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なぜ人手不足と言われるのか|原因と企業が取るべき対策法を解説

多くの日本企業が直面する深刻な「人手不足」。なぜ働き手が不足が起こるのか、放置するとどうなるのか、そして企業はどのように対策すべきか、悩んでいる担当者も多いでしょう。この記事では、人手不足の現状と原因を分析し、企業への影響を解説します。さらに、働き方改革、DX推進、多様な人材活用(外国人材含む)といった多角的な解決策を具体的に紹介します。自社に合った対策を見つけ、持続的な成長を実現しましょう。

CONTENTS

日本で深刻化する人手不足:その現状と主な原因

最新データで見る国内の人手不足の状況

厚生労働省の発表によると、令和7年3月末時点での最新の有効求人倍率は1.26倍で、前月より0.02%上昇しています。過去年度からの推移は以下の通りです。

出典)一般職業紹介状況(令和73月分及び令和6年度分)について 厚生労働省

 

有効求人倍率は令和6年3月からほぼ変わらず、依然として高水準をキープしています。

一方、民間調査機関による雇用の過不足状況を調査したデータでは、令和7年4月時点で正社員の人手不足を感じている企業が51.4%、非正社員に対しては30.0%との回答がありました。

出典)レポート人手不足に対する企業の動向調査(20254月)|帝国データバンク

 

続いて業種別欠員率に関する統計を見てみましょう。

出典)レポート人手不足に対する企業の動向調査(20254月)|帝国データバンク

 

正社員は「情報サービス」「メンテナンス・警備・検査」「建設」の順に欠員率が高く、非正社員では「飲食店」が最も高くなりました。

インバウンド経済は今後も拡大が見込まれます。活発化する経済活動とともに企業の人手不足感はより強まるものと考えられます。

最大の要因:少子高齢化による生産年齢人口の減少

「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)(https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp)を加工して作成

 

日本の人口ピラミッドは戦後の「富士山型」から「つりがね型」を経て、現在は「つぼ型」へと変化しています。生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少を続け、2060年には高齢化率が40%近くに達する見込みです。出生率の低下と医療の進歩による平均寿命の延伸は日本の人口構造を変化させ、労働力の供給に大きな影響を与えました。人手不足の背景には労働力の供給源である生産年齢人口そのものが縮小している事実があります。

構造的な問題:求人と求職者の需給ミスマッチの実態

企業が求めるスキル・職種と求職者の希望・保有スキルとのギャップ。そして都市部への人材集中により地方の採用難が起こる地域間の人材偏在という構造的な問題もあります。産業構造の変化と労働移動の停滞が求人と求職者の需給ミスマッチを生んでいるといえるでしょう。前述の業種別欠員率データの通り、ITエンジニア、建設技能者、ドライバー、介護職などは人材の不足感が強い傾向があります。一方で、一般事務職などの職種は比較的充足しているか求職が超過しているのが現状です。

働き手の価値観の変化が人手不足に与える影響

ワークライフバランス、やりがい、社会貢献、キャリア自律など、仕事選びにおける価値観が多様化していることも要因です。終身雇用制の終焉によって転職に対する心理的ハードルは低下し、企業文化や働きがいに対する要求が高まっています。こうした要求に応えられない企業は労働力確保や社員の定着率に大きな課題を抱えることが予想されます。

中小企業や地方で特に顕著となる人材不足問題

中小企業や地方企業は大企業と比較した際の賃金・福利厚生面の格差が大きくなります。企業のブランド力や知名度の差も採用競争では不利となるでしょう。地方における若年層の都市部への流出と採用ターゲット層の減少は、地域経済の停滞や生活インフラの問題に影響を及ぼします。

人手不足が企業・社会にもたらす深刻な影響とは

既存従業員へのしわ寄せ:負担増と労働環境の悪化

人手不足により捌ききれない業務は既存従業員へのしわ寄せとなって顕在化します。一人当たりの業務負荷が増大し、長時間労働が常態化するでしょう。その結果、有給休暇取得率の低下やメンタルヘルスの不調、バーンアウトのリスクが増大する可能性が高まります。

従業員の意欲低下を招く?モチベーション・エンゲージメントへの影響

過重労働と評価への不満は消化されることなく蓄積され、やがて組織への愛着や貢献意欲の減退を生み出します。成長の機会を失った従業員はキャリア展望が欠如し、モチベーションやエンゲージメントを低下させていきます。

スキル継承の停滞と次世代育成の機会損失

ベテラン社員の退職により専門知識や技能を喪失するリスクがあります。若手・中堅を育成する時間的・人的リソースが人手不足で割けないためです。組織全体の能力低下や中長期的な競争力が養われないことへの懸念が大きくなります。

人材流出の加速:離職率増加と採用コスト増大の悪循環

職場環境や将来性への不安から離職する従業員が増加すると、欠員補充のための恒常的な採用活動が必要になり、コスト負担も増加します。前述の通り、求職者にとって魅力ある環境を整えられない企業は採用難が必至です。人手不足のさらなる深刻化が見込まれます。

事業継続の危機:生産性低下から事業縮小・倒産リスクまで

サービス品質の低下、納期遅延が恒常化し、新たな仕事の受注機会が失われていきます。生産性の低下に加え、新規事業やイノベーションへの投資も抑制されていくでしょう。その結果、「人手不足倒産」という社会問題にまで発展する可能性もあります。

特に人手不足が顕著な業界とその実態

業界別人手不足の状況:データやランキングで見る傾向

業界別人手不足の状況は、前述の帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(20254月)」のほか、厚生労働省の「労働経済動向調査(令和75月)の概況」が参考になります。

出典)厚生労働省「労働経済動向調査(令和75月)の概況

 

こちらのデータでは、労働者過不足判断D.I.(人手不足と回答した事業所から過剰と回答した事業所を差し引いた値)の数値を見ます。

正社員は「学術研究、専門・技術サービス業」の数値が最も大きく、続いて「建設業」「情報通信業」の結果でした。

人手不足感が特に強い業界は以下の通りです。

ランク

業界

労働者過不足判断D.I.

1位

学術研究、専門・技術サービス業

59

2位

建設業

58

3位

情報通信業

57

4位

運輸業、郵便業

55

5位

サービス業(他に分類されないもの)

51

6位

医療、福祉

50

7位

不動産業、物品賃貸業

44

8位

宿泊業、飲食サービス業

43

9位

製造業

41

10位

生活関連サービス業、娯楽業

35

 

出典)厚生労働省「労働経済動向調査(令和75月)の概況

 

非正社員は「宿泊業、飲食サービス業」の不足感が最も大きくなっています。

【具体例】特に人材確保が困難な業界の現状

  •   ● 医療・福祉分野における人材不足

高齢者人口の増加に伴う需要の拡大と供給のギャップが大きい業界です。特に介護職、看護師の人手不足は深刻で、過重労働が問題視されています。また、職種上夜勤が必要なことから労働環境や賃金に関する課題があり、人材確保が難しくなっています。

  •   ● 建設業界の担い手不足問題

若年入職者が減少し、就業者の高齢化進行が懸念されています。世間に根付く3K(きつい・汚い・危険)の業界イメージを改善すべく各社対策に取り組んではいるものの、いまだ大きな成果にはつながっていないのが現状です。熟練技能者の引退による技術継承が今後の課題になるでしょう。

  •   ● 運輸・物流業界(ドライバー不足など)の課題

インターネットの普及によるEC需要の増大とドライバー不足の問題は、2024年問題の影響を受け現在もなお継続しています。長時間労働規制の開始による賃金低下や、正社員と非正社員間の待遇格差の問題も人材確保を困難にしている要因です。

  •   ● 宿泊・飲食サービス業界の状況

コロナ禍後の需要回復に対する人材供給の遅れから人材不足に陥っている現状があります。勤務時間の不規則性や賃金水準の低さも離職率を上げている一因です。

  •   ● IT・情報サービス業界における専門人材不足

DX化の加速によりITエンジニアなど技術者の需要が急増しています。特にAIやビッグデータを始めとする先端技術に対応できる人材の育成・確保の難しさは多くの企業が抱えている問題でしょう。数少ない人材を企業間で取り合う激しい人材獲得競争が発生しています。

人手不足を解消するために企業が取るべき対策【多角的アプローチ】

【人材確保・定着編】選ばれ、働き続けたいと思われる職場づくり

  •   ● 賃金・福利厚生の見直しによる労働条件の魅力向上

競争力のある賃金水準の設定や適切な昇給制度を整備し、求職者が働きたいと思える環境を用意することが人材確保につながります。従業員ニーズに合った福利厚生メニューの導入や拡充も検討が必要です。

  •   ● 多様な働き方を実現する制度導入(柔軟な勤務時間、リモートワーク等)

フレックスタイムや時短勤務、週休3日制など柔軟な勤務時間制度やリモートワークの導入を検討するとともに、推進に向けた環境整備とルールの明確化にも注力してください。

  •   ● 従業員エンゲージメントを高めるための取り組み

ビジョンの共有、目標設定と進捗確認、そして適切なフィードバックが従業員エンゲージメントの向上につながります。称賛・承認する文化の醸成、1on1などでのコミュニケーション活性化が信頼関係を高めます。

  •   ● 若手・中堅社員の定着率を高める施策(キャリア支援、コミュニケーション活性化)

成長を実感できるキャリアパスの提示や研修・配置による育成を検討してください。メンター制度を導入した相談しやすい風土づくりやハラスメント対策も必要です。

【人材活用編】多様な労働力を活かす組織へ

  •   ● 女性・シニア層が能力を発揮しやすい環境整備と活躍推進

育児や介護といったライフイベントとの両立支援策を充実させることが、女性およびシニア層の定着率を上げる最も有効な方法です。経験あるシニア層の知見を活用し、健康面に配慮した柔軟な就労形態を用意しましょう。あわせて働き方によらない能力に基づく公正な評価・登用制度を整備することも重要です。

  •   ● 兼業・副業の容認による外部知見・スキルの活用

副業ルールの明確化と容認により、従業員のスキルアップが期待できます。専門性の高い業務においては、フリーランスなどの外部人材を活用するのも効率的です。

  •   ● ダイバーシティ&インクルージョン経営の本格推進

多様な背景を持つ人材が活躍できるインクルーシブな組織文化を醸成することは、多角的な視点によるイノベーションを創出する効果があります。それには外国人材の積極的な採用と受け入れ体制の構築が有効です。なお、人手不足解消の有効な手段としての位置づけもありますが、そちらは次章にて詳述します。

【生産性向上編】少ない人数でも成果を出すための業務改革

  •   ● 業務プロセスの可視化・見直しによる非効率の排除

業務フローの分析からボトルネックを特定することで、無駄な業務の削減や標準化が可能になります。

  •   ● DX推進:ITツール活用による業務自動化・省力化

RPA導入による定型業務の自動化やSaaSなどの各種クラウドサービスの活用を促進することで省力化が図れます。コミュニケーションツールの活用による情報共有の迅速化もDX推進に効果的です。

  •   ● アウトソーシング(外部委託)の戦略的な活用判断

ノンコア業務の外部委託により、コア業務へのリソース集中が可能になります。外部専門家の活用は業務品質向上にも効果があり、戦略的にアウトソーシングを活用していくことが重要です。

  •   ● AI技術導入による生産性向上の可能性

データ分析、需要予測、顧客対応自動化など各社のAI活用事例を参考に、自社業務へのAI適用可能性を検討してください。

【人材育成編】社内人材のスキルアップと活躍支援

  •   ● リスキリング(学び直し)機会の提供とキャリアチェンジ支援

DX時代に対応するデジタルスキル研修の機会提供や資格取得支援制度の拡充により従業員のスキルアップをサポートできます。社内公募によるキャリア自律支援も社内活性化に効果的です。

  •   ● OJT・研修プログラムの充実によるスキル底上げ

体系的なOJTプログラムの整備と指導者の育成が必須です。階層別・職種別に分けて研修を実施するなど効果的な方法を検討してください。

  •   ● 従業員の主体的な学びを促進する風土醸成

自己啓発支援のために費用補助などの制度を設け、主体的な学びを促進する風土を醸成することは従業員のエンゲージメントアップにつながります。あわせて学習成果が評価に反映される仕組みがあれば、さらに強いロイヤリティが形成されるでしょう。

【注目対策】外国人材の受け入れによる人材不足解消の可能性

なぜ今、外国人材の活用が人材不足対策として有効なのか

国内労働力だけでは補いきれない深刻な人材不足の背景と、多様なスキル・視点の獲得による組織活性化が目的にあります。政府の受け入れ促進策の後押しもあり、外国人材の受け入れを検討する企業が増えています。

外国人材を受け入れるための主要な在留資格(ビザ)の種類

在留資格には、「専門・技術分野」「特定技能」「技能実習(※育成就労に変更予定)」「身分系」「資格外活動」などがあります。

各在留資格の概要と就労可能な範囲や特徴は以下の通りです。

在留資格

概要

就労可能な範囲

特徴

専門・技術分野

主に在留資格「技術・人文知識・国際業務」を指し、専門的な知識や技術を活かして働く

学術的知識を要する業務、母国文化や言語に関連する業務

学歴要件あり(大卒以上など)

特定技能

人手不足解消のため即戦力となる外国人材を受け入れる制度

人手不足が深刻な特定産業分野における幅広い業務(単純労働を含む)

一定の日本語・技能レベルが必要

技能実習(※育成就労へ変更)

技能移転を通した国際貢献

技能実習計画に基づいて行われる業務(単純労働は不可)

期間満了後は原則帰国、転職不可(※新制度:育成就労へ変更)

身分系

身分に基づく在留資格(「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者」「定住者」)

制限なし

日本人と同様に採用が可能

資格外活動

在留資格外で収入を得る活動を行う際の許可(留学生アルバイトなど)

風俗営業を除く業務(包括許可の場合)

就労時間制限あり

人手不足分野に特化:特定技能制度の概要と活用のメリット

特定技能制度は特定産業分野の人手不足解消を目的に創設されました。対象分野は16分野(※2025年6月時点)で今後も順次拡大が予定されています。即戦力人材としての期待から、受け入れには試験の合格か技能実習修了の要件があります。転職可能性などさまざまな面で技能実習とは大きく異なる制度です。

外国人材を採用・受け入れる際の基本的な流れと留意点

採用はターゲットが国内在住者か海外在住者か、また紹介ルートか直接ルートかによっても異なります。それぞれの状況に適した方法を選択しましょう。続いて在留資格の手続きは、①在留資格認定証明書交付申請→②ビザ申請→③入国手続き→④在留カード交付の流れで行います。なお、外国人であっても雇用条件は日本人との均等待遇でなければなりません。また受け入れ後の生活、日本語、文化適応に対する支援体制の整備も求められます。

まとめ:持続的な企業成長に向けた人手不足への戦略的対応

人材不足は日本の構造的かつ長期的な課題です。解消には確保・定着・活用・生産性向上・育成のすべてを組み合わせた多角的な対策の検討が重要になります。自社状況に応じた優先順位付けと計画的実行が必要であり、経営層のリーダーシップと全社的な取り組みが欠かせません。変化への適応力と継続的な改善努力が未来へ向けた持続的成長の鍵になるでしょう。

人手不足に関するよくある質問(FAQ)

Q. 日本の人材不足を引き起こしている主な原因は何ですか?

回答:進行し続ける少子高齢化、スキルや経験、地域格差などによる需給ミスマッチ、終身雇用制の終焉による価値観の変化などがあります。

Q. どの業界で特に人材不足が深刻と言われていますか?

回答:医療・福祉、建設、運輸、宿泊・飲食、IT業界などが代表的です。

Q. 企業が比較的取り組みやすい人材不足対策はありますか?

回答:業務の見直しによる不要な業務の削除や従業員とのコミュニケーション改善、外国人雇用やアウトソーシングなどの既存制度の活用が有効です。

 

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