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ハラル(ハラール)とは?禁止食材と飲食店がすべき3段階の対応

2024年以降、訪日外国人観光客数は回復基調にあり、中でも東南アジアを中心としたイスラム圏からの旅行者が急増しています。しかし、多くの飲食店や宿泊施設では「ハラル(ハラール)」への理解不足から、機会損失や意図しないトラブルが発生しているのが現状です。

本記事では、ハラルの定義や具体的な禁止食材、そして事業者が取り組むべき現実的な対応策を定量的かつ具体的に解説します。正しい知識を身につけ、インバウンド需要を確実に取り込みましょう。

CONTENTS

1. ハラル(ハラール)とハラームの定義

イスラム教において「ハラル(Halal)」は、アラビア語で「許されたもの」を意味し、イスラム法(シャリーア)に基づいて合法とされる食品や行為、生活全般を指します。つまり、ハラルとは単なる食事の規定ではなく、ムスリム(イスラム教徒)の生活全体を貫く概念です。食材だけでなく、化粧品や医薬品、金融、服装、娯楽など、日常生活のあらゆる領域に影響を与えます。
一方、対義語である「ハラーム(Haram)」は「禁じられたもの」を意味し、神の教えに背く行為や食材、生活習慣を指します。ムスリムはハラームを避けることが義務とされ、ハラル食品の選択は宗教的な義務であると同時に、アイデンティティの一部でもあります。したがって、飲食店がムスリムの顧客に対応する場合、ハラルは「お客様の好み」ではなく「宗教的な必須条件」であることを理解する必要があります

参考:ハラル(ハラール)基礎知識

2. イスラム教徒(ムスリム)が食べられない「ハラーム」な食材一覧

飲食店がムスリム対応を行う際、最も重要なのは食材の選定です。ムスリムは、ハラーム食材を摂取することを宗教上避けるため、食材の裏に潜むハラーム要素を見落とすと、意図せずトラブルに発展する可能性があります。以下に、代表的なハラーム食材を列挙し、なぜ禁止されているのか、どのような形で流通しているかを解説します。

2.1 豚肉および豚由来の成分

豚肉は、イスラム教において最も明確に禁止されている食材の一つです。豚肉そのものはもちろん、ハム、ベーコン、ソーセージなどの加工肉もハラームに該当します。さらに重要なのは、豚由来成分が食品添加物として広く使われている点です。

例えば、以下のような成分は豚由来である可能性が高く、ムスリムにとってはハラームとなります。

  •   ● ラード(豚脂)

  •   ● ゼラチン(豚由来の場合が多い)

  •   ● 乳化剤

  •   ● ショートニング

  •   ● ポークエキス(スープや調味料に含まれる)

特に注意が必要なのは、加工食品や調味料です。たとえばスープやカレーのルー、ソース、調味料の中には豚由来の成分が含まれていることがあります。これらは外見から判断できないため、原材料表示を確認することが不可欠です。
飲食店がムスリム対応を行う場合、「豚由来成分が入っていないこと」を明確に示すことが信頼につながります。

2.2 アルコールおよび酩酊作用のあるもの

アルコールは、ムスリムにとってハラームとされる代表的な要素です。飲用としてのアルコールは当然として、アルコールが含まれる食品や調味料にも注意が必要です。特に注意すべき点は、以下の通りです。

  •   ● 酒類(ビール、ワイン、日本酒、焼酎など)

  •   ● 料理酒、みりん

  •   ● アルコールを含む香料や食品添加物

また、醤油や味噌などの発酵食品は、発酵過程で微量のアルコールが生成されることがあります。この点については宗派や個人によって見解が分かれるため、一般的には「避ける」方向で対応するのが安全です。特に、料理酒やみりんを使用する場合は「煮切ってアルコールを飛ばす」調理法を採用しても、原材料として使用することを避けるムスリムが多いという現実があります。
飲食店がムスリム対応を行う際は、アルコールの存在を見落とさず、代替調味料や無アルコールの代替品を用意することが求められます。

2.3 イスラム法に則って処理されていない食肉

牛や鶏であっても、イスラム法に基づく屠畜(とちく)方法で処理されていない場合は、ハラームとみなされます。イスラム法では、動物を屠畜する際に神の名を唱えることなどが求められます。そのため、一般的な市場で流通している牛肉や鶏肉であっても、ムスリムにとってはハラームとなる可能性があります。
さらに、以下のような動物はハラームとされています。

  •   ● 死肉(病死や自然死)

  •   ● 血液

  •   ● 鋭い牙や爪を持つ動物(トラ、猛禽類など)

この点は、ムスリムにとって非常に重要です。ハラル認証が付与された食材や、イスラム法に則った屠畜が確認できる食材を使用することで、ムスリムの安心感を高めることができます。

ハラル対応は、単にメニューを増やすことではなく、宗教的な価値観を理解し、尊重することです。ムスリムが安心して食事できる環境を整えることは、企業にとって信頼を築くことにつながり、海外からの集客やインバウンド対応においても大きな強みになります。
また、ハラル対応は一度整備すれば、同じ基準で多くのムスリム顧客に対応できるため、長期的な投資価値が高いと言えます。飲食店や企業がムスリム対応を検討する際は、まずはハラーム食材の把握と、食材の原材料確認から始めることをおすすめします。

3. 判断が難しい「シュブハ(疑わしいもの)」と「マクルー(嫌われるもの)」

ムスリム対応で一番ややこしいのが、ハラルかハラームか判断が難しい“グレーゾーン”です。これをイスラム法では「シュブハ(Shubhah)」と呼びます。直訳すると「疑わしいもの」で、明確に禁止されているわけではないが、怪しいものは避けるという考え方です。敬虔なムスリムほどこの考え方を重視し、疑わしいものは避ける傾向があります。
例えば、以下のようなケースがシュブハに該当しやすいです。

  •   ● 原材料にアルコール由来の成分がある可能性がある
  •   ● 食材の加工過程で豚由来成分が混入している可能性がある
  •   ● イスラム法に沿った屠畜かどうか確認できない肉を使用している

このような場合、ムスリムは「食べて良いかどうか分からない=避ける」判断をすることが多いようです。飲食店側が「大丈夫ですよ」と安易に断言してしまうと、宗教上のリスクを侵すことになり、信頼を失う可能性があります。
一方、「マクルー(Makruh)」は「嫌われるもの」「推奨されないもの」を指し、禁止ではないが避けるのが望ましいという概念です。例えば宗派によって見解が分かれるものとして、次のような例があります。

  •   ● うろこのない魚(宗派によって可否が分かれる)
  •   ● 発酵過程でアルコールが生成される食品(醤油・味噌等)

マクルーは「食べても罰があるわけではないが、避けるのが無難」という位置づけです。飲食店としては、独断で「これは大丈夫」と判断するよりも、原材料情報を開示して利用者自身に判断を委ねる姿勢が重要です。特にムスリム観光客や在留者は、信頼できる情報を求めているため、透明性が評価されます。

4. なぜ今、ハラル対応が必要なのかを示す市場データ

ハラル対応が注目されている理由は、単に「宗教的配慮」だけではなく、市場規模が巨大で、今後も拡大するからです。世界人口の約4分の1がムスリムであり、今後も人口増加が予測されています。つまり、ムスリム市場は今後も成長し続ける“拡大市場”であり、日本企業が早めに対応するほど、先行者利益が得られる状況です。
さらに、日本の観光市場においてもムスリム需要は増えています。日本政府観光局(JNTO)の訪日外客統計を見ると、インドネシアやマレーシアなど、ムスリム人口が多い国からの訪日客数が増加傾向にあります。これらの国々からの旅行者は、観光だけでなく、食事にも強い関心を持つため、ハラル対応をしている店舗は団体客やリピーター獲得に直結します。
つまり、ハラル対応は「おもてなしの一環」ではなく、飲食店の集客戦略として有効な施策です。さらに、ハラル対応は「食のバリアフリー」にもつながり、ムスリムだけでなく、宗教や食の制限がある人全般にとっても利用しやすい店になります。結果として、他店との差別化要因になり、団体客や長期滞在者の獲得にもつながります。

参考:訪日外客統計|JNTO(日本政府観光局)

5. 飲食店ができるハラル対応の3つのレベル

ハラル対応は「全メニュー完全対応」だけが正解ではありません。店舗の規模やリソースに合わせて段階的に対応することで、ムスリム需要に対応することが可能です。ここでは、飲食店が実際に取り組みやすい3段階のレベルを紹介します。

5.1 レベル1:情報開示とピクトグラム表示

最も導入ハードルが低いのが、情報開示とピクトグラム表示です。具体的には、メニューに原材料を明記し、豚・アルコールの有無をピクトグラム(絵文字)で表示する方法です。たとえば「ノンポーク」「ノンアルコール」の表示があるだけで、ムスリムは安心して選ぶことができます。食品ピクトグラムのような視覚的表示は、言語の壁を越えて伝わるため、外国人観光客の満足度向上にもつながります。
「ノンポーク・ノンアルコール」のメニューを用意するだけでも、一定層のムスリムを受け入れることが可能です。完全なハラル対応をしなくても、“ハラルに近い選択肢”を提供することは十分に意味があります。

参考:食品ピクトグラム(絵文字)

5.2 レベル2:ムスリムフレンドリー対応

次に、中間的な対応として「ムスリムフレンドリー」があります。これは、一部メニューをハラル対応にし、運用面での配慮を行う方法です。例えば以下のような対応が含まれます。

  •   ● ハラル食材を使ったメニューを用意
  •   ● 専用の調理器具や食器を用意
  •   ● 食材の保管場所を分ける
  •   ● アルコール提供を行わない席を設ける

この対応は、完全なハラル認証ほどのコストはかからない一方で、ムスリム客にとっては安心感が高く、リピーター獲得につながります。ムスリムフレンドリーは、インバウンド需要の高い都市部や観光地で特に効果が高い施策です。

参考:ムスリムフレンドリー

5.3 レベル3:ハラル認証の取得

最も信頼性が高いのが、第三者機関による監査を受けて取得する「ハラル認証」です。これは最高難度の対応であり、コストと手間がかかりますが、ムスリムからの信頼性は確実になります。
ハラル認証を取得すると、以下のメリットがあります。

  •   ● ムスリムが安心して来店できる
  •   ● 団体客の受け入れがしやすくなる
  •   ● 海外マーケット向けのPRに強くなる

特に、観光地や空港周辺、ホテルレストランなどでは、ハラル認証を取得することで集客上の強力な武器になります。ハラル認証は、単なるラベルではなく、ムスリム市場への本気度を示す証拠になります。

参考:ハラール認証とは

ハラル対応は「宗教的配慮」だけではなく、ビジネスチャンスを広げる戦略でもあります。世界のムスリム人口は増加傾向にあり、日本への訪日客もムスリム人口の多い国から増加しています。つまり、ハラル対応は今後ますます重要になるテーマです。
そして、ハラル対応は一段階からでも始められます。情報開示だけでも十分な効果があり、店舗のリソースに合わせて段階的に拡張できます。まずは「ノンポーク・ノンアルコール」表示から始め、徐々にムスリムフレンドリー、そしてハラル認証へと進めるのが現実的な導入方法です。
ムスリム対応は、飲食店の新しい集客軸になります。早めに取り組むほど、他店との差別化ができ、将来的なリピーター獲得にもつながります。

6. トラブルを防ぐための具体的な運用ルール

ハラル対応で最も重要なのは「理念」ではなく「運用」です。どれだけ“ハラルを意識したメニュー”を作っても、現場で混ざってしまったら意味がありません。ムスリムのお客様は、“混入(コンタミネーション)”を最も嫌います。だからこそ、運用ルールを現場レベルまで落とし込むことが必要です。

6.1 調理器具・食器の使い分けと洗浄

ハラル対応の基本は「非ハラルと分けること」です。具体的には以下のような分け方が必要になります。

  •   ● 包丁・まな板
  •   ● フライパン・鍋
  •   ● 保存容器・ラップ
  •   ● 洗浄スポンジ・布巾
  •   ● 保管棚・冷蔵庫のスペース

たとえば、豚肉を扱った包丁と、ハラル用の包丁が同じだと、微量でも混ざった可能性が出てしまいます。ムスリムにとっては「微量=アウト」になることが多いので、徹底した区別が必要です。
さらに、洗浄も重要です。普通の洗浄だけでは“見えない混入”が起きる可能性があります。徹底する場合は、専用の洗浄ラインを設けることもあります。具体的には次のような運用です。

  •   ● ハラル用の洗浄スポンジを専用にする
  •   ● 洗浄後の乾燥場所も分ける
  •   ● そもそもハラル用器具は別の棚に保管する

このように「目に見える区別」を徹底することが、信頼を作ります。ムスリムは「混ざったかも」と感じると、次から来店しません。つまり、最初の一回の運用ミスが、未来の売上を潰すことがあります。

6.2 調味料と加工食品の原材料チェック

もう一つの落とし穴が「調味料」です。表面的にはハラルに見える料理でも、調味料の二次原料に以下のような成分が含まれていることがあります。

  •   ● 乳化剤(豚由来のもの)
  •   ● 酒精(アルコール)
  •   ● 豚由来のゼラチン
  •   ● ポークエキスやラード由来の油

ここで重要なのは、「見た目がハラルっぽいから大丈夫」ではないことです。実際に多くのケースで、調味料に隠れたハラーム成分が入っていることがあります。
対策としては、以下が現実的です。

  •   ● メーカーに規格書を確認する
  •   ● ハラル認証済みの調味料へ切り替える
  •   ● 原材料の表示をメニューに明記する

これらの工程を怠ると、意図せずハラームを提供してしまうリスクが出ます。ムスリム客にとって「知らずに食べてしまった」ことは、宗教上の罪になる可能性があるため、店舗側がリスク管理をしっかり行う必要があります。

7. よくある質問(Q&A)

ここでは、飲食店が抱きがちな疑問に答えます。最後は必ずポジティブな締めで、採用の不安を下げる構成です。

7.1 Q1. ムスリムは全員アルコールや豚肉を絶対に口にしないのですか?

個人差や信仰の度合いにより異なります。中には宗教的に厳格な方もいますし、比較的柔軟な方もいます。しかし提供側としては「食べない前提で準備する」のが基本です。
選択肢を客側に委ねるために、メニューに情報を出しておくと安心です。結果として、ムスリムも安心して来店できます。

7.2 Q2. ハラル認証を取得していない店でもムスリムを受け入れられますか?

可能です。実際、ハラル認証なしでも、情報開示とムスリムフレンドリー対応で多くの旅行者が利用しています。
重要なのは「正確な情報」と「混入を防ぐ運用」です。認証がなくても、誠実な運用ができていれば信頼は得られます。

7.3 Q3. 魚介類はすべてハラルと考えて良いですか?

基本的にはハラルと考えて良いですが、宗派によっては忌避される魚介類もあります。例えばウナギや貝類などです。
そのため、情報開示が重要で、客側が判断できる形にするのが安全です。

7.4 Q4. 調理スタッフもムスリムである必要がありますか?

必須ではありません。重要なのは、スタッフがハラルの概念を理解し、コンタミネーションを防ぐ管理ができることです。
教育さえできれば、ムスリムでないスタッフでも問題なく運用できます。

7.5 Q5. 万が一、誤ってハラームなものを提供した場合はどうすべきですか?

速やかに事実を伝え、誠実に謝罪することが最優先です。故意でない場合、宗教的な罪には問われないことが多いですが、店舗の信頼回復には誠実な対応が不可欠です。
誤提供が起きた場合は、再発防止策(調味料の見直し、器具の区別、教育の強化)を即座に実施することが重要です。

8. まとめ:正しいハラル対応は専門家とともに進めましょう

ハラル対応は「制限への対処」ではなく、巨大な市場を開拓するための“おもてなし”です。世界のムスリム人口は増加し、日本への訪日客もムスリム人口が多い国から増えています。つまり、ハラル対応は今後ますます重要になるテーマであり、飲食店にとって新たな集客軸になります。ただし、専門知識がない状態で自社判断をすると、SNSでの炎上や深刻な宗教トラブルのリスクがあります。特に「調味料の成分」「器具の混入」「情報開示の不足」は、ムスリム客の信頼を一気に失う要因です。そのため、厨房オペレーションや食材選定に精通した専門家の知見を取り入れることが、安全かつ最短ルートです。

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