検索
海外人材Times

企業ブランディングとしての海外人材活用 株式会社ワンダーテーブルが目指した 世界に通ずるホスピタリティ

生活関連

2026.01.22

日本が世界に誇る文化のひとつである“おもてなし”というホスピタリティ精神。

 

株式会社ワンダーテーブルは、グローバルに通用するホスピタリティカンパニーとして、海外人材活用を推進し、多様化や異文化理解という企業文化を根付かせてきた企業だ。

 

飲食業界は、2023年より施行された特定技能2号の対象であり、海外人材活用に取り組む各企業が試行錯誤をしながら試験合格に向けた海外人材の育成に挑んでいる。

1990年代より積極的に海外人材を受け入れ、多様性と異文化理解を進めてきたワンダーテーブルももちろんそのうちの1社。すでに6名の合格者を出しており、海外人材の多くが高いモチベーションと目的意識を持って働いている。

 

海外人材が高いモチベーションを保ちながら働けるための秘訣を解き明かしていくと、単なる人材不足を補う海外人材活用ではない、企業ブランディングと密接に関わる海外人材活用の姿が浮かび上がってきた。

 

■プロフィール

株式会社ワンダーテーブル 人材開発部採用人事グループマネージャー 西島里沙さん

 

49か国の海外人材在籍――“本物の味”を届けるための海外人材活用

ワンダーテーブルが海外人材活用に乗り出したのは1994年。ブラジル・サンパウロ発の本格シュラスコ料理店「バルバッコア」の日本展開がきっかけだった。

 

「当社の海外人材活用のはじまりは、日本で働く人材の雇用を増やそうという採用や人材確保の課題ではなく、ブランディングと密接に関わる取り組みでした。当時、自社のオリジナルブランドを育てていくことと並行して、海外の有名ブランドと手を組んで国内に展開していくという戦略が走っていました。日本にいながら海外の本場の味や食文化を体験できる・楽しめる飲食シーンを作り、豊かな食卓を広げたいという想いはこの頃から変わっていません」

 

ワンダーテーブルは多様な飲食シーンを日本の食文化に築くため、「バルバッコア」を皮切りに、ビバリーヒルズで創業したローストビーフ専門店「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」、ローマ発のフレッシュモッツアレラ料理専門店「オービカ モッツァレラバー」など、世界で評価を受ける専門料理店を次々と誘致。

すると不思議なことに、“母国で知っているお店だから”とアルバイト募集にも外国籍の応募者も自然と増えていき、2000年代初頭には「海外の方が働いているのが当たり前」になっていた。

しかし当時の日本には、海外人材が正社員として飲食店で働き続けるための制度がなかった。

 

「皆さん日本のホスピタリティを学びたいと熱心に働いていましたし、中には卒業後に就職したいと希望してくれる留学生アルバイトの方もいました。しかし、当時は飲食店で正社員として雇用するための制度がありませんでした。そうした歯がゆさを抱えていたので、2019年に始まった特定技能実習生制度は待ちに待った制度でした」

 

2025年8月のデータで、外国籍の正社員は78名。ワンダーテーブル全体のおよそ2割が外国籍の社員。400名超の外国籍アルバイトまで含めれば、国籍もブラジル、ベトナム、ネパール、スリランカ、韓国、チリ、ガーナ、ロシア、ナイジェリア、イタリアなど49か国に及ぶ。また、2021年ごろまでに入社した外国籍社員のうち、およそ10名ほどがマネージャーなどの管理職ポジションに就いており、ホスピタリティを学ぶために訪れた日本で着々とキャリアを積んでいる。

海外人材活用成功のカギは“同じであること”

西島さんが語る通り、ワンダーテーブルにとって「外国籍の社員・アルバイトと働くことは当たり前」。ヴィーガンやハラルのように宗教や文化の違いから生じる食に対する配慮はもちろん、手を握ってはいけない(※1)、じっと目を合わせてはいけない(※2)というような細かな所作に対する気遣いまで当然のように社員に浸透している。

 

編集部注

※1イスラム教徒は結婚していない男女で握手などをするのが原則禁止

※2韓国やブータンでは目上の人に対して目を合わせない・じっと見ないことがマナーとされる

ただし、何でもかんでも“配慮”するというわけではない。

たとえば、1日5回の礼拝を行うことで知られるイスラム教徒だが、店舗のスペースの関係上、礼拝に必要なスペースを確保することが難しいなど、会社側の都合や要望はきちんと伝えるという。

 

「入社後のミスマッチが起きてしまうと採用する側もされる側も不幸せになってしまうので、面接の段階からできることとできないことを明確に伝えるようにしています。

また、外国籍の方は、日本人と比べてイエス・ノーがはっきりしている傾向があります。私もかつては店舗に立っていましたが、最初のころは『よかったら~するといいと思う』のような遠まわしな注意やアドバイスではまったく伝わらないという難しさを感じたこともありました。

ただ、これは程度差こそあれ、日本人相手であっても起こりうることですよね。最初は海外人材のことを考えて配慮するというスタンスでしたが、色々な経験を経て今実感しているのは“同じであることが大事”ということです。『海外人材だから仕方ない』『日本人だからこうだ』というのでは、組織としてまとまることはできません。区別をするのではなく、1人ひとりが同じ価値観を持って働けるように環境や制度を整えていくことが重要ですね」

 

その証拠に、今秋より人事評価制度もアメリカ式の役割記述書を用いるものに変更した。日本的な感性による評価ではなく、与える役割や必要なスキルを明確にすることでより具体的かつ主体的に業務に取り組めるよう意図してのことだという。

 

「『あなたの役割のうち何割は○○、何割は○○、達成するためにはこういうスキルが必要』ということを明確に書き出すことで、評価の基準がより明確になりました。明確な目標や数値があることで、何をすべきかがはっきりし、1人ひとりが今まで以上に強い目的意識を持ちながらそれぞれの業務に取り組めるような環境が整備できたと感じています」

志望動機の変化――広がる日本のホスピタリティに掴んだ手応え

いち早く海外人材活用に取り組みはじめ、現在に至るまで試行錯誤を続けてきているワンダーテーブルは、高い次元での多様性や異文化との融和を達成している組織に見える。だが、西島さんは「外国籍の社員が活躍できるかたちが見えてきたという手応えを得られたのは今年に入ってから」だと言う。

その理由の1つが、2023年に施行された特定技能2号の分野拡大だ(※3)。

 

編集部注

※3

1号:日本語能力水準を試験等で確認し、対象者が勤務する受け入れ機関又は登録支援機関による支援の対象であることを条件に付与される在留資格。在留期間は5年が上限。

2号:2023年6月に閣議決定された新たな在留資格。 取得には、①特定技能2号評価試験、または技能検定1級の合格と②監督・指導者として一定の実務経験を積むことの2つを満たす必要がある。在留期限は無期限。

 

「拡大を受け、社内説明会や試験対策講座などの2号の資格取得に向けた支援を行ってきました。2025年の8月に最初の合格者が出て、現在は特定技能2号として3名が業務に従事しています。さらに3名が試験に合格し、ビザの書き換えを申請している最中です。

特定技能2号が始まったことによって、それまでは5年の期限があった外国籍社員にもキャリアアップのステップや将来のビジョンを提示できるようになりました」

 

さらに、フランチャイズによる自社オリジナルブランドの海外出店との相乗効果も成果として実を結びつつある。面接にやってくる求職者の志望動機にも少しずつ変化が起きているそうだ。

 

「つい最近面接を受けに来たタイの方は、母国でオリジナルブランドであるモーモーパラダイスのファンで、『日本留学したらモーパラで働きたい』という強い動機を持っている方でした。

この方に限らず、以前は日本で働くためのビザがほしいという理由で応募してくるという方が多かったのですが、最近は日本で働くからには日本のホスピタリティを学びたいというモチベーションの求職者が増えてきているのを、肌感覚ですが感じます。

私たちがこれまで国内外に向けて、企業ブランディングとして地道に取り組んできたことの成果が徐々に実を結びつつある手応えが徐々に大きくなっています」

 

特定技能2号の開始や、1号の適用分野の拡大など、海外人材を巡る制度は日を追うごとに広がり、加速を続けている。

ワンダーテーブルは海外人材活用という側面において、何歩も進んだ企業であることは間違いない。しかし西島さんたちワンダーテーブルが目指す景色へは、まだ道半ばだ。

 

「グローバルに通用するホスピタリティカンパニーになるというのが、私たちの目指しているところです。これは日本人だけでやろうとしても難しく、色々な国の文化の方が働いているからこそ、世界に通用するホスピタリティや企業文化が成熟していくのだと思っています。

ですから、文化や国籍を問わず、楽しく充実感を感じながら働ける会社であるためには、まだまだ足りていない部分も多いです。

具体的には、外国籍社員の比率30%を達成できるように採用を強化していくことが目標です。また、特定技能2号をさらに増やしていきながら、マネージャーやさらに上の役員クラスで活躍できるような海外人材が育っていけばいいなと思っています」

西島さんは「それまで培ってきたそれぞれの経験や見地を元にして一緒に企業や組織を作っていくという姿勢がこれからの時代には必要だ」と語っていた。人材不足だけでなくグローバル化の観点から見ても、組織の成熟のために社員の多様性は重要なカギとなるだろう。

しかし、ワンダーテーブルが歩んできた道のりからも分かる通り、国や文化のバックグラウンドが異なる人同士がともに手を取り合って働くことを“当たり前”にし、企業として“手応え”を得るまでには長い時間がかかる。

だからこそ、数年先の未来を見据え、企業それぞれが今から本気で取り組んでいく必要のある施策が“海外人材活用”なのかもしれない。

 

■取材協力

株式会社ワンダーテーブル

住所:〒163-1422 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー22階

URL:https://wondertable.com/

外国人採用に関するオンライン無料相談やってます!

  • 雇用が初めてなのですが、私たちの業務で採用ができますか?
  • 外国人雇用の際に通訳を用意する必要はありますか?
  • 採用する際に私たちの業務だとどのビザになりますか?
  • 外国人の採用で期待できる効果はなんですか?

上記に当てはまる企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

× 教えてタイムスくんバナー画像