法(外免切替)の2通りがあります。
候補者の日本語能力やこれまでの運転経験、かけられる期間や予算などを踏まえ、適切な取得方法を選択することが大切です。
3.1 日本の教習所で新規取得する場合
日本の自動車教習所に通い、日本人と同様のカリキュラムで免許を取得する方法です。日本の交通ルールやマナーを基礎から体系的に学べるため、採用後の事故リスクを抑えやすいというメリットがあります。
学科試験は多言語対応が進んでいますが、技能教習や指導は日本語で行われるケースが多く、一定レベルの日本語能力が必要となります。
3.2 外国の免許を日本の免許に切り替える場合(外免切替)
外国で取得した有効な運転免許証を、日本の免許証に切り替える方法です。切り替えを行うには、免許取得後にその国へ通算3カ月以上滞在していたことを証明する必要があります。
切り替えにあたっては、知識確認(学科試験)と技能確認(実技試験)の両方に合格しなければなりません。特に技能確認は難易度が高く、複数回不合格となるケースも珍しくありません。
4. 特定技能でドライバーを採用する方法
採用予定の外国人材が日本国内にいるか、海外にいるかによって、踏むべきプロセスや手続きの順序が異なります。
ただし、いずれのケースでも共通して、最初に行うべきなのは、自社が受け入れ要件を満たしているかの確認と、協議会への加入に向けた準備です。
4.1 国内在住の留学生・技能実習生を採用する場合
すでに日本に在住している留学生や、他分野の技能実習を修了した外国人を採用するパターンです。
この場合、現在の在留資格から「特定技能」への変更申請を行う前に、日本の運転免許を取得しておく必要があります。免許取得後、「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格することで、特定技能への変更申請が可能となります。
日本の生活習慣に慣れているため、生活立ち上げに関するサポート負担を軽減できる点がメリットです。一方で、免許を保有していない場合は、現在の在留資格の在留期間内に免許を取得する必要があり、ハードルが高くなる点には注意が必要です。
4.2 海外から新規で呼び寄せる場合
海外の送り出し機関などを通じて募集し、現地で「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格した人材を呼び寄せるパターンです。
手続きは、「特定活動」の認定証明書交付申請から始まり、入国後に免許取得、そして特定技能への変更という順序で進みます。
入国後すぐに業務に従事できるわけではなく、まず数カ月間の免許取得・研修期間が必要となることを踏まえて計画を立てることが重要です。また、現地の運転免許事情や、外免切替の要件(通算3カ月の滞在期間)を満たしているかも確認しておく必要があります。
▶送り出し機関について詳細は、送り出し機関の完全ガイド|仕組み・選び方から国別の注意点まで徹底解説をご参照ください。

5. 採用決定から業務開始までにかかる期間の目安
採用を決定してから業務を開始するまでには、半年から1年程度の期間を見込む必要があります。特に、運転免許の取得状況が進捗のボトルネックになりやすいため、余裕を持った計画立案が欠かせません。また、在留資格申請の審査期間も考慮して、逆算してスケジュールを組むことを押さえておきましょう。
採用決定から在留資格と免許を取得し、法的に業務可能になるまでの期間の目安は以下の通りです。
- ● 国内採用かつ免許保有者の場合:約2〜3カ月(ビザ変更審査期間を含む)
- ● 国内採用かつ免許なしの場合:約4〜6カ月(教習所期間+ビザ変更期間)
- ● 海外採用(外免切替利用)の場合:約6〜8カ月(入国手続き+切替試験+研修期間)
- ● 海外採用(免許を日本で取得)の場合:約8〜12カ月(入国手続き+教習所+研修期間)
海外から採用する場合、入国後の数カ月間は『特定活動』ビザで滞在し、日本の免許を取得する期間となるため、その間は業務に従事できません。この「稼働できない期間」を見越して、スケジュールを立てることが大切です。

6. 運送業で外国人材を雇用するメリット
外国人材の採用は、人手不足の解消だけでなく、組織の活性化や将来への投資としても注目されています。特にドライバーの高齢化が進む日本では、若い労働力の確保が事業継続の重要なポイントです。
具体的なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- ● 若手人材の確保:平均年齢が高いドライバー業界において、20代・30代の若手を確保できることは大きなメリットです。
- ● 稼働率の向上:体力のある人材が多く、夜間配送や荷役作業にも対応できるため、車両の稼働率を高められます。
- ● 組織全体の活性化:勤勉で学習意欲の高い人材が多く、社内全体のモチベーション向上や活性化にもつながります。
- ● 将来的な育成の可能性:特定技能2号への移行が可能になれば、長期的な中核社員として育成することも期待できます。

7. 外国人材の雇用時に想定されるリスクと対策
外国人材の採用では、文化や言語の違いによるトラブルや、重大事故のリスクがゼロではありません。
メリットを最大化するためには、想定されるリスクを事前に洗い出し、具体的な管理体制を構築しておくことが大切です。
7.1 交通ルールに関するリスクと事故防止策
右側通行の国出身者の場合、日本の左側通行への適応に時間がかかることがあるため、注意が必要です。また、踏切での一時停止や譲り合いの精神など、日本独自の交通マナーや暗黙のルールも徹底的に教育する必要があります。
効果的な対策としては、ドライブレコーダーの映像を用いた危険予知トレーニングを多言語で実施するなど、視覚的な教育が有効です。さらに、万が一の事故に備え、対人・対物保険の内容確認や、事故時の連絡フローを母国語で周知することも欠かせません。
7.2 コミュニケーション上のリスクと対策
配車指示や日報作成などのコミュニケーションでは、音声翻訳アプリや翻訳ツールを導入する企業が増えています。さらに、専門用語や業界用語を「やさしい日本語」に言い換えたマニュアルを作ると、相互理解がより深まります。
日本人ドライバーや運行管理者には異文化理解研修を実施し、外国人材への受容性を高めることが大切です。加えて、孤立を防ぐためにはメンター制度の導入や社内イベントを通じた交流促進などの取り組みも有効です。
▶やさしい日本語について詳細は、外国人採用のときにも意識したい「やさしい日本語」とは?をご参照ください。

8. 特定技能でのドライバー採用にかかる費用の内訳
特定技能によるドライバー採用では、一般的な日本人採用とは異なる費用が発生します。予算を検討する際は、採用時にかかる「初期費用(イニシャルコスト)」と、雇用後に継続して発生する「月額費用(ランニングコスト)」の2つに分けて整理するのがポイントです。
8.1 採用時に発生する費用(イニシャルコスト)
人材紹介会社を利用する場合、採用決定時に成功報酬として人材紹介手数料が発生します。一般的には、理論年収の一定割合(20%〜30%程度)を基準とするケースや、定額制の紹介料が設定されているケースが多く見られます。
在留資格申請などの手続きを行政書士に依頼する場合は、申請内容の複雑さや採用人数によって費用が異なりますが、1名あたり10万円〜15万円程度が目安です。
海外から外国人材を呼び寄せる際には、航空券代や入国時の送迎費用に加え、住居の敷金・礼金や家電購入費など、生活立ち上げに必要な初期費用も想定しておく必要があります。
さらに、「自動車運送業」分野では、日本の運転免許取得に伴う教習・講習費用が特有のコストとして発生します。免許の取得ルートによって費用構造は大きく異なり、費用の目安も異なります。
- ● 新規取得の場合:日本の教習所に通う必要があり、教習費用の目安は30万円〜50万円程度です。
- ● 外免切替の場合:新規取得と比べて初期費用は抑えられる傾向にありますが、試験対策のための教習所での練習費用や免許証の翻訳費用、難易度が高いとされる技能確認(実技試験)の再受験料など、見えにくいコストが積み上がる点に注意が必要です。
これらの費用を会社が全額負担するか、本人に一部負担を求めるかは企業ごとの規定によります。ただし、給与天引きを行う場合には、労使協定の締結など法令に沿った対応が前提となります。
採用コストの総額は「国内採用か海外採用か」「免許を新規取得するか外免切替を利用するか」といった条件の組み合わせによって大きく変動します。Web上の一般的な情報だけをもとに予算を組むと、実際の費用と乖離するリスクが高いため、専門の支援会社や紹介会社にシミュレーション見積もりを依頼するのが確実です。
8.2 毎月発生する費用(ランニングコスト)
生活支援を登録支援機関に委託する場合は、支援委託費が発生します。支援内容によって異なりますが、外国人1名あたり月額2万円〜3万円程度が目安です。
2025年12月時点で、自動車運送業分野特定技能協議会の入会金や年会費は不要(無料)とされています。ただし、他分野では負担金が発生する場合もあるため、将来的な規約変更には留意が必要です(参考:特定技能Q&A 通し番号 問 回答)。
また、特定技能ビザの許可要件として、同じ業務に従事する日本人と同等額以上の給与設定が義務付けられています。加えて、社会保険料などの会社負担分も発生する点を考慮しておく必要があります。

9. まとめ:特定技能による外国人ドライバー採用を進めるために
在留資格「特定技能」における自動車運送業分野は、物流業界の人手不足に対応する有効な制度です。一方で、参入のハードルは決して低くありません。
企業側には、Gマークなどの認証取得や特定技能協議会への加入といった事前準備が求められ、体制整備には一定の時間とコストがかかる点を理解しておく必要があります。
外国人材についても、日本の運転免許の取得ルートの選定や、入国後の教育・研修計画が採用結果に大きく影響します。
制度自体が複雑で、法令や運用ルールの見直しも定期的に行われるため、最新情報を確認しつつ、専門家や支援機関と連携し、段階的に手続きを進めることが現実的です。
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