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インドネシアと日本の温度差
インドネシア人留学生エンリのニッポン見聞録Vol.45

生活関連

2025.10.15

私、伊能あやめは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。今回は、我が事業部にやってきたインドネシア人留学生による見聞録をお届けしたい。

インドネシア人留学生エンリのニッポン見聞録
インドネシアと日本の温度差

エンリ ファウザン ハビビエさん と アプリリア ヌルマウリさん

 

〜前置き〜

弊社では、インドネシアの名門校であり最も歴史ある日本語教育機関でもある国立パジャジャラン大学日本語学科より、インターン生を受け入れることとなった。学生らは将来、日本での就職を希望している。一方で、企業が海外の優秀な大学生を新卒で採用するメリットは、将来有望なASEAN市場に精通した人材を早期に確保できる点にある。彼、彼女らは高い学習意欲と多言語対応力を持ち、日本文化への理解も深く、異文化環境にも柔軟に対応できるため、グローバル展開を目指す企業にとっては、コストパフォーマンスに優れた戦略的な人材となる。

また、弊社で新たに開発した外国人材採用プラットフォームMintoku messeでは、そうした優秀な新卒の外国人材を求人を出すだけで現地に出向かず採用できる。



Mintoku messeは、ベトナム・インドネシアを中心としたアジアのトップ大学と提携し、
企業と海外人材をつなぐ採用プラットフォームです。日本語力や専門性を備えた理系・文系の学生と、現地に行かずに出会える仕組みを構築。提携大学内での就職相談会やマッチングイベントをMintokuが代行し、企業は求人情報を提供するだけで優秀な人材の確保が可能です。さらに、採用後の住居手配や生活サポートも一貫して対応。
“採って終わり”ではなく、定着と活躍まで見据えたグローバル採用を実現します。



部署間を越え、既にSNSマーケティング部門にて即戦力として活躍中の2人。改めて、今日はエンリ ファウザン ハビビエさん(以下、エンリさん)の見聞録をお届けする。

 

東京の温度

「……あやめさん、東京は暑いです!」

エンリさんがそう話しかけてきたのは、ある蒸し暑い日の午後だった。オフィスに戻る途中、コンビニで買ったアイスコーヒーを手にしながら、彼は首元をパタパタと仰いでいる。

「今年はまた一段と暑いかもね」

「電車が涼しくても、地下通路を歩く間に汗をかきます。オフィスも家もクーラーがしっかりされていないと暑くて暑くて…」

「日本の住宅、特に都心にあるようなコンクリートの建物は気密性が高くて空気がこもりやすいんだよね。エアコンを切って出かけると、帰ってきたとき地獄でしょ?」

「はい。インドネシアも暑いですが東京の暑さはまた違う気がします。太陽の暑さじゃなくて、えーっと…空気が重くて熱い感じです」

「そうだね、それはたぶん湿気のことだね。“ジメジメして湿気が多い”とか“湿度が高い”って言うよ」

「へえ、そうですか。湿気、湿度、ジメジメ……」



そう言い残し、自席に向かうエンリさんの紙コップは外から戻った誰よりもびっしりと汗をかいていた。

コミュニケーションの温度

午後、再び顔を合わせるとエンリさんがなにやら難しい顔をしていた。

「あら、エンリさん、お疲れ様!ちょっと休憩したら?」

「はい。この翻訳の仕事が…ちょっと難しいですね」

「へえ、珍しいこと言うね。どうかしたの?」

「私は自分の日本語がちゃんと“伝わる言葉”になっているか、いつも心配しています。わからないことがあればすぐ相談していいって言ってくれるので安心していますけど」

エンリさんはお茶を一口飲み、さらに「日本語は奥が深いですからねぇ」とつぶやいた。

「そうだね。たしかに表面的にわかっていても、状況や相手次第で意味が変わるし、言葉の“温度”を合わせるのは難しい」

「言葉の“温度”……コミュニケーションの温度感ですね?!たしかにそうです。言葉も、空気も。人が感じる温度は色々です。
最初は全部が新鮮で、刺激的で、楽しく感じることが多かったです。でも、慣れてきた今はたまに疲れることがありますね。誰ともすれ違わない1日があったり。ほら、声をかけたら迷惑かなって思うと……」

私は静かにうなずいた。

「日本って人との距離感が独特だよね。東京なんて特にそう。田舎にいけば、もっと人の関係も密よ?」

「なるほど。インドネシアでは、道ですれ違う人とも笑顔で挨拶したり、ちょっとした世間話をしたりします。でも、ここではそういうことがあまりない気がします。電車でも、誰も話さないし、目も合わせない。友達同士の人も、並んで携帯電話を見ています」

私はしばらく黙って窓の外に目をやった。ビルの隙間からのぞく青空が、まぶしく輝いている。都会の夏は、確かに明るい。でも、そのまぶしさの中に、どこか無機質な冷たさを感じることもある。

「東京って、静かな孤独を保つことで成り立ってる街なんだよね。たぶん、それが心地いい人もいるけど、慣れてないと寂しく感じることも多いのよ」

私はふと朝の会話を思い出した。

「それにしたって今日は暑かったよね。この温度は…そろそろ本気出してきたかもね」

「そうですよ!本気ですね(笑)。そういえば昨日、チョコレートが部屋で溶けていました。インドネシアでは大丈夫だったからびっくりしました」

「夏場は室温じゃ…たしかに溶けるかも。基本は冷蔵庫保管よ!」

「そうなんですか?昨日の事件は、暑くなる前に買ったもの、棚の上に置いていました。特に意識してなかったから、昨日食べようと思って。でも、袋がうまく開きませんでした。それは冷蔵庫に入れて、朝食べようと思いましたがやっぱり袋が…」

「あー、わかる!チョコレートが溶けた袋って、もう無理だよね。東京の夏、人間もしんどいけど、チョコもクーラーが効いてないとね」

「そうです!知りませんでした。インドネシアも暑いですが、家の中は風が通る感じがありますからチョコがこんなふうになることはないです。建物の機密性でしたか?コンクリートの。これはサウナと同じです。まさか楽しみにしていたチョコレートが溶けるなんて、本当にびっくりしました」

「これから2−3ヶ月はこうよ。ウンザリしちゃう?」

「うーん。いえ、こういう日も苦手ですが嫌いじゃないです。日本に来て暮らしている証拠だと感じます」

「よかった。東京の夏の洗礼を受けたね。私たちだってわかっていても毎年、酷暑の洗礼を受けるもの」

「なんだ、インドネシア人も日本人も同じですね!ははは」


——東京の夏は、体力を奪う。でも、それと同時に、思いがけない発見や笑いが生まれることもある。エンリさんが経験したことは、誰にとっても他愛ない出来事だ。

異国の街で感じる“初めての驚き”は、きっと彼の中で何かを変えていく。そして、いつかきっと最初に感じた驚きは、いずれ懐かしさに変わっていくのだろう。


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