在留カードとは?番号確認・偽造対策・見方をわかりやすく
2025.07.30
日本で中長期的に滞在する外国人が必ず所持する「在留カード」。これは単なる身分証明書ではなく、就労の可否や活動範囲を示す重要な法的書類です。外国人雇用を行う企業にとって、この在留カードを正しく確認することは、コンプライアンス遵守の基本であり、不法就労助長罪のリスクを避けるために不可欠です。しかし、記載内容の見方や偽造カードへの対策、そして「在留カード番号」の役割など、意外と知らない点も多いのではないでしょうか。この記事では、在留カードの基礎知識から、採用時に必須となる確認方法、偽造の見分け方、番号の活用、更新や紛失時の対応まで、丁寧に解説します。
CONTENTS
1. 在留カードの基本:外国人雇用の第一歩
在留カードとは?
在留カードは、日本に3ヶ月を超える中長期滞在をする外国人に対して交付される身分証明書です。在留資格や在留期間などの法的な情報が記載されており、外国人の身分と在留状況を証明する重要なカードです。
法的根拠と義務
在留カードは出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づいて発行されます。所持者はカードを常に携帯し、必要に応じて入国管理官や警察官に提示する義務があります。これを怠ると、罰則が科される場合があります。
交付対象者
中長期在留者が対象で、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)、留学、技能実習(育成就労含む)、身分系在留資格(一部)などの外国人が該当します。一方、短期滞在者や外交、公用等の特別な資格保持者は対象外です。
手続き場所
在留カードの交付、更新、変更手続きは、原則として出入国在留管理庁(入管)で行われます。新規入国時や住所変更時などにも手続きが必要です。

2. カードの読み方:記載されている全項目を徹底解説
在留カードの表面・裏面に記載されている各項目の意味を理解し、特に注意すべきポイントを把握しましょう。
表面の重要チェック項目
- 1. 顔写真・氏名・生年月日・性別・国籍/地域
→ 本人確認の基本情報。写真と氏名の一致、年齢や国籍の確認に必須。 - 2. 住居地
→ 現在の住所が正しく記載されているかを確認。引っ越し後は変更手続きが必要。 - 3. 在留資格
→ 日本で許可された活動内容を示す資格名(例:留学、技術・人文知識・国際業務など)。活動範囲の根拠となる重要項目。 - 4. 在留期間(満了日)
→ 日本に滞在可能な期限。オーバーステイ(期限超過)していないか必ずチェック。 - 5. 就労制限の有無
→ 就労できるかどうかの最重要ポイント。詳細は別途解説。許可なしでの就労は違法。 - 6. 在留カード有効期間(満了日)
→ カード自体の有効期限。
→ 在留期間満了日とは異なる場合がある(特に永住者の場合、カードの有効期限が切れても在留資格は継続することがあるため注意)。 - 7. 在留カード番号(12桁)
→ カードごとに固有の番号。行政手続きや本人確認時に利用。
裏面の重要チェック項目
- 1. 住居地記載欄
→ 引っ越し等の住所変更履歴が記録される欄。最新の住所か確認。 - 2. 資格外活動許可欄
→ 表面で「就労不可」となっていても、ここに許可があればアルバイトなどの資格外活動が可能。
→ 許可内容(例:週28時間以内の就労)が記載されているため、条件を確認する。 - 3. 在留期間更新等許可申請欄
→ 「申請中」のスタンプが押されている場合、在留期間満了後も特例的に一定期間の在留が認められることがある。

3. 「在留カード番号(12桁)」とは?確認方法と注意点
次に、12桁の在留カード番号の役割とそれを使ったカードの有効性確認方法を解説します。
在留カード番号とは
- ● 在留カードに一枚ずつ割り振られた固有の識別番号(12桁)。
- ● 行政手続きや本人確認の際に使用される重要な情報。
確認方法(在留カード等番号失効情報照会サイトの活用)
- ● 出入国在留管理庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」サイトで番号の有効性をチェックできる。
- ● 【手順】
- 1. サイトにアクセスする。
- 2. 在留カード番号(12桁)と在留カード有効期間満了日を入力。
- 3. システムがその番号のカードが「有効」か「失効」かを返答。
- 1. サイトにアクセスする。
結果の解釈と注意点
- ● 「有効」と表示された場合でも、偽造カードでない保証はない。
- ● 「失効」と表示された場合は、カードが正式に無効になっているため要注意。
- ● 【重要】
- ○ 有効な番号を悪用した偽造カードも存在するため、番号の確認だけで在留カードの真偽を断定することはできない。
- ○ 顔写真や記載事項、本人確認書類との照合など、他の確認方法と併用して総合的に判断することが必須です。
- ○ 有効な番号を悪用した偽造カードも存在するため、番号の確認だけで在留カードの真偽を断定することはできない。

4. 採用担当者必携!在留カード確認 8つのステップ【チェックリスト付】
続いて、企業が外国籍の応募者や社員の在留カードを適切に確認し、不法就労助長罪を防止するための具体的な手順を示します。確認漏れを防ぎましょう。
確認義務の根拠
- ● 不法就労助長罪の防止のため。
- ● たとえ過失でも罪に問われる可能性があるため、確認は厳密に行う必要がある。
確認の推奨タイミング
- ● 面接時など、採用プロセスの中で複数回確認することが望ましい。
【確認手順チェックリスト】
Step1: 本人から在留カードの原本を提示してもらう
なぜ重要?
- ● 写真・コピーでは偽造を見抜けない。原本のみが法的な確認対象。
注意点
- ● オンライン面接などでは原本確認ができないため、必ず対面での確認を設定。
- ● 原本提示を拒む場合、就労資格に問題がある可能性があるため、慎重に対応。
Step2: 顔写真・氏名・生年月日などで本人確認を行う
チェック内容
- ● 顔写真が本人と一致するか(年齢・髪型・特徴に注意)
- ● 氏名、生年月日が履歴書や他書類と一致しているか
見落としがちな点
- ● 顔写真の不自然な貼り替え痕や、にじみ、光の反射がおかしい場合は偽造の可能性あり。
- ● 複数の本人確認書類(パスポートなど)と照合するのが望ましい。
Step3: 「在留期間(満了日)」と「在留カード有効期間」が切れていないか確認
両方を確認!
- ● 「在留期間(満了日)」=在留資格の期限(これが切れると不法滞在)
- ● 「カード有効期間」=カードそのものの有効期限(永住者などに多い)
特記事項
- ● 両者は異なることがある。両方確認が必要!
※更新申請中の場合:「申請中」スタンプの有無を裏面で確認
特例期間の証明
- ● 裏面に「在留期間更新等許可申請中」のスタンプが押されていれば、原則として申請中は滞在・就労可能。
注意点
- ● この期間でも就労条件は従前のままなので、「就労制限の有無」は継続して確認する。
Step4: 在留資格の種類を確認し、自社業務と適合しているか判断
例:
- ● 「技術・人文知識・国際業務」→ ホワイトカラー職など
- ● 「特定技能」→ 特定産業分野に限定
- ● 「留学」「家族滞在」→ 原則就労不可(資格外活動の許可が必要)
チェックポイント
- ● 業務内容が在留資格の範囲外であれば不法就労になる。
Step5: 「就労制限の有無」欄を確認
表記パターンの見分け方:
- ● 「就労制限なし」→ 制限なし。自由に就労可能(永住者・定住者など)
- ● 「在留資格に基づく就労活動のみ可」→ 資格の範囲内でのみ可(技人国など)
- ● 「就労不可」→ 留学生・家族滞在など。アルバイトも原則不可
就労条件の判断ミスが最も多いため、必ず記録に残すこと!
Step6: 就労不可の場合 → 裏面の「資格外活動許可欄」を確認
ここに許可があれば、週28時間以内のアルバイトなどが可能。
- ● 「許可:週28時間以内の資格外活動を認める」などの記載を確認
- ● 例外的に「特別な職種・条件」の記載がある場合は内容をよく確認
注意点
- ● 許可の記載がない場合、一切の就労不可。たとえ1時間のアルバイトでも違法となる。
Step7: 偽造・変造の疑いがないか目視で確認
確認ポイント(目視)
- ● ホログラム(写真上・裏面左下)
- ● 角度で色が変わる加工(カード左端)
- ● 透かし文字「MOJ」
- ● カード表面の質感・厚み・印刷のズレ
UVライトなどがあればさらに精度が上がる。
Step8: 「在留カード等番号失効情報照会」サイトで番号確認(推奨)
やり方
- ● 出入国在留管理庁の公式サイトにアクセス
- ● 在留カード番号(12桁)とカード有効期限を入力
- ● 「有効」 or 「失効」結果を確認
注意点
- ● 「有効」と出ても偽造でない保証にはならない。
- ● 番号確認はあくまで補助確認手段であり、他の確認とセットで行う。
確認結果の記録も忘れずに!
- ● 確認内容・日時・確認者の記録を残す
- ● 必要に応じて、本人の同意を得て在留カードのコピーを保管(個人情報保護に配慮)

5. 巧妙化する偽造カード!3つの対策で見破る方法
ここで、偽造在留カードの流通が増加している現状を踏まえ、具体的な見抜き方を習得し企業や関係者が適切に対応できるよう解説します。
偽造カード流通の現状とリスク
在留カードの偽造は年々巧妙化しています。偽造カードによる不正就労や犯罪リスクが高まっているため、確認の厳格化が求められます。
対策①:目視による偽変造防止策のチェック
- 1. カード左端の色の変化を確認
→ 角度を変えると色が変わる特殊加工が施されている。 - 2. 透かし文字「MOJ」(法務省の略称)
→ 光に透かすと見える偽造防止の透かし文字。 - 3. 顔写真部分のホログラム
→ 顔写真上に重ねられたホログラム加工で、簡単に剥がせない仕組み。 - 4. 裏面左下のホログラム
→ 裏面にもホログラムがあり、真贋の判断材料となる。 - 5. 紫外線照射による反応(可能な場合)
→ 専用のUVライトでカードを照射すると、隠し印刷や加工が浮かび上がる。
→ (※図解や動画があれば理解しやすい)
対策②:公式「在留カード等読取アプリケーション」の活用
- ● アプリでできること
→ カード内蔵のICチップ情報を読み取り、記載内容と照合。偽造の可能性を減らす。 - ● 入手方法
→ 出入国在留管理庁の公式サイトからダウンロード可能。 - ● 使い方のポイント
→ スマホやタブレットでICチップを読み取るだけでOK。
→ エラー表示が出た場合は偽造や読み取りミスの可能性があるため注意。
対策③:「在留カード等番号失効情報照会」サイトの活用(補助確認)
- ● 在留カード番号が「有効」か「失効」かをチェックできる。
→ただし、番号の有効性確認だけでは偽造カードを完全に排除できません。
最重要ポイント
複数の確認方法を組み合わせることが、偽造カード見破りのカギ。目視チェック、公式アプリの読み取り、番号照会の3つを連携させ、リスクを最小化しましょう。

6. 最も重要!「就労制限の有無」欄から就労可否を判断する
ここで、在留カードの「就労制限の有無」欄を正確に読み取り、雇用しようとしている業務が許可されているか判断するポイントについて解説します。
「就労制限の有無」欄のパターン別解説
① 「就労制限なし」
- ● 対象者例: 永住者、定住者など、身分・地位に基づく在留資格者。
- ● 就労可否: 職種や時間の制限なく、原則自由に就労可能。
② 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
- ● 対象者例: 技術・人文知識・国際業務(技人国)、特定技能など。
- ● 就労可否: 許可された在留資格の範囲内の業務のみ就労可能。
- ● 確認ポイント: 自社の業務内容が資格の範囲と合致しているか必ず確認。
③ 「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」
- ● 対象者例: 技能実習生(育成就労)、企業内転勤者など。
- ● 就労可否: 指定された機関(企業等)以外での就労は不可。
④ 「指定書により指定された就労活動のみ可」
- ● 対象者例: 特定活動、特定技能、高度専門職など。
- ● 就労可否: パスポートに添付される「指定書」に記載された活動・機関のみ就労可能。
- ● 確認ポイント: 指定書の内容を必ず確認。
⑤ 「就労不可」
- ● 対象者例: 留学生、家族滞在、文化活動など。
- ● 就労可否: 原則として就労不可。
「就労不可」の場合の追加確認(裏面「資格外活動許可欄」)
- ● 「許可:原則週28時間以内~」
→ この範囲内でのアルバイトなどの就労は可能。 - ● 「許可:資格外活動許可書に記載された範囲内~」
→ 個別の許可内容を必ず確認する。 - ● 記載なし
→ 資格外活動許可もなく、就労は不可。
判断に迷う場合の対処法
まずは本人に就労内容や資格の範囲を直接確認しましょう。出入国在留管理庁に照会を行うのも良いでしょう。その他、行政書士や弁護士など専門家に相談してみるのも有効な対処法です。

7. 在留カードに関する諸手続き:更新・変更・紛失時
最後に、在留カードに関する基本的な各種手続きの流れと期限について解説します。
1. 在留期間の更新申請
- ● 在留期間が満了する3ヶ月前から、出入国在留管理庁(入管)に申請が必要。
- ● 申請を怠ると、在留資格が失効する恐れがあるため注意。
2. 在留カード有効期間の更新申請
- ● 永住者などが対象。
- ● 在留カード自体の有効期限は概ね7年ごとに設定されており、期限前に入管へ申請して更新する。
- ● 在留資格の期限とは別なので混同しないこと。
3. 記載事項の変更手続き
- ● 氏名、生年月日、性別、国籍・地域の変更
→ 変更後14日以内に入管へ届出が必要。 - ● 住居地の変更
→ 変更後14日以内に市区町村役場へ届出(入管ではない)。
→ 入管にも報告が必要だが、まずは役場への届出が優先。
4. 紛失・盗難・汚損時の再交付申請
- ● 事実を知った日から14日以内に入管へ再交付申請を行う。
- ● 警察署への届出も必須(遺失届・盗難届など)。
- ● 再交付申請時は本人確認書類等が必要。
このように、在留カードに関わる手続きは期限厳守が基本です。忘れずに手続きを行いましょう。
8. まとめ:在留カードの正しい理解と確認で、適正な外国人雇用を
外国人を雇用する企業にとって、在留カードの確認は法令順守(コンプライアンス)上の最重要事項です。
1. 在留カード記載内容の正確な理解が必須
- ● 「在留資格」「在留期間」「就労制限の有無」など、雇用の可否を左右する項目を正確に読み取る力が求められます。
- ● 特に「就労制限の有無」は業務内容との適合性を判断するうえで最も重要です。
2. 番号確認・偽造対策を含む複合的な確認プロセスを実行する
- ● 在留カード番号照会サイトや
- ● ICチップ読取アプリの活用、
- ● 目視によるホログラム・透かしのチェックなどを組み合わせて確認することが、偽造カード対策に有効です。
3. 確認不足は法的リスクに直結
- ● 就労資格を確認せずに雇用すれば、不法就労助長罪(過失も含む)に問われる可能性があります。
- ● 企業としての社会的信用を失うリスクもあるため、チェック体制の整備が必要です。
4. 関連手続きも把握しておくこと
- ● 在留期間やカード有効期限の更新、
- ● 氏名・国籍・住所などの変更届出、
- ● 紛失・盗難時の再交付申請など、在留カードに関する手続きの基礎知識も持っておくことが重要です。
5. 判断に迷ったら自己判断せず専門機関へ
- ● 雇用の可否やカードの真偽に不安がある場合は、出入国在留管理庁(入管)や行政書士・弁護士等の専門家に相談するのが確実です。
正しい確認と対応は、企業を守り、外国人労働者の権利を守ることにもつながります。在留カード確認を「形式」ではなく「責任ある運用」として、徹底していきましょう。
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